このエントリーをはてなブックマークに追加

慰安婦問題のアメリカの現状と韓国側の戦略

◆慰安婦問題のアメリカでの現状

幸福実現党外務局長の及川幸久です。いわゆる「従軍慰安婦問題」は、日韓問題ではなく、広く国際問題として展開しています。

7月30日、米カリフォルニア州グレンデール市で慰安婦像の除幕式が行われたことは、日本でも報道されました。(7/31 産経「慰安婦記念像、米グレンデール市で設置 日系市民の反対の声届かず」)

現地では、ロサンゼルス・タイムスが一面トップ記事として扱いました。

それまで小さな地方紙の記事にしかならなかったアメリカで、この問題がアメリカ第四の大新聞によって、一気に知られるようになりました。

そして、その論調は明らかに韓国側を支援するものになっています。

「慰安婦の碑」がアメリカに最初に建てられたのは、2010年にニュージャージー州パリセイズ・パーク市のものです。二つ目の石碑は、2012年、ニューヨーク州ナッソー郡に建てられました。

グレンデール市の銅像に続いて、現在筆者が確認できている限り、カリフォルニア州ブエナパーク市とアーバイン市で同様の像設置が市議会で議論されています。

◆なぜ今、アメリカで慰安婦像設置なのか?

アメリカで慰安婦像設置が広がる原因となった事件がありました。

最初の「慰安婦の碑」がニュージャージー州に設置された後、在ニューヨーク日本総領事館の廣木重之・総領事が突如、現地市長と面会し、日本から桜の木の寄贈や図書館への本の寄付などを提示し、その見返りに「慰安婦の碑」の撤去を求めたのです。

お金で解決するという日本の外務省のやり方が、在米韓国人社会の怒りを買い、今や全米での慰安婦像の設置運動になったのです。

つまり、火をつけたのは日本政府でした。

そもそもアメリカの公共施設に韓国の慰安婦像が建つのは異例であり、地元自治体の認可を取るのは困難のはずです。ところが、地元の市議会が賛成側に廻ったことで実現しています。

その背景には、慰安婦像ができた市はどこも韓国系人口が急増していて、地元政治家が選挙のための新たな票田として利用する目的があるのが明らかです。

人口20万のグレンデール市で韓国系は1万人、最初の慰安婦の碑ができたパリセイズ市は実に人口の半分が韓国系です。市議会議員、市長に韓国系がいるところもあります。

◆韓国系の戦略とは?

かつて中国の江沢民主席は、「日本を歴史認識の問題で永遠に封じ込める」と語りました。

この中国の基本戦略に韓国が乗っかっている形です。

筆者が今年6月にニューヨーク州の慰安婦の碑を建てた韓国系団体KAPACの代表、デビッド・リー氏と会談した際に、日本政府による慰安婦の強制連行の証拠はないことを主張しました。

ところが、リー氏は「あなたが言うような日本政府による強制連行があったかどうかの議論は既に終わっている。日本政府の罪を認めたのは、韓国でも中国でもなく、日本政府自身が『河野談話』ではないか」と指摘しました。

1993年に外務省が慰安婦問題の調査を行い、その結果を河野洋平官房長官(当時)が語った「河野談話」は、日本政府による強制連行の証拠がなかったにもかかわらず、その罪を認め、謝罪しています。

また、2007年にアメリカ下院議会で、この問題による「対日謝罪要求決議」が決まっていますが、その根拠も「河野談話」だったのです。

ニューヨーク州でもカリフォルニア州でも韓国系団体は、強制連行の証拠の議論は避け、必ず「河野談話」を持ち出します。ここに韓国側の戦略が明らかに見えてきます。

デビッド・リー氏は、「我々はイスラエル・ロビーから支援を受けている」と漏らしていました。

イスラエルは、先の大戦でドイツ政府をナチスドイツによるユダヤ人大量虐殺、ホロコーストの罪で謝罪に追い込んだ実績があります。

そのノウハウを今度は、慰安婦問題で日本に当てはめようとしているのです。

グレンデール市での慰安婦像除幕式で、安倍総理の写真にナチスの鍵十字のマークをつけた写真を掲げていたのは、この問題を「もう一つのホロコースト」として、人類の歴史に永遠に刻み込むためです。

それだけではなく、アメリカの学校教科書にこの問題を載せて、人類史に永遠に残そうとしています。事態は江沢民が描いた戦略通りに進んでいます。

◆即刻、「河野談話」を破棄せよ

全ての証拠と論拠が「河野談話」にあるのであれば、まず、「河野談話」、そして「村山談話」を日本政府が自ら破棄する必要があります。

現在、「河野談話」は外務省のホームページに日本政府の公式見解として日本語と英語で掲載されています。(外務省「Statement by the Chief Cabinet Secretary Yohei Kono on the result of the study on the issue of comfort women」)

一国の政府が公式に認めたものはそう簡単に覆せないのは国際社会の常識です。日本政府、総理大臣が勇気を持って白紙撤回することが、この問題解決の絶対条件です。

さらに、日本は歴史の真実をアメリカ、そして全世界に正しく発信しなければなりません。韓国側の発信量に比べて、日本からの主張はほとんどありません。

国際社会では何も言わないのは認めたことになります。しかし、「河野談話」を掲げている外務省には期待できません。

官民問わず、真実によって国際社会を納得させる活動を展開するべきです。

その際に、絶対に「謝罪」をしてはいけません。「謝罪」ではなく、「真実を語る勇気」を持つことが、世界の中で「日本の誇り」を取り戻す道に通じるのです。(幸福実現党外務局長 及川幸久)

及川幸久

執筆者:及川幸久

page top