防衛省はサイバー戦担当部隊を創設せよ!
日本の防衛産業の代表である三菱重工業がサイバー攻撃を受けてウイルスに感染していたことが分かりました。
同社は日本の防衛・安全保障に深く関わっており、ライセンス契約などで米防衛産業との関係も深く、ミサイルや潜水艦などの機密情報が狙われた可能性が高いと推測されています。
また、同じくサイバー攻撃を受けたIHIは、防衛省向けの戦闘機のエンジン部品や護衛艦のほか、原子力発電所の圧力容器などを製造している企業です。
今回のサイバー攻撃は、国防機密を狙ったものであることは明らかであり、国家の安全の根本に関わる重大事件として、国家として迅速に手を打つべきです。
しかしながら、一川保夫防衛相は20日の記者会見で、今回、防衛産業の中核がサイバー攻撃を受けたことについて、「大事なデータが外部に漏れたとは聞いていないが、しっかりと管理を徹底してもらうよう指導していく」と語ったのみです。
一川防衛相の対応は、余りにも暢気な対応であると言わざるを得ません。
「サイバー戦」防衛に関しては、日本はアメリカに比べて10年も20年も遅れています。
「サイバー戦」はコンピュータシステムやインターネット等のコンピュータネットワークを主な戦場とする新しい戦争の舞台です。
米国は、サイバースペースを正式に国土の一部として、これを防衛することが国益であると定義し、サイバースペース防衛を強化していますが、日本政府や防衛省はサイバースペース防衛の重要性に関する認識が皆無に等しいと言えます。
サイバー戦における脅威は、軍事組織がコンピュータシステムやコンピュータネットワークにどれだけ依存しているかによって比例します。
アメリカの軍事組織は、コンピュータシステムとコンピュータネットワークの集合体であり、この集合体を攻撃されると、アメリカ軍は全く機能しなくなり、完全に敗北します。故にサイバー戦に関して非常に力を入れて取り組んでいます。
今回の件でも露呈しましたが、企業におけるサイバースペース防衛も、日本は非常に対応が遅れています。
対策としては、自衛隊に一刻も早くサイバー戦担当部隊を創設すると共に、警察と連携を強化していくことが急務です。
防衛産業が本格的サイバー攻撃を受けた今、日本は国家としてサイバースペース防衛に関して全面的に対策を講じていく必要があります。
“素人”の防衛相には、事の緊急性と重大性が全く分かっていないようです。野田首相の危機管理能力と任用責任が厳しく問われます。
(文責・矢内筆勝)