武士道国家としての矜持
文/幸福実現党・岐阜県本部政調会長 加納有輝彦
◆60年安保を上回る大転換?
この度の、安倍首相の訪米に合わせ、日米防衛協力のための指針(ガイドライン)が18年ぶりに改定され、日本が集団的自衛権を使うことを盛り込み、米軍への後方支援の地理的制限をなくしました。
安倍首相が掲げる「積極的平和主義」を反映し、自衛隊の米軍への協力を地球規模に拡大する内容で、自衛隊のあり方が根本から変わるとされています。(朝日デジタル 4/28)
この変更は、祖父の岸信介首相が行った安保改定(60年安保)を上回る、自衛隊の本質の大転換がなされるものだという批判も聞かれます。
安倍首相も米連邦議会の上下両院合同会議における演説の中で、今、取り組んでいる安全保障法制の整備は、戦後初めての大改革であるとし、この夏までに成就させると明言しました。
◆禅問答の如き憲法解釈
安全保障法制の整備は、武力攻撃事態法、周辺事態法等の改正、恒久法国際平和支援法の制定などが想定されますが、大きく「日本の平和と安全」「国際社会の平和と安全」の二つを柱とし、その中心論点は、昨年7月に閣議決定された集団的自衛権の限定的な行使容認です。
政府は、集団的自衛権の限定的行使の容認の根拠として、憲法の番人たる最高裁の砂川判決をしばしば引用しています。
砂川判決とは、1959年12月に出された最高裁判決で、日米安保条約にもとづく駐留米軍が憲法9条2項に違反するとした1審判決(東京地裁1959年3月)を覆すものでした。
判決は、日本は憲法9条2項により戦力は保持しないが、これによって生ずるわが国の防衛力の不足を、憲法前文にいう「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼する」ことによって補う事は否定されていないとし、頼るべき対象は、わが国に駐留する米軍でも何ら問題はないとしました。
憲法9条2項が禁止した戦力とは、わが国の戦力をいうのであって、外国の軍隊は、たとえそれがわが国に駐留するとしても、憲法にいう戦力には該当しないと解すべきである・・・というような内容であります。
政府は、この判決を元に、最高裁は「主権国家として持つ個別の自衛権」は憲法上否定されていない、わが国が、自国の平和と安全とを維持しその存立を全うするために必要な自衛のための措置を執り得ることは、国家固有の権能の行使であるとしています。
この判決から半世紀が経過し、わが国を取り巻く安全保障の環境の変化に合わせて、この判決の法理は維持しつつ、集団的自衛権の容認の根拠となり得ると説明しています。
これら政府の憲法解釈は複雑ですっきりしません。
昨年7月に衆院予算委員会で安倍首相が集団的自衛権に関する質問に対して答えた、「武力行使の新3要件」も非常に抽象的で分かりづらいものでした。
◆正々堂々と憲法改正を掲げ、潔く負けよ
安倍首相が掲げる「国際協調主義に基づく、積極的平和主義」を展開するためには、これらの複雑な憲法解釈変更の積み重ねにより煙幕を張るのではなく正々堂々と憲法改正を掲げて国民に説明する明快さが必要であります。
安倍首相は、米議会演説の冒頭で祖父の岸信介首相に言及し、自らを重ね合わせているようであります。
しかし、田中秀征福山大学客員教授は、民法のTV番組において「私は60年安保の時、学生であった。(国会を10万人とも30万人ともいわれる)デモ隊に包囲され、命の危険を感じながらも日米安保改定を断行した岸信介首相に対して、『敵ながらあっぱれ!』という当時の学生たちの言葉を聞いた。安倍首相も、憲法解釈変更でなく堂々と憲法改正を訴えるべきだ。」と発言していました。
また、昨日開催された講演会「新時代を創る力」において、幸福の科学グループ大川隆法総裁も「安倍首相は、禅問答をするのではなく、すっぱりと憲法改正を訴えるべき。堂々と国民に信託を仰ぐべき。そして潔く負けるべきだ。」と説かれました。
昨年7月に出版された「集団的自衛権はなぜ必要なのか」のまえがきでは、大川隆法総裁は、「安倍政権は次の総選挙で必ず憲法9条改正を掲げるべし。その勇気と気概がなければ、『武士道国家』としての恥を知るべきである。」と激を飛ばされました。
己の保身のために、本音を封印し、権謀術数をめぐらす政治家の群れにあって、正々堂々と正論を訴え、潔く負けていく「首相」の出現こそ、日本の誇りを取り戻す「魁」となりましょう。
参考:「集団的自衛権はなぜ必要なのか」大川隆法著/幸福の科学出版
https://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=1213
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日本よ、いまこそ“半主権国家”から脱却せよ!
▽左翼的な平和勢力の掲げる「平和」とは侵略国家への隷属を意味する
▽護憲にこだわる平和主義者は、中国や北朝鮮にこそ憲法九条をすすめよ
▽他国は軍事拡張してもよいが日本だけはダメというのは偏った見解
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