最高齢「天才マジシャン」に学ぶ長寿社会の幸福
文/幸福実現党政務調査会 佐々木勝浩
◆最高齢「天才マジシャン」
全国的に放映されている「ナイトスクープ」という番組があります。同番組は、あの「永遠の0」の百田尚樹氏が、放送作家として関わった番組です。
「ナイトスクープ」は、いろんな情報をお笑いタレントが調査するという番組ですが、ある日、視聴者から「最高齢マジシャンが福岡にいるらしいので調べてほしい」という調査依頼が寄せられました。
お笑いタレントが、その最高齢マジシャンの自宅を突き止めると、なんと93歳のおじいちゃんで、その場でテレビカメラを前に伝説のマジックを見せてくれたのです。
チョビヒゲに、シルクハットをかぶり、膝まであるナガ~イ・ネクタイ姿で現れたおじいちゃんは、おもむろに助手からコップと卵を受け取ると、最初のマジックを披露しました。
ところが卵を割ってコップ入れようとすると、卵はコップをかすって机の上に落ち、それでもなにもなかったように平然とこぼれた卵をすくってコップに入れるのでした。
さらにコップに入った卵を、今度はシルクハットに入れ頭にかぶりました。シルクハットを脱いで一礼すると消えるはずの卵が消えずに頭からタラ~リ。それでも動ずることなくおじいちゃんは不動心でマジックを終了。
二つ目に披露したのは、箱に鳩を入れサルに変わってしまうというマジックらしい?…鳩を箱に入れたまでは良かったのですが、突然、おじいちゃんは、助手に「サルの箱持ってこい!」と命令するのでした。タネがバレバレのマジック、しかも助手との連携もうまくいってない。
サルも感情があります。おじいちゃんのマジックに付き合いきれず家の外に逃げだしました。消えたはずの鳩も、箱から出てきて窓から空に飛んで飛んで・・・。
最後のマジックは、60才を超えた助手の頭に箱をかぶせ剣を刺すマジック。剣を取り出してシャリン・シャリンと音を立てると手がプルプル震え、なかなか箱に刺せません。よく見ると剣が曲がっています。
それでもおじいちゃんは、剣を素手で当たり前のようにまっすぐに直すと、やっと箱に刺したのでした。その瞬間「痛っ!」と箱の中から聞こえる助手の声、それでも容赦なく真顔で剣を刺すおじいちゃん。
マジックが終わってカメラが助手の顔にズームアップすると、笑顔の助手の額からしっかりと血が滲んで、こうして93才のおじいちゃんの「天才的マジック」は終わったのです。
後日談として、おじいちゃんのマジックに酔いしれた視聴者から、数年後97歳になってさらにパワーアップした「おじいちゃんのマジック」を調べてほしいと「ナイトスクープ」に情報が寄せられました。
実は97歳のおじいちゃんの本業は整体師。しかも84歳で整体師の免許を取ったというから驚きです。まだ年数の浅い整体師ですが、年齢だけで、もうベテランの整体師に見えます、たぶん。
もっと驚くのは、おじいちゃんは高齢者を慰問しマジックで楽しませているのです。慰問と言っても、おじいちゃんは90歳を超えていますからほとんど年下です。
◆ここから400万部の「永遠の0」が生まれた
現役最高齢天才マジシャンは、本当にお腹が痛くなるくらい全国に笑いを提供したのですが、普通はここで笑って終わりです。
ところが、「待てよ!」と思ったのが、「ナイトスクープ」の放送作家であった百田尚樹氏だったのです。当時50歳を超えていた百田氏は、このまま「一放送作家で人生を終わっていいのだろうか」と日ごろから思っていたのでした。
現役最高齢天才マジシャンで、84歳で整体師の免許を取り、しかも今も本業。マジックで多くの人に驚きを提供…いや「笑い」を提供しているのを見て、「50歳なんてはなたれ小僧だ。50歳から新しいことはまだまだ出来る」百田氏はそう思ったのです。そこから生まれたのが「永遠の0」でした。
百田氏によると、「永遠の0」は、戦中派の父親の世代が、子供たちに戦争体験を語っても、孫にはほとんど話さずに亡くなっていく時代になり、50代の自分が、戦争を戦った父の体験を次の世代に伝える役割がある、それで書いたのが「永遠の0」なのだそうです。
しかし、ほとんどの出版社から、「これは売れない」と断られたそうで、やっと出版されても、すぐには売れなかったそうです。しかし徐々に売れ始めると、いまでは400万部を売り上げ、映画化もされて大ヒットしたのです。
◆長寿社会の幸福とは何か
百田氏の次のヒット作「海賊とよばれた男」は、「出光興産」の創業者・出光佐三(いでみつ・さぞう)の物語です。
終戦直後、出光佐三は60才を過ぎていましたが、すぐに社員を集め「日本は必ず復興する」「ただちに建設にかかれ」「会社より国家のことを考えよ」と社員に檄を飛ばしたそうです。
そんな誇りある日本人の姿は、戦後ゼロから日本を復興させた気概を感じさせます。今の日本人こそ、その精神を学ばねばなりません。
つまり50歳、60歳を過ぎても、「まだまだやれる!」「新しいことに挑戦せよ!」「失敗を恐れるな」「自分のためではなく多くの人のために生きよ!」、元気に社会の役立つ人生を生きること、これが「生涯現役人生」ではないでしょうか。
ちなみに最高齢マジシャンのおじいちゃんは、もうお亡くなりになられたそうですが、百田氏は今でも合掌しておじいちゃんに感謝しています。
そのおじいちゃんの生き方は今後もシニア層に大きな勇気を与えてくれるのではないでしょうか!そんなシニア層がどんどん増えたら日本はもっと元気になることは間違いありません!