最新鋭輸送機MV-22オスプレイの配備の重要性を問う(1)
文/幸福実現党山口県本部 政務調査部長 石橋 昇
年末、沖縄県の仲井真知事は、名護市辺野古沿岸の埋め立て申請を承認しましたが、その中で知事は、オスプレイについて24機のうち、12機程度を県外に移転することを求めていたことが報道されました。
昨年11月8日のHRPニュースファイルで、山口県本部・副代表のかわい美和子より、東アジアの安定と国防上の要である沖縄県と山口県の重要性についてオスプレイが果たす役割を述べましたが、今回、あらためて最新鋭輸送機「MV-22オスプレイ」配備の重要性について考えてみたいと思います。
◆既存ヘリの代替として普天間基地に配備されたオスプレイ
核ミサイル保有を急ぐ北朝鮮、特に中国は尖閣諸島を「核心的利益」と再三にわたり表明してきましたが、去年6月に行われた米中首脳会談でもオバマ大統領に主張しました。
中国の言う核心的利益とは「利益を守るためなら、武力行使も辞さない」という意味です。
12月22日にも尖閣諸島沖で、中国海警局所属の公船「海警」4隻が領海に侵入しましたが、こうした日本の領海に対する度重なる侵犯行為は、侵略を企図していると言わざるを得ず、私たちや子どもたちの安全と未来を確実に脅かそうとしています。
こうした中でMV-22オスプレイが、従来のヘリコプターCH-46の後見機として普天間基地に一昨年12機、昨年12機の計24機が配備されました。
オスプレイの配備を「基地機能強化」や「負担増加」だとするの報道も一部ありましたが、配備に併せてCH-46も退役になったため正しくありません。
CH-46は輸送機として我が国でも長年災害救助にも活躍しましたが、配備から実に半世紀も経った老朽したヘリでもあったためオスプレイと替える必要がありました。
◆中国から沖縄・尖閣諸島を守るためオスプレイは不可欠
尖閣諸島はじめ島々の多い沖縄では、海兵隊を迅速に広い範囲に派遣できることが重要です。
オスプレイは、CH-46ヘリコプターと比較して最大速度が約2倍、搭載量が約3倍と優れ、有事の際の米軍の海兵隊の迅速な行動範囲も、沖縄本島から410km離れた尖閣諸島はもちろん600km離れた台湾にまで広がります。
しかも一回の空中給油を行うことによって1,100kmまで広がり、フィリピンも含めた東シナ海全域の安全保障にも寄与します。
ちなみにCH-46の展開範囲はたった140kmです。空中給油機能もないため航続距離が足りず、行動範囲を広げるには船で運搬しなければならず、時間を要します。したがって万一の尖閣諸島の有事に迅速な対応ができません。
沖縄の基地負担軽減のため訓練の一部を本土に移そうという動きもあります。
負担軽減は歓迎すべき話ですが、中国の驚異から沖縄や日本の領土を守るため沖縄米軍基地の「地理的な位置関係が国際関係に与える影響」、つまり「地政学的な重要性」は変わるものではありません。
私たちが住んでおります山口県にも岩国基地があり、普天間基地と同様に海兵隊の基地がありますが、岩国基地を中心としたオスプレイの展開範囲である半径1,100kmの円を描くと朝鮮半島が入ります。
以上のことから朝鮮半島有事の際に対応できる岩国基地の「地政学的な役割」は、沖縄と同様に重要であることが理解できるでしょう。
(つづく)