宜野湾市長選で露呈した民主党の支離滅裂
「宜野湾市長選挙」が2月5日に公示され、12日の投開票が迫る中、普天間基地を有する自治体の首長選として、「普天間基地移設問題」について、直近の民意を量る選挙として注視されています。
宜野湾市長選挙には「普天間基地の固定化を断固阻止し、一日も早い危険性の除去と返還・跡地利用計画を強力に推進」する沖縄県議の佐喜真淳氏(自・公推薦)と、「県内移設反対、早期閉鎖・返還」を主張している元宜野湾市長の伊波洋一氏(社・共・社大推薦)の2人が既に立候補を表明しています。
この宜野湾市長選挙に絡んで、2月3日の衆議院予算委員会において、真部朗沖縄防衛局長が、宜野湾市長選挙に際して、防衛省職員を集めて投票依頼をしたと指摘されている「局長講話問題」に関して、集中審議が行われました。
「防衛省の調査によると、真部氏は1月23、24両日、沖縄防衛局で業務時間中、宜野湾市に本人か親族が在住する職員66人に講話。普天間問題を巡る立候補予定者の主張内容を紹介し、投票を呼びかけたとされています。
同局長は講話に先立ち、参加者を選ぶための「有権者リストを作成した」ことが問題視されましたが、「防衛局長講話要旨」(産経 http://goo.gl/WcNsL)を見る限り、「特定の候補者への投票依頼」は無く、「選挙に行くこと」を呼びかけている内容であり、公職選挙法に違反する明白な事実が確認されず、処分については結論が当面先送りされることになりました。
しかし、この局長講話よりも、もっと重大な問題となることが民主党議員による選挙応援の事実です。
普天間基地の辺野古移設を取り決めた「日米合意」を断行する責任を持つ与党・民主党において、しかも沖縄県選出の議員が、こともあろうか「県外移設」を公約に掲げている元宜野湾市長を応援しているのです。
沖縄県第4選挙区選出の民主党衆議院議員である瑞慶覧長敏氏は自身のホームページにおいて、写真入りで「イハ洋一後援会事務所にてスタッフの皆さんを激励するチョービン衆議院議員」「街頭で、イハ洋一氏支援を熱く訴える!」(2012/01/30)と、与党議員としてありえない動きをしています。⇒http://goo.gl/bZoTW
また、民主党ホームぺージに掲載されている沖縄県宜野湾市議の玉元一恵氏は自身のブログで「本日、イハ洋一の激励会でした。私は司会進行をさせていただきました。民主党沖縄県連は自主投票です。民主党の第3区総支部は支持。同じく第4区総支部も支持。両区ともに、イハ洋一を応援していきます」と何度も県外移設の伊波氏を支持する内容を掲載しています。⇒http://goo.gl/DpDNi
このことは今国会の質疑においても、「与党・民主党の責任問題」として指摘されておりますが、依然、放置されているということは、外交や安全保障上、同盟国アメリカに対して、日本政府が沖縄問題に関して本気で取り組んでいないというメッセージを送りかねません。
民主党公認の国会議員や市議会議員を説得できずに、国民や沖縄県民の理解を得ることが出来ません。全くの支離滅裂状態であります。
2010年に行なわれた沖縄知事選挙においても、民主党は与党として候補者を立てず、自主投票としましたが、実際は「県外移設」の伊波氏を応援していました。
民主党は「民意を尊重する」「国が地方に介入しない」「住民自治である」などと傍観せず、政府として、沖縄の安全保障の重要性を訴え、「日米合意」に向けて沖縄県民に啓蒙と理解を広げていく必要があるはずです。
素人・田中直紀防衛大臣の国会答弁における不見識や失言なども酷過ぎて、国際的信用を失墜していることは、外交・国防上、国益を損なっていることはそもそもの問題であります。
2012年における国際政治は激震の最中にあります。
台湾総統選挙で馬英九の勝利となったことによる中国の影響力の増大、中国による東シナ海の油田採掘の問題、北朝鮮における金正恩体制への権力移行、ホルムズ海峡封鎖を含むイランへの制裁問題、イスラエルがイランをミサイル攻撃する可能性、財政難によるアメリカの新国防戦略など、日本を取り巻く環境が激変し、緊迫している状態であることを踏まえると、もっと真剣に国家の命運を守り切る姿勢を示す必要があります。
宜野湾市長選挙をはじめとする沖縄県や国防政策への対応に表れているように、安全保障への責任を果たしていない民主党・野田首相は、即刻下野すべきです。
(文責・小川俊介)