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反日から親日へ!モンゴルの今

大阪第5選挙区支部長 数森圭吾

◆危機に瀕するモンゴル経済

モンゴルの人口は306.1万人。首都ウランバートルには134.5万人が暮らしています(2016年外務省発表)。名目GDPは約7200億円で日本のGDPの約0.14%という経済規模となっています。

モンゴルといえば、「遊牧民」や「草原」、移動式住宅の「ゲル」など牧歌的なイメージを思い浮かべられる方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。

しかし近年、モンゴルに埋蔵された莫大な鉱物資源が世界から注目され、2010年以降は鉱物資源分野の発展により急激な経済成長がおこりました。

2011年にはモンゴルの経済成長率は17.29%を記録しています。

しかしその後、モンゴルの輸出品のうち約7割を占める石炭の価格が暴落し、経済は停滞。2016年の経済成長率は0.04%にまで落ち込み、資源バブルは崩壊したといわれています。

◆日本にとって地政学的に重要なモンゴル

モンゴルはロシアと中国の間に位置し、日露中の三国の関係のなかで重要な役割を果たす国として考えられています。

対中包囲網や中露関係への楔として重要なモンゴルが、政治的にも経済的にも自立し、日本との関係を深めることは非常に重要な問題であるのです。

◆反日国だったモンゴルがアジア有数の親日国へ

モンゴルは人口1000人に対して5人が日本に留学しており(2016年)、この比率は世界で断トツのトップとなっています。

実は日本とモンゴルは1939年のノモンハン事件において、満州国とモンゴル人民共和国という形で紛争を経験しています。

しかし、当時反日だったモンゴルがその後、親日へと変わっていったのです。

終戦後、シベリアでソ連軍の捕虜となり、約1.4万人の日本人がモンゴルで抑留されたといわれています。

ソ連の影響下で1924年~1992年までモンゴルでは社会主義政権が続き、日本人抑留者の情報は政府が一切公表していなかったそうです。

しかし1992年に日本人抑留者に関する文献をもとにして、「渡り鳥の還る秋」というモンゴル映画が製作され、モンゴル国内に日本人抑留者の存在が広く知られるきっかけとなりました。

この映画は当時のモンゴルで大きな反響をよぶことになります。

それまでモンゴルでは日本人は「敵」「残酷」「軍国主義」などと教わっていたそうですが、映画に描かれた日本人の「正義感」や「礼儀正しさ」が日本人のイメージを大きく変え、両国の距離を縮めたといわれています。

◆親日度を深めた日本のODA

2004年に在モンゴル日本国大使館が実施した世論調査では、「最も親しくすべき国」として日本が第1位に選ばれるという結果からもモンゴル国民の親日ぶりがうかがえます。

このようにモンゴルの親日度が深まった理由の一つに日本のODAがあります。日本はこれまで交通インフラ整備などモンゴルに対して定期的なODAを行ってきています。

今年5月に開港予定の「新ウランバートル国際空港」も約650億円の日本のODAで実現したものです。

このプロジェクトには三菱商事など多数の日本企業が多数参加しており、日本への信頼はより深まってきているといわれています。

◆深まる両国の経済関係

日本からモンゴルへの輸出品は8割が自動車となっており、反対に輸入品は鉱物資源が8割を占めています。そんななか、昨年6月には日本とモンゴルの経済連携協定(EPA)が発効しました。

この協定はモンゴルにとって初めての二国間経済協定でした。これによって自動車など日本の主な輸出品への関税が下がるほか、サービスや投資の自由化が促進される見通しとなっています。

また、2010年に尖閣諸島沖で発生した中国漁船衝突事件で、中国が対抗措置としてレアアースの対日輸出制限を行うという事態がありました。

これによってハイテク技術に不可欠なレアアースの価格が急騰し、日本のハイテク産業に大きな影響を出すこととなりました。

このレアアースやレアメタルといった希少性の高い鉱物資源はモンゴルでも採掘されています。モンゴルとの経済関係を強めることは日本にとっても資源確保のリスク分散になるというメリットもあるのです。

◆アジアに自由を確立するため 未来に向けて種を蒔くべき国「モンゴル」

今モンゴルは経済的不安定さや官僚の汚職などの問題を抱えながらも、民主化路線を進んでいます。

中国がカネと武力で周辺国への影響力を強めているなかにおいて、自由を重んじる国が自立・発展し、またアジアのリーダーとなるべき日本の安全保障や経済的発展を確保・維持していくためにも、未来に向けて強い絆を生む「種」を蒔くべき重要な国の一つがモンゴルではないでしょうか。

数森圭吾

執筆者:数森圭吾

幸福実現党 大阪府統括支部長

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