核にゆれる世界――真の独立国になる好機を逃すな!
HS政経塾5期生 水野善丈
◆核の影響力はなくならない
国連核軍縮作業部会は8月19日、核兵器禁止条約の締結交渉を来年中に開始するよう勧告する報告書を賛成多数で採択しました。
「条約」で北朝鮮に核兵器を放棄させる考えのようですが、そもそも米英露仏中は協議に参加しておらず、実効性は低く冷ややかに見られています。
世界では、核拡散防止条約NPTに基づいて、常任理事国以外では核兵器を持てないことになっています。
しかし、北朝鮮、イスラエル、インド、パキスタンがすでに核兵器を持ち、イランも数年のうちに核兵器保有国になるとみられているように、核保有国が減らないのも現状であります。
◆宥和的な外交政策のオバマ政権
この8年間のオバマ政権下での外交政策は、宥和的な戦略が取られてきました。
2013年のシリアの内戦では、アサド政権が反政府勢力に対して毒ガス攻撃をすると言いながら、何の軍事的行動も起せず、ロシアのウクライナへの侵攻に対しても、牽制はするものの軍事的措置はとりませんでした。
核・ミサイル実験を繰り返す北朝鮮に対しても、国連を動かすことができず、実質的に北朝鮮は実験を成功させ、核保有国となってしまいました。
世界の警察を降りた米国にとって、国内の財政難やアメリカ国内の反発もあり、宥和的な政策を取ったとも考えられますが、逆にその姿勢が国際社会の秩序を揺るがしてきたともいえます。
◆「核先制不使用宣言」の日本への影響
そのような中で、任期が近づくオバマ大統領は、最後に就任当初より掲げていた「核なき世界」の実現のため、「核先制不使用宣言」を行おうとしています。
安倍首相は、これに対し、米ハリー・ハリス司令官に反対の意向を伝えたとする報道を米紙にされましたが、本人は全面否定をしています。
しかし、「核先制不使用宣言」を現実的に考えると、米国のもつ核抑止力が弱体化することによって、世界に対する北朝鮮の核の脅威はさらに大きくなるメッセージとなってしまいます。
日本では、「平和憲法」のもと非核三原則を国是として堅持しているので、核兵器はもたず、アメリカの「核の傘」に安全保障を依存しています。
ゆえに、米国の「核先制不使用宣言」は、日本の国家存立の危機に迫ることであるので、しっかりと反対の意向を伝えないといけませんが、わざわざ全面否定する国家元首には落胆せざるを得ませんでした。
◆真に独立国となる好機は近い
しかし、米国が内向きに向かう状況は、日本にとってピンチであると同時に、真に独立国家となるための好機が近づいているともいえます。
共和党のトランプ大統領候補も、米軍に頼りっぱなしの日本に対して、対等な軍事費の負担や核装備もしたらいいのではないかという指摘もしています。
それに対し最近では、バイデン副大統領の「(日本が)核保有国になり得ないとする日本国憲法を、私たちが書いたことを彼(トランプ氏)は知らないのか」(産経8/17)という発言も波紋を広げています。
また一方で、日本国内の世論は、政治家の姿勢、日本の在り方というものも若者を中心に認識が変わってきていることがうかがえる興味深いアンケート結果も出ています。
○「日本は核を保持すべき?すべきじゃない?渋谷アンケート」
https://www.youtube.com/watch?v=eW3JGmyrpIw
結果は、「日本は核を保持すべきですか」という質問に対して、半分以上が保有すべきであるという回答がなされております。
意外な結果ではありますが、戦後71年が過ぎ、日本を取り巻く国産環境も劇的に変わっていく中で、国内の世論も、段々と変わってきているようです。
そのような中で、マスコミ世論を恐れ大切な議論から目をそらしてきたのは政治家だけのように見えます。
戦後、GHQの占領時につくられた憲法を守り、憲法9条第2項では、交戦権は認めず、国家としての中軸である安全保障を米国に任せて主権放棄の状態が長く続いています。
日本が主権を取戻し、真に独立国家となるためには、憲法9条改正はもちろん、自分の国は自分で守れる体制を整えることが求められます。またそれは、一国平和主義から脱し、真の世界を実現するリーダー国家としての役割を担うことを意味するでしょう。
最後は、国家に責任を持った政治家の気概と決断が、そうした議論へと向かわせ日本を変える一歩になると感じます。
私たち幸福実現党も、世界に誇る文化・歴史を持つ日本に真の誇りを取戻し、日本を世界のリーダー国家へと押し上げる一翼を担ってまいります。