Home/ 2021年 June 2021年 June ワクチン接種の効果とリスク。強制は全体主義への道。【後編】 2021.06.26 https://youtu.be/lViHNdmv3pY 幸福実現党党首 釈量子 ◆マスコミは「有効率」で煽ってはいけない 一般的に、ワクチン自体の効果は認められており、例えば天然痘は、紀元前から人類に猛威を振るっていましたが、ワクチンによって、封じ込めを行い、1980年には、WHO が天然痘の世界根絶宣言をしました。 現在、日本で使われているワクチンは、ファイザー製とモデルナ製で、それぞれの有効率は95%と94%であり、半年間経過しても抗体は消えず、有効率はそれぞれ91%と90%という結果も一応報告されています。 例えば、有効率95%という数値は「100人接種を受けたら、95人が感染から守られる」というイメージを与えかねませんが、実際には、ワクチン接種したグループの感染者数と、接種しなかったグループの感染者数の比率であり、実際の臨床試験では、両グループへの参加者の99%以上は感染しませんでした。 どういうことかと言えば、仮にワクチン接種者が2名しか感染しなかったのに対し、打たなかった人が40名感染したら、有効率95%(2÷40)になるわけです。 一方、臨床試験には、各グループ1万人単位という大規模な人数が参加しており、両グループの99%以上はワクチン接種の有無に関わらず、感染しなかったということで、これと同等のケースが臨床試験で起こったわけです。 99%が発症しなかった理由は、免役が強かったのか、運よくウイルスに出会わなかっただけなのかもしれません。 どちらにしても、「有効率」でマスコミは煽ってはいけないし、私たちも踊らされてはいけないということです。 ◆各国の実例からみるワクチン接種と感染抑制の相関関係 また、ワクチン接種が進んだ国では「日常が取り戻されつつある」という論調の報道がなされていますが、感染者数の推移をみると、必ずしもバラ色の未来とは言えません。 ワクチン2回目接種が完了した割合と人口100万人当たりの新規感染者数の推移をみると、ワクチンによって、完全な封じ込めに成功したと見られている国はイスラエルしかなさそうですし、これも今後どうなるか分かりません。 イスラエルに次いで、ワクチン接種が進んでいるチリは、感染者はむしろ増えていて、これはワクチンの9割が中国製ということが大きく影響しているとも考えられます。 ワクチンで感染を抑えたイメージの強い英国ですが、急激に減少したのは接種がほとんど進んでいなかった時期で、最近では、接種率が40%を超えましたが、皮肉なことに感染者は増加傾向です。 米国も非常にうまくいっているように見えますが、日本と比べると感染者は依然としてかなり多く、英米両国とも、日本で緊急事態宣言が出されるレベル4の基準を超えています。 ◆ウイルス感染とワクチン副反応による死亡者数比較 ウイルス感染とワクチン副反応で死亡する可能性はどちらが高いのか、という観点でみると、副反応で亡くなった方が196名(6月2日時点)で、ワクチン100万人接種当たりの死亡報告件数で考えると14.7件となります。 これに対し、人口100万人あたりのウイルス感染死亡者数は、40代未満(10代0人、20代0.6人、30代1.8人、40代5人)だと、ワクチンの副反応で亡くなった方が上回っており、50代以上(50代15.7人、60代51.3人、70代159.8人、80代以上610.4人)は、ウイルス感染で亡くなった方が多くなっています。 *ワクチン接種者数は年齢別に発表されていないため、各年代別のワクチン100万人接種当たりの死亡報告件数は算出できない 変異株などの流行によって、ウイルス感染による死亡者数も大きく変動する可能性があるので、あくまでも現状における参考です。 ◆コロナ感染より怖いものとは? 人の身体は個々に異なり、メンタル、スピリチュアルの状態の影響もWHOからも指摘されているように、ワクチンの効果や副反応も人それぞれで、絶対にこうなると言い切ることは非常に難しいところです。 どちらにしても、自分で情報を求め、周囲の圧力や空気に流されず、健康や生命に関わる決断を下すことが求められています。 マスコミの黙殺権によって知らされていない情報もあれば、他国の政府に比べ、情報開示が少ないというケースもありますが、最終的には、個々人の死生観、人生観、その根底にある宗教観が今問われている時代になっているということです。 ◆ワクチンパスポートは全体主義への道 コロナ感染自体よりも、感染に怯えて冷静さを失う方が怖いものがありますし、そうした恐怖心からワクチンを接種しない人々を差別したり、弾圧したりするような風潮は非常に恐ろしいと言えます。 ワクチンに関しては、接種の有無によって証明書を出すというような「ワクチンパスポート」などの施策も提唱されていますが、幸福実現党としては強く反対します。 効果や検証が不十分なものを強制するようなことになれば、自由は確実に死んでしまう、まさに中国のような「全体主義国家」への道であり、ウイグル人を大量虐殺している中国共産党と本質的には変わらないということになりかねません。 ワクチンに関しては今後も慎重さ、多くの方々への公平な情報の開示、そしてワクチン接種の選択の自由が守られるべきだと思います。 ワクチン接種の効果とリスク。強制は全体主義への道。【前編】 2021.06.25 https://youtu.be/lViHNdmv3pY 幸福実現党党首 釈量子 ◆ワクチン接種推進に躍起になる政府 いま政府は東京オリンピック開催までに、出来るだけ多くの人にワクチンを接種してもらおうと、一日あたり100万回接種を目指してアクセルを踏んでいます。 例えば、ワクチンの打ち手を確保するために、医師や歯科医師、看護師に加え、臨床検査技師や救急救命士も打ち手として認める指針を出しました。 また、町医者などがワクチンを打つと、1回あたり2000円を超える報酬が入り、休日の場合はこれが4200円に跳ね上がります。 自治体レベルでも、接種者に対する商品券やタクシークーポンの配布など、様々な接種推進策が行われています。 このように、ワクチンを接種しないといけないような空気が創られているのは事実で、これは少し心配な流れでしょう。 ◆ワクチンの効果とリスク、中立的に報じられているのか? 厚生労働省は「ワクチン接種は強制ではない」と訴えており、ホームページにも明記されています。 これはウイルス調査を特定の国が情報隠蔽しているため不透明で、今回のワクチン自体、人類にとって未知のことが非常に多いためです。 一般的に、ワクチン承認されるまで、開発や臨床試験に最低5年かかると言われますが、欧米では甚大の死亡者が出ており、今まで使われたことのない新技術まで駆使して、1年以内にワクチンをスピード開発、世界中で大規模接種が進められているのが現状です。 しかし、マスコミでは連日、ワクチン接種を推進するようなニュースが非常に多く、「ワクチン接種が唯一最大の対策だ」というような世論まで形成されつつあります。 事情があってワクチン接種ができない人や接種したくない人は「感染対策に協力的でない人」というようなレッテルを貼られかねません。 しかも、厚生労働省は「予防接種による感染症予防の効果と副反応のリスクの双方について理解した上で、自らの意志で接種を受けていただいています」と言っているものの、効果とリスクがバランスよく報じられているのか、疑問符が付くところです。 ◆ワクチン副反応の各国比較 一番心配されていることは、副反応の問題です。 ワクチン接種が進んだ6月4日時点の状況としては、主にファイザー製ワクチンが、およそ1800万回接種され、接種後に196名の方が亡くなられております。 これを見ると、米国や英国と比べ、副反応とみられる症状で亡くなる方の割合は、今のところ特に多いというわけではありません。 *100万回接種あたりの報告件数は日本で10.9件、英国で16.1件 *100万人接種当たりの報告件数は日本で14.7件。米国で18.0件 なおインフルエンザワクチン(令和元年)は、およそ5600万回分接種され、医療機関からの死亡報告数は5名でした。 現時点で、厚生労働省はワクチン接種後の死亡事例に関して、因果関係は認めておらず、「評価ができない」というあいまいな評価をしています。 ◆中長期的に不透明なワクチンのリスク しかし、196名の方が亡くなられたのは、厳然とした事実で、死亡事例以外にも、重篤な副反応として、障害が残ったり、入院が必要になるようなケースが報告されています。 また、重篤までいかなくても、37.5℃以上の高熱に苦しむ方はかなりの割合で、特に若い年代ほど、2人に1人は高熱の症状が出ると報告されています。 何より忘れてはならないことは、中長期的な視点です。 現在、国民を総動員しての、大規模治験中だとする専門家も多いのですが、理論的に安全性が示されていても、実際のデータは十分なく、中長期的にはどのような影響が出るかについての検証はまだ不十分です。 例えば、ワクチンを打つことで「抗体依存性感染増強(ADE)」によって、変異株に対する重症化のリスクが指摘されています。 ◆ワクチン接種による不妊症の懸念も? また「m-RNA」を封入する脂質ナノ粒子が卵巣に集積することによる「不妊症の懸念」を指摘する専門家もいましたが、これに対しては情報が錯綜しております。 日本産婦人科感染症学会、日本産科婦人科学会からは「COVID-19ワクチンは、現時点で妊婦に対して短期的安全性を示す情報が出つつあるが、中長期的な副反応や、胎児及び出生児への安全性に関しては、今後の情報収集が必要」とし、「接種する場合には、産婦人科医は被接種者に、十分に説明する」という指針が出されています。 若い世代は、この辺りを慎重に見極める必要があるかと思います。 更に、「ワクチンを打つことによって、自然免疫が弱まる」という指摘もあり、特定のウイルス感染を防ぐことはできても、それ以外の感染には弱くなってしまうなどと指摘されており、更なる検証が必要かと思います。 (後編につづく) 現代の「禁酒法」から飲食業界を守れ! 【後編】 2021.06.19 https://youtu.be/WUmB2EbzOOE (6月9日収録) 幸福実現党党首 釈量子 ◆行政による「飲食店潰し」は関連業界に波及する 行政によって血祭りにあげられたのが、飲食業界ですが、その倒産のウネリが、取引業者や関連業界にも波及しつつあります。 帝国データバンクによると、新型コロナの影響で倒産した企業数は昨年2月から6月15日までで累計1,606社に上り、そのうち16.5%にあたる265社が「飲食店」、次いで「建設・工事業」が156社となっています。 また、「飲食店や宿泊業の倒産に伴い、こうした業種から修繕や電気工事などを請け負っていた中小の事業者が連鎖的に倒産するケースが増えている。緊急事態宣言が再延長となれば、更なる増加につながる懸念もある」としています。 連鎖倒産が予想される業界は「建設・工事業」に止まりません。 実際に、飲食業界と密接な「飲食料品製造業」は-6.2%、「飲食料品卸売業」は-5%と大幅に減収し、氷やおしぼり業者なども大変な苦境に陥っているようです。 ◆中小企業の約3分の1が「過剰債務」に 飲食業界を中心に暗雲が立ち込めるなか、2021年4月度の全国の企業倒産件数は、50年間で「最少」を記録しています。 これは「実質無利子・無担保融資」など、緊急避難的な金融支援が、企業の資金繰りを一時的に緩和しているわけですが、今後計り知れない「副作用」につながる恐れも予想されます。 具体的には、企業の経営状態にこだわらない緩慢な貸出が横行したことで、経営側のモラルハザードを誘発してしまい、気が付いた時には「売上減少、借入増加」によって、本業での償還が難しい「過剰債務」に陥る企業が続出するという恐れが言われています。 東京商工リサーチが4月下旬に行った調査によると、実に法人の99.7%を占める中小企業の約3分の1がいま「過剰債務」にあるとされ、この夏を境に倒産が一気に増える展開が現実味を帯びてきていると分析しています。 ◆底をつきつつある「雇用調整助成金」 また、事業活動の縮小を余儀なくされた事業主に対し、従業員の雇用を維持することを目的に給付されている「雇用調整助成金」の財源も底をつきつつあるとも報じられています。 雇用調整助成金は特別会計の一つ、労働保険特別会計の中の「雇用安定資金」が財源にあたりますが、2019年度末には1.5兆円もあった資金が、2020年度末には864億円にまで一気に激減しています。 政府は21年の通常国会で臨時特例法を制定し、一般会計からの投入で雇調金の給付停止はひとまず回避されましたが、今後倒産企業が急増し、失業者が大量に出た場合、失業給付等に回るはず財源が枯渇しているという事態に直面する可能性も否めません。 実際、東京都の財政調整基金の残高は、19年度末9345億円もあったのに、20年度末には21億円と、約99.8%減少しています。 ◆いまこそ必要な「抵抗権」 考え方を転換すべき時が来ており、それが「抵抗権」です。 幸福実現党としては、前述の旭酒造の意見広告の主旨に全面的に賛成で、それ以外の業種でも、勇気をもって営業を継続する経営者の判断には、心からの声援を送りたいと思っています。 「お上に従順に従う」という姿勢は、一見、日本人的には美徳に見えますが、政府や自治体の言い分がエビデンスとして根拠に欠け、理不尽な命令を乱発している最中にあるわけです。 抵抗権とは「人民により信託された政府による権力の不当な行使に対して人民が抵抗する権利」とされ、17世紀イギリスの思想家ジョン・ロックの社会契約論でも認められた正統な権利であり、無秩序に暴徒化するのとは全くもって異なります。 自由に対する侵害に対しては、根本的な人間の生存権があるので、国の行政命令や、不当な法律に対して、「抵抗する」という努力もするべきです。 もはや、全ての業種の全ての損害を政府が請け負うことなど出来やしませんし、国家財政破綻は必定でしょう。 そして変異株の流行が続くことが予想されている以上、「自らの生活は自らで守る」という姿勢がどうしても必要となっているわけです。 そして、行政においては飲食店を血祭りにあげ、経済を破壊するのをやめて、一刻も早く「通常モード」に戻すべきでしょう。 現代の「禁酒法」から飲食業界を守れ! 【前編】 2021.06.18 https://youtu.be/WUmB2EbzOOE (6月9日収録) 幸福実現党党首 釈量子 ◆時短営業が「常態化」する飲食店 緊急事態宣言が6月20日まで再延長され、緊急事態がもはや「常態化」しています。 東京都においては、デパートや映画館などへの休業要請は緩和するものの、酒類やカラオケ設備を提供するような飲食店には休業要請を継続しています。 (※17日現在の報道では、東京都は緊急事態宣言が解除された場合、まん延防止等重点措置に移行し、飲食店に対しては営業時間を午後8時までに短縮するよう要請したうえで、酒を提供する場合には制限を設ける方向で調整中。) 首都圏1都3県で1月7日に緊急事態宣言が発出されて以降、なし崩し的に延長を重ね、時短営業の要請や酒類提供の大幅に制限されるなど、今年に入ってから飲食店が通常営業出来た日は実質的に「ゼロ」となります。 そうした無茶な要請を長期間行う一方、時短営業に協力する飲食店に払われる「感染拡大防止協力金」の支給に遅れが目立ち始めています。 首都圏の3月休業分(3/8~3/31)について、埼玉では9割以上が支払い済ですが、東京・神奈川・千葉では約半数が未払い(5月末時点)となり、1・2月の休業分すら、受け取っていない事業者も少なからずいるようです。 「これ以上は耐えられない」という飲食店経営者の憤懣と悲痛の思いは、至極真っ当な感情でしょう。 ◆意見広告が示す「感染経路」に関する不都合な真実 そんな中、「抵抗」する人々が現れております。 象徴的なのが、5月24日の日経新聞の全面広告で、日本酒『獺祭』で有名な山口県の蔵元「旭酒造」が「飲食店を守ることも日本の『いのち』を守ることにつながります」という意見広告を出したことでしょう。 *旭酒造ホームページに掲載 https://www.asahishuzo.ne.jp/news/info/004899.html 行政に対して「いったい感染経路として飲食店の割合はいかほどなのか?」と問いかけ、一例として「兵庫県の感染経路別患者数」が示されています。 これによると家庭52.1%、職場16.2%、福祉施設7.5%に対し、飲食店は僅か2.9%に留まっているようです。 首都圏からも、以前は出ていた感染経路別の割合が出ていたのですが、今はなぜか示されてはおりません。 47都道府県のうち6番目となる約4万人の感染者を出している兵庫県の母数規模から考えても、感染経路の割合が他県と比べて大幅に異なるということは、統計的に見てもないと思われます。 ◆現代の「禁酒法」で力を得ているのは誰か? 更に、意見広告には「一律20時閉店、酒提供の禁止、または19時ストップ」という時間規制こそ、逆に感染拡大を誘発する「密状態」を人為的に創り出しているのではないか」、という鋭い指摘もされており、その通りかと思います。 まさに、現代の「禁酒法」さながらといった感じでしょうか。 当時の米国では、酒類の製造から販売まで禁止されましたが、その裏で力をつけていったのが、アル・カポネに象徴されるようなマフィアでした。 現代日本においては、国民生活を犠牲にしてでも、有事における強いリーダーシップ像を演出し、支持率を高めたい政治家たち、特に東京都知事に代表されるような自治体のトップがそれにあたるのかもしれません。 ◆首長による「全体主義の練習」が不況を長期化させる 繰り返される緊急事態宣言、時短営業や酒類の提供禁止、大規模なワクチン接種推進など、「全ては東京オリンピック開催のため・・・」という方向で突き進んでいるのは確かです。 そして今回のオリンピックで、アスリートたちによる感動が余韻として残りながら、景気が回復していけば万々歳でしょう。 しかし、幸福実現党の大川隆法総裁は、6月8日に行われた法話『コロナ不況にどう立ち向かうか/Q&A』の中で「このコロナ不況は一過性のものではなく、2、3年で景気循環風に回復に向かってもとに戻ると思っている人が多いのですが、そうではない」「不況の循環風に終わることはない」という判断をされています。 しかも、今回の不況は、株大暴落や戦争などと異なり、政府ないしは地方自治体の長の宣言によるもので、「全体主義の練習」をしているに等しいと指摘されています。 都知事の命令で、一方的に特定の業種の営業が止められ、酒類の提供や、20時以降の営業禁止など、気が付くと瞬く間に、国民の基本的人権や、経済活動の自由が奪われました。 それが、適法手続きによるものではなく、「空気の支配」の中で、不況が深刻化していくという側面があるわけで、まさに「行政による不況」と表わすことが出来るでしょう。 (後編につづく) 日米台の半導体「中国包囲網」へ。日本復活のカギは?【後編】 2021.06.17 https://youtu.be/UT3GXmPe9kc (6月8日収録) 幸福実現党党首 釈量子 ◆「周回遅れ」にある日本の半導体産業 前編では、台湾、韓国、中国、アメリカの半導体事情を紹介しましたが、その中、日本のルネサスエレクトロニクスが40ナノで、日本企業がいかに立ち遅れているのかが分かります。 考えられるボトルネックとしては、先端工場の運営ノウハウが不足していることに加えて、「微細化」するほど、工場や製造装置の投資額が莫大になるので、本来は相当な利益を上げて、投資に回さなければいけません。 TSMCの利益や投資額を見てみますと、20年12月期売上約5兆円、純利益約2兆円で、トヨタの純利益が2.2兆円(21年3月期)とほぼ同じレベルとなっています。 また、21年の設備投資計画は最大約2.9兆円で、まるで国家予算かと思うほどの投資規模で、税金を使わずに、TSMCは民間企業としてこれだけの投資を行っています。 台湾経済への貢献は甚大で、採用が追いつかないほどの雇用を生み、台湾国内に工場を次々と新設していますが、これらの中には、2022年下半期に量産予定の3ナノ生産用の設備投資や新工場も含まれています。 現時点で、兆単位の設備投資に耐えられるのは、TSMC以外では、サムスンやインテルくらいです。 ◆先端工場誘致を進める米国 米国は現状をよく把握しており、中国に負けないためには、米軍の最新鋭戦闘機で先端半導体を使用しないといけませんし、米国内で生産できる体制を整える必要があります。 昨年、トランプ政権の時に、米政府はTSMCに働きかけ、アリゾナ州に1兆円~1.2兆円の5ナノ工場を建設するという誘致に成功し、今後、更にアリゾナ州に2.3兆円~2.5兆円の3ナノ工場の追加投資を検討しているとのことです。 TSMCの他には、サムスンが5ナノ、インテルが7ナノの先端工場を、米国内に建設予定で、バイデン政権はこうした企業を支援するために、米国内に工場や研究開発拠点を設ける企業に、5年間で4.3兆円の補助金を検討しています。 ◆TSMCにとって「経済合理性」が低い日本 では、日本はどうすべきでしょうか。 日本は約2000億円の支援基金で先端工場の誘致に動いていますが、如何せん、金額が見劣りする点、米国のようにアップルや軍需産業などの納品先が少ない点、人件費が高い点など、TSMCにとってはほぼ「経済合理性」がありません。 経済産業省は「TSMCが日本で実施する半導体の研究開発に5年間で190億円出す」と発表しましたが、これは、日本に先端工場を誘致したかったが、実現しなかったことを意味します。 TSMCにとって負担の少ない研究開発で折り合いをつけたと言えるかもしれません。 それを裏付けるように、今年1月のTSMC決算発表会で、モリス・チャン社長は「単独での日本進出も、合弁での進出もない」と話しました。 一方、4月下旬には、中国南京市のファウンドリーに新ラインを設置し、約3100億円を投資し、自動車向けの半導体(10ナノ以上)を増産するという発表がありました。 これらを見ると、TSMCは非常に「したたか」で、民間企業として「経済合理性に基づいて判断している」ということです。 一般的には、海外の半導体メーカーが日本に研究所を置く場合、実際の目的は、企業や大学研究室からの「最先端技術情報」の収集や、優秀な技術者のリクルートにあって、ボランティア精神で、日本に貢献しようとはあまり考えていないのが実情です。 ◆製造装置と素材は日本の「強み」 そこで、改めて着目したいのが日本の強みであり、半導体の設計・製造を側面から支える「製造装置メーカー」としては、世界最強で、2020年のトップ15社のうち、7社が日本企業です。 他にも、シリコンウエハーなど「素材」の分野も大きな強みで、こうした日本企業がなければ、TSMCも先端半導体を作ることができません。 まず、こうした技術を死守することが大事です。 中国は日本の技術を常に狙っており、TSMCとの共同研究を行って、気づいたら、日本が身ぐるみはがされていたとならないように注意が必要です。 ◆国内の生産体制を構築し、地方に雇用創出を また、米国は製造装置メーカーから先端工場まで、国内で一貫して生産できるように誘致を進めています。 日本の素材・製造装置メーカーが開発拠点を米国に移転したら、日本が空洞化する可能性もあります。 半導体は「産業のコメ」と言われ、製造業の基盤になっているので、おろそかにできませんし、安全保障の問題にも直結します。 脱中国、日米台の連携を深めることも大事ですが、製造装置や素材など、日本の強みで、国内の生産基盤を死守しながら、雇用を生むことを考えて、国内に半導体の先端工場を作るべく努力すべきだと思います。 政府もなんとかしないといけないという危機感はあるようですが、一刻も早く付加価値の高い製造業で雇用増大を図り、地方に工場を建設し、地方の活性化を目指すべきだと思います。 ~・~・~・~・~・~・~ 幸福実現党の最新情報が届く「機関紙愛読者(党友)」にも、ぜひお申込み下さい!! https://hr-party.jp/newspaper/application/ ※配信頻度:毎月2回程度 日米台の半導体「中国包囲網」へ。日本復活のカギは?【前編】 2021.06.16 https://youtu.be/UT3GXmPe9kc (6月8日収録) 幸福実現党党首 釈量子 ◆日本の半導体が敗れた理由 政府は6月2日、今月決める成長戦略の原案を公表し、半導体産業を成長戦略の中核に据えることを明らかにしました。 背景には、「半導体はもはや食料やエネルギーと同じ戦略物資だ」という考え方があります。 現在、日本や米国は、特に「最先端の半導体」については、台湾のTSMCに依存している状況です。 もし台湾が中国による軍事侵攻を受け、半導体供給網が断たれてしまったら、世界経済は大混乱に陥ってしまうという危機感から、世界で国内に製造拠点を確保しようという流れがきています。 ◆「ジャパン・アズ・ナンバーワン」の80年代 「ジャパン・アズ・ナンバーワン」と呼ばれていた80年代後半、日本の半導体産業は世界シェア1位(1988年:50.3%)でした。 半導体の売上高は年々増え、今後も伸び続けていくことは間違いありませんが、日本企業のシェアは88年の50.3%をピークに下がり続け、2019年には僅か10%にまで低迷しています。 将来的には、シェア0%になる可能性もあるとされます。 また、1992年と2019年の企業別の売上ランキングを比較すると、1992年は10社中6社が日本企業で、2019年は1社のみがランクインしています。 ◆半導体産業の凋落の背後にある米国 「なぜ日本の半導体は凋落したのか?」といえば、幾つかの要因が挙げられます。 一つ目は、1986年に結んだ「日米半導体協定」です。 80年代後半、日本の半導体がシェアを伸ばし、米国は脅威を感じて圧力をかけました。 例えば、「ダンピング防止」という理由で「米国が決めた公正価格」を下回ったら、ダンピングと見なされました。 この協定によって、日本企業は価格決定権を奪われてしまったわけです。 また、当時の日本国内の半導体市場は、9割以上が日本製の半導体が占めており、これに対し、米国は「日本は鎖国している」と批判し、「開国」を迫りました。 その結果、91年に締結された「新日米半導体協定」では、日本国内における海外半導体のシェアを20%以上に高めないとダメだという文言が盛り込まれ、相当エネルギーを割かれました。 その後、1996年にこの協定は解消されましたが、こうした日本の扱われ方をみて、「第二の敗戦だった」と言う方もいます。 ◆金融政策のミスリードで苦境に陥った半導体産業 二つ目としては、「円高」の影響が挙げられ、1985年の「プラザ合意」以降、日本の円高傾向が続き、半導体の輸出には相当なダメージを与えました。 例えば、99年に日立やNECの事業再編から生まれた「エルピーダメモリ」という会社が2012年に倒産、米国の会社に吸収合併され、当時の社長は「(リーマンショック前と比べ)韓国のウォンと比較して70%も円高になった。企業努力ではカバーしきれない」と悔しそうに記者会見で語っていたのが印象的です。 このように、当時の金融政策が円高を生み、日本企業を守れなかった側面もあるように思います。 他にも、「企業の問題としてマーケティング力が弱く、日本の技術力を活かせなかった」という要因も挙げられるでしょう。 これらの要因が重なって、日本企業の勢いは一気に衰退しますが、それと反比例するかのように、韓国のサムスンや台湾のTSMCなどがシェアを伸ばしてきました。 さらに、最近では、中国が半導体を自前で製造できるように、巨額の投資を行って追い上げています。 ◆微細化を巡る熾烈な技術競争 現在行われている半導体戦争のキーワードは「微細化」です。 半導体の性能は1ナノメートル単位の回路幅で表され、幅が狭いほど、処理能力が高くなり、消費電力が低くなります。 現在、最先端の半導体を製造しているのは、TSMCとサムスンで、回路幅は5ナノです。次に、インテルが10ナノで、あのインテルが全力を尽くしても、TSMCの5ナノに追いつくことができません。 TSMCは2022年に3ナノ量産を予定しており、いま圧倒的に独走中なのがわかります。 なお、3ナノというのは「3秒間で伸びる髪の毛の長さ」と同等で、いまの半導体の驚異的な微細レベルがよく分かります。 中国のSMICが14ナノで、TSMCの技術力と比較すると、SMICは4~5年遅れていると言われています。 また、米国の輸出規制により、TSMCがSMICなどに対して、10ナノ以下の「先端半導体」は輸出できないことになっています。 (つづく) 六四天安門事件から32年、日本政府は中国に民主化を促すべき(党声明) 2021.06.05 ※6月5日、下記の党声明を発信致しましたのでお知らせいたします。 ■六四天安門事件から32年、日本政府は中国に民主化を促すべき(党声明) https://info.hr-party.jp/press-release/2021/11795/ 令和3年6月5日 幸福実現党 昨日6月4日、中国で民主化運動が武力鎮圧された「六四天安門事件」が発生して、32年となりました。 中国政府はこれまで、同事件に対して厳格な情報管制を敷いてきたことから、中国国内では事件を知らない、あるいは信じていないという若者が増えてきています。暴力行為により自由を抑圧するという、中国政府の体制を象徴しているこの事件を風化させることなど、決してあってはなりません。 現在、中国は、“コロナパンデミック”の責任を省みることなく、香港やウイグルでの人権の蹂躙や、軍事力を背景とした台湾への威嚇、沖縄県・尖閣諸島周辺への侵入などを続けており、中国の暴力的な行為は深刻さを増しています。来月23日には、中国共産党の結成から100年となりますが、これを機に中国は今後、覇権主義を一層強めかねません。 欧米諸国が、ウイグルや香港での人権侵害をエスカレートさせる中国に対する経済制裁を実施しているなか、日本政府は中国に配慮する姿勢を続け、制裁を見送っています。 日本はかつて、六四天安門事件を起こして国際的に孤立した中国政府を擁護する姿勢を示しましたが、その結果、中国の覇権主義を招きました。日本は今、当時の政治判断の誤りを認め、中国に対する姿勢を改めるべきです。また、当時の武力弾圧などについて「完全に正しかった」と述べる中国政府に対して、真摯なる反省を促し、事件の実態を公表させることで、被害者の名誉回復を図るべきです。 中国の民主化が実現し、中国国内の人々を全体主義から解放することが、中国にとっての希望、新しい時代の到来であると考えます。自由・民主・信仰といった価値観があまねく広がる世界を目指し、幸福実現党は今後も活動を続けてまいる所存です。 以上 トランプ再始動!バイデン外交で戦争勃発!? 2021.06.02 https://youtu.be/e7V27w_oSMc (5月18日収録) 幸福実現党党首 釈量子 ◆トランプのもとで共和党一枚岩に! 5月14日、アメリカ共和党の下院議員団はトランプ大統領と対立していた下院ナンバー3の共和党会議議長リズ・チェイニー氏に代わり、親トランプ派のエリス・ステファニク氏を選出しました。 ステファニク氏は、ハーバード大学出身のエリートで、若干30歳の時に史上最年少で選出された若手政治家です。 ステファニク氏は記者会見で、「私はトランプ大統領を支持する。彼は共和党の重要な代弁者で、一緒に仕事をするのを楽しみにしている」と話しました。 トランプ氏も、「圧倒的な大勝利だ。これで下院共和党は結束した」と歓迎する声明を発表しました。 これで、共和党がトランプ大統領のもとで一枚岩になり、2022年の中間選挙を戦うことになったわけです。 ◆2024年大統領選、トランプ出馬!? トランプの存在感を示す出来事は、他にもあります。4月10日、共和党全国委員会がフロリダ州パームビーチで春の幹部集会を開催しました。 共和党の連邦議員、州知事、有力市長、大口献金者など数百人が集まって、今後の活動方針を話し合いました。この集会にトランプ氏は特別ゲストとして招かれました。 参加者から漏れ伝わってきた内容によると、次期大統領候補のニッキ―・ヘイリー氏の発言が注目に値します。 ヘイリー氏はトランプ政権で国連大使として活躍したインド系の女性政治家ですが、次のように述べています。 「私は次回の大統領選で民主党候補と戦う意欲は十分にあるが、トランプ前大統領が出馬する場合には競争はせず、彼の支援に回ります。」 この話を聞くと、共和党の幹部たちは、2024年の次期大統領選にトランプ氏が出馬することをある程度容認していることがわかります。 ◆バイデン外交で高まる戦争リスク バイデン政権はトランプ政権の対中強硬路線を踏襲していると言われていますが、「似て非なるもの」だと言えます。 (1)対中外交 3月18日、アラスカで行われた米中会談では、中国の外交担当・楊潔篪(ようけつち)氏が自国の人権弾圧を棚に上げ、米国の「ブラック・ライブス・マター」の問題を激しく非難しました。 3月下旬、FOXテレビのインタビューを受け、トランプ氏は「米国側は交渉の場から立ち去るべきだった」「もし同じことをしていたら、私は対中関税を2倍に上げていただろう」と答えています。 トランプ政権は、オバマの対話路線が中国を助長させたと考え、巨大な軍事力を背景に相手国に譲歩させる「力による平和」を実現しようとしたわけです。 しかし、5月4日、対アジア、対中政策を決めるキーパーソン、インド太平洋調整官カート・キャンベル氏は「ウォール・ストリート・ジャーナル」が主催したシンポジウムで次のような演説を行いました。 「バイデン政権の対中政策は、オバマ大統領とトランプ大統領のそれぞれの中国に対する政策の混合形態であるが矛盾もある。私たちは、中国と共通の懸念を抱く課題について、中国と協力できる分野に関心を高めている。」 バイデン大統領をはじめ、キャンベル氏やブリンケン国務長官、サリバン大統領補佐官など、外交分野のキーパーソンは全てオバマ政権にいた方々です。 オバマとトランプの混合形態と言っていますが、オバマ時代に逆戻りしています。 (2)北朝鮮問題 トランプ氏は最近、「FROM THE DESK OF DONALD J. TRUMP」という公式サイトを立ち上げました。 4月23日、トランプ氏は、朝鮮半島問題を取り上げ、「北朝鮮の金正恩氏は韓国の文在寅大統領を全く尊敬していなかった。私が北朝鮮による韓国侵攻を止める役割を担った」と書いています。 トランプ氏が金正恩氏と会談した後は、北朝鮮のミサイル発射は一度もありません。トランプ氏による「力による平和」が実現されていたのです。 しかし、バイデン政権に代わった後、日本海に向けて弾道ミサイルを2発発射しました。 バイデン大統領は「人権外交」を掲げており、北朝鮮との折り合いをつけるのは難しいと思います。 (3)イスラエルVSハマス 現在、イスラエル軍とイスラム原理主義組織ハマスの交戦が続いています。 これについても、5月11日、トランプ氏は、「私の平和な大統領時代には、イスラエルの敵方は、もしイスラエルが攻撃を受ければ、即座に米軍の報復を受けることをわかっていた」「バイデンのイスラエルに対する支援不足が、ハマスによる新たな攻撃を許してしまった」と述べています。 バイデン政権は4月、トランプ政権が停止していたパレスチナ支援を再開しました。そのため、5月10日に始まったイスラエルとハマスの交戦が始まってからも、バイデン大統領は積極的な発言を控えてきました。 15日になって、バイデン大統領はイスラエルのネタニヤフ首相、パレスチナ自治政府トップのアッバス議長と電話会談を続けて行ったのも、より中立的な立場から調停したいという思惑があったからだと思います。 このように、バイデン政権は対立を避け、中立的な立場からバランス外交を大事にしていますが、かえって紛争の火種を撒いています。 共和党より、民主党の時代の方が、戦争が多くなると言われますが、その通りになってきました。 台湾やウクライナにも、紛争の火種があります。 トランプの発言をチェックしていくことで、バイデン外交の弱点が見えてきますが、今後も、ウォッチしていきたいと思います。 ~・~・~・~・~・~・~ 幸福実現党の最新情報が届く「機関紙愛読者(党友)」にも、ぜひお申込み下さい!! https://hr-party.jp/newspaper/application/ ※配信頻度:毎月2回程度 すべてを表示する