ウクライナ問題と日本の役割
文/HS政経塾第2期卒塾生 幸福実現党世田谷区代表 曽我周作
◆マレーシア航空撃墜事件
ウクライナの上空でマレーシア航空が撃墜された事件から約2週間が経過し、ウクライナ問題がさらに出口の見えないものになってまいりました。
今回の撃墜事件は、事件発生直後からロシア製の地対空ミサイルのBUKが、新ロシア派によって使用されて発生したという見方が出ています。
しかし、そもそも「新ロシア派」というものの、親ロシア派の「ドネツク人民共和国」の実態として、それを率いているのはロシアの諜報機関であるGRUの関係者であると指摘されています。
したがって、この長く続くウクライナ問題は、単なるウクライナの内政問題であるわけではありません。
現状としては事故から2週間がたちますが、事故現場の捜索活動も親ロシア派の抵抗で十分に行えていない状況であるといわれています。
事故の後からの当面の争点としては、
(1) この撃墜は誰が行ったのか
(2) この撃墜は何の兵器によってなされたのか、その調達はどのようになされたのか
これらの2点がまず挙げられるかと思います。
◆親ロシア派の誤射
『エコノミスト』では「ミサイルはロシアから供給され、要員もロシアで訓練された」と主張しています。
また、このような撃墜は高度な兵器と訓練がなければできないことだといわれており、ロシア側の関与が疑われています。
そして、当初から親ロシア派の誤射であるだろうといわれています。
これら西側諸国の主張する内容が全て真実であると仮定しても、エコノミストのいうように「西側諸国が厳しい制裁をロシアに課して、プーチン大統領とその仲間を国際社会の協議の場から追放すること」が事の解決につながるのかといえば、それは大いに疑問があります。
ただし、同じく西側諸国の主張する内容が全て真実であると仮定して、ロシアのプーチン大統領も、西側諸国が主張するとおりのことが事実であることを知っている、つまり、ロシアが供与した地対空ミサイルBUKで、親ロシア派がマレーシア機を誤射したということを知っている可能性も当然あります。
クリミア編入など、ロシアの思惑が貫かれた部分も多分にあったと考えられる一連のウクライナ問題ですが、このマレーシア機撃墜はプーチン大統領にとって大誤算であった可能性もあるでしょう。
◆日本の役割
西側諸国の主張する内容が真実であると証明された場合、プーチン大統領は更なる窮地に立たされるかもしれません。
EUに続き日本もロシアに対して追加制裁を決定しましたが、今後日本国政府としては米国追随型で制裁に進むだけなのかどうかが試されているでしょう。
この期に及んでもなお、ロシア政府側から、この秋に日ロ首脳会談が行われることに期待感を示す意見が出されるのは、もちろんロシア経済にとって対日関係が極めて重要であることも一因でありますが、やはり同時に、日本に西側諸国とロシアとの仲立ちを期待する意味合いも含まれているでしょう。
日本までもがアメリカを中心とする西側諸国の激しい「怒り」の波に乗りすぎると、追い詰められたロシアが中国と接近し、中ロが組んで日本に本格的な脅威を与えるようになる危険性があり、それは日本として最悪のものであります。
今回のマレーシア航空の撃墜事件は、プーチン大統領としてもかじ取りを一気に困難なものにした「不測の事態」であった可能性があります。
安倍首相率いる日本政府としても非常に対応の難しい問題であるかもしれません。
ロシアのプーチン大統領にとっても国際社会の責任ある国家の一つとして、この問題の解決に向けたプロセスに進めるよう、西側諸国とロシアの中で泥沼化しつつある問題の解決に向けて、我が日本国政府が国際社会の舞台で重要な調停役を見事に果たされることを切に期待するところであります。
(参考)『Economist』より
Russia’s president is implicated in their crime twice over. First, it looks as if the missile was supplied by Russia, its crew was trained by Russia, and after the strike the launcher was spirited back to Russia. Second, Mr Putin is implicated in a broader sense because this is his war. The linchpins of the self-styled Donetsk People’s Republic are not Ukrainian separatists but Russian citizens who are, or were, members of the intelligence services.
…The West should impose tough sanctions now, pursue his corrupt friends and throw him out of every international talking shop that relies on telling the truth