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安保関連法案の議論から考えるマスコミ報道のあり方

文/HS政経塾部長 兼 幸福実現党事務局部長 幸福実現党東京都第9選挙区支部長 吉井としみつ

◆山場を越えた安保関連法案

安全保障関連法案が、7月15日に衆院特別委員会で可決され、16日の衆議院本会議で自民、公明両党の賛成多数で可決されました。

これから、参議院に安保関連法案を送付して、採決することになります。

参議院で議論が紛糾して、法案の採決ができなかったとしても、憲法59条に定められる「60日ルール」に基づき、9月14日以降に、衆議院で3分の2以上の賛成があれば、法案を成立させることができます。

与党は、衆議院で325議席を占めており、3分の2に当たる317議席を超えていることから、今回の衆議院での可決により、今国会の会期中(9月27日まで)での成立が見込まれています。

◆国民の理解が深まる建設的な議論へ

衆院特別委員会では審議時間を、当初想定していた80時間を大幅に超えて、約113時間とったものの(1960年以降6番目の長さ)、野党側の「審議は尽くされていない」の1点張りで、議論そのものが深まらない状況になっていました。

参議院でも、野党側の反対攻勢は続くと思われますが、ぜひとも国民の理解が深まるように「反対のための反対ではない」建設的な議論を期待したいところです。

◆マスコミ側もフェアに説明の機会を設けるべき

各社の世論調査でも安保関連法案について、政府側の説明が丁寧ではないという結果が出ています。

これは国民側のニーズでもあるわけですから、マスコミとしては「なぜ安保関連法案が必要なのか」を説明する機会をフェアに設けるべきです。

説明の場を与えないという「黙殺権」を行使して、さらに安保関連法案に伴う懸念ばかりを報道するのであっては、国民の知る権利に応えているとはいえません。

安保関連法案の議論の推移とともに、マスコミ各社がジャーナリズムにおける本来の責務を果たしているのかどうかも浮き彫りになってくるはずです。

◆議論の全体像を伝える配慮を

安保関連法案の議論の高まりと合わせて、法案に反対する若者の動きもクローズアップされています。

その中で、SEALDs(自由と民主主義のための学生緊急行動)という団体があります。

本団体のホームページには、「戦後70年でつくりあげられてきた、この国の自由と民主主義の伝統を尊重します」とあり、日本国憲法の理念を守ることを表明し、安保関連法案にも反対しています。

ただ、戦後70年の間を見ても、なぜ自衛隊が創設されたのか、また集団的自衛権の解釈についても変遷しています。

さらに、日本からは平和的に「法の支配」を呼びかけているにもかかわらず、力による「現状変更」の姿勢を変えない隣国に対応するために安保関連法案の議論が出てきており、国際的には日本に賛同の意を表明する国が多いわけですが、こうした経緯については触れられていません。

このままでは、若者の熱心な活動も、リベラル陣営を築いてきた大人の意見を、定見を持たずに代弁することにもなりかねません。

◆若者への押しつけではなく、見識を育む発信を

6月に選挙権年齢を20歳から18歳に引き下げる改正公職選挙法が可決され、来年2016年の参議院選挙から、18歳以上からの投票が可能になります。

低迷する20代の投票率(32.58%・第47回衆院総選挙)を考えても、若者が政治に関わり意見表明することは素晴らしいと思います。

しかしながら、投票権を18歳からにしたのであれば、これまで以上に、教育の場やマスコミ報道等で、議論の全体像を伝える配慮が必要です。

少なくとも賛成・反対の両論を併記するなど、様々な創意工夫の余地があるはずです。

幸福実現党は、若者の幸福にもっと奉仕できる政治の実現に向けた取り組みの一環で、「考えよう!国のこと。政治関心度アンケート」を行っています。

若者世代が、政治に関心を持てるよう創意工夫し、見識を育むことへの貢献は、各政党が取り組むべき、公の責務であるはずです。

◆より公正なマスコミ報道への契機に

安保関連法案に関する議論の高まりと、18歳投票権という若者の政治参加の広がりは、マスコミ報道のあり方を再度考えるチャンスなのかもしれません。

議論の全体像を掴めるように配慮し、国民に対して責任を負った、より公正なマスコミ報道へと繋げていくべきです。

吉井 利光

執筆者:吉井 利光

HS政経塾部長(兼)党事務局部長

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