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日本は南シナ海の安定の要、日米同盟の強化で中国包囲網をつくれ!

文/幸福実現党・宮城県本部副代表 HS政経塾5期生 油井哲史(ゆい てつし)

東南アジア諸国連合(ASEAN)は11月23日、ASEAN首脳会議の議長声明を発表しました。

この中で初めて、中国の人工島造成を念頭に「軍事化」の動きに言及し、「複数の首脳が示した懸念を共有した」と明記しました。

当初、声明の草案には、「南シナ海」や「懸念」という文言は盛り込まれていませんでしたが、中国を直接名指しすることは避けつつも、人工島が軍事利用されることを警戒するフィリピンやベトナムに配慮して中国をけん制する内容となりました。

◆日米同盟の深化が中国包囲網の形成を加速

この成果として、二つの理由が挙げられます。

まず、日米両国が、南シナ海での軍事拠点化を図る中国に対して連携して対応することを確認できたこと。そして、その成果をASEAN各国と共有し、海洋安全保障を促進させたことです。

ASEAN首脳会議に先立って、まず安倍首相とオバマ大統領が会談しました。

米軍による「航行の自由作戦」への支持を表明。中国が人工島造成を進める南シナ海問題で連携を強化するとともに、南シナ海への自衛隊の派遣について「日本の安全保障に与える影響を注視しつつ検討する」と伝達しました。

それを受けて安倍首相はインドのモディ首相と会談。南シナ海での人工島造成の軍事拠点化など中国の海洋進出に懸念を共有し、日本、インド、米国の3カ国で海洋安全保障協力を進めることで一致しました。

その具体化として、インド洋で行われる米印共同訓練に、海上自衛隊を定期的に参加させることで合意しています。

つまり、日米同盟の強化が、軍事拡張を続ける中国をけん制し、中国包囲網の形成を加速させたのです。

◆中国包囲網の結束は、まだ弱い

ASEAN諸国が連携し、南シナ海問題における中国包囲網が構築されていることは歓迎すべきことですが、その結束は必ずしも強固なわけではありません。

ASEAN諸国は経済関係において中国との結びつきが強く、様々な経済協力を受けて政治的な発言力を強めて、それに依存する関係にあります。

例えば、ASEAN首脳との会合で、中国の李克強首相がASEAN諸国のインフラ設備に対し、積極的に関わっていく方針を示し、100億ドル(約1兆2千億円)の融資を行うことを表明しました。

最近では中国の国有企業で原子力大手の中国広核集団(CGN)は、経営が悪化しているマレーシアの国営投資会社1MDBの火力発電関連会社の全株式を買収することが決定しています。

日米と中国が南シナ海における問題でけん制し合う中でASEAN諸国は板挟みとなり、首脳会議の序盤は、積極的に南シナ海の問題に言及する国は多くありませんでした。

また、日米同盟の強化を確認した米国も、本気で南シナ海を守る気概があるか疑問です。ここに至るまで南シナ海への派遣に消極的でした。

米国防相と米軍当局者たちは、数か月間、艦船を派遣する準備を整えていましたが、米中の交流を重視し、ホワイトハウスと国務省が不必要に派遣を先延ばししていました。

加えて、パリで同時多発テロが発生。イスラム国が次の標的をワシントンと警告したことで、米国国内とシリアへ意識が偏ることが予想されます。長期的に南シナ海に米軍のプレゼンスが存在し続けるかは不透明です。

◆中国包囲網の要としての日本の役割

今回、日米関係の強化でアジアの安全保障強化を促進させ、共同してASEAN諸国への融資、技術移転などを表明。日米とアジアによる対中国包囲網を形成しました。

その過程で積極的に日本が外交し、説得する姿勢が伺えました。日本は今後、アジアの安定と発展のために中国包囲網の要としての自覚を強く持ち、環太平洋経済連携協定(TPP)に未加盟のASEAN諸国を取り組んでいくことが必要です。

これまでの日本は正邪を分け、正しさを推し進めること、説得し、牽引していくことが弱いと言われてきました。この機会に、毅然とした態度を示す国家となっていくことを望みます。

油井哲史

執筆者:油井哲史

幸福実現党・宮城県本部副代表 HS政経塾5期生

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