国民を愚弄する野田首相の所信表明と国際公約
本日、第179回国会における野田内閣総理大臣の所信表明演説が行われました。
野田首相は「『歳出削減の道』と『増収の道』では足らざる部分について、初めて『歳入改革の道』があります」と、最善を尽くした上で、やむを得ずの場合に増税すると言いながら、「国家財政の深刻な状況が、その重要な背景です」と増税を結論付けています。
「歳出削減」と「景気対策」という言葉は、増税の結論に導く口実として使われているに過ぎず、野田首相からは本気で日本経済を再建しようとする意志やビジョンは感じられませんでした。
野田首相は「歳出削減の道」として、公務員給与を約8%引き下げる法案を国会に提出していると政府の努力を強調していますが、そもそも、民主党の公約は「16.8兆円の無駄削減」「国家公務員の総人件費2割削減」「参議院定数40削減・衆議院定数80削減」「国会議員の歳費を日割りにする」という「歳出削減」だったはずです。
民主党が公約として掲げた「歳出削減の道」を放棄して、政治家と官僚だけは手厚く保護した上で、国民に多大な負担と「痛み」を押し付ける増税ラッシュは断じて許されない悪業です。
また、「増収の道」についても、「古来、財政改革を成し遂げた偉人は、創意工夫で産業を興し、税収を増やす方策を探りました」としながら、「人口減少に転じた日本において、数年で経済と税収を倍増させるような奇策はありません」とアッサリ、経済成長による税収増の道を断念しています。
本来、野田首相がなすべきは「増税論議」ではなく、「経済成長論議」であり、その結果として「税収増」を目指すべきです。
実際、86年からの好景気により、わずか4年間で税収は18兆円も増え、税収は60兆円台に到達しています。現在よりも20兆円も税収が多いのです。逆に言えば、景気がよくなれば短期間で税収は数十兆円単位で増えるのです。
また、11月3、4日の20カ国・地域首脳会合(G20)で、野田首相が各国首脳に対し、「2010年代半ばまでに消費税率を段階的に10%まで引き上げる」国際公約を行うと報道されています。
民主党は「消費税を4年間上げない」ことを公約にして政権を取っておきながら、「公約違反」となる増税路線を推し進め、国民を騙して「国際公約」を行うことは、国民を愚弄しているとしか言いようがありません。
世論は「増税反対58%」(毎日新聞10/3)と過半数を超えているにもかかわらず、政府は11月中旬に復興増税を含む法案の成立を目論むのみならず、復興増税を消費税増税への布石として、大増税を推し進めようとしています。
民主主義社会においては、「増税には国民の民意を問う」ことは「国家による合法的略奪」である「増税の暴走」を抑止する根源的ルールです。増税したいのであれば、国会を解散して、信を国民に問わなければ増税は断じて許されません。
(cf.フランス人権宣言 第14条「すべての市民は、みずから、またはその代表者によって、公の租税の必要性を確認し、それを自由に承認し、その使途を追跡し、かつその数額、基礎、取立て、および期間を決定する権利をもつ」)
前回、消費税がわずか2%上がっただけで不況が深刻化し、自殺者は1年で35%も増加し、以降、年間自殺者数は3万人台を推移しています。2~3%台だった失業率も、消費税増税以降は4~5%台に急上昇し、若者の失業率は10%前後になっています。
今回の大増税は、それを上回る多大な打撃を日本社会にもたらします。増税が国家を滅ぼします!
政治家や官僚は、国民が反対の声を上げない限り、国民は賛成していると受け取ります。
このような中で、国民の反対の声を届けるべく、党派を超え、増税に反対する地方議員や各種NPO、グラスルーツ団体が一斉に集まる「増税が国を滅ぼす!国民集会」及びデモが11月5日(土)日比谷公園野外大音楽堂で行われ、幸福実現党も協賛参加します。 ⇒http://www.hr-party.jp/new/2011/13027.html
デモは財務省等の官庁街を通り、国民の「増税反対」の声を国家の中枢に伝えてまいります。野田首相は国民の怒りの声を真摯に受け止め、増税案を即刻撤回をすべきです。
(文責・小川俊介)