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世界のだだっ子「中国」を育てる「やまとの心」【前編】

文/幸福実現党・三重県本部副代表 野原 典子

◆中国の軍備拡張はずっと続いている

5月27日の衆院特別委員会で、安倍首相が「安保法案を夏までに可決したい」と米議会で発言したことについて、野党から「急ぐ理由はなにか」「そんなに危機が近づいているのか」との質問があり、安倍首相は、ホルムズ海峡の石油航路などを上げて、「可能性としてはある」と答えていました。

国名は避けましたが、「中国」の軍事的侵略が懸念されていることは明らかです。

「朝雲」新聞によると、中国の「公表防衛費」は、アジア地域の4割を占めています。(ちなみに日本の防衛費は1割)

2014年版の「日本の防衛」(防衛白書)は、中国の国防費は「過去26年間で40倍」「過去10年間で4倍」と異常に急増し続けて来たことを記しています。

4月に日米両政府は「防衛協力のための指針(ガイドライン)」で「中国による海洋進出など安全保障環境の変化」をあげ、「アジア太平洋を越えた地域での協力」を前面に打ち出しました。

それに対して、5月26日に発表された、中国の「国防白書」では、「データ類の記載」がすっぽり抜けており、国防費の内訳も公表されず、ますます透明性が低下しています。

方針として「陸上のみならず海洋も重視」とするなど、まるで「旧約聖書」に描かれた、怪獣ビヒモスと海獣リヴァイアサンのそろい踏みといった不気味さが漂います。

そのうえで「地域外の国の南シナ海への介入」「海上軍事闘争への準備」などと、明らかに米国を「仮想敵」と見なした表現が使われました。

そして5月20日、南シナ海の中国埋め立て地に接近した米軍機が、中国海軍より「退去警告」を受けていたことを、CNNが放映したのです。

◆迷惑なお隣さん

中国が勝手に造成している人工島の滑走路は3000メートル級で、軍事使用ができるサイズです。2017年ごろ完成するようです。

ところで、我が国の自衛隊の去年の緊急発進(スクランブル)は去年943回ありましたが、うち半分の464回は中国機が原因の発進でした。

日本は領空侵犯されても、そう簡単に撃墜できませんが、こうしたことが国防の隙となっていることは間違いなく、それだからこそ、自国の領空上に「防空識別圏」を勝手に設定されたりするのでしょう。

あれも単発では終わるものではなく、次のステップへの準備のはずです。

◆「超限戦」というすごい戦略

軍事だけではありません。経済圏でも、中国の主導するAIIB(アジアインフラ投資銀行)の創設メンバーに、先進国を含む57カ国が参加しましたが、明らかに米ドル基軸通貨体制に対抗して「元」を国際通貨として広げる意図があります。

英独仏にとって、ロシアは「近攻」ですが、中国は「遠交」です。危機感が薄いのも仕方がありません。しかしロシアと中国は地中海で軍事合同演習をやってのけました。

中国は、中東、アフリカ、ヨーロッパのハブ港であるギリシャのピレウス港の買い占めも進めています。ヨーロッパも警戒が必要なのではないでしょうか。

◆一帯一路

「一帯一路」という「砂の万里の長城」と「海のシルクロード」で、石油の航路であるシーレーンを挟み込んだ計画は壮大です。その航路上に、軍事的寄港地や独占的使用を認めさせる港湾、陸路、空港などのインフラを作っていくのですから。

AIIBは、そうした中国に利便の良い設備を「投資や支援」の姿を取って作ろうとしているのではないでしょうか。中国国内の余剰生産物や、落ち込んだ企業の売り込み先を、中国はAIIBを利用して押しつけたいだけではないのでしょうか。

さまざまな疑問が浮かびますが、やはり浮かんでくるのは「超限戦」という見事なまでの「戦略」です。

(つづく)

野原典子

執筆者:野原典子

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