『幸福実現党宣言』に見る宗教立国の理念
文/HS政経塾一期卒塾生/逗子市政を考える会 彦川太志
◆幸福実現党・立党の原点
2009年5月23日の立党以来、幸福実現党の活動は日本の政治状況に大きな変化と刺激を与えてきました。
立党当初より一貫して主張している政策は、集団的自衛権の一部行使容認や安保法制の成立を始めとした外交・防衛政策などで政府与党の政策に少なからぬ影響を与えてきました。
また地方議員も続々と誕生し、国民の皆様の付託を受けられる『開かれた国民政党』へと大きく飛躍を遂げようとしています。
本日は、創立者である大川隆法総裁先生より立党に先立って説かれた法話『幸福実現党宣言』(党指針書)から、立党の原点としての「宗教立国」の理念について、考えてみたいと思います。
◆「マルクスの『共産党宣言』の正反対のものを目指す」
党指針書である「幸福実現党宣言」において、幸福実現党はマルクスが出した『共産党宣言』の正反対のものを目指していく旨が語られていますが、これは大きく分けて以下の2点から説明することができるのではないでしょうか。
(1)神仏の実在を前提とした国づくり
一点目は、「神様仏様の存在」を前提とした国づくりをやっていく、という点です。
この意図は、基本的人権の根拠を「神仏から魂を与えられていること」に見出し、「人権」の考え方を肉体的生存のみならず、精神的向上をも含んだものにまで高めていくことにあると言えます。
人権の根拠を、神仏から与えていただいた、魂としての自分に求めよう。というのは、幸福実現党の活動理念の根幹に当たる部分と言えますが、これについて理解を深めるには、唯物論国家の事例と対比してみればわかります。
例えば『共産党宣言』を奉じた国としてソビエト連邦と中華人民共和国が有名ですが、どちらも軍事国家であり、強制収容所と秘密警察(武装警察・サイバー警察)を使った人権弾圧と思想統制を行っている点で共通しています。
ナチス党や北朝鮮もこの点は共通しています。
一方、幸福実現党は「魂」や「精神」、「心」というものを大切にし、そうした人間の本質の奥には、「神の子仏の子としての神性」が輝いている、という前提に立っています。
だからこそ、恐怖と強制でもって人間を心の中まで支配し、国家に隷属させようとする唯物論国家の思想に対して、幸福実現党は異を唱えるのです。
(2)愛念・善念の結集としての政治運動
また、「『共産党宣言』の正反対のもの」には、政治運動のあり方も考えられます。
先ほどの「神の子仏の子としての魂」を基本的人権の根拠とする考え方に立てば、例えば教育とは人間一人ひとりの「神性」を発芽させていく触媒のようなものである事が望ましいという観点が得られます。
また、経済活動にしても、それを通してひとりの社会人としての公的な責任や、家族を背負う使命感を自覚することで、「魂の成長」を促していくような、自助努力の原理が反映された経済であることが望まれます。
つまり、幸福実現党の政策、あるいは政治運動は、「神仏の子としての本質を持つ人間が、その個性や性質を最大限輝かせていけるように」という祈りの具体化であり、愛念や善念の結集が基盤にあるのです。
一方、「革命は銃口から生まれる」と言う発言で知られるように、マルクスは暴力に訴える政治運動を肯定していました。
日本も大正期に共産主義が流入して以降、戦争や震災、経済危機などの政情不安を利用して内乱を起こし、暴力革命を起こそうとする勢力の暴挙に幾度も直面しています。
ところで、共産党の機関紙は「怒り結集」という表現を頻繁に使用していますが、共産主義思想の政治運動をよく表していると言えるでしょう。
つまり、憎悪や怒り、嫉妬などの正当化です。憎悪が呼ぶものは、さらなる憎悪、そして国家の崩壊という悲劇ではないでしょうか。
◆「慈悲の政治思想」としての宗教立国の理念
誤解を受けやすい点ですが、幸福実現党が主張する国防政策は、マルクスのような「怒りの結集」としての政策ではありません。幸福実現党の国防政策は、「慈悲」の具体化です。
鎌倉時代、日蓮上人が身延山に篭る直前、幕府に「日本国にせめてのこされん衆生をたすけんがため」、最後の説得を行っていますが、思いとしては同じだと言って良いでしょう。
幸福実現党の掲げる「宗教立国」が、宗教的慈悲の理念に裏付けられた、世界を繁栄に導く政治思想でもあることを、ご理解いただければ幸いです。
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