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相続税と遺留分制度の廃止で日本を元気に!

HS政経塾 第6期生 野村昌央

◆改めて見る、相続税改正

平成27年から相続税法が改正されました。

改正された内容のうち、基礎控除については、「5000万円+(1000万円×法定相続人数)」から「3000万円+(600万円×法定相続人数)」に改正されています。

これによって、相続税が適用される人が増え、課税対象者は全人口の4%程度から8%になりました。実質的な増税です。

日本における相続税の税収は、平成5年度の2兆9000億円をピークとして、平成27年度には約1兆5000億円と減少が続いていました。

平成27年に相続税が改正され、平成28年度の相続税収は約1兆9680億円と増加しています。

しかし、相続税収は全体の税収に対して約2%しかありません。それに比べ、相続税があることの弊害は大きなものがあります。

◆相続税のもとにある思想

平等の面を強調すれば、相続税を100%にすることで誰もが平等な人生のスタートを切ることができると考える方がいますが、そのような考えは行き過ぎた個人主義ではないかと筆者は考えます。

人間は家族を持ち、社会を形成して、互いの自由と権利を脅かさないために法律というルールを設けて生活を営んでいます。

家族に対して、有形無形にかかわらず、自分自身が人生で得てきた財産を残していきたい、引き継いでいきたいというのはごく自然な考えではないでしょうか。

もし、相続税を100%にして、そうした家族や近しい人での助け合い(互助・共助)を否定してしまうのであれば、ゼロから始める自助と、公助しかない社会になってしまいます。

そしてそれは、マルクスの言った社会主義思想に他なりません。

そうではなく、私有財産を認め、チャレンジして成功する人を称えることのできる社会でなくてはなりません。

他の人が成功できるということは、もちろん自分自身も成功することができる社会だからです。

そして、公的な支援に頼るのではなく、騎士道精神をもってよりよいコミュニティを築いていくことができる社会を目指さなくてはなりません。

また、相続税や贈与税は、所得再分配の思想をもとにしています。格差を否定し、努力し、チャレンジして成功することをも否定することにつながってはいけません。

◆遺留分制度で家族の絆が奪われる

なにより、相続税のために、子供が親の面倒を見ることが少なくなっている面があることを政府はしっかりと考えなければなりません。

例えば、遺留分制度があるために、親の面倒をみなくても、つながりがなくても、その財産を相続する権利があります。

どのように家族と交流を持とうが、社会福祉で生活することができ、相続も変わらないのであれば、子供は安心して親と別居します。

また、相続税があるために、家や土地を売らざるを得ず、お金で配分するということもあります。これでは家を持つ、家族で支え合って生きるということができない社会と言えます。

◆家族の絆を深め、機会平等の社会を

生きて働いている時に所得税などの税金を納めてきたにも関わらず、死んでからもまた税金を取ることに、正当性があるのでしょうか。

憲法29条には「財産権は、これを侵してはならない」とあります。相続税は憲法に明記されている権利を侵している可能性があります。

この根底には、「お金は個人が持つのではなく、国が管理して、みんなのためにと考えたことに使うのが正しい」という社会主義思想の価値観が入り込んでいると言っていいでしょう。

遺留分制度が存在し、相続税がとられるということは、長い目で見れば日本には伝統的で文化的な価値のある家屋や資産は残りません。

家を大切にすることも、家族のつながりを大切にすることも無くなる、ということになりかねないのです。このような、国家が家庭の文化を破壊する相続税を廃止し、家族の絆と文化を守りながら、すべての人にチャンスが開かれる社会にしていかなくてはなりません。

野村昌央

執筆者:野村昌央

HS政経塾6期生

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