地方創生の柱――生涯現役社会実現
文/幸福実現党・奈良県本部副代表 田中孝子
◆地方創生とは
地方創生とは、2014年9月に発足した第二次安倍内閣が掲げる重点政策の一つで、地方人口減少に歯止めをかけ、首都圏への人口集中を是正し地方の自立的な活性化を促すための取り組みを指します。
◆地方創生の理念
「町、人、仕事と創生」のキーワードで具体化され、国内の各地域、地方がそれぞれの特徴を活かした自立的で持続的な社会を形作ること、魅力あふれる地方のあり方を築くこととあります。
主要な柱として東京一極集中の解消、地域社会の問題解決、地域における就業機会の創出等が捉えられています。
◆全国市町村に見る高齢者の現況
総務省2011年の全国市町村対象の調査では、過疎地域等における6万4954集落のうち、限界集落と言われる65歳以上の高齢者が半数を超えている集落は、15.5%で、1999年の7.5%の2倍を超えました。
人口50万人未満の集落の割合も06年の24.4%から10年の27.9%へと上昇しています。
◆奈良県十津川村の地方創生「村内移住」の取り組み
紀伊半島中央部にある奈良県十津川村は、東京23区とほぼ同じ面積ですが、人口は約3600人、65歳以上の高齢化率は42%に達します。
この過疎の村が人口減少に対応した「村内移住」と、雇用来を見越した「林業再生」で地方創生に乗り出しました。そのきっかけは、死者不明者13人を出した2011年秋の大水害でした。
この地域は全国有数の木材生産地でしたが、時代の流れは、林業衰退に歯止めがきかず森の荒廃は、大水害をもたらしました。
そこで地方創生策として産業の少ない奈良県を離れて都会に住む子ども達と高齢者の老後の問題を解決するため戸建の村営住宅を造り、そこへ集住してもらう取り組みを始めたのです。(3/2日経新聞 地域総合面「特集連載『地域で克つ』」)
まず水害で仮設住宅に住んでいた高齢者のコミュニティーづくりと互助が始まりました。
◆林業再生で雇用を生み出し経済活性化促進
次に林業再生を企業と協力したことで、雇用創出や、さらに地元の高校にも土木コースを入れる等によって、県内就業支援となり、地域経済の活性化に繋がっていったのです。
この村営住宅の取り組みは、人口減少に拍車がかかる地方の過疎地問題解決のヒントになります。
成功の要因は、助け合いの精神と、自然からの警鐘を村の再生に繋げた「自助努力」の精神にあると思います。
◆最後まで村で暮らしたい、村を再生し故郷を守りたい
近年、都会で暮らす子ども達の意向で村外施設に移る高齢者が増えていますが、大部分の方が、最後まで住み慣れた村に暮らしたいと願っています。
泣く泣く村を離れるケースが増える現状を打開しようと、点在する居住を、村中で便利な集落中心部へ住み替えることが「村内移住」です。
◆この取り組みに学ぶ「生涯現役社会」の理想
よりよく生きる「生涯現役社会」は、そうした努力と智慧の上に築かれると思います。
この事例に学び、政府に頼ることなく、各地域が、各個人がセルプヘルプの精神で、自分として何ができるか考え、一人一人の個性や才能を活かし、各人の助け合いの精神を持つことで、国をも平和と繁栄に導く繁栄主義を、故郷奈良に実現したいと思います。
奈良県では65歳以上の高齢者が人口の24.4%に達します。これは、高齢者だけでなく若い方の心配となり、今後30年「税金が増えるか」「国が潰れるか」の問題となります。
だからこそ、「自分の老後は自分で守るぞ」の精神で明るく、積極的で、建設的な生涯現役人生計画こそ本当の地方創生になるでしょう。
執筆者:田中孝子