米軍の辺野古移設推進――ブレない防衛政策を!【後編】
文/幸福実現党・沖縄県本部副代表 金城タツロー
【前編】では、辺野古移設をめぐる国と沖縄県の3つの裁判を振り返りました。【後編】では、裁判のその後の展開から国防のあり方を述べて参ります。
◆裁判が意外な方向へ急展開
代執行訴訟において福岡高裁那覇支部が和解案を提示、3月4日、国と県双方が受け入れ和解が成立しました。
裁判所は、国と県の間で行われている裁判をすべて取り下げ、工事を中止した上で、国が、翁長知事が行った埋め立て承認の取り消しの是正を指示するよう求めました。
そして沖縄県側がそれを不服とする場合には、国の是正指示を取り消す裁判を起こし、この裁判の結果に双方とも従うとしております。
あわせて、この裁判の判決までに、国と沖縄県は円満な解決に向けた協議を行うことなどが盛り込まれています。
代執行裁判において、裁判所がなぜ和解案を提示したのか。
代執行裁判は1995年にも提起されています。当時の大田昌秀知事が米軍用地の収用に必要な代理署名を拒み、訴訟に発展しました。
翌96年、福岡高裁判決で国側が勝訴し、橋本首相が知事の代理署名を代執行し、その後、最高裁で県側の敗訴が確定しました。
その後2000年に地方自治法が改正され、地方の権利が拡大します。今回は裁判所の側も政府寄りの立場で判決を下したと思われたくないがために 和解案を出してきたのではないでしょうか。
政府の側も工事を継続した中、県議選や参議院選の最中に事故でも起きれば 選挙に不利になると考えたのではないかと思われます。
しかし私は冒頭述べましたように、こと安全保障に関しては、ブレずに一貫していなければならない、と考えます。
◆選挙対策のために辺野古移設を取りやめか
更にゆゆしき事態です。
安倍首相が、辺野古への移設を諦め、鹿児島の無人島に普天間を移設するのでは、とささやかれています。
それについて、幸福実現党大川隆法総裁は、3月13日の福岡の大講演会の中で、次のように警鐘を鳴らしました。
「鹿児島県の孤島に、海兵隊を移すからいいだろうという話が妥協的に出たとしても、それは沖縄が中国に取られていく歴史です。」
そして、裁判の和解をきっかけに、うごめいているものが表面化して参りました。
「『馬毛島に普天間を』おおさか維新、暫定移転を提言」という記事が3月25日付の沖縄の新聞を踊ります。
仲井眞前知事は、辺野古の埋めたて承認の条件として、政府に普天間の5年以内の運用停止を約束させたとされていますが、中国の脅威から県民の生命を守ることを第一義とするならば、更に欲を出して政府と条件闘争をしてはなりません。
そもそも、当初の日米合意における普天間の返還の条件は、代替施設の建設を完了してから、ということになっていたはずです。
私も沖縄県民であるがゆえにご忠告申し上げたいと思います。
政府におかれましては、こと安全保障政策に関しては、沖縄県に対し、一歩も引いてはなりません。
普天間の5年以内の運用停止など、当初の日米合意にはない、とつっぱねれば良いのです。むしろそのようにしたいので県民の皆様、本気で協力してくださいというべきです。
でなければ、また振り出しに戻ったうえ、日米の信頼を傷つけ、結果、沖縄県民を最大の危機にさらすだけでしかありません。