中東情勢の激化に日本はいかに対処するべきか~愛は憎しみを超えて~
7月1日、核開発を続けるイランへの制裁を強化するため、EUはイラン産原油の全面的な禁輸措置に踏み切り、先に新たな金融制裁を発動させたアメリカと共にイランの核開発阻止に向けて圧力を強めました。(7/1 NHK「EU イラン産原油の禁輸措置発動へ」⇒http://goo.gl/Rqiai)
これに対して、イランは欧米諸国に対する反発を強化。7月4日、イランは攻撃を受けた場合、直ちに中東にある米軍基地、及びイスラエルに対して攻撃し、ホルムズ海峡も封鎖すると警告しています。(7/4 ロイター「イラン、攻撃受けたら直ちに中東の米軍基地を破壊」⇒http://goo.gl/QQdDx)
イランは、既に「シャハブ3」と呼ばれる北朝鮮の「ノドン」がベースとなっている準中距離弾道ミサイルを配備しています。
同ミサイルの射程は2,000kmに達し、弾頭は500~650kgまでの高性能爆薬や核弾頭を搭載可能と見られています。(Global Seculity⇒http://goo.gl/3P5ZD)
同ミサイルはイスラエルを含む湾岸諸国と湾岸諸国に展開するアメリカ軍を射程に収めており、周辺諸国に多大なるインパクトを与えています。
アメリカ軍は1983年以降、中東地域を管轄する地域別統合軍としてアメリカ中央軍(USCENTCOM)を設置し、同地域に米軍を積極的に展開しています。
現在、米軍は原子力空母2隻(エンタープライズ、エイブラハム・リンカーン)、強襲揚陸艦1隻(イオー・ジマ)を基幹として、米沿岸警備隊、イギリス、フランス等が参加する大規模な部隊をペルシャ湾、オマーン湾に展開しています。その理由は以下の2点が挙げられます。
第一は、イランとイスラエル双方が早まった行動に出ないように牽制すること。第二は、現在、内戦状態にあるシリアに対する圧力です。
アメリカやヨーロッパの対外政策(foreign policy)の目標は、イランとイスラエルの双方の暴発を抑えつつ、イランの核開発を押し止めることにあります。
しかし、これはイラン、イスラエルのどちらか一方が攻撃を決断すれば、すぐに崩れてしまう「破局一歩手前」の「ガラスの均衡」です。
日本政府としては、何としても粘り強く両者の対話を促し、事態を破局に導かないように導くべきです。
日本にとって、原油の輸送の80%以上が通過するホルムズ海峡において、武力紛争の勃発や封鎖は、国家のエネルギー政策の破綻を意味します。
したがって、中東情勢が激化を抑え、ホルムズ海峡やシーレーンを守ることが、日本の「国益」であると言って過言ではありません。
しかし、日本の政治は増税以外、何一つ決められない「無政府状態」に陥っています。野田政権には「日本の国益を守る」という意志が皆無です。
日本政府はアメリカ、イスラエル、EUとイランの間で仲介の労をとり、イランの核開発や紛争勃発を未然に防ぐべきです。
また、イスラエルが早まってイランの核施設を攻撃すれば、両国との間で戦争状態になることは目に見えています。
そうならないよう、両方に顔が利く日本が先頭に立ち、話し合いの場を中東から遠く離れた日本に設けて調停を進めるべきです。
また、日本は宗教的アプローチから、イスラム教とユダヤ・キリスト教との橋渡しをなすことが可能な立場にあります。
「神の正義」を争う両者に対して、寛容なる精神の下、両者を包含していく宗教的理念が必要です。それは「愛」であり、「慈悲」であります。
『イラン大統領VS.イスラエル首相~中東の核戦争は回避できるのか~』(大川隆法著、幸福実現党発行⇒http://goo.gl/a1RpC)で、大川隆法党名誉総裁は「私は愛は憎しみを超えると信じている。慈悲は世界を救うだろう。」と述べています。
日本は一刻も早く、「国益」に基づいた戦略を描き、外交的アプローチ、宗教的アプローチの双方から両者の仲介を進めていくべきです。
(文責・黒川白雲)