このエントリーをはてなブックマークに追加

「消費増税10%延期、いや、8%のままでいいのか」

文/幸福実現党外務局長 及川幸久

◆消費税率10%、8%、5%、どれを選ぶか

今回の衆院選で議論されるべきは、消費増税についてです。

「消費増税は既にほとんどの政党が『10%増税先送り』で一致しているので、議論の余地はないのでは」と思われるかもしれません。

しかし、よく見ると政党毎に消費税の税率とその元にある考え方が違うのがわかります。

第一は、自民党、公明党、民主党を中心に「10%先送り」派です。これは「今は上げない」というだけで、2017年4月には必ず10%に上げるという意味なので「10%増税派」です。

第二は、共産党のように「10%増税反対」を明確にしているところで、裏を返すと現在の「8%は実質容認派」です。

第三が、幸福実現党が主張する、「5%に戻す」という「減税派」です。

つまり、税率でいうと、10%、8%、5%の3通りの選択肢があることになります。

第一の「10%増税派」の考え方は、「確かに8%への増税で、4月以降予想以上に景気が落ち込んでいるが、必ず景気は戻るはず」というものです。

「今はたまたま夏の天候不順等で景気の戻りが遅れているだけ」で、本来なら今頃「V 字回復」しているというわけです。

しかし、増税先送りだけで本当に景気は戻るのでしょうか?それを危惧する理由は、以前にも同じことがあったからです。

1998年に橋本龍太郎内閣は消費税を5%に増税しましたが、その後景気は大きく落ち込み、税収全体が減少しました。そして、景気への影響はその後数年に渡りました。

一方、第三の選択肢「5%への減税」案は、そもそも「8%が問題」だと考えています。

17日発表の7~9月期の国内総生産(GDP)速報値によると、実質成長率は前期比年率換算で2四半期続けてマイナスに落ち込んでいます。

全く予想外のまさかの結果です。今の日本経済は、景気回復どころか、デフレに戻りつつあるのです。

そこで、増税先送りだけでは景気回復不能であり、アベノミクスの金融緩和に加えて、減税が必要であるという考え方です。

◆社会保障の税源はどうするのか?

この第三の減税案に対しての批判として、高齢者や、最近は若者層も、「消費増税を先送りしたら、社会保障の財源はどうなるのか?」と心配されます。

しかし、話は逆で、消費増税すると年金のお金はもっとなくなります。そもそも年金は消費税だけでまかなえるものではありません。税収全体が増えないと不足分を埋められません。

消費増税の特徴は、「法人税を減収させる」ことです。

消費増税されても、その増税分は、顧客の支払い価格には乗せられず、メーカー、流通業者、小売業者が自分たちで負担し、その分利益を減らしていることが多くあります。

つまり、増税分は自腹を切っているのです。

企業が利益を減らした結果、法人税は減収になります。実際に、1989年に消費税が導入されてから25年間に、消費税収の累計は282兆円ですが、一方、その間に、1989年の法人税収から減った税額の累計は255兆円です。

ほぼ同じ額の法人税が減り、さらにはその企業に勤めている人々の所得税も当然減っています。

◆米中間選挙の共和党勝利は「減税」への潮流

ところで、今月初めにアメリカの中間選挙で共和党が上下両院で過半数を制しました。この結果は、新たな潮流が起きていることを意味しています。「減税」と「小さな政府」です。

2009年にオバマ政権ができると「オバマケア」と呼ばれる医療保険制度改革を行いました。オバマケアが実際に始まると、アメリカ人全体の保険費用の負担があまりに大きく、一種の増税のようなもので、大不評となりました。

その結果、アメリカ国民は「大きな政府はもういい」ということで「減税と小さな政府」の共和党を選んだのです。この大きな変化は、この後日本にも影響を及ぼすでしょう。

ちょうど日本の消費増税がこのオバマケアに当たります。

4月の消費増税8%によって「個人消費」が異常に落ち込みました。これは「増税はもういい」という「重税感」で、国民の減税を求める声なき声を表しています。

アメリカで起きた減税を求める声は、日本でも既に水面下で起きているのです。

今回の衆院選で減税を求める声がどのように反映されるかが注目ですが、日本で「減税と小さな政府」を掲げているのが、幸福実現党であるということを訴えたいと思います。

及川幸久

執筆者:及川幸久

page top