香港返還15年。香港の自由を守れ!
7月1日、英植民地だった香港が1997年に中国に返還されてから15年を迎えました。
胡錦濤国家主席は「共産主義国家が自由主義社会を特別行政区として包含し、併存する前例のない『一国二制度』の成果」を内外にアピールしました。
しかし、多くの香港市民は中国への懸念や不信感を示しており、胡主席の演説中、会場の男性が「天安門事件の評価を見直せ!」「一党独裁を終わらせろ!」と叫び、警備員に取り押さえられる一幕もありました。(7/1 日経)
1997年7月にイギリスが中国に香港を返還してから50年間は、香港の民主政治や自治、言論の自由が保障され、中国は外交と防衛のみを担うはずでした。
しかし、実際は、中国は香港の報道機関への圧力等、香港の自由をじわじわと奪う工作を続けています。
今年3月25日の行政長官選挙は、親中派二人の事実上の一騎打ちでしたが、中国は投票権をもつ選挙委員会(定数1200)に対し、胡主席に近いとされる梁氏への投票を暗に要請。結局、梁氏が大勝を果たしました。
これに対し、香港の民主派は「共産党員による香港統治だ」とし、露骨な政治介入を行った中国政府に怒りをぶつけています。
香港の民主派グループは、梁氏の長官就任や中国の人権弾圧などに反発し、7月1日、主催者側発表で40万人が集まり、大規模デモを実施。梁氏辞任を要求しました。(7/1 産経「香港返還15年 市民は『40万人』の嫌中デモで抗議」⇒http://goo.gl/cnX0S)
しかし、英植民地時代からの自由を守りたい民主派の必死の抵抗とは裏腹に、香港経済は既に中国の支配下に入っているとも言われています。
返還後、香港は中国による優遇措置を度々享受してきました。人口710万人の香港に観光客などで中国本土から訪れた人は昨年2810万人。97年の236万人のなんと12倍です。
香港ドルが地元通貨なら中国の人民元もいたるところで利用可能となり、中国人が欧米の高級ブランドショップの店頭に列をなします。まさに経済から徐々に支配していく中国の戦略がよく分かります。
2011年5月22日、幸福実現党創立者、大川隆法名誉総裁は、香港を代表する施設、九龍湾・国際展貿センターにおいて『The Fact and The Truth』と題する講演会を行い、次のように述べておられます。
「もしあなたが『自由』と『平等』のどちらかを選ばなければならないとしたら、まず『自由』を選ばなくてはなりません。人間は自由な考えを許されているからこそ、幸福なのです。
私は香港の人々を頼りにしています。もし香港人が多くの中国人を未来へと導くことができれば、この国の人々をより幸福にしていくことができるでしょう。」
香港が持つ、代え難い貴重な価値こそ「自由」です。香港には、民主主義と自由主義の根がしっかりと根付いていたのですから、しっかりと自由を守り抜いて頂きたいと思います。
女性政治思想家のハンナ・アレントは「全体主義と闘うためには、ただ一つのことを理解する必要がある。全体主義は自由の最も根源的な否定であるということである」と述べています。(『アーレント政治思想集成2』「全体主義の本性について」、みすず書房、2002)
まさしく、「自由」を守り抜くことこそ、中国という全体主義国家から香港を守り抜く唯一の道なのです。
「同じ民族でも、政治の制度が違えば国は違ったものになる」ことは中国と台湾を見れば分かります。
中国は、政治においては一党独裁体制を保ちつつ、経済においては、一部に資本主義経済を取り入れ経済を拡張してきました。
今、香港が経済のレベルを超えて、政治の基本的な考え方や哲学のレベルまで国が変わっていくかどうかを世界中が注目しています。
香港の自由が中国に影響を及ぼし、中国を導くリーダーの役割を担って頂きたいと思います。中国に「自由の模範」を示すことこそ、香港人の使命なのです。
(文責・竜の口法子)