普天間基地移設問題~解決への道(3)普天間飛沖縄振興予算と普天間問題
これまで、「普天間飛行場移設に向けての経緯」、「普天間移設が進まない理由」と普天間基地問題の歴史と経緯について述べて参りましたが、2006年5月1日時点で既に、米軍再編最終報告において2014年までに普天間基地の代替施設を建設し、辺野古へ移設するというロードマップが決まっていました。
この合意に至るまでに、日米両国、そして沖縄において、一体どれだけの人々が、どれほどの時間をかけて苦労をして来られたことでしょうか。
しかし、鳩山元首相の「政権交代」したいがための「最低でも県外」という一言で全てがひっくり返り、現在まで沖縄や日米関係の混乱が続いています。
今年10月26日、玄葉外相は衆院外務委員会で、鳩山元首相が政権交代前から県外発言をしていたことについて「誤りだった。鳩山政権ができたら恐らくこの問題で終わるんじゃないかと思った」と述べています。
しかし、野田首相は翌日の夜、鳩山元首相と東京都内で会食し、玄葉外相が「誤りだった」と答弁したことについて、「間違いだ。申し訳ない」と鳩山氏に謝罪しました。
鳩山氏が間違っていたことは誰の目からも明らかです。野田首相自身、辺野古への県内移設を進めようとしているのに、なぜ、鳩山氏に謝罪したのでしょうか?
野田首相はあの言葉に振り回された沖縄県民のことを本当に考えているのでしょうか?
野田首相は、薔薇色の未来を夢見させられた県民への心からの謝罪、そして「日米合意」に回帰した理由を、沖縄県民にしっかりと説明すべきです。
そして、総理大臣として「国民の生命・安全・財産を守る」ことを真摯に考えているならば、未だに「県外移設」を主張し続けている民主党沖縄県連を厳しく指導すべきです。
それができないならば、即刻、衆議院を解散し、一貫性のある政策に練り直し、国民の信を問い直すべきです。
政府は名護市を含めた「北部振興策」の補助金として2000年~2009年で約1000億円支出しています。
それは誰もが、普天間飛行場の移設を受け入れる用意のある地区への配慮だと思うでしょう。
しかし、沖縄では、責任ある立場の人は、誰も移設と補助金がリンクしているということを語ろうとしませんでした。
1972年に本土に復帰してより、10年単位で沖縄県の振興予算が措置されてきました。今年は四度目の振興計画の最終年です。
復帰までは米国の施政権下にありましたので、当然、本土との格差が生じました。その「本土との格差是正」の大義名分のもとに、補助金を措置してもらっていたのです。
しかし、近年はインフラ整備も進み、沖縄県は本土の平均的インフラに対してもまったく遜色なく、むしろ本土と逆転したかの感があります。
本年6月、知人の車で東日本大震災の被災地を見て周りましたが、津波被害の惨状と、復旧のために莫大な資金が必要であることを痛切に感じました。
沖縄に帰ってみて、県民の一人として、「今まで政府が沖縄のために投下して下さった血税を無駄にしてはならない」と強く思いました。
沖縄県民には「福を惜しむ気持ち」が必要です。
しかし、沖縄県の仲井真知事は政府に対し、今年度予算で約2300億円となっている沖縄関係振興費を3000億円に増額した上で、「全額一括交付金化」し、10年間予算確保できるよう要求しています。
仲井真氏は国民の血税を何だと思っているのでしょうか?
地域主権のさきがけとして、沖縄がまず自由に使える交付金を活用し、かつ経済自立を果たすという趣旨だそうですが、「普天間飛行場の辺野古移設とはリンクしていない」という全く意味不明なスタンスをとっています。
現に、今年1月、北沢前防衛省が沖縄入りして「県民が目を見張るような振興策を提示したい」と知事に伝えた際には、基地と振興策のリンク論ととらえ、新聞が騒ぎ立てました。
しかし、沖縄のメディアが伝えていることがまったくの出鱈目であることくらい、小学生でも知っています。(つづく)
(文責・沖縄県本部副代表 金城タツロー)