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メガバンクはリスクをとって日本の未来を創造せよ!~祝・最終回、ドラマ「半沢直樹」から見るメガバンクの実態~

◆ドラマ「半沢直樹」から垣間見る銀行の姿

「やられたらやり返す、倍返しだ!」

このセリフと共に驚異的なヒットを続け、瞬間視聴率40%を超えたと言われるドラマ「半沢直樹(TBS日曜21時~)」もいよいよ大詰めとなり、22日(日)で最終回を迎えます。

内容はご存知の通り、バブル期にメガバンク(三菱東京UFJ銀行がモデルだといわれる)に入社した主人公・半沢直樹が、銀行上層部の不正や金融庁の圧力と戦いながら、志ある経営者に対しては絶対に筋を通す、型破り且つ誠実な銀行家(バンカー)として描かれています。

現役のメガバンクの行員などからも「描写にリアリティーがある」と評判になっているそうです。

まさに今、安倍政権が行っている異次元の金融緩和が日本の経済成長につながるか否か、日本経済のエンジンであるべきメガバンクの活躍にかかっているのは確かです。

しかし、別の観点からドラマを見ると、バブル崩壊の原因を作ってきたにもかかわらず、変革できておらず、むしろ退化しているメガバンクの姿が垣間見えてきます。

◆「リスクを取らない人材」を生み出す極端な減点人事

第一には、相変わらず硬直的な人事制度が、銀行内部から活力を奪っている点です。

「ミスは許されず、一度失敗すれば敗者復活はない。評価は徹底した減点主義で役員まで出世できなければ、50歳前後で会社を追い出される(メガバンク行員)」と、実際に現場の銀行員が述べている通り、評価の主な基準が「ミスをしていないかどうか」となっているのです。

そして、銀行の人事評価で敗れた多くの銀行員たちは40代後半から50歳を過ぎる時期に、取引先や子会社に機械的に出向させられていきます。

出向先では年収は7~8割程度以下にダウンし、「出向は二度と銀行員に戻ることのない片道切符…」とドラマでも言われる通り、二度と本社に戻ることは出来ません。

このような徹底した「減点主義」による人事がバブル崩壊以降も続いており、合併による他行組との派閥争いも相まって組織を官僚化させ、バンカーに本来必要なリスクを取る力や創造性、チャレンジ精神を根こそぎ絶やしてしまっていると言えます。

◆「金のなる木」を見分けられない「目利き能力」

更に、土地担保システムに代わる担保基準の見直しも出来ておらず、富を生み出す企業にお金を循環させる「目利き能力」に進歩がない点が挙げられます。

その「目利き能力」の源泉となるものは情報収集能力でありますが、それもバブル崩壊以前と比べても著しく低下しているのが現状です。

その理由の一つは、80年代後半以降「企業の銀行離れ」が進んできたことにあります。

特に業績を上げている大企業や優良企業などからの銀行への情報開示は圧倒的に少なくなっており、以前と比べると銀行は企業に出入りする業者の一つに過ぎなくなっています。

そして二つ目の理由としては、「銀行の企業離れ」も同時に進行してきたということです。

具体的には、内部管理の仕事が劇的に増えており、行内でのデスクワークに忙殺され、対顧客にかける時間は10年前の「3分の1程度」に減っているそうです(三菱東京UFJ銀行上席調査役)。

バブル前から比べての銀行の信用失墜と同時に、顧客と銀行側の人間同士の付き合い、接触時間も劇的に減少していることが情報収集能力の低下に繋がっていると言えます。

◆未来の日本を担う中小企業の発見~育成こそがメガバンクの使命だ!

その結果、銀行にとっての最大の使命であり、資産であるはずの中小企業向け(日本企業の99%)の融資が10年間で20兆円も減少している現実があります。

土地担保に代わる担保基準の発明も出来ておらず、相変わらず極端な減点主義がまかり通っているメガバンクにとって、金額が小さく、コストが高く、リスクが大きい中小企業向け融資を積極的に行う動機がないのも、一目瞭然でありましょう。

しかしながら、デフレ脱却やアベノミクスの成否は、「銀行融資が増えるかどうか」にかかっているため、政府や日銀は、融資拡大を強く求めている現状があります。

そのための一手が、先日発表された金融庁の銀行検査見直しであり、今までの金融庁独自の基準に基づいた画一的な銀行検査から、融資先が健全かどうかの判断の大部分を銀行に委ね、検査を大幅に緩和するというものでありました。

これによって、銀行はリスクが取りやすくなり、技術力はあるのに決算上は赤字になっている中小・ベンチャー企業などに対して、将来的な成長力や潜在力を元に運転資金や設備資金を融資しやすくなったのは事実です。

そもそも、「金融庁が必要かどうか」という別の問題もありますが、国のお膳立てを最大限に活かすためにも、メガバンクは長期的視点からみた企業育成に焦点を当てた「加点主義型」人事評価制度への見直しを行い、中小企業への融資がより積極的に行われる「人事改革」が必要であると考えます。

◆メガバンクは今こそ古き良きバンカー精神から学べ!

シュンペーターは「企業家(アントレプレナー)」と「銀行家(バンカー)」による異種結合によって産業革新(イノベーション)が起こると考えました。

残念ながら、今の日本にはバンカー不在という現実は否めませんが、過去を振り返ってみれば、安田善次郎や渋沢栄一といった明治日本の産業育成を一手に担った超一流のバンカーたちがいたことを忘れてはなりません。

そして本来は人材の宝庫であるはずのメガバンクから、将来的には雲霞の如く「本物のバンカー」が出てくることは間違いありません。

メガバンクには是非とも「眠れる偉大な起業家を育てる」という本来のバンカーの使命に立ち返って頂き、チャレンジ精神をもって世界中で富の創造に貢献して頂きたいと思います。

そしてバブル崩壊による「失われた20年間」を自らの手で帳消しにし、「10倍返し」の経済成長を日本人にもたらしてくれることを期待したいと思います。(文責:HS政経塾1期生城取良太)

しろとり 良太

執筆者:しろとり 良太

幸福実現党広報本部

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