「宗教立国」を目指す幸福実現党【前編】
文/幸福実現党・島根県本部副代表 池田健一郎
◆政教分離をどう考えるべきか
私たち幸福実現党は、大きな理念の柱として「宗教立国」を掲げて活動しております。
しかしながら、わが日本国においては「戦前、国家神道によって戦争が引き起こされた」などの誤解に基づき、「宗教が政治に介入するのはよくない」という「空気」が存在します。
私自身、活動の途上において、支持者の方から「宗教が政治に関わるのはなんとなく良くない感じがする」というお言葉を頂くこともあり、誤った「政教分離」の概念が「空気」のごとく蔓延しているように感じます。
今回は、「宗教立国」の前提として「政教分離をどう考えるべきか」についてお話したいと思います。
◆「政教分離」の憲法上の根拠は三つ
わが国では、「政教分離」という概念は、戦後にできたものです。GHQが「神道が国家主義や軍国主義の精神的支柱となった」と判断したため、現在の日本国憲法では以下のように規定しています。
(1) 20条1項後段に「いかなる宗教団体も、国から特権を受け、または政治上の権力を行使してはならない」
(2) 20条3項に「国およびその機関は、宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない」
(3) 89条において、公金や公の財産は「宗教上の組織もしくは団体の使用、便益もしくは維持のため、又は公の支配に属しない慈善、教育もしくは博愛の事業に対し、これを支出し、又はその利用に供してはならない」
◆日本国憲法20条1項後段について
まず(1)の「いかなる宗教団体も、国から特権を受け、または政治上の権力を行使してはならない」という規定に関してですが、おそらくこれが一番、皆様が引っかかりを感じる規定なのではないかと思います。
「宗教団体が政治上の権力を行使しちゃいけない、って書いてあるじゃないか」というわけです。
しかしながら、もともとこの規定は、戦前に神道が国から特権を受け優遇され、キリスト教や大本教など、多くの宗教が弾圧されたことを受けてつくられたものです。
つまりこれは「一つの宗教が国家権力を使って他の宗教を弾圧してはならない」という意味の規定なのです。
◆参政権は「人権」である
この(1)については、もう一つ考えるべきことがあります。
「政教分離」を「宗教が政治に参加してはいけない」と曲解している方は、とても重大なことを忘れています。
現在の日本国憲法においては、国民に「参政権」という権利が認められています。これは「選挙で一人一票を投じる権利」ですが、しかし「参政権」とは、これだけではありません。
「選挙で一票を投じる権利」だけでなく「自らが議員になるべく、選挙に立候補する権利」、これも「参政権」、つまり「政治に参加する権利」として保障されています。この二つとも「参政権」、つまり「人権」なのです。
◆宗教団体が政治に参加することは正当な権利
ところで、わが国には様々な団体が存在します。経団連、医師会、日教組、自治労、共産党など。特定の考えを持ち、その実現のために活動している団体です。
それぞれの団体が、選挙のために候補者を擁立し、選挙戦を戦っていますが、それについて文句を言う方はいません。
そして、宗教団体も「特定の考えを持ち、その実現のために活動している団体」であることに変わりはありません。宗教団体が選挙のために候補者を擁立し、選挙戦を戦うことに、何か問題があるのでしょうか?
あるとすればその根拠は?「経団連や共産党ならいいが、宗教団体は駄目だ」という理由が、どこにあるのでしょうか?
「ある」という方の根拠はおそらく「宗教は神を信じているから」という理由なのではないかと推測します。
「神を信じているから」というただひとつの理由で「宗教は政治に関わってはいけない」とするならば、神を信じる人間には「自らが議員になるべく、選挙に立候補する権利」がないということになります。
もっとはっきり言うと「宗教は政治に関わるな」と主張する人は「神を信じる者には人権が無い」と主張していることになります。
「神を信じる者に人権が無い」国はいくつかあります。中国や北朝鮮がその例です。
「宗教は政治に関わるな」と主張する方は、中国や北朝鮮が理想の国なのでしょうか。冷静に考えれば、そんなことは無い、ということがお分かりいただけると思います。
結論として、日本国憲法における政教分離の根拠、(1)「いかなる宗教団体も、国から特権を受け、または政治上の権力を行使してはならない」という規定は、「宗教団体が政治に関わってはいけない」という理由にはならないことがお分かりいただけたのではないかと思います。
次回、日本国憲法【(2)20条3項】と【 (3)89条】について考えてみたいと思います。
(つづく)