日本外交を支える「情報発信力」の強化を急げ!(2)
◆情報発信力の低い日本外交
昨今、アメリカを舞台に韓国、中国政府による対米情報戦略が恐ろしい勢いで展開され、「従軍慰安婦像」をはじめとする明らかに捏造されたプロパガンダが国際社会に定着しつつあります。
日本はこうした自国の国益を損なうようなマイナスの情報戦に対し、その都度、強く反論するのみならず、国家戦略に基づいて、世界に向けて「真実の日本の姿」を発信していくことが急務であり、そのための外交戦略の一つに「パブリック・ディプロマシー(Public Diplomacy)」があることを前回紹介させて頂きました。
※参考:5月27日付HRPニュースファイル「日本外交を支える『情報発信力』の強化を急げ!」(http://hrp-newsfile.jp/2013/760/)
「パブリック・ディプロマシー」とは、伝統的な「政府対政府」外交とは異なり、広報や文化交流を通じ、国際社会の中で自国の存在感やイメージを高め、相手国の国民や世論に直接働きかける「対市民外交」「広報外交」のことです。
アメリカを舞台に激しい情報戦が行われている理由には、CNNをはじめとするアメリカのメディアは、全世界に情報を発信する力を持ち、アメリカのメディアが取り上げたものは、「世界標準」として認識されるほどに影響力をもつからです。
そのために、各国が国家戦略として、巨額の予算を対米パブリック・ディプロマシーに充てているのです。
しかし、日本の広報外交は各国に比べても大変規模が小さく、とても遅れています。
例えば、広報外交の重要な担い手として、国際交流基金があります。国際交流基金は、海外での日本語普及、文化芸術交流、日本研究・知的交流などを通して、「日本」を海外に伝えています。
言葉を知ることはその国への理解を深いものとし、好意的な感情を生むので、日本語教育を行うことは、知日派、親日派を育てていくための欠かせない要件になるのです。
◆官民挙げて慰安婦問題のロビイ活動を展開する韓国
そのため、英国はブリティシュ・カウンシル、ドイツはゲーテ・インステュート、中国は孔子学院などを設置して人材育成を積極的に行っています。
各国の機関と比較してみると、日本の国際交流基金は、21カ国に22の海外拠点を持ち、予算は約154億円。それに対して、イギリス(ブリティッシュ・カウンシル)は109カ国・地域、189都市に展開し、予算は約1240億円。
ドイツ(ゲーテ・インステュート)は、91カ国・地域に135か所、予算は約367億円、中国(孔子学院)も900の海外拠点を持っており、日本がいかに厳しい国際競争の中にいるかが良くわかります。
また、アメリカで官民挙げて、積極的なロビイ活動を展開している韓国では、2013年度慰安婦問題関連予算が、昨年(2012年度)より、13.3億ウォン(約1億円)から18.6億ウォン(1.4億円)に増額(約1.4倍)されています。
特に、元慰安婦の名誉回復及び真相糾明を目的に行われる「記念事業」に対して、予算が2.5億ウォンから6.8億ウォンに大幅に増額(約2.7倍)されています。
2013年度から、「記念事業」として従来から行われていた(1)「記念資料の収集」、(2)「研究資料の分類及び整理」に加え、(3)「元慰安婦の名誉回復、真相糾明及び正しい歴史観確立のための巡回展示会、並びに教育資料の開発と普及」、(4)「研究資料の外国語への翻訳」が新規に認められ、韓国政府による慰安婦問題に対する事業が拡大されることになったのです。(参考:国立国家図書館調査及び立法考査局「外国の立法」(菊地勇次著))
※従軍慰安婦を巡る韓国の卑劣なロビイ活動については、現在大好評発売中の月刊『WiLL』8月号(6/26発売)掲載の全米共和党顧問・饗庭直道広報本部長の詳細な現地リポートを是非、ご覧ください。
◆日本外交を支える「情報発信力」の強化を急げ!
日本の外務省は「有識者などを活用した調査研究・発信を通じて、我が国が抱える領土をめぐる諸懸案に関して、世界に正しい理解を広めていく」という方針を打ち出しながらも、竹島に関する調査・研究予算としては0.4億円(2012年度)だけであり、物価や経済規模も大きく違う韓国が従軍慰安婦問題だけに1.4億円の予算を充てることと比較しても、いかに日本の情報発信力が弱い立場にあるかを強く自覚する必要があります。
しかし、日本外交を支える情報力の強化は、ただ予算や人員を増やすだけで解決できる問題ではありません。予算や人員を増やし、名称を変えるだけで「変革した」という事例は過去いくらでも存在します。
日本政府が広報外交の予算を含め、情報発信機能を抜本的に強化することは当たり前のことですが、それ以上に、国家戦略としてこの国が進むべき方向性や未来ビジョン、日本から世界に向けて「何を発信していくのか」というその思想やコンテンツ(発信内容)が今、問われているのです。
中国や韓国政府が捏造しているプロパガンダを打ち砕き、日本の自信と誇りを取り戻すことができるのは、幸福実現党以外にありません。(文責・HS政経塾第二期生、東京第12選挙区支部長 服部聖巳)