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脅かされる安全と資源――日本の海と島を守れ!

文/兵庫本部副代表  湊 侑子

◆押し寄せる中国・韓国と、追い出される日本

2013年12月10日に放送された朝のニュース番組、TBS「朝ズバッ!」の中で、「長崎・五島列島―中国との国境に近い島の名称を『岩』から『島』に変更する動き」特集が組まれていました。

その中で使われていたNASAが撮った夜の衛星写真を見て、唖然としました。ある一本の線を隔てて、日本側と中国側の海の様子が全く違うのです。

日本側の海が真っ暗なのとは対照的に、水産省が取締り可能な領域ぎりぎりから中国側は大変な電気の使用量です。日本の大都市・博多と変わらないかそれ以上に明るく、範囲はかなりの広範囲です。

これらの光は中国が行う虎網漁と呼ばれる漁法で使う強力な集魚灯の光で、これで集めた魚を長さ1キロほどの網で集め、一気に引き上げていきます。

この漁によって魚が乱獲されるだけでなく、日本漁船が近づくと石を投げてくるため、日本側は追いやられているというのが現状です。

同じようなことは、ズワイガニ漁に関して韓国との間でも起こっています。

日本は中韓との間で、日韓新漁業協定(1999年発効)、日中漁業協定(2000年発効)を締結し、それぞれの暫定措置水域を設定しています。

日中間の水域において2013年8月の協議では、この水域で操業できる漁船数を日本側が年間800隻に対して中国側は1万8089隻、漁獲量の上限は日本が約11万トンに対して中国側は約170万トンと設定しました。水産庁によれば、この差は過去の実績に基づくものだそうです。(2014.7.22 産経新聞 「島が危ない 第三部 五島列島」)

日本側のあまりの政治力の弱さにはあきれますが、一番被害を受けているのは地元の漁師たちです。

日中漁業協定により、両国の漁船が自由に操業できる中間水域においても、取り締まることができるのは自国の漁船だけであり、違法行為があったとしても摘発することはできません。

実際、尖閣付近など国境近くで漁をする漁船は海上保安庁に代わって、中国の漁船や公艦の見張りをしています。中国が違法漁業や領海侵犯をしたのを発見しては、海上保安庁に報告していますが、その海と大切な資源を守ることができないでいるのが日本政府なのです。

◆島に名前を付けることの重要性

長崎県五島列島から西に60キロ離れた無人島、肥前鳥島を形成する3島(北岩・中岩・南岩)の名称をめぐっても中韓との争いがありました。

これらの島の周辺は豊かな漁場であり、周辺200海里(370㎞)のEEZ(排他的経済水域)設定、そして日本の領海の基点となっています。

ここで取ることができる高級魚や豊富な漁場資源を狙って違法操業を行うのが韓国・中国です。

これら3島は、島でありながら“岩”という名前がつけられておりややこしく、さらに両国が「これらは岩であり、EEZの起点とならない」と主張をするため、地元の要請として名称を変更するよう声が上がっていました。

「朝ズバッ!」番組内で五島市の野口市長は、「わが国のしっかりした領土であることを示し、水産資源を守りたい」と発言し、3島(北岩・中岩・南岩)の名称を北小島・中小島・南小島に変更すると、国土地理院に申請しました。

島の名称変更は、関係市町村が申請書を出せば可能であり、ようやくここにきて行政が動いた形になります。

東海大学教授 山田吉彦氏は櫻井よしこ氏との対談において、「中国が東シナ海で最も関心を持つ資源が魚である」といいます。鳥インフルエンザの流行などがあるため、安心して食べられる貴重なタンパク源が魚であるからです。

さらに中国漁船は台風からの緊急避難を理由に、五島列島の玉之浦湾をわがもののように使っており、一時は3000人もの中国人が港に押し寄せていたそうです。(月刊Voice 2013.6 『日米資源同盟で中国と対峙せよ(1)』)

中国に日本の漁港を勝手に使われるなどという事態をこのままにしておいてよいはずがありません。

政府は、8月1日、領海の範囲を定める基点となる離島の内、尖閣諸島の一部を含む名称のない158の島に名前を付け、総合海洋政策本部のHP上で発表しました。

国が島の一つ一つにきちんと目を光らせている、ということを国内外に明らかにするために、この動きを更に加速させる必要があります。

◆神々によってつくられた島と、国境を守る人たちを護れ

 

日本の領土は、すべて島から成り立っています。

日本にある島は6852、そのうち421島を除いては無人島です。無人島に人を住まわせたり施設を建設し、海洋管理をしていると世界にアピールすることが重要です。

加えて、現在の島の定義には海岸線が100m以上のものしか含まれていません。100m以下のものを加えると更に島数は増えます。ただ、これらに関しては名前がついていなかったり、把握できていないことが現状です。

100m以下の島で、領有権でもめる海域に近いものは人がほとんどいかないようなところに存在します。きちんとした海図がないことも多く、存在してもシミや虫食いなどがあり作業に時間がかかるようです。国家戦略としてこの仕事を進めていかなければなりません。
 
古事記によれば、日本の島々は神々の共同作業によって誕生しました。韓国が主張する対馬も、神々が生んだ島として古事記に書かれているのです。神々から与えられたものを、私たちはもっと大切にしなければなりません。
 
さらに日本には“国境離島”と呼ばれる島がたくさん存在します。その島に住む人々、もしくは島の海域で操業する漁師たちが日本の国境を守ってくれている、このことも忘れてはなりません。

日本が彼らの生命・安全・財産をきちんと守り、正邪を判断する自信を持つためには、やはり自主防衛ができる普通の国になることが必要だと改めて感じます。

みなと 侑子

執筆者:みなと 侑子

HS政経塾1期卒塾生

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