“Japan is No.1”の志――本物の日本経済復活を目指せ!
文/HS政経塾第2期卒塾生 川辺 賢一
◆円安株高はどこまで進むか
9月第3週、日経平均株価は1万6321円で引け、3週続伸を記録、年初来高値を更新しました。
特に、1ドル=109円台の円安により、輸送用機器や精密機器等の輸出関連や鉄鋼等の材料関連を中心に幅広く株価が上昇しました。
さて日銀の異次緩和に始まり、米国連邦準備理事会(FRB)の量的緩和(QE3)終了と利上げ観測により、その勢いを吹き返した円安株高はどこまで続くのでしょうか。
通常、為替レートの決定要因として最も重視されるのは各国間の金利格差です。
国内で完結するビジネスを考えてみても、安い金利でお金を集め、高い収益が見込める事業に投資されるように、国境を超えた資本取引が自由化された世界では、低金利の国でお金を借りて、高い金利収益が見込める国に投資されます。
金利の高い国に世界の余剰資金が集まるため、高金利国の為替レートは上昇します。昨今進んでいる米国ドルの独歩高もFRBによる利上げ観測の結果だと言えます。
9月最終週は地政学リスクの高まりもあって、為替レートも株価も続伸が止まりましたが、実際に米国で利上げが実施されれば、もう一段の円安ドル高が進むと予想できます。
そして円安は悪いことではありません。金貨等と同様、世界で最も安全な資産である円が売られ、日本や米国で株価が上昇しているということは、リスク・オフからリスク・オンへ、世界経済のアクセルが踏み出されている証拠だからです。
円安が円高に反転する可能性があるとすれば、第1に米国の利上げよりも日銀の量的緩和終了が早かった場合です。日本の実質金利を大きく引き下げた量的緩和が止まれば、日米の相対的な金利格差は小さくなり、円安トレンドが終了します。
それ以外には、例えば米国によるシリア空爆が泥沼化し、世界情勢の雲行きが極度に悪くなる場合や米国の利上げが急速に進み、利払い費の高まりで返済不能に陥る債務者が増加し、金融危機が再来する等、安全資産である円に世界が逃避しなければならない場合です。
◆バブル潰しを繰り返すな
奇しくも第1次安倍政権は戦後最長の好景気の最終局面に当たり、2007年には1ドル=124円台の円安、日経平均株価は1万8261円台まで上昇しました。
そして2003年度に28兆円だった基礎的財政収支の赤字額も、07年には6兆円にまで縮小し、あと一年半で黒字化達成というところまで改善されました。
財政の健全化に1%の増税も必要なかったのです。
その後、世界経済危機の煽りを受けて日本経済も低迷しましたが、アブプライム・ショック、リーマン・ショックと危機の震源地は米国であったにもかかわらず、日本経済は米国以上に深刻なデフレを伴う危機に陥りました。
その最大の原因は幸福実現党が立党以来訴えてきたように、2006年3月デフレ脱却が不十分であったにもかかわらず、出口戦略を焦り、量的緩和を解除したことです。
財政面においては増税、金融面においては量的緩和の解除や利上げと、日本政府はこれまで出口戦略を焦ることでデフレ脱却のチャンスを逃し、景気の火を消して来ました。
安倍政権が掲げる「経済再生」が本物であるならば、最低でも株価が1万8千円台を超えなければ、「経済が回復した」とは言えません。
米国はすでに「100年に1度と言われた危機」前の水準まで株価を回復させ、最高値更新を続けております。日本も米国の復活を念頭に置くならば、1989年末の株価3万8千円台を超えるまで「日本経済が復活した」とは言えません。
「失われた20年」から完全復活していない日本では、増税の議論自体が本来、早すぎると言えます。
◆日本経済を復活させよ!
1979年、エズラ・ボーゲルの“Japan as No.1”がベストセラーとなり、1980年代、日本の経済モデルへの注目が世界的に高まりました。ところが90年代以降の低迷で“Japan as No.1”はもはや過去のものとなってしまいました。
だからこそ、私たち日本人は“Japan as No.1”ではなく、新しく“Japan is No.1”の志を持つべきです。
そのためにも政府は株価が上昇している局面で、規制改革や法人税の大減税等の構造改革を断行していくべきです。
規制改革には既得権益の抵抗がつきものです。株価の上昇局面で全体的に経済が向上しているなかでなければ、既得権益を打破し、規制改革を行っていくのは困難です。
また法人税の大幅減税も不可欠です。
シンガポールの17%台や韓国の24%並みに日本の法人税も引き下げることで、量的緩和による実質金利の低下で、海外に流出していく日本のマネーを国内に引き止め、さらに海外からの投資を引き込むことができます。
幸福実現党は“Japan is No.1”の志を持ち、本物の日本経済復活に全力を注ぎます。