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図太い神経と繁栄思考の発想を!

文/HS政経塾部長 兼 政務本部部長 幸福実現党東京都第9選挙区支部長 吉井としみつ

◆アルゼンチンの今

アルゼンチンといえば、サッカー選手のメッシを思い浮かべるかもしれませんが、最近は、アルゼンチン国債のデフォルトにまつわる報道が多くなされています。

デフォルトとは、債務を返済できなくなることです。アルゼンチンは2001年にデフォルトし、2005年と2010年にデフォルト国債の75%の元本カットと新しい債権への再編を提案し、約90%のデフォルト国債の債権者が応じていました。

しかし、一部には、アルゼンチン政府の提案に応じないアメリカのヘッジファンドを中心とした投資家が、全額返済を求めてアメリカの裁判所にアルゼンチン政府を訴えました。

今年6月に米連邦最高裁が「債務再編された新債券に利払いを行う場合、ホールドアウト債権者(債務の全額返済を求めている債権者)への支払いも行わなければならない」との判断が出ました。

アルゼンチン政府と全額償還を求める債権者との交渉が進まず、猶予期間も含めた期日であった7月30日を過ぎても、(お金はあったが)利払いができなかったため13年ぶりのデフォルトに陥ったという状況です。

「アルゼンチン国債のデフォルトについて」
http://www.mizuho-am.co.jp/report/pdfview/type/report/id/2442

今回のデフォルトは、2001年の財政的な悪化要因ではないことに留意する必要があります。ただ、アルゼンチン政府とホールドアウト債権者との交渉に進展がなければ、アルゼンチン国債の信用はさらに低下するでしょう。

◆信頼されている日本国債

一方、日本の長期国債の利回りは世界で最も低水準です。

日本の10年国債は0.526%(アメリカは2.435%、イギリスは2.423%、ドイツは0.989%)です(8/21時点)。金利が低いということは、安心だと思われていることを意味します。

こうした状況にもかかわらず、増税派は「財政再建」を消費税引き上げの根拠として挙げています。増税なくして財政再建はできず、日本の国債の信用が損なわれ、金利が上がり、利払い費が予算を圧迫して、必要な分野に予算が組めなくなると警告しています。

しかし、アルゼンチン国債のように二度デフォルトしても、存続している事例を見ると、日本はもっと神経を図太くしていいのではないでしょうか。

日本の長期国債の金利は、EUを牽引しているドイツよりも低いのです。こうした客観的な事実に自信を持って、積極的な経済政策を実行するべきです。

◆年金積立基金の運用方針の変更の捉え方

130兆円ともいわれる世界最大の年金ファンドが日本にあります。GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)がその運用を担っています。最近の大きなトピックとして、この巨大なファンドの運用方針として、国内外株式市場への投資を拡大することを発表しています。

簡単にいえば、株式に投資をして運用利回りを高くすることで、年金の積立金を増やし、社会保障の給付抑制と合わせて、何とか社会保障制度を長持ちさせようという発想です。

現行の年金制度自体にも改革が必要ですが、少なくとも、今の制度を維持するためには、投資した株式の価格が上がっていかねばなりません。景気が良いことが、安心の年金のための重要な解決策になるわけです

詳しくは、「消費増税をあおる報道――不可解な前提に基づく財務省の試算。」
http://hrp-newsfile.jp/2014/1427/

年金積立金の運用を「国内外株式市場への投資を拡大する」という方針を出すなら、保険料を納める国民の側としては、納めた保険料を損しないためにも、繁栄思考の発想で、政府が経済成長に繋がる政策をしているかをとことんチェックするべきではないでしょうか。

4月-6月のGDPが年率で6.8%減という統計が出て、今年の日本の経済成長予測を下げる例も出ています。10%への消費増税は年末判断といわれていますが、社会保障の安定財源化を目指すのであれば、まずは景気を良くすることを考えるべきです。

◆景気優先!財政再建は急ぐべからず

2015年度予算で、10%消費増税による景気の落ち込み対策として、1兆円確保を日本政府が検討しているようですが(8/21日経)、小出しと言わざるをえません。

財政再建を急ぐあまり、景気を腰折れさせては、年金制度も不安になりかねません。日本に様々な課題があるのは事実ですが、それでも世界で一番信任されているのが日本国債です。無理に財政再建を急ぐことに何のメリットがあるのでしょうか?

アルゼンチンは二度デフォルトしても粘り強く交渉しています。EU内でも、定めている財政ルールに猶予を与えてもらうことを平気でやっています。

日本はもっと神経を図太く、繁栄思考で大胆な経済成長策を実行するべきです。

吉井 利光

執筆者:吉井 利光

HS政経塾部長(兼)党事務局部長

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