「宗教立国」を目指す幸福実現党【後編】
文/幸福実現党・島根県本部副代表 池田健一郎
前編で、(1)20条1項後段に「いかなる宗教団体も、国から特権を受け、または政治上の権力を行使してはならない」について考察を加えました。今回は、日本国憲法【(2)20条3項】と【 (3)89条】について考察を加えて参ります。
◆日本国憲法20条3項について
(2)「国およびその機関は、宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない」という規定についてです。
公立の高校などでは倫理の時間があり、キリスト教、イスラム教、仏教のいわゆる世界三大宗教や、ギリシャ哲学などの概要を学ぶ時間があります。
つまり「公立学校が一つの宗教だけを教え込んだり、儀式をしたりするのはよくない」という、ただそれだけの意味です。
これに対して、私立学校はそもそも「国およびその機関」ではありませんので、宗教教育を自由に行えることは言うまでもありません。
◆日本国憲法89条について
(3)公金や公の財産は「宗教上の組織もしくは団体の使用、便益もしくは維持のため、又は公の支配に属しない慈善、教育もしくは博愛の事業に対し、これを支出し、又はその利用に供してはならない」と規定されています。
たとえば、政府は様々な事業に対して補助金を出すことがあります。しかし、政府はただで補助金を出してくれるわけではありません。
「補助金を出すかわりに、ああしろ、こうしろ、定期的にこれこれの報告をしろ」等々、様々な条件をつけてくるのが普通です。実際に補助金を受けたことのある方はお分かりになるのではないかと思います。
もし、宗教団体にこれが適用されたらどうなるでしょうか?政府から「あなたの宗教の教えは、この部分が問題だから変えなさい、でなければ補助金は出さないよ」ということになりかねません。こんなことがまかり通ったら大問題です。
以上のことをまとめて言うならば「私的な事業への不当な公権力の支配が及ぶことを防止するための規定である」ということになります。
つまり、「宗教団体に公金を出すと、宗教団体の助けになるどころか、かえってその独立性が失われて、宗教団体が国家のいいなりになってしまう」、それを防止するための規定なのです。
ですからこれも「宗教の側から」「政治に対して」関わってはいけないということとは無関係です。「政治の側から」「宗教に対して」公金を出してはいけない、というだけの意味です。
以上、日本における政教分離の根拠は煎じ詰めればこの三つしかありません。
結局「政教分離」とは、「一つの宗教が国家権力を使って他の宗教を管理したり弾圧したりしてはならない、」という意味であり、また「宗教は政治に参加してはいけない」という意味ではないということです。
他にあえて挙げるとするなら、マスコミなどによって作られている「空気」、これだけです。
以上私が述べてきたことが、少しでもこの「宗教が政治に介入するのはよくない」という「空気」に「水を差す」ことができれば幸いです。
今後も幸福実現党は、日本国民の皆様の幸福を実現する政治を目指して頑張って参ります!