Home/ 2024年 April 2024年 April 大統領選を左右する大論争。バイデンvsトランプ。アメリカを再び祈りの国に。 2024.04.26 https://youtu.be/WRL3Z8Yjin8 幸福実現党党首 釈量子 ◆バイデン陣営対トランプ陣営の大論争 先月末3月31日、キリスト教圏にとって最も大切な祝日の一つ、「イースター(復活祭)」が行われました。 イエス・キリストの復活を祝う宗教行事で、カトリックやプロテスタントなどの西方教会では毎年、「春分後の満月から数えて最初の日曜日」に行われることになっています。 イースター・サンデーと言われ、家族でごちそうを食べイースターエッグを部屋に飾ります。そしてアメリカ大統領も毎年スピーチを行います。 ところが、今年の「イースター・サンデー」をめぐり、バイデン陣営とトランプ陣営とで大きな論争が巻き起こりました。事の発端は、バイデン大統領が3月31日に向けて出した声明です。 「トランスジェンダーデイ・オブ・ビジビリティ宣言2024」という声明で、トランスジェンダーなどの性的少数者の平等や権利を守ろうと呼びかける内容です。 「ビジビリティ」というのは「可視化」「見える化」「認知度を上げる」くらいの意味です。2009年に活動家によってはじめられ、毎年3月31日と定められましたが、大統領として最初に認めたのがバイデン氏で、2021年から毎年、声明を出しています。 それが今年、3月31日がイースター・サンデーと被ってしまったので、物議を醸しました。 キリストの復活を祝う聖なる日に、大統領がトランスジェンダー可視化の日宣言を行ったということで、トランプ元大統領を、はじめ多くの共和党支持者は「キリスト教への冒涜である」と猛反発しました。 民主党側は大手メディアを含め、今年はたまたまイースター・サンデーと同じ日になっただけだ」と反論していますが、トランスジェンダーといった「性的マイノリティ」の権利に関する問題は、キリスト教の教義に大きくかかわります。 バイデン氏の軽率さに、トランプ氏は4月2日、ウィスコンシン州の集会でバイデン氏を痛烈に批判し、同時に対抗する “宣言”を行いました。 「トランスジェンダーデイ・オブ・ビジビリティ」に対して、「クリスチャン・ビジビリティ・デイ」をつくると言ったのです。 まさにバイデン大統領の向こうを張った内容です。聴衆の熱い反応からも、大統領選が、アメリカとはどういう国であるべきかをかけた「宗教的信条、価値観の戦い」であることが分かります。 また、もう一つ注目の出来事がありました。イースター・サンデーの直前の3月27日、トランプ氏がなんと聖書の発刊を発表しました。 その名も「God Bless The USA Bible」、日本語では “アメリカに神の祝福を”聖書です。これは従来の聖書に、アメリカの合衆国憲法や独立宣言などを付け加えたものです。 日本の報道ではアメリカ民主党系メディアの横流しで、「金儲けだ」といった否定的な内容が多いですが、トランプ氏の狙いはそういうレベルの話ではありません。 これも、今起きているアメリカの分断の根源的理由、つまり大統領選の本当の争点に迫るものです。 トランプ氏は聖書の発刊について次のように説明しています。 「宗教とキリスト教はこの国で失われている最大のものです。そして私はそれをいち早く取り戻す必要があると本当に信じています。それがこの国がおかしくなっている最大の原因の一つであると考えます。(中略)聖書はアメリカに取り戻すべきもの、この国を再び偉大にするのは宗教であることを思い出させてくれます。」 ◆アメリカを神に祝福される国に 「祈り」とは心の針を天上界に向けて、清らかな心で、神につながろうとする行為です。そして祈りは、最大の力を持っています。『聖書』の「マルコによる福音書」(9:29)には、悪魔と戦う時、イエスが、「この類のものは、祈りによらなければ、どうしても追い出すことはできない」と述べています。 トランプ氏は、「聖書」に合衆国憲法や独立宣言を加えることで、アメリカを一つにしようとしています。「公的な祈り」の国にしよう、そして「神に祝福される国にするのだ」という信念が伝わってきます。 そもそもアメリカの建国の歴史は、イギリス国教会から弾圧され分離したピューリタンが、信仰の自由で、アメリカの新大陸に神の国を建設しようとしたことから始まっています。 1776年7月4日に採択された「独立宣言」の冒頭にも、すべての人間は「創造主によって、生命、自由、および幸福の追求を含む不可侵の権利を与えられている」という有名な文があります。 アメリカ人は何世代も7月4日の独立記念日にこの言葉を朗読し、子供たちに読ませ、政党を問わず政治家が引用し、裁判所の判決にも書かれ、カントリーソングや、ロックでも歌われてきました。 また「権利章典」、合衆国憲法の修正第一条にもまず「信教の自由」を保護することがうたわれています。 トランプ氏が何度も「自由は政府からではなく、神から与えられた。その基盤の上にこの国はなりたっている」と述べていますが、トランプをはじめ多くの共和党の人々は、バイデン氏の行き過ぎたリベラルで分裂した国を一つにしようとしています。 ◆自由・民主・信仰の世界 大川隆法総裁は、次のように述べておられます。 『自由・民主・信仰の世界』において、「神に対して祈ることを当たり前とする国が多数決を取ったら、神様の心に近づこうとするのは当然のことではありませんか。だからこそ、人間がつくった法律以上の、道徳律の高い政治が実現できるのです。したがって、この信仰の世界を自由と民主に取り込んでいくことは、非常に大事なことだと思っています。これが、日本の未来です。世界の未来です。こうあらねばなりません!」 大統領選はアメリカの道筋はもちろん、世界の方向性に大きく影響を与えます。引き続き大統領選挙の行方に注目していきたいと思います。 ひるがえって日本は、裏金問題などの政治家の腐敗がまたしてもクローズアップされ、低迷しきった支持率はもはや政治への絶望にかわりつつあります。 なぜ変わらないのか。それはバイデン政権と同じく、「神なき民主主義」で漂流しているからです。 神仏が人間をお創りになられた時に与えた「自由」が、人間の最大の幸福です。そして「人間が神の子として平等に造られた」という考えのもとに、民主主義が花開きます。これはプーチン氏もよく言っていることです。 歴史を振り返れば、日本も世界に誇る「祈りの国」でした。聖徳太子が「篤く三宝を敬え」といい、奈良時代に聖武天皇の発願で大仏が建立されました。疫病や天変地異に対する「鎮護国家」、仏の御加護を公的に祈る国だったのです。 しかも、奈良の大仏は、仏陀・釈尊の霊的本質である毘盧遮那仏、つまりキリスト教でいう造物主への信仰です。イスラム教のアッラーでもあるし、中国では天帝にあたる存在です。 幸福実現党は、「自由、民主」に加え、あらゆる宗教が共通して祈る地球神への信仰を持つ国で、唯物論国家の中国・北朝鮮を包囲し、弾圧される人々を解放し、地上の地獄を終わらせたいと考えています。 トランプ氏が「Make America Pray Again」アメリカを「祈り」によって復活させ、宗教(キリスト教)の力を取り戻すことで再び偉大になることを目指しているように、日本も神仏に愛される国になれるよう、信仰心を取り戻さなければなりません。 精神的な高みを目指す国であってこそ、本当の世界のリーダー国へと変わっていけるのではないでしょうか。 イスラエル・イラン対立の真相。新たな中東戦争にエスカレートするのか? 2024.04.17 https://youtu.be/Ha6CmHVmKps 幸福実現党広報本部 城取良太 ◆イランによるイスラエル領内への史上初の直接攻撃 ハマス奇襲に端を発するイランとイスラエルの対立が新たな局面を迎えようとしています。 4月14日未明、イランは300発以上にのぼるミサイルやドローンをイラン本国などから発射。ほぼ「99%」がイスラエルや米英などの迎撃により、本土に届く前に撃ち落とされたとされ、イスラエル側の被害は負傷者1名と軽微なのが現状です。 この発端となったのが4月1日、シリア・ダマスカスにあるイラン大使館に対して行われた、イスラエルによるミサイル攻撃でした。 この攻撃によってイラン革命防衛隊の司令官クラスを含む7名が殺害されています。今回はこれに対する報復という形になっています。 しかし、今回のイラン側の攻撃を見ると、イスラエルに大きなダメージを与えるような攻撃とは程遠く、かなり「抑制的」だったと言われています。 実際に、攻撃の前段階には、核協議の再開などをアメリカに持ちかけるような外交を展開していました。 今回の攻撃もイラン国内の宗教保守層に対するパフォーマンスという面も色濃いように思います。 一方のイスラエル・ネタニヤフ首相は、イラン本土からの初めての攻撃に対し「更なる反撃」を行う準備があると明言。 それに対して、アメリカのバイデン大統領はネタニヤフ首相に自重を求め、防衛上の支援はするがイラン反撃への参加はしないと述べています。 その後、ネタニヤフ首相は「報復を見送る」と述べたという報道も一部ありましたが、一夜明け、イスラエルの戦時内閣でイランへの反撃で一致しており、「全面戦争が目的ではない」とするも、「明確かつ強力」に反撃することを述べています。 どちらにしても、昨年10月から約半年経過したハマスとイスラエルの戦争が、いよいよ中東全土を巻き込んだ大規模戦争へと、いつエスカレートしてもおかしくない、かなりきわどい状況にあることは確かだと言えます。 ◆以前は良好だったイスラエルとイランの関係 では、そもそもイスラエルとイランはなぜ対立するのでしょうか。 ユダヤ教とイスラム教の宗教対立といってしまえばそれまでですが、個別的に見れば、イスラエルとエジプトなど、宗教を超えた国家間で平和条約が締結されている事例は実際にあります。 ここでイスラエルとイランの対立がどのように深まってきたのかを客観的に整理してみたいと思います。 何より、以前はこの両国は関係良好だったという歴史があります。 1948年イスラエル建国直後に起きた第1次中東戦争から、1973年の第4次中東戦争に至る25年間の戦いは、エジプトを中心としたアラブ諸国とイスラエルの戦いであって、イランは関与していません。 そういう意味で、これからいつ起きてもおかしくはない新たな中東戦争は、過去4回の中東戦争とは意味合いが全く異なると言えます。 当時、王政だったイランは、中東における「アメリカの前線基地」として、実はイスラエルと同じく親米国でした。 実際、イスラエルの諜報機関モサドと当時のサバックというイランの諜報機関は「対アラブ」「対ソ連」で情報協力協定を結んでいるように、同盟関係に準ずるものがあったと言えます。 ◆イスラエル・イラン対立の大きな転機①:1979年の「イラン・イスラム革命」 この両国の関係にとって、1つ目の大きな転機が、1978年から1979年にかけて、イスラム指導者のホメイニ師が求心力となって起こった「イラン・イスラム革命」でした。 ホメイニ師は「イスラム法学者による統治論(ヴェラヤテ・ファキーフ)」を発表、当時パフラヴィー王朝の元、急速に西欧化しようとしていたイラン国内の風潮を危険視し、欧米の植民地主義、またシオニズムによって建国されたイスラエルを痛烈に批判しながら、「将来、ユダヤ人に支配されることをおそれる」とその中で述べています。 この1冊がいわば国の指導原理となり、今の「反米」と共に「イスラエル打倒」を掲げるイラン・イスラム共和国が誕生、今に至る45年間の長きに渡る対立の「原点」となります。 また時をほぼ同じくして、4回の中東戦争を繰り広げたエジプトとイスラエルがアメリカの仲介で平和条約が締結。この「1979年」という年がいかに中東情勢を根底から変える非常に大事な年の一つといえるでしょう。 ちなみに、この大転換を図ったエジプトに代わって、反イスラエルの急先鋒として「アラブの盟主」に名乗りを挙げたのが、イラクのサダム・フセイン大統領でした。 イラクはイスラム教の2大宗派スンニ派とシーア派が入り混じった地域で、イラクでは約2割しかいない少数派となるスンニ派が国を支配していました。 そのためフセイン大統領は、抑圧された多数派であるシーア派(約6割)が、お隣のシーア派国家イランから「革命の影響」を受けることを止めるべく、1980年から8年に及ぶ「イラン・イラク戦争」を起こします。 イラン革命によって飼い犬から手を嚙まれる形となったアメリカは、この時、イラクのフセイン政権を積極的に支援します。 しかし、その後イラクもアメリカに牙を剥くこととなるのは歴史が示している通りです。 ◆イスラエル・イラン対立の大きな転機②:2003年の「イラク戦争」 そしてイランとイスラエルの対立を更にエスカレートさせていくきっかけとなったのが、まさに「イラク戦争」です。 アメリカブッシュ政権は2003年、イラクが所持する大量破壊兵器の脅威から、世界を解放するという大義のもと、「イラク戦争」に踏み切ります。 余談ですが、大量破壊兵器は見つからず、当時の国務長官だったパウエル氏は、CIAの情報を信じ、開戦の大義を語ってしまった自身の国連演説を「人生の汚点」と語っています。 結果的に、イラク戦争によってフセイン政権は崩壊、アメリカ主導によって民主化がなされます。 先ほど申し上げた通り、イラクの宗派バランスから考えると、民主化されたことで多数派のシーア派主体の政党が力を持ち、政権を握っていくことになります。 すると、それまで力を持っていたスンニ派と、抑圧されていたシーア派のパワーバランスが逆転し、スンニ派が押され始めます。 CIA長官まで務めたペトレイアス氏の占領政策によって、一時期は宗派の均衡は見事に維持されていましたが、イラク戦争を「誤った戦争だ」と断罪し、大統領に就任したオバマ元大統領は2010年にイラク駐留軍を大規模に縮小し、宗派間の衝突が激化し、治安が急激に悪化していきます。 このように、良くも悪くもイラクのフセイン大統領、そしてそれに代わる米軍という「重石」がなくなったことで、イスラエル国境に向けて、イラン革命防衛隊など軍事組織が、イラクを超えて、シリアのアサド政権(シーア派系のアラウィー派)、レバノンのシーア派組織ヒズボラなどとの連携を緊密にしながら、直接的に影響力を行使させていくことが出来るようになっていきます。 いわば「シャドウ・ウォー(影の戦争)」が活発化していくわけです。 ◆イスラエル・イラン対立の大きな転機③:2011年から始まる「シリア内戦」 そして、この「シーア派の弧」と呼ばれるイラン勢力圏を更に強大化させるきっかけとなったのが「シリア内戦」です。 イランのこうした急速な影響力の拡大にアメリカやイスラエル、サウジアラビアなど周囲の国々は焦ります。 その頃奇しくも2011年に北アフリカで起きた「アラブの春」によって、民主化のウネリがシリアにも直撃し、アサド政権(シーア派系)の独裁に対して、スンニ派系の反政府勢力が立ち上がり、内戦に発展していきます。 当時のオバマ大統領はアサド政権の打倒を名目として、CIA主導で「ティンバーシカモア」という秘密プロジェクトを立ち上げて、巨額の予算を投じてスンニ派の武装組織に武器の支援や戦い方を教えていきます。 そしてこの時に提供された膨大な武器の多くを闇ルートで手にし、巨大化していったのが、かの「イスラム国」です。直接的なつながりを証明するものはありませんが、間接的にアメリカが「イスラム国」を巨大化させたということは紛れもない事実です。 ちなみにこの「イスラム国」の中枢を担ったのが、元フセイン政権の構成メンバーと言われています。 アメリカとしては、シリアのアサド政権、そしてバックにいるロシア、イランの影響を弱めていくために、弱体化していたスンニ派勢力に力を与えることでシリア・イラク地域における宗派間の力の均衡を保ちたかったという思惑があったようには思います。 しかし、結局「イスラム国」が予想以上に強大化、最終的に、アメリカを中心とした有志連合は「イスラム国打倒」のために更なる資金と大量の武器を投じていきます。 こうした長年の「イスラム国」などとの戦いを通じて、更に力を蓄えていったのが、イランの革命防衛隊を主体とした、前述したシーア派系の武装組織などです。 また、近年では、長年の不倶戴天の敵だったサウジアラビアと中国の仲介によって歴史的な国交正常化に踏み切るなど、イランにとって中東における対立構図というのはイスラエル一国に先鋭化していると言っても過言ではありません。 イスラエルから見ても、イランの強大化というのは、紛れもなく現在の最大の脅威です。 こうした深い懸念こそ、イスラエル政権の極右化が進んでいる主な要因の一つであり、エスカレートが止まらなくなっている訳です。 ◆イスラエルとイスラム教国を巡る対立軸にあり続ける「核兵器」 そして、イスラエルを巡る対立軸の中心にあり続けるのが「核兵器」という要素です。 イラクのフセイン大統領は、イスラエルとの戦争を見据えて、大統領就任当初から秘密裏に核保有を目指していました。それに対してイスラエルは「イラク原子炉爆撃事件(1981年)」などに象徴されるように、軍事力を行使し、爆撃によって力づくで排除します。 前述した「イラク戦争」の開戦前には、現首相であるネタニヤフ氏など一部の閣僚が、「フセインがまた核開発を再開している」と脅威を訴え、ブッシュ政権にイラク戦争をけしかけたとも言われています。 そして、21世紀に入って、核開発の疑惑が浮上してきたのがイランです。 モサドによるイラン人の核科学者の暗殺や核施設の爆破などで、イスラエル側はイランの核開発の妨害を幾度となく繰り返してきました。 しかし、科学国際安全保障研究所の2024年3月の報告書によると「あと5カ月で13発の核兵器を保有する能力がある」と言われています。 内情が見えにくいイランの場合、もっと進んでいる可能性は否めず、核保有が寸前まで迫っている現状を考えれば、イスラエルとしてはいよいよ一刻の猶予もありません。 ◆新たな中東戦争はエスカレートするのか? さて今後はどうなっていくのでしょうか。 今回、シリアのイラン大使館攻撃でイスラエルは明らかに挑発的な姿勢を示しています。 決めつけはもちろん禁物ですが、そうした意味から考えると、今回のイランの反撃がたとえ抑制的であったとしても、国際社会でイラン攻撃の口実となる限り、イスラエルとしては「エスカレート」させたい思惑は強いとも言えます。 また一方で、「ハマスによる奇襲」によって、世界中の目がパレスチナに向けられてきたことを考えれば、イランとしての格好の「時間稼ぎ」にもなっている面も見過ごすことは出来ません。 いま核戦争の発火点となりうるのはロシア・ウクライナ方面、そして今回、中東におけるこのエスカレーションで核戦争の危険性はグッと高まったと言えるのではないでしょうか。 幸福実現党の大川隆法党総裁は『信仰の法』の中で、中東における核戦争の可能性について、このように言及されています。 今、心配されているのは、「核兵器をすでに持っているイスラエルと、核兵器をもうすぐ製造し、保有するであろうイランとの間に、核戦争が起きるかどうか」ということでしょうし、また、「イランの核兵器が使用可能になる前に、イスラエルがイランを攻撃するかどうか」ということでしょう。 そして、イランの核保有を認めたら、おそらく、サウジアラビアやエジプトも核武装をするのは確実でしょう。 今の中東は、「イスラエルだけが核武装をしていて、イスラム教国は核兵器を持っていない」という状況にありますが、それが今度、「核武装したイスラム教国にイスラエルが囲まれる」という状況になったとき、それを黙って見過ごすことができるかどうかです。これが、ここ十年ぐらいの間に懸念される大きな事態の一つです。」 日本人の心理の中には「ノーモア・ヒロシマ」が世界の常識だと思い込んでいる節があります。しかし、残念ながら世界の本音の部分とは大いにかけ離れているといえます。 実際に、日本は神を信じない唯物的無神論国家の核保有国に囲まれています。 いいかげん、きれいごとばかりで表面を繕うお花畑思考から抜け出さないと、日本の存続自体が立ちゆかなくなるという危機感を持たなければならないのではないでしょうか。 4月から始まった制度改正――日本に必要とされる「勤勉革命」 2024.04.11 幸福実現党政務調査会 西邑拓真 当記事は、下記の動画と連動しています。ぜひ、ご覧ください。 https://youtu.be/BGBWAB_AQu4 ◆新年度の開始で、暮らしはどう変わるか 新年度が始まり、私たちの生活に影響を与える、料金の値上げや制度改正が行われています。何が変わったのか、簡単に見てまいります。 一つ目は、食品や宅配料の値上げです。 4月に値上がりする食品は、価格を変更せずに中身を減らすという「実質値上げ」を含めると、2806品目に及びます。 宅配料金は、佐川急便で平均7%、ヤマト運輸で平均2%の値上げに踏み切っています(*1)。様々な商品の値上がりが続いており、今後、生活はますます苦しくなっていくと懸念されます。 二つ目は、時間外労働の上限規制の適用です。 安倍晋三政権の下で進められた「働き方改革」により、2019年以降、一般の労働者の時間外労働、残業に対して、年間で720時間の上限規制が設けられましたが、運送業、建設業、医師については、人員確保が難しいなどという理由から、その適用が5年間猶予されていました(*2)。 しかし、猶予期間が過ぎる今、こうした業種が、労働時間の減少により現場で支障が出る、いわゆる「2024年問題」に対して十分に対応できているとは言えないでしょう。 今後、宅配料などの更なる値上げ、場合によっては地域で医師が不在となるケースが生じるなど、私たちの生活に打撃を与えかねません。 三つ目は75歳以上の一部の方を対象にした公的医療保険の保険料引き上げ、四つ目は、森林環境税の導入です。森林環境税は、国内の森林整備を目的に、住民税に上乗せされる形で、年間一人あたり1000円が徴収されるという新しく導入された税金です。 こうした保険料の引き上げや新税の導入は、国民負担をさらに増大させることになります。 五つ目は、ライドシェアの一部解禁です。 これまで、タクシー以外の自家用車が客を運ぶ「白タク」行為は原則禁止となっていました。 しかし、タクシー不足や地域における移動手段を確保するという観点から、今月1日より、東京や京都など一部地域を対象に、ライドシェアが部分的に解禁されることになりました。 ただ、海外とは違い、ドライバーはあくまでタクシー業界に雇用される形に留まっており、ライドシェアが運行できる区域や時間帯も限られています。 このように一見「規制緩和」に見える「ライドシェア一部解禁」は、不足する移動手段を穴埋めする「その場しのぎ」の策にすぎません。タクシー業界が政治に守られていることで、料金は高止まりしてしまっています。 それによって生じる損失を被っているのは、私たち消費者です。利便性を高めたり、安全性を担保するルールを整備しながらも、地域の足を確実に確保するという観点から、タクシー業界以外にも有償運送業への参入を認める「全面解禁」を目指すべきではないでしょうか。 ◆経済成長路線への回帰に向けて必要な「勤勉革命」 今の日本は、様々な業界が既得権益で守られているほか、増税や社会保険料の引き上げで、「大きな政府」化が進んでいます。 一方で、日本経済はこの30年、低迷が続いています。昨今、GDP3位の座をドイツに明け渡し、近く、インドにも追い抜かれるのではないかとも言われています。 日本が経済成長路線に回帰するには、何が必要なのでしょうか。その大きな鍵となるのが「勤勉」という価値観ではないでしょうか。幸福実現党の大川隆法総裁は、『減量の経済学』の中で、次のように述べています。 「自由的な意志による努力の継続があって、そして経済的繁栄は来るのです。 過去、こういう『勤勉革命』というのは、イギリスで二回ほど起きています。十六世紀、十八世紀ごろに、それぞれ起きていますが、これでイギリスの国力がガーッと上がっているわけです。 要するに、『個人個人が、自由意志に基づいて勤勉に働いて、世の中を発展させようとする』、『自分自身も豊かになって、世の中も豊かになるように努力しようとする』―、世間の風潮がそういうふうになってきたときに、産業革命が起きたりして、国がもう一段上がっているわけです。」 ◆勤勉革命がイギリスで起こった背景とは ここで、18世紀ごろのイギリスに焦点を当てると、1700年から1870年までの170年間で、イギリス経済の規模は、10倍にまで拡大しています(*3)。 この経済成長を裏付ける要素の一つが、労働時間です。特に18世紀後半、1760年から1800年において、年間の平均労働時間は約2631時間から3538時間へと35%増加しています(*4)。 当時、工場での生産活動が行われていましたが、それは、労働者による長時間労働があってこそ、運営が成り立つものでした。確かに、あまりにも長い労働を強いられたり、場合によっては児童労働が起こったケースもあったのは事実でしょう。しかし、プラスの面に焦点を当てると、人々の勤勉性が国全体としての活発な生産活動に繋がっていき、これがさまざまな「技術革新」が生み出された、「産業革命」にもつながったのは確かです。 ではなぜ、当時のイギリス人は労働意欲が高かったのでしょうか。 一つは、「財産権」が保障されていたこと、すなわち、国家が個人や企業の財産を没収するといったリスクがほとんどなかったことです。 1688年に起こった「名誉革命」以降、イギリスでは議会政治が確立し、国家権力はある程度制限されていました。国民は自らの財産が政府に奪われる心配もなく、安心して労働に励み、富を築くことができたのです。 もう一つは、信仰観です。マックス・ウェーバーが説いたように、当時のイギリスの人々は「魂の救済は、あらかじめ神によって決められている」というカルバンの「予定説」に従って、自らが「選ばれし者」であることを示そうと、勤勉に働いて富を蓄積していったのです。 16世紀以降、世界経済のフロントランナーを走ったのはオランダ、イギリス、米国とプロテスタントが優位な国々であることからも、宗教が国の経済的な繁栄に大きく影響を及ぼしてきたと言えるでしょう。 いずれにしても、経済活動の自由や民主主義、そして信仰をベースとする考え方が、勤勉革命が起こった素地になっていたのではないでしょうか。 ◆日本経済が成長するのに必要な「小さな政府・安い税金」 今、日本では、バラマキが横行しています。バラマキは必ず、増税など国民負担の増大につながります。増税は、働いたり知恵を出して稼いだお金が強制的に国家に没収されることに他なりません。これはある意味で国民の財産権に対する侵害です。 バラマキ・増税は、働かなくてもお金がもらえること、また、働いても重い税金で自由に使えるお金が少なくなるということから、労働意欲をますます低下させることにつながります。ましてや今、政府は働く自由を阻害する新たな規制まで設けています。 日本経済が成長するためには、確かな信仰観の下で、政府はバラマキや要らない規制をなくして、「小さな政府、安い税金」を目指すべきではないでしょうか。 (*1)ヤマト運輸は、大型の宅急便やクール宅急便など、佐川急便は飛脚宅急便を対象としている。 (*2)建設業の労働者に適用される上限規制は、他の業界と同様、年720時間が上限となる。運送業のドライバーは年960時間、医師は、休日労働を含めて年1860時間となる。いずれも、特別な事情がある場合に限られる。 (*3)マーク・コヤマ他『「経済成長」の起源』(草思社、2023年)より。 (*4)永島剛「近代イギリスにおける生活変化と勤勉革命論」(専修大学経済学会, 2013年)より。 すべてを表示する