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着陸料などの公租公課の引き下げで、航空利用促進へ

文/HS政経塾3期生 瀬戸優一

◆着陸料の引き下げへ

国土交通省は、2014年度から国内線において航空会社が支払う着陸料の算出において、新たな制度を導入します。これまでの着陸料は、着陸する航空機のトン数、騒音値と着陸回数を基本に計算され、その金額を航空会社に請求する仕組みでした。

例えば現行の基準の場合、ジャンボ機と呼ばれるB747-400(569人乗りの場合)では、約270t、騒音値96で着陸料は444,700円となります。(国土交通省『空港・航空管制の運営について』)

こうした現行の着陸料では、旅客の少ないシーズンにおいて航空会社に対する負担が大きくなってしまうため、航空機の重量に応じて計算するこれまでの方式に加え、旅客数が減るほど着陸料が下がるような仕組みを取り入れることになったわけです。

シーズン要因に加え、景気悪化などによって旅客が減少した場合でも、それに応じて着陸料を減らすことができ、航空会社の負担を抑えられるようになります。

さらに本年1月には、国が管理する28の空港のうち、航空会社が支払う羽田空港を除いた地方都市に存在する各地方空港の着陸料を、新規就航や増便に限って3年間30~80%割り引く方針も決まりました。

航空会社の負担を軽減し地方路線の拡大につなげる狙いがあり、今秋のダイヤ改正に合わせて実施されることとなっています。

ただし、これは地元自治体と航空会社が効果的な集客策を提示することが条件となっているため、全ての空港が引き下げを認められるわけではありません。

とはいえ、従来の着陸料を考えれば大きな決定であり、路線増につながるものであると言えるのではないでしょうか。

◆日本の着陸料

日本の空港における着陸料は、世界と比べても高水準にあると言われています。空港使用料の中に含まれる着陸料は、国際水準の2~3倍であるとされているためです。

もちろん、空港に着陸しその空港を使用する場合、着陸料だけではなく様々な費用がかかります。ボーディングブリッジ(飛行機と空港をつなぐ橋)の使用料など空港設備の利用料も含めたトータルの料金で比較した場合、日本よりも割高になる国が存在することも事実です。 
  
しかし、高い着陸料は航空会社にとっての負担になるだけではなく、利用者の支払う金額にも関わることであり、競争力の面で見てもマイナス面が多く存在します。

そもそも着陸料や航空機燃料税なども含めた公租公課と呼ばれる租税は、利用者負担の原則によって行われています。この原則は、航空機の利用がまだ一部の富裕層に限られていた時代の名残といわれ、航空利用者のための設備費用は、利用者自身が拠出すべきであるとする考えに基づいているのです。

また空港は着陸料とテナント料を主な財源としており、特に滑走路などの国が管理している部分の維持には着陸料が使用されているため、引き下げが難しい面があるとも言われてきました。

◆減税で日本の活性化へ

航空業界は、ハイシーズンとローシーズンの差が大きく、世界の様々な事件にも影響を受けるため、機体重量を基にした一律の税金というものは負担が大きいと言えます。

さらにはまもなく4月から消費税の増税が行われることもあり、さらに影響を受けることも考えられます。それを考えると今回の着陸料引き下げは当然行うべき措置であるとも言えるのです。

今後日本が航空利用者を増やし、また各国の航空会社の誘致を考えるにあたり、航空に関わる公租公課の引き下げを行っていく必要があると言えます。消費税率についても、利用者が減ってしまえば税収も下がることから、空港運営に影響が出かねません。

今後世界的にも需要増が見込まれる航空分野において、日本が国際競争力を失わず、さらに活性化していくためにも、公租公課及び消費税、法人税等の各種税金の引き下げを行っていくべきであると言えます。

瀬戸優一

執筆者:瀬戸優一

HS政経塾3期生

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