Home/ 2023年 April 2023年 April 反カルト・新興宗教・宗教二世問題、日本のお粗末な議論に喝!人権の防波堤「信教の自由」を守れ!【後編】 2023.04.28 https://youtu.be/JnKXTDOQaeU 幸福実現党党首 釈量子 ◆中国の気功集団「法輪功」への弾圧 法輪功は、共産党の地方機関紙が「法輪功は詐欺」と書いたことを機に、新聞社や中国の政府機関が密集している「中南海」を取り囲む大規模な抗議行動を行いました。 当時の江沢民政権は、法輪功を非合法の「邪教」として弾圧し、逮捕令状がなくても逮捕し、強制収容所における思想改造、拷問、臓器収奪などがなされています。 2015年には刑法の「邪教」に関する条文を変えて、「邪教団体を組織、もしくは利用し、国家の法律の実施を妨害した者」に対する最高刑を懲役15年から無期懲役に引き上げました。 2017年にも「邪教」への取締りを強化し、中国最高人民法院と最高人民検察院は「未成年者に対する宣伝広告」など7項目に対して厳しく処罰する方針を明示しました。 習近平政権は、若い世代の信仰の根絶に非常に熱心で、教科書や大学内で「神」など宗教的な言葉を禁句にするなど、信仰心を根絶やしにしようとしています。 2015年から習近平政権は「宗教の中国化」を掲げ、「信仰」よりも中国共産党への忠誠を優先させる政策を進めました。 これにより、伝統宗教も例外なく、党の指導に従わないキリスト教の教会を容赦なく破壊し、牧師を連行し、仏像の首が孔子像に挿げ替えられるなど、文明国とは思えないことをしています。 ◆ウイグルにおける中国の人権蹂躙 今、世界の宗教者が心を痛めているのが、中国の習近平政権が行っている宗教弾圧です。ウイグルにナチス型の「再教育施設」が、推計1300カ所以上あるとされています。 ある日突然、頭に黒い袋を被せられて連行され、施設では手足を拘束され、拷問やレイプ、鎖につながれたまま「習近平への感謝」を連日叫ぶよう強制されます。 習近平政権の「宗教弾圧」に関しては、何ができるのか、考えなくてはなりません。 2018年、幸福実現党は、国連の人権理事会の加盟各国の人権状況をチェックする「普遍的定期審査(UPR)で中国が対象となった際、レポートを提出しました。 私と及川幸久外務局長が、ウイグルの方と一緒にオブザーバー参加し、各国の様子などもお話を聴いてきました。 ◆「信教の自由」に対する日米の認識の違い アメリカでは2年以上前から中国のウイグル弾圧を「ジェノサイド」と認定し、厳しい対応を取っています。 アメリカでは人間は創造主に作られた被造物だという考えが根底にあります。どこの国でも、「人間は、神の子仏の子であり、それだけ尊い存在なのだ」という考えが、人権の尊厳の根拠となっています。 おなじ神仏の子が、弾圧されていることは、耐えがたい悲しみを感じるわけです。 神仏の存在は、政治の上位概念にあるものです。 信仰心を踏みにじり、軽々しく宗教に規制を掛けようとする日本の政治の動きは、神になりかわろうとする「独裁者」の傲慢さに、よく似ているように思えます。 政治が宗教の信仰形態や教義などに口を出し、介入すると軽々に言うことの危険性を訴えたいと思います。 ◆アメリカ政治の人権と正義の感覚 また、アメリカの下院は3月27日、「強制臓器摘出停止法案」が、賛成413反対2の、圧倒的多数で可決しました。 アメリカでは、「強制的な臓器狩りや臓器摘出を目的とした人身売買に対して、資金提供など便宜を図った」と判断した人物に制裁を科すことを可能にする法律が審議されており、法案を作成した共和党下院議員クリス・スミス氏は、次のように述べています。 「習近平主席と中国共産党のもと、毎年6万人から10万人、平均年齢28歳の若者が犠牲者となって、その臓器のために残酷に殺されています。」 「中国共産党は彼ら (ウイグル人を含む民族や法輪功) を屠殺にちょうど良い『邪悪なカルト』であると宣言しているのです。 ◆日本は人権の防波堤に 日本の報道では、「宗教で被害を受けた」と言う二世信者のマイナスの側面ばかりが取り上げ、政治でも宗教団体への規制の強化を論じるのが時代の流れのように報じています。 「信教の自由」に対して、国家権力の介入を容認する動きは、中国のような、全体主義の政治に通じて、危険だと思います。 逆に、中国に対しては「自由、民主、信仰」という普遍的価値を共有する国が包囲していく必要があります。 むしろ日本は、宗教の理解を深め、「信教の自由」を擁護する立場を鮮明にし、中国共産党の宗教弾圧に抵抗して、人権の防波堤となるべきではないでしょうか。 反カルト・新興宗教・宗教二世問題、日本のお粗末な議論に喝!人権の防波堤「信教の自由」を守れ!【前編】 2023.04.27 https://youtu.be/JnKXTDOQaeU 幸福実現党党首 釈量子 ◆新宗教に対して偏見を煽るマスコミや政治 昨年夏、旧統一教会に恨みを持つ人物によって安倍元首相が襲撃された事件以降、新宗教に対して偏見を煽るようなマスコミ報道や政治的動きが出てきています。 自己責任を負うべき40歳を過ぎた男性の問題を、政治が「宗教全体」の問題であるかのようにすり替え、これまで票集めに宗教団体を利用してきた政治家たちも、掌を返して宗教への規制を強めています。 そこで今回は、「信教の自由」や海外の「カルト対策」について考えたいと思います。 ◆「信教の自由」の沿革 まず、「信教の自由」というのは、憲法20条で保障されている基本的人権です。もとは「内心の自由」から来ています。 憲法第19条に「思想及び良心の自由は、これを侵してはならない」という規定がありますが、この思想・良心の自由が「内心の自由」です。 「内心の自由」は、人間である以上、絶対に認められないといけない、根源的な自由です。 なぜなら、心のなかで思うことを禁止されたら、もう人間としての尊厳は認められないのに等しいからです。 その「内心の自由」の代表例として、第20条の「信教の自由」が出てきています。 「信教の自由」は、「〇〇の自由」という自由のカタログのなかで、「最も大切」なものとされます。 「何を信じるか」というのは命懸けで「信教の自由」から「信仰告白の自由」、そして「言論・出版の自由」が出てきたからです。 「信教の自由」がなければ、ほかの自由もなかったわけで、こうした歴史的な沿革から、ほかの権利よりも遙かに重い、尊い自由だと考えられています。 「信教の自由」は人権のなかの人権であり、国民が、心の中で何を思うかについて、政治家が口を挟むことは、「信教の自由」を侵害する憲法違反です。 政治の側が、「あなたの信じている宗教はおかしい」「この団体の神は偽物だ」などと言うことは、宗教弾圧であると共に、信者の人格を否定する人権侵害行為に他なりません。 もちろん、「詐欺」や「傷害」などの違法行為に関しては、現行の刑法でしっかり取り締まるべきだと考えます。 しかし、教義の中身に関しては、政治の立場としては、基本的に「思想の自由市場」に委ねるべきで、政治の使命は「信教の自由」を守ることにあります。 「おかしな宗教に騙される人や被害者が出てからでは遅い」という世論に押され、日本でもフランスの「反セクト(カルト)法」のようなものをつくろうという議論も出てきています。 しかし「カルトかどうか」を政治が判断することは、「信教の自由」の侵害に簡単につながるので、カルトの定義は難しく、主観のレベルで決めていい問題ではありません。 ◆海外のカルト対策 ●フランス そのフランスでは、1995年12月に国民議会の調査委員会の報告書で、「法外な金銭の要求」など10の指標を設定して、173団体の名前がカルト教団(セクト)として公表されたことがありました。 2005年に173団体のリストは撤回されましたが、その理由は、「客観的な基準に欠ける」というものです。(フランス内務省2020年報告書)。 その後、2001年に「反セクト法」が成立したのですが、これも、宗教の「教義」を対象にカルト認定して規制するというものではなく、「人権侵害」などの行為を取り締まるものです。 法律違反の有罪判決を複数受ければ、裁判所から宗教団体の解散の宣告ができると定めてはいますが、今日まで、実際に団体が解散させられた例はありません。 ●米国 アメリカでは、カルト規制の法律を作るという動きそのものがありません。 理由は、米国憲法修正第1条で「国教を樹立し、若しくは信教上の自由な行為を禁止する法律を制定してはならない」と定めているためです。 アメリカでは「信教の自由」は憲法で認められた絶対的な権利の一つとされ、州ごとに日本の「宗教法人法」にあたる法律はあるものの、連邦レベルで宗教団体に制限や制約を設けることはしていません。 ●中国 一応、中国の憲法には「公民の宗教信仰の自由」が明記されてはいます。 しかし、これは見せかけで「宗教を利用して社会の秩序を破壊してはならない」「宗教団体は外国勢力の支配を受けない」として警戒し、実際、容赦ない弾圧が繰り返されてきました。 後編では、中国の宗教に対する弾圧の実態から見てまいります。 (つづく) 現政権の子供政策は、本当に子供のためと言えるのか 2023.04.05 http://hrp-newsfile.jp/2023/4425/ 幸福実現党政務調査会 西邑拓真 ◆こども家庭庁が発足 4月1日、こども家庭庁が発足しました。 こども家庭庁は、子どもに関する政策を束ねる「司令塔機能」を担う目的で創設されました。 政府の財政が緊迫度を高めるなか、新たな省庁を設置するのには膨大なコストがかかります。今、「こども家庭庁」を設置することに、果たして意義は見出せるのでしょうか。 ◆「縦割り」は残ったまま これまで、政府の子ども政策は主に、文部科学省、内閣府、厚生労働省が担当してきました。こども家庭庁発足の背景には、省庁の縦割りを廃して、救済の手から取りこぼれた子どもを救済し、本当の意味で、子どものための政策を打ち出すべきとの考えがあります。 しかし、こども家庭庁を発足しても、「縦割り」は依然として残り続け、子どもや若者、子育て支援策を「一本化」するというのは名ばかりというのが現状です。内閣府の認定こども園、少子化対策、厚生労働省の保育所、虐待防止などは、こども家庭庁に移管されますが、幼稚園や義務教育、いじめ対策は文部科学省に残ることになったのです。 特に、幼稚園、保育園、認定こども園は、それぞれ別の省庁が管轄していましたが、これを一体化する「幼保一元化」を進めることで、各施設の無駄が解消できるのではないかとも言われていました。しかし、今回の「こども家庭庁」では、幼保一元化が実現できませんでした。 こども家庭庁は、子供政策について、文科省と連携するほか、対応が不十分な場合には、勧告権を持つことになっています。しかし、法的拘束力があるわけではなく、実効性が十分にあるかは定かではありません。 概して言えば、厚生労働省や内閣府の関連部署が集められたにすぎず、政策の一元化が必ずしもできるとは限りません。新たな閣僚ポストや新しい組織を立ち上げるためにかかる費用に相応しい効果があるかは明確ではないのであれば、何のために新たな省庁を作ったのでしょうか。 ◆税金を使っても少子化が「反転」するわけではない 子ども予算の一環として、3月31日には、岸田文雄首相が掲げる「異次元の少子化対策」のたたき台が明らかになりました。そこには、児童手当の所得制限の撤廃や支給年齢を18歳以下まで引き上げること、さらには男女ともに、出産後に育児休業を取得した場合に、休業前の手取り収入の10割を給付する案が盛り込まれており、まさに「大盤振る舞い」です。 岸田首相は、「子ども予算を倍増させる」としていますが、何を基準に倍増するかも明らかになっていません。このことから、子ども政策や少子化対策の内容を定めることなく、ただ「倍増」という言葉ありきの発想で進められた施策だったと言って過言ではないでしょう。 そもそも、税金をつぎ込んだところで、政府の行う「少子化の反転」に効果があるのかは大いに疑問です。 「子ども予算を拡充すべきだ」という主張の論拠として、よく、「OECD 諸国と比較して、日本は子ども予算がGDPに比べて少ない」ことが挙げられています。 しかし、子育てに関する手厚い保障で先進地域にあるされてきた北欧の出生率は、実は、ここ10年で、大きく下がっているのです。スウェーデンの出生率は1.98(2010年)から1.66(2020年)、フィンランドで1.87(2010年)から1.37(2020年)、アイスランドが2.20(2010年)から1.72(2020年)と、いずれも大きく落ち込んでいます。 北欧諸国における出生率の急落は、「新福祉主義」国家へとひた走る日本がどのような運命を辿るのかを、物語っているかもしれません。 政府による手厚い保障をしたところで、少子化の流れに歯止めをかけることはできないでしょう。むしろ、手厚い保障が、税や社会保険料からなる国民負担を拡大させて若者の経済的不安を高め、少子化を「反転」どころか「加速」させるのではないでしょうか。 本来、少子化対策に向けては、国民負担を下げるという意味でも、社会保障の抜本改革を行うという観点は欠かせないはずです。(幸福実現党政務調査会ニューズレター「バラマキありきの対策では、少子化に歯止めはかからない」(https://info.hr-party.jp/2023/13280/)参照)。 ◆本当の意味で、子供のための政治を こども家庭庁に掲げられた、「こどもの最善の利益を第一に考える」などといった理念は理解できなくもないですが、同庁の実態としては、新たなバラマキの温床として使おうとする「大人」の思惑が見え隠れしています。 どのような形で財源を確保しようが、生き過ぎた福祉は高負担社会につながることに変わりありません。将来の納税者である子ども達に負担を強いる社会は、「こどもまんなか社会」とは到底言えません。 少子化対策だけではなく、いじめや児童虐待の対策についても、犯罪に当たる行為を厳格に処罰したり、正しい宗教・道徳的価値観を教育したりすれば十分対処可能です。 子供たちにとって必要な政策は、あえて新たな省庁を作らなくても実施できるのです。 (参考) ・大山典宏「『こども家庭庁』どこへ行く?このままでは看板倒れに(前編)」(Wedge ONLINE, 2023年1月2日付) ・小倉健一「『異次元の少子化対策』が逆に少子化を進める理由、フィンランドの失敗に学べ」(ダイヤモンドオンライン, 2023年2月7日付) ・木内登英「こども家庭庁の発足と先進国中ほぼ最下位の日本の子どもの精神的幸福度」(野村総合研究所, 2023年3月2日付) ・八代尚宏「『こども家庭庁』で少子化は止まるか? 行方を占う3つのポイント」(日経ビジネス, 2022年1月7日付) すべてを表示する