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2015年――香港で天安門事件追悼式典、まもなく開催!

文/幸福実現党・兵庫県本部副代表  湊 侑子

◆雨傘革命後、初の大規模集会開催まであと10日

今年も天安門事件の追悼式典が6月4日香港のヴィクトリアパークで行われます。

昨年の追悼式典では、過去最大人数の18万人を集め、雨傘革命120万人へとその勢いは受け継がれました。

9月から12月に行われた雨傘革命以降、初の大規模な集会である本年の式典開催に関し、中国共産党と香港政府は警戒を強めています。

◆香港における、選挙権と被選挙権の問題

雨傘革命のきっかけとなったのは、2017年の行政長官選挙制度に対する香港市民の怒りでした。 

香港のトップを決定する行政長官の決定方法ですが、今までの選挙では香港一般住民には選挙権、被選挙権のどちらも与えられていませんでした。

720万人の香港市民のうち、1200人からなる「選挙委員会」によって密室で決定されていたのです。この選挙委員会の構成員の5分の4は親中派であるため、中国政府の意向によって決定されていたとも言えます。

この制度を変更し、2017年からは選挙権が18歳以上の香港市民に与えられる予定です。これをもって中国や香港政府は「普通選挙」と言います。

しかし実は、“被選挙権”が制限されています。

立候補者は、中国政府の息がかかった業界団体からなる「指名委員会」によって絞られることになっているため、民主派の立候補は実質ありえません。

そのため、この選挙方法を「ニセ普通選挙」と現地の人たちはよんでいます。

民主派は、選挙権を持つ1%以上が支持すれば立候補できる住民指名方式や、直近の立法会(国会)選挙において得票率5%以上を獲得した政党による候補者推薦方式によって、立候補者を出せるように訴えていました。

しかし香港におけるミニ憲法とよばれる香港特別行政区基本法45条に「指名委員会が実質的指名権を持つ」と書かれていることを根拠に、これらの意見は否定されています。

◆「香港独立禁止法」制定か

昨年の雨傘革命が世界中に広がったことを恐れる中国と香港政府は、民主派市民リーダーの取り締まりを考えています。

今年の4月、香港の与党である民建連などの親中派政治団体が反中活動を規制する「香港独立禁止法」の作成を進めているという報道がなされました。(2015.4.9 産経新聞)

法案は大きく4つの部分で構成され、

(1)香港の独立を求め、国家の分裂を企てた者は10年から無期懲役の刑
(2)香港の完全な自治を求める者は最高で懲役20年
(3)中国大陸から来た観光客などを攻撃したり、買い物などの経済活動を妨害したりした場合は最高で懲役3年
(4)香港独立を求める団体や組織に資金援助などをした場合は最高で無期懲役

という内容です。

行政長官の梁氏は「そのような計画は今のところはない」と否定していますが、香港議会に占める議員の割合は、親中派が民主派を上回るため、議会に提出された場合は法案が通過する可能性もあります。

◆香港の自由を、私たちも守り続けたい

実は、ミニ憲法である香港特別行政区基本法には2007年以降に行政長官選挙を普通選挙にする可能性が示されており、民主化活動が盛り上がった時期がありました。

しかしこれに関しては、全国人民代表大会常務委員会の判断と解釈変更により、実施が延期され続けてきたのです。

ミニ憲法が存在しても、その憲法の上に存在するのが中国共産党であることは、中国本土も香港も変わりないのが実情なのです。

雨傘革命が終わり、日本人の意識から香港は遠く離れていますが、危機はすぐそこにまで迫っています。

しかし香港の人たちが、自由を守るために闘うことを諦めない限り、中国共産党が力で抑え続けることができなくなるであろうことは、歴史が証明しています。

私たち日本人は、自由と民主化を求め天安門事件で散っていった若者たちのためにも、香港から目を離してはならないと思います。

みなと 侑子

執筆者:みなと 侑子

HS政経塾1期卒塾生

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