このエントリーをはてなブックマークに追加

脱・無責任外交――日本から平和と秩序を世界に発信する気概を!

4月11日に、金正恩氏が北朝鮮労働党の「第一書記」に就任しました。父・金正日を「永遠の総書記」とし、金正恩氏が新設した、北朝鮮労働党の「第一書記」に就任の背景には、父・金正日の権威を高め、その「遺訓」に従って統治をしていくことを宣言することで、3代世襲を正当化して、金正恩体制への求心力と安定化につなげる狙いがあるようです。

4月12日から、先軍思想(軍事優先)路線の象徴と見られる、衛星と称した長距離弾道ミサイルの発射予告期間に入りました(発射予告期間は、4月12日~16日:午前7時~正午)。

12日に発射は行なわれませんでしたが、今後も万全の対応が必要です。ロシアのインテルファクス通信は、北朝鮮が「衛星打ち上げ用運搬ロケット」と説明する長距離弾道ミサイルの発射は14日になる見通しと報じています。

今後も4月13日に、金正恩氏が最高人民会議で国防委員長に就任予定、4月15日に金日成主席生誕100周年と、大きな節目が続きます。

衛星と称した長距離弾道ミサイルの発射の動向にも十分な警戒が必要なことはいうまでもありませんが、さらに、これからの「日本の防衛をいかにするか」についても政府は考えを示すべきです。

なぜなら、過去の長距離ミサイル発射後(2006年7月、2009年4月)の数ヶ月以内に「核実験」を行なっており、日本の安全への大きな脅威が生じうるからです。

実際、北朝鮮が北東部・咸鏡北道豊渓里(プンゲリ)の核実験場で3回目となる核実験を準備しているとの見方を韓国政府消息筋も明らかにしており、アメリカの商業衛星からもその状況が確認されています。

日本は、国連安全保障理事会で「追加制裁決議採択」を目指し、国際社会で適切に対処する方針を、アメリカのクリントン国務長官と確認しています(4/12 産経)。

また、米ワシントンで開幕した主要8カ国(G8)外相会合の冒頭で、「われわれ(8カ国)は朝鮮半島の安定という強い利益を共有していると考える。そのために最善策を話し合う」とし、国際社会の連携を深める模索をしていますが、北朝鮮に大きな影響力のある中国が不在であることから、効果が疑問視されています。

さらに、忘れてはならないことは、2009年の北朝鮮のミサイル発射の際に、安全保障理事会での決議を求めましたが、当時は、中国とロシアが「強硬だと反対」し、法的拘束力のない「議長声明」としてアメリカが妥協したことです。アメリカ任せにも限界があります。

また、韓国では4月11日に総選挙の投開票が行なわれ、保守系与党のセヌリ党(旧ハンナラ党)が、全300議席のうち過半数となる152議席を確保し勝利しましたが、対北朝鮮政策は争点化せず、経済成長や福祉が主要な争点であったようです(4/12東京)。

対北朝鮮については、日本から率先して、韓国に働きかけていく必要があります。やはり、他国任せではなく、日本として自国の安全を守り、また他国に対して働きかけていくのかという「安全保障戦略」をしっかりと提示する必要があります。

そのためにも「武器協同開発戦略」をはっきりと持つ必要があるのではないでしょうか。

日本は、武器輸出三原則の緩和を受け、防衛装備品の共同開発と生産に乗り出すことを、イギリスと合意しました。イギリスとの共同声明には、日本の国連常任理事国入りを支持することも盛り込まれています(4/11毎日)。

イギリス以外にも、フランス、イタリア、豪州などから、水面下でのオファーもあるようです。日本の高い技術力への期待はもちろんあるでしょうが、日本としては、どの国とパートナーシップを組むかを戦略的に考えることは、日本としての安全保障の考え方を打ち出すことにも繋がります。

日本としては、シーレーン防衛など、国益の観点を踏まえて、アジア諸国とも、パートナーシップを広げるべきです。

武器輸出緩和すること自体が争いを助長するという反対の声もありますが、日本が平和を愛する国なのであれば、日本からの意見を発信して、争いの火種を刈り取るためにも、日本との価値観―「平和を愛する諸国民への信頼」―を共有できる国とのパートナーシップを構築するべきです。

日本では、税金など国内問題ばかり議論していますが、集団的自衛権の解釈、憲法9条の改正など、日本のこれからの防衛のあり方を論ずるべきです。

自分の国は自分で守る。これは国民の幸福の前提です。弱腰外交、他国任せ、日本海にミサイルが打ち込まれても何もいえない、「無責任外交」はもうやめにしなくてはなりません。

日本は大国です。自分の国のことだけを考える段階はとっくに過ぎています。むしろ、日本が世界の中心となって、平和の価値観と秩序を築き上げる強い決意と行動が必要なのではないでしょうか。
(文責・吉井としみつ)

吉井 利光

執筆者:吉井 利光

HS政経塾部長(兼)党事務局部長

page top