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日米同盟に不可欠な日本の努力【前編】

文/HS政経塾3期卒塾生 幸福実現党・新潟県本部副代表 横井もとゆき

◆日米同盟にとって本当に必要なものとは何か

2015年に改訂された日米新ガイドラインでは、中国を名指ししてはいないものの、中国の覇権主義による海洋進出に対しいかに日米共同で対処するかが明記されていました。

このガイドラインによって、いざという時のアメリカは実に頼もしいと思える半面、日本への大きな宿題も示されました。

新ガイドラインの中で、繰り返し出てくる言葉があります。

「日本が防衛作戦を主体的に実施し、米軍は自衛隊の作戦を支援し、補完する」という文言です。

これが、日米力を合わせて中国と戦う時はもちろんのこと、平時からの大ルールとなります。この文言に大変重要な意味があることに、どれだけの日本人が気付いているでしょうか。

◆中国の侵略方法とは

中国の日本や台湾、フィリピン、マレーシアなど第1列島線上に位置する国への軍事侵攻のやり方は、一度にものすごい数の戦闘機や艦船からの大量のミサイル攻撃や、中国本土海岸に1200発配備されている弾道ミサイルで一気に攻撃して、すぐに白旗を上げさせる短期決戦型の戦い方と言われています。

また見た目は漁師の「民兵」などを上陸させ、気付いた時には、武器を持って占拠すると予想されています。

現在日本は、中国が降らせると予想される大量のミサイルの雨に対応ができない状態であり、航空自衛隊は那覇基地1ケ所に沖縄の部隊の戦闘機を全て置いているので、狙い撃ちされたら一巻の終わりです。

また法律の隙間を狙ったグレーゾーン事態に対応できません。

それは尖閣諸島の国有化以来、140回 (1/8 現在)中国の公船が領海侵犯しており、最近は、軍艦を改良し機関砲を搭載した巡視船も来ています。

◆米国には中国を封じ込める作戦があるが・・・

米国は当然ながら中国との戦争には勝ち筋が見えています。

米国や第1列島線の国々が中国と戦争になった場合、米国がとる作戦は戦争を長引かせ中国を疲弊させ、戦争を終わらせる作戦です。

ここで大きな問題なのは、先述したように、第1列島線の国々に対して中国は大量のミサイルで短期決戦(4~6週間が想定されている)を仕掛けてきますから、第1列島線の国々はこの間の攻撃に耐え、持ちこたえねばなりません。

米国の空母や艦船は、中国の第1撃目ミサイル発射の徴候があった時、対艦弾道弾を避けるため、グアム以東に退避し、中国が疲弊するのを待つことが方針として決定されています。

長期戦を念頭に置いている米国と、短期戦を強いられる第1列島線の国々の間には、戦い方に大きな違いがあります。

◆試されている日本

しかしこの戦い方の差を埋めるために、厳しいですが、米国は役割分担を決めています。

それは、第1列島線の国々が国家として「自分の国は自分で守る」という気概をもち努力しているかです。

さらに中国の覇権主義による海洋進出に蓋をする形で存在している国々という地理的な重要性を認識し、日米同盟のもと、互いの国が連携して東アジアの平和を守ろうと努力しているかということです。

日本にとっては憲法から変えていかなければならない、大きな課題です。

また、第1列島線の国々は数々ありますが、この問題に対してリーダーシップを発揮できるのは、日本しかありません。

この点を確認するかのように、新ガイドラインは作成されています。あくまでも、国防の主体は自衛隊であり、米軍は自衛隊の補完と支援です。

まずは日本が自主防衛ができるのか、その努力をしているかが問われています。

◆今、日本人ができる最大の努力を

日本が憲法上できないことは米国の力を借りることになっています。

安倍首相は、15日の参院予算委員会で、敵基地攻撃は米軍の役割と言いました。

米国では敵基地先制攻撃は核攻撃と同様に大統領の承認がいるとのことです。

日本への攻撃を未然に防ぐために、米国がタイミングよくミサイル発射前に先制攻撃をしてくれるのでしょうか。

また日本への攻撃の際に、中国が「米軍基地には攻撃しない」という日米を分断しようとする声明を出しても、約束どおり先制攻撃をしてくれるのでしょうか?

これは米国を疑っているのではなく、やはり同盟とは「自分の国は自分で守る」という大前提のもと、強者同士の信頼関係において取り交わされるべきもので、日本自身がやるべきことをやらなければならないということです。

沖縄にミサイルが打たれれば、有事となり、自衛隊も米軍も動きやすくはなります。しかしそれは犠牲者が出て初めて可能となることです。

また米国の認識では、中国の弾道ミサイルに対して、弾道ミサイル防衛(BMD)で迎撃することは容易ではないという認識です。

飛んでくるミサイルは1発2発ではありません。数百発のミサイルが沖縄本島に向かって飛んで来たら、民間人の犠牲者も必ず出ます。

国民の命を政治利用させることは絶対にさせません。犠牲者が出る前に日本人で出来ることはやるべきでしょう。

(つづく)

横井基至

執筆者:横井基至

幸福実現党国防部会会長 新潟県阿賀野市議会議員

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