日本人の国民性と相性の悪い消費税
文/幸福実現党・岐阜県本部政調会長 加納有輝彦
◆アベノミクスのブレーキとなった消費増税
この度の総選挙は、大方の予想通り、自民党の圧勝に終わりました。
10%への消費増税を2017年4まで延期する事に異論はなく、今回の総選挙は事実上、安倍政権信任投票の色彩が濃く、国民の関心は薄く、投票率は戦後最低となりました。
安倍首相は、今回の総選挙をアベノミクス解散と銘打って臨み、この結果を経て、引き続きアベノミクスを推進していくと考えられます。
今回、消費増税を18ヶ月延期した事は、消費増税がアベノミクスのブレーキとなった事を自ら認めた事になります。
◆正しかった「増税反対」を訴えた少数派有識者
昨年8月、5%から8%への消費増税の是非について有識者の意見を聴く政府主催の「集中点検会合」があり、招聘された60人のうち、約7割の44人が、本年4月に予定通り3%引き上げるべきと主張しました。
ほとんどの有識者が財務省の意向通り増税すべきとした中で、筑波大学宍戸駿太郎名誉教授、三菱UFJリサーチ&コンサルティングの片岡剛士氏等、一部の少数派が明確に増税に反対しました。
宍戸駿太郎名誉教授は、点検会合参加直後に出演したインターネット情報番組『ザ・ファクト』「消費増税で大不況到来!GDPがマイナス6%に!」(http://youtu.be/fW5LpSpDUo8)において、「アベノミクスの第一楽章は素晴らしかったが、第二楽章で葬送行進曲のようになり、第3楽章は収拾不能 となる」と消費増税がアベノミクスを台無しにすることを明確に警告しておられました。
三菱UFJリサーチ&コンサルティングの片岡剛士氏も、昨年夏の「集中点検会合」の席上、景気の現状は「本格回復」ではなく、消費増税すれば、2014年度の 実質GDP成長率はゼロ%台と試算、対外経済が悪化した場合、「容易にマイナス成長となる」と危機感を示していました。
しかし、少数意見は掻き消され、財務省の筋書き通り、本年4月、消費税は8%に増税されました。
◆増税ありきの財務官僚
先月も、来年10月から消費税を8%から10%に増税することの是非を問う政府主催の点検会合が5度にわたって開催されました。
当初、財務官僚主導で選定された会合メンバーの原案からは、昨年夏の点検会合で「増税反対」を明確に唱えた学者・エコノミストは全員が外されていました。つまり正しい見通しを述べた有識者が外されたということです。
メンバーの構成の不公正ぶりに安倍首相は激怒し、「賛成・反対を50対50にしろ」と見直しを急遽スタッフに命じましたが、時すでに遅く、増税反対派の若田部昌澄早大教授、若手エコノミスト片岡剛士氏、そして宍戸駿太郎筑波大学名誉教授を追加するのが関の山だったと伝えられています。
会合では財務官僚の筋書き通り、地方自治体、労働界、財界、中小企業団体、消費者団体の各代表の圧倒的多数が増税やむなしという意見でした。(首相もあきれた御用学者・エコノミストのウソ論法:田村秀男)
このような経緯から、今回の勝利は、安倍首相にとっては、あくまで増税を画策する財務省に対し、増税延期を認めさせる最大の説得材料となりました。
◆倹約・節約を美徳とする日本人と消費税
しかしながら、2017.4には、景気判断条項は付さず、確実に10%に増税するという「増税宣言」は、今後の日本経済に重い足かせとなります。この安倍首相の折衷主義、不徹底が、真なるデフレ脱却を困難とするでしょう。
安倍首相が増税延期を決断した根拠ともなった、本年7-9月期のマイナス1.6%成長は、民間エコノミストの誰もが予想しなかった悪い数値とマスコミ報道されましたが、増税反対を訴えていた有識者の存在を無視した一方的な報道です。
幸福実現党大川隆法総裁も、当初より消費増税により、マイナス成長になると断言しておられました。
また、先月23日に開催された法話「幸福を実現させる成長戦略」においては、「消費税は日本人の国民性になじまない」と説かれました。
増税する度に、不景気となる消費税は、そもそも日本人の国民性と相性が悪いという見解です。
増税されると、財布の紐を締める、倹約、節約に走るという国民性は、一人一人の経済行為としては合理的であり、美徳なのですが、これが日本人というマスの行為となると、消費不況を引き起こすことになります。
政府は、税収を増やす方法は、増税か、歳出削減が、二つしかないといいます。幸福実現党は、経済成長による税収増を選択すべきと考えます。
2017年4の10%への増税宣言が、経済成長のブレーキとなります。引き続き、減税による経済成長政策を発信し、国政に影響を与えてまいりたいと思います。
この度、幸福実現党に尊い一票を託して頂いた有権者の皆様に厚く御礼申し上げると共に、ご期待に応えるべく研鑽を重ねてまいります。引き続きのご支援を何卒よろしくお願い申し上げます。