緊迫する北朝鮮有事に対して未だに鈍い国内体制
http://hrp-newsfile.jp/2017/3261/
HS政経塾6期生 坂本麻貴
◆安倍政権のリスク管理
北朝鮮がグアム周辺へ、ミサイルを4発発射することを計画していることが報じられましたが、26日の朝方に日本海に向けて短距離ミサイル数発を発射しました。
北朝鮮の今回のミサイル発射は、21日から始まった米韓合同軍事演習への反発から発射したとみられています。
アメリカと北朝鮮が軍事衝突する可能性について、8月19日~20日に産経・FNN合同世論調査が行いました。
また同じ調査で、北朝鮮による核ミサイル開発問題について、外交交渉による解決が期待できるかどうかというアンケートもとられました。
結果は、以下のようでした。
「アメリカと北朝鮮が軍事衝突する可能性を懸念していますか、していませんか。」
・懸念している:78.2%
・懸念していない:20.1%
・どちらともいえない:1.7%
「北朝鮮による核兵器や弾道ミサイル開発問題について、あなたは、外交交渉による解決が期待できると思いますか、思いませんか。」
・思う:36.6%
・思わない:58.4%
・どちらともいえない:5.0%
(政治に関するFNN世論調査所収)
この結果から、国民の中でも、北朝鮮がミサイルを発射するということに対して、外交交渉は成り立たず、防衛装備の拡充など、具体的な策を求める声が多くなってきていることが分かります。
◆中四国で行われたJアラートを通じた訓練
このグアムに向けたミサイル発射計画が発表されたことにより、島根、広島、高知県など中四国9県全202市町村を対象にJアラートによる訓練が行われました。
この訓練はJアラートのシステムが正常に動作するかの訓練で、職員や関係機関の訓練でした。高知県は今後住民の避難訓練も検討しているようです。
万が一、今の状態でミサイルが日本に着弾した場合、訓練のされていない地域ではパニックになる可能性があります。
また、日本の核シェルター保有率はわずか0.02%です。中立国であるスイスや、イスラエルでは100%、アメリカやロシアでは80%前後という世界の水準から見ると最低レベルといえます。
行政機関の側でそうした訓練や防衛のための準備を進めたくても、議会を通さなければ難しい現状があり、幸福実現党は5月から全国300近い自治体に対して避難訓練の実施を要望してきましたが、他の地方公共団体ではなかなか進んでいない状態にあります。
しかし、このような国内の状況を考えれば、国会でも、地方議会でも、感情論を廃して今、何が必要なのかを議論できる議会であってほしいと思います。
◆短期的な対策と同時に長期的な対策を
そもそも、こうした北朝鮮のような国が暴挙にでるまえに牽制するためには、日本がしっかりと国力をつける必要があります。
それは、銃をもった強盗に対して警察が拳銃で牽制するのと同じことです。国力とは、大きくは「経済力」と「防衛力」です。経済力は長期的な力、防衛力は短期的な力になります。
改憲や防衛力の強化によって短期的には相手を牽制できても、長期化した場合に兵站が絶たれたら、国民を守ることができなくなってしまいます。
その意味でも、もう一度日本企業を国内に呼び戻し、地方経済を栄えさせることが重要です。それと共に、地方と都心部の移動時間を短くするインフラを整備し、充実させることが急務となっています。
地方によって観光がつよい、二次産業がつよいなどそれぞれ個性はありますが、それぞれのその個性を生かして「国を支える気概」を、地方は持つべきではないでしょうか。