「女性が輝く日本!」実現に向けて
◆安倍首相の「女性が輝ける社会」は現実的か?
安倍首相は、成長戦略の一つとして「女性の活躍」を掲げ、9月26日の国連総会における演説でも、「女性が輝ける社会」を実現すると力説し、その姿勢を改めて世界にもアピールしました。
政府は女性・子育て支援の具体策として、保育ニーズがピークを迎える2017年までに40万人分の受け皿を確保する「待機児童ゼロ」を筆頭に、育児休業を延長して「3年間抱っこし放題」を提唱したり、育児後の再就職や起業に向けた支援や全上場企業で「女性役員1人」登用などを謳っています。
その結果、2020年までに、社会のあらゆる分野において指導的地位に占める女性の割合を30%程度まで引き上げることを目標に掲げています。
目標は素晴らしいですし、行政の責任として待機児童ゼロを政策目標とすることや育児後の再就職・起業支援はあってしかるべきですが、民間の自由を束縛する「育休3年」や「女性役員1人」には異論を唱えざるをえません。
育休については、企業側からすれば、3年もの有給の育児休暇は、様々なコストや他の社会への負担が増しますし、復職を希望する母親側にとっても、3年間のブランクは能力的、精神的負荷を一層大きなものにします。
現在問題になっている全国で約2万3千人の待機児童についても、最も多いのが0~2才児で、全体の8割を占めるという実態を見ても明らかなように、都市に住む働く母親は、できる限り間を空けずに復職することを望んでおり、子どもが生まれる前から保育園を探したり、場合によっては引越しをしたりするなど、保育料の安い認可保育所に預けるためのいわゆる「保活」も激しさを増しています。
もちろん、保守的な考え方として、安倍首相は「三歳までは母親が子育てするもの」という、いわゆる「三歳児神話」に基づいて「三年間抱っこし放題」を提唱しているのだと思われます。
幸福実現党も家族の価値や絆を尊ぶ「保守本流の政党」として、この考え方を否定するわけではありません。
しかし、現実問題として、ここ20年の「官製不況」によりデフレが長期化し、一家の大黒柱たる父親の給料やボーナスは減り続けてきた結果、母親も家計のために働かざるを得なかったり、そもそも若者世代も給料が上がる見通しがたたず、結婚を躊躇し、晩婚化や未婚化が進み、少子化が深刻化したという事実を見逃すことはできません。
また、企業幹部に女性登用を義務付ける「クオータ制(割り当て制)」の導入については、女性経営者として注目されたディー・エヌ・エー取締役ファウンダーの南場智子氏の意見が参考になります。
彼女は「企業の人事は会社の生命線であり、適材適所でないと実力ある女性に対して失礼である」と言い切り、安易な女性登用の数値目標の議論に警鐘をならしています。
◆消費増税は「少子化」をもたらす
また、10月1日にも首相が最終判断するとされる消費増税も、結婚や出産にとっては大きなマイナス要因です。
これは、「相対所得仮説」と言いますが、日本人の若者全体というマクロでみると、結婚、子育てへの期待水準より、二人で将来稼ぎ出せる所得水準が下回るとき、結婚や出産を抑制してしまうのです。
消費増税によって、消費と投資(需要)がさらに不足し、所得、雇用が減少してデフレに向かえば、将来の所得水準に対する見通しは当然悪くなるわけです。つまり、消費増税は「結婚、出産抑制政策」「少子化政策」でもあるのです。
◆「女性の生き方を完全に自由化する」社会へ
1950~70年の高度経済成長期には、核家族化が定着していく流れにおいて「男は仕事、女は家庭」というモデルが機能していました。
しかし、これからの時代は「男も女も仕事と家庭」、あるいは性格適正からして、「女は仕事、男は家庭」というパターンだってあり得ます。
その意味で、家族のあり方も固定的に「かくあるべし」と言い切ることが難しい多様化時代に突入しています。
ですから、単純にかつての伝統的な価値観を復古させることをもってよしとするのではなく、「選択肢の多様性を認める」豊かな社会づくりをこそ目指すべきではないでしょうか。
子育てしながら働き続ける女性が増えているなら、やはり民間の力を最大限に活用して、利用できる保育施設やベビーシッターなどを増やすことが先決です。
ちなみに、ダボス会議を主催する世界経済フォーラムが昨年発表した「世界男女格差指数」でも、日本は135カ国中101位と、先進国でもかなりの低ランクに位置しています。
更には、経済や政治の現場で女性がもっと活躍できれば、日本のGDPを約16%押し上げるだろうという報告もなされております。
そのために、政府は民間企業の女性活用の取り組みを支援、推進すべきです。
95%が女性社員で、管理職の48%が女性であるという大手アパレルのクロスカンパニーを経営する石川康晴社長は、日本で初めて「4時間正社員」制度を導入して、業績アップを実現した実績を持ちます。
これは「結婚、出産、育児を機に、優秀な女性社員が退職すると、社内にノウハウを蓄積できない。女性が家庭を持っても、責任ある仕事を続けていける仕組みが必要だった」という経営者としての切実な思いが出発点になり、血の通った社内制度が出来上がったと言えます。
「4時間正社員」制度は、時短勤務であるがゆえに、逆に生産性が高く、ママ友を顧客として連れて来てくれるので販売実績も良いとのことです。(週刊「東洋経済」8/31号 特集参考)
ポイントは、まさしくわが党の釈量子党首の本心が語っているように、「女性の生き方を完全に自由化する」社会を構築することです。(大川隆法著『釈量子の守護霊霊言』,幸福の科学出版,2013,p.58-62「『女性の生き方』は完全に自由化したほうがいい」参照)
女性の生き方に「選択の自由」があることで、女性に「安心感」と「希望」が生まれ、結婚、出産、子育てに前向きになる女性ももっと増えていきます。
その結果、日本が「ダイヤモンドの如き輝き」を放つ国へと変わっていくでしょう。
◆「イクメン」の一人として
末筆ながら、子供が泣かないことを祈りながら、肩身の狭い思いでベビーカーを押して電車に乗降する大変さを知る「イクメン(育児に積極的に取り組む男性)」の一人として、ラッシュの時間帯でも気兼ねなく乗降できる子連れ専用車両の開発など、今後とも子育て世代をバックアップする政策を発信して参ります。
ママさんの皆様のご意見もお待ち申し上げております。(HS政経塾2期生古川裕三)