銀行は原点に帰り、資金供給の使命を果たし世界恐慌を防げ!
野田元首相が解散宣言をした昨年11月14日から、日経平均株価は年末まで20%、一月末までで約30%上昇しています。
円は80円台に乗り年末には86円台、そして一月末には92円台まで下落(円安)しています。
いわゆる「アベノミクス」による株高、円安トレンドにより、ムード的には景気回復への期待が高まっています。
「アベノミクス」では、大胆な金融緩和、財政政策、成長戦略、この三つを同時に行わなくてはならないとしています。
※幸福実現党の経済政策と「アベノミクス」の最大の間違いは、幸福実現党は金融緩和、財政政策、成長戦略に加え、減税政策を加えています。「レーガノミクス」も減税政策を中軸としていました。「増税政策」を主軸とする「アベノミクス」では失速は避けられません。
「金融緩和」「財政政策」「成長戦略」三つを同時にと強調しているのは、「金融緩和政策により日銀がいくら資金を銀行に供給しても、その先の民間の資金需要がないから効果はない」という批判に対抗するものです。
この「民間の資金需要がないので、これ以上の金融緩和は効果がない」という意見は、日銀白川総裁もしばしば主張していました。(2012/5/24 産経「金融政策も限界か、資金需要高まらず『のれんに腕押し』白川総裁も嘆く」)
「民間の資金需要がない」という言葉は、経済学者、評論家、政治家の口からもしばしば聞かれます。
先週のNHKTV日曜討論会でも民主党桜井政調会長が、「民間の資金需要がないから金融緩和は効果ない」と発言していました。
しかし、この発言には非常に違和感を覚えます。赤字法人率が75%の日本です。私の知っている多くの中小企業も資金繰りに苦しんでいます。
長引く不況の中で、多くの中小企業の資金繰りが厳しい状況にあり、倒産に至るケースも少なくありません。
「お金を借りたくても、銀行は貸してくれない」という中小企業経営者の言葉は聞くものの、「資金は必要ありません」などという言葉を聞いたことはありません。
このように、中小企業は、「借りたい」という活発な資金需要があるにもかかわらず、なぜ、銀行側は「資金需要がない」などという、お門違いの発言をするのでしょうか?
これは「資金需要」というものの両者の捉え方、考え方が、異なっているからに他なりません。
銀行が言うところの「資金需要」とは、「設備投資等を主とした、経営を拡大・発展させるための資金」であり、中小企業が言う「資金需要」とは、主として「運転資金」であり、時としてそれは、「赤字補填資金」でありましょう。
政治家は、現場の実体を知らなければなりません。政治家の口から「民間の資金需要はない」という言葉が出ること自体、恥ずべきことです。
また、日本の銀行は極度にリスクを嫌い、ベンチャー企業に対する投資を避ける傾向が強いため、事業立ち上げ段階で資金の目処が立たずに断念する起業家も少なくありません。
市場に資金を流通させる責任者である銀行が、リスクフリーで必ず儲かる国債を買うばかりで、市場に資金を供給しないならば、いくら金融緩和しても、銀行を儲けさすのみで景気は一向に良くなりません。
「バンカー精神」とは、「成長の可能性を秘めた企業に対し、リスクを取って積極的に投資し、社会の発展に貢献する」という高い志です。
幸福実現党大川隆法総裁は、このような「バンカー精神」を失った銀行に対して以下のメッセージを投げかけています。(ザ・リバティー2012.12月号「銀行を過度に守る金融政策の間違い」)
・銀行は考え方を変えるべき。自分達のことだけ考えてはならない。つまり、不良債権問題を処理して、IMFのような官僚組織や他行、政府に対してバランスシートをきれいに見せることだけを考えてはならない。
・銀行は企業を救うため、特にこの3~4年は、多額の資金を供給し続けなければならない。もし企業に対する締め付けが厳しくなれば、1929年のような世界恐慌が起きてしまう。大恐慌の足音が聞こえる。
・銀行制度は、世の中の企業を助け、経済活動を促進するためにこそ存在している。銀行はその原点に帰るべき。
・日本は今、新たな経済政策をスタートさせるべき。資金の供給を止めず、弱い企業が再び立ち上がって事業を再開するのを支援すべき。
・日本と世界についての未来ビジョンが必要。これが不可欠。銀行は往々にして「未来ビジョン」を欠いていることが多い。
・融資を減らす政策は良くない。それをやれば10年、20年以上にわたり不況が続く。
銀行は、バンカー(投資銀行家)としての原点に帰り、未来を構想し、資金供給の使命を果たし、世界恐慌を防いで頂きたいと願うものであります。
(文責・岐阜県参議院選挙区代表 加納有輝彦)