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TPP―「農業輸出大国」を目指した「攻め」の農業改革を

日本経済新聞が28~30日に実施した世論調査では、野田首相が交渉参加に意欲を示すTPP(環太平洋経済連携協定)に「参加すべきだ」が45%で「参加すべきでない」の32%を13ポイント上回りました。

TPP(環太平洋経済連携協定)とは、加盟国の間で工業品、農業品を含む全品目の関税を撤廃し、国や自治体による公共事業や物品・サービスの購入、知的財産権、労働規制、金融、医療サービスなどにおけるすべての非関税障壁を撤廃し、自由化する協定です。

TPP参加の是非をめぐっては、第一次産業を中心とした「保護か、開国か」という論争から、果ては「米国陰謀論」に至るまで、国内で議論が噴出しています。

幸福実現党としては、TPPについては、農業部門を強化し、「農業輸出大国」に飛躍する機会として積極的に参加を図るべきという「攻め」のスタンスを取っています。

「自由貿易」による「国際分業」の進展は、国際競争力の強い産業の輸出が促進されると共に、消費者にとっては輸入品を安く購入できるため、双方に「富」と「豊かさ」をもたらす互恵システムとなり得ます。

自国の産業で、生産性の向上が迫られるものについては構造改革を進めつつ、互いに国を開いていくことが望ましいでしょう。やはり、富と繁栄の源泉は「自由」から生まれるのです。

現在、野田首相はTPPの交渉に参加する意向を固め、11月12日からハワイで開かれるAPEC(アジア太平洋経済協力会議)首脳会議で、関係国に交渉参加を伝達する方向を示しています。

しかし、TPPへの交渉参加に反対している山田正彦前農水相は30日、「野党各党と共にTPPに慎重な対応を求める議員集会を今週中にも開きたい」と語っており、民主党内でも意見はまとまっていません。

TPP議論は多岐に渡るため、ここでは民主党政権が進めるTPPについて「農産品」に焦点を絞って考えてみたいと思います。

まず、TPPを考える際に大切なことは、消費者にメリットがあるのか(より良質でより安い農産品を手に入れることができるか)という視点と、それがさらに国を富ますものになるのかという視点です。

世界のグローバル化・食料需要の急増の中で、農業も進化していかねばなりません。国の政策として自由貿易の中で、世界との競争に勝てる農業に進化させていくべきであります。

ところが、民主党はもともと政策が一致した議員が集まってできた政党ではないため、政策がまとまらず、あらゆるアジェンダ(政策課題)について右往左往する始末です。挙句の果ては、首相の思い付きで国の方向性が決まってしまいます。

TPPに関しても野田首相は、前菅政権がTPP参加を先送りにしてきたため、国益を考えて参加を表明したものではなく、アメリカの圧力に迫られ、「受け身」的にTPP参加に追い込まれているのが現状です。

TPPに向けては、農業改革等を含む国家戦略をセットにして、日本の「国益増進」という「攻め」のスタンスで臨むべきです。

しかし、民主党がこれまで行ってきた農業政策は、戸別所得補償制度で、減反に応じた農家を保障の対象としているため、農地の規模拡大は進まず、国際競争力を持った強い農業は生まれません。

民主党のバラマキの恩恵を受けるために、大規模地主から農地を返してもらう農地地主まで現れ、農地の細分化が更に進んでいます。

つまり、民主党政権はTPP参加を表明しながら、やっていることは、結果的に農業の効率化を遅らせる「農地の小規模化」を推進しているのです。

TPPの関税撤廃には10年の猶予がありますから、その間に激変を緩和する補償措置を行いつつ、農業の徹底的な構造転換を図るべきです。

「農業の大規模化」と並行して「6次産業化」(農業や水産業などの第1次産業が食品加工・流通販売にも業務展開している経営形態)ができれば、十分に世界で通用する強い農業に進化できます。

そのためには、農業企業家の誕生を促進させること、生産と流通販売とを連携させること、農地の流動化を促進すること、企業が農業に参入し大規模な農業ができるよう規制緩和をすること、植物工場などの大胆な技術イノベーション等の構造転換が不可欠です。

「川上(生産)から川下(流通販売)までをトータルで産業化しコストを下げ、黒字化を図ることができれば、もともと世界でも高品質な日本の農産物は十分に世界で勝てる可能性があるのです。

世界の人口は100億人に向かって急増しており、「食糧危機」や「飢餓」が取り沙汰されています。

日本は世界の「食糧危機」を救うためにも、「攻めのTPP」として、農業の構造転換を推し進め、安くて高品質な農産品を大量に生産し、これを転機として「農業輸出大国」を目指すべきであります。
(文責・佐々木勝浩)

佐々木 勝浩

執筆者:佐々木 勝浩

幸福実現党 広報本部スタッフ

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