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『放射能』ではなく『情報』の除染が必要だ ~世界一の原発技術力を日本と世界の繁栄に~

◆海外における原発輸出に積極的な安倍政権

安倍首相は先月28日から3日間、臨時国会の会期中に異例のトルコへの外遊を決行しました。

大きな目的の一つが、以前より進められていたトルコ・シノップで計画されている原発建設の正式受注であり、トルコのエルドアン首相と最終合意を果たすことにありました。

福島第1原発事故以降に、日本の原発輸出が正式に決定したのは初めてです。

安倍首相は会談の共同記者会見において「原発事故の経験と教訓を共有することで世界の原子力安全の向上を図ることは日本の責務だ」と述べ、原発輸出を推進する考えを強調しました。(産経10/31)

◆未だ根強い日本の「世界一の原発技術力」

トルコ同様、日本の原発技術は福島原発事故の後もなお世界で非常に高く評価されています。

具体的には、世界で使われる原発の炉心の8割は製鉄の町・室蘭にある日本製鋼所で造られており、日本の技術が世界の原発の安全性を支えている事実があります。

また、原発技術の安全性を図る統一基準として、「運転時間当たりのスクラム(非常運転停止)の回数」が用いられますが、日本は運転時間7000時間あたり、0.07回しかスクラムはかからず、世界でも断トツで低いと言われています。(アメリカ0.28回、フランス0.59回、韓国0.42回)

原発を利用中、導入検討中の国々においても、福島第一原発事故の根源的な原因は「原発自体の不備」ではなく、「巨大津波への備え不足」であったとの客観的事実を踏まえ、自国における自然災害の可能性を調査し、対策を強化しています。

その結果、第2次安倍政権が発足してからも、少なくとも9カ国で原子力分野での協力を求められており、既に国外では「福島で起こったこと」への疑念は払拭されていると言えます。

◆原発を通しての日本VS中国という伏線

原発を巡る世界的潮流として「中国産原発の世界進出」も無視することは出来ません。

中国では、約20年前から原発の商業運転を始め、電力事情の悪化に伴い、国内でも急ピッチに原発建設が行われており、実に世界の半分以上の原発新設計画が中国に集中している状況にあります(日経10/18)

それに伴い、原発技術力が急速に向上しており、「国産化」を基本戦略に掲げて原子炉容器や蒸気発生器、冷却材ポンプといった主要機器の開発に力を入れており、「夢の原子炉」といわれる高速増殖炉の開発も独自に進められています。

近年では、最大の武器である「価格競争力」を活かし、バングラディッシュの原発プロジェクトの入札、イギリスの原発建設への参入など海外進出も積極的に行っており、原発輸出によって国際的に存在感を大きく広げ、原発事業でも日本を凌駕しようという野望を持っています。

◆中国産の原発が拡散することによる様々なリスク

しかし一方で、中国産原発の危険性を訴える声も少なくありません。

日中科学技術交流協会が入手した資料によると、中国の原発1基当たりのトラブル件数は、05年2.6件(日本0.3件)、07年2.1件(同0.4件)で、日本の5倍以上の割合となっている統計が出ております。(10/28産経)

「日本の原発技術が世界を変える」の著者である豊田有恒氏は「中国は異常なスピードで建設を強行しており、『粗製乱造』といえる。」と述べており、またそのスピードに人材の育成が間に合わず、請負企業の人員の90%は原発建設に関わったことがない素人が担っているという驚くべき事実があるのです。

更に、アメリカは日本の原発安全策に欧米型の数値基準を導入することで連携を深めていますが(日経10/31)、この背景には、安全保障上、中国の原発による世界進出、その裏にある中国の覇権戦略に歯止めをかけるために、スムーズに進まない日本国内の原発政策をテコ入れしていこうという意図が感じられます。

◆国内の原発政策が進まない真犯人は「情報汚染」

海外からの高い評価とは裏腹に、国内での本格的な原発再稼働の目処がいっこうに立たず、迷走しているのは、科学的な根拠の全くない放射能汚染報道に煽られて、原発と放射能に関するウソが2年経った今もまかり通っているからです。

私自身も先月、福島に数日間入り、現地の声を聞いて参りましたが、人体に害のない避難区域の放射線量などより、はるかに大きな弊害があることを知りました。

例えば、必要のない除染に試算では5兆円の予算をかけて、全国から人員を募集した結果、喧嘩沙汰や犯罪が増え、治安がとても悪化しているそうです。

また、避難民には家族1人当たりに10万円が支給されていますが、以前よりもはるかに収入が増えたことで、やる気を喪失し、仕事に就かずパチンコ三昧で暮らす人が増えており、それが不公平感を煽り立てているという話も聞きました。

このように、間違った情報に基づいた政治がどれだけ人々の暮らしに害悪を垂れ流すかを痛感すると共に、人気取りを目的に「脱原発」を訴える政治家や芸能人、そしてその大元にあるマスコミによる「情報汚染」を払拭することこそ、今の日本に必要であると考

えます。

◆国内の原発政策に正しい柱を通し、原発技術力で群を抜け!

これ以上、国内の原発政策をあいまいにしたままでは、いずれ優秀な人材の減少、海外への技術者人材の流失などが相次ぎ、日本の原発事業は停滞を迎えることとなります。

是非とも安倍政権においては、しっかりと原発と放射能の正しい情報に基づいた発信をより力強く行い、福島の力強い復興と、国内での原発事業への自虐的な見方を払拭して頂きたいと思います。

危険性の高い原発の拡散は世界を不安定にします。安全性が高い日本の原発技術力はこれからも日本と世界を豊かに、平和に、幸福にする大きな使命があるのです。(HS政経塾第1期生 城取良太)

【参考文献】
「世界の原発技術が世界を変える」 豊田有恒
「放射能・原発、これだけ知れば怖くない」 高田純
「誰も書かなかった福島原発の真実」 澤田哲生
「『反原発』の不都合な真実」 藤沢数希
「WEDGE11月号」

しろとり 良太

執筆者:しろとり 良太

幸福実現党広報本部

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