Home/ 2018年 January 2018年 January 新刊『あなたも使いこなせるトランプ流勝利の方程式』(及川幸久著)のご紹介 2018.01.27 新刊『あなたも使いこなせるトランプ流勝利の方程式』(及川幸久著)のご紹介 幸福実現党・外務局長 及川幸久 ◆アメリカの株価が上がっている本当の理由とは アメリカで株価が史上最高値を更新し続けています。 その原因は、昨年末にアメリカ議会で可決された「史上最大の税制改革」です。これを成し遂げたのが、トランプ大統領です。 トランプ大統領は、一年前に大統領就任以来、さまざまな非難を浴び続け、歴代大統領で最低の支持率と言われて来ました。 フォックスニュースの最新の世論調査では、トランプ大統領の仕事に「賛成する」は45%、「賛成できない」は53%です。 しかし、経済政策については、「賛成する」が51%、「賛成できない」は41%なのです。「トランプは嫌いだけど、経済は良くなった」という声が多いのです。 では、経済政策に成功した理由は何だったのでしょうか? それは、トランプ大統領が不動産会社の社長時代から持っている「考え方」にあります。 トランプ大統領は自分自身の「考え方」を英語で「フォーミュラ formula」と呼んでいます。自動車レースのF-1のフォーミュラです。トランプ大統領はこの言葉を頻繁に使います。 そこで、私はこのフォーミュラを「勝利の方程式」と訳しました。そして、トランプ大統領の「考え方」を一冊の本にまとめてみました。 その本が、『あなたも使いこなせるトランプ流勝利の方程式――考え方には力がある』(幸福実現党発行)です。 ■新刊『あなたも使いこなせるトランプ流勝利の方程式』 及川幸久著 https://www.amazon.co.jp/o/ASIN/4863959680/liberty0b-22 ◆トランプがエルサレム を首都に認めた理由とは 例えば、昨年12月世界中で大騒ぎになったのが、トランプ大統領がエルサレムをイスラエルの首都と認めたことでした。 歴代のアメリカ大統領は、エルサレムを奪い合っているイスラエルとパレスチナの仲裁役として、どちらの側にも立たないことを基本政策でした。 ところが、トランプ大統領がイスラエルの側に立ったので、マスコミは一斉に「トランプがユダヤ系の支援者から資金をもらっているからだ」と非難しました。 各国の首脳もトランプ大統領の発表に反対し、国連は反対の決議をしました。 しかし、トランプ大統領がエルサレムを首都と認めた理由は、これまでの国際社会や歴代のアメリカ大統領と根本的な考え方が違っていたのです。 ここでも、トランプ大統領は「考え方(フォーミュラ)」という言葉を使っています。 「私は大統領に就任した時に、(イスラエル・パレスチナ問題という)世界の難問に対して、新しい考え方で見直すと約束しました。私たちは、こういう問題に対して、過去既に失敗した考え方や戦略を繰り返しがちですが、それでは解決できません。」 「エルサレム問題」は、世界中が数ある国際政治の難問の中でも、最も解決が難しいと言われているものです。 その問題を歴代のアメリカ大統領は解決できずに来ました。なぜか?「考え方」が間違っていたからです。 過去のアメリカ大統領は口では「解決に取り組む」と言いながら、同じ方法を20年以上続けて、 その結果は平和的解決どころか、暗礁に乗り上げています。 しかし、トランプ大統領はエルサレムをイスラエルの首都に認定することで、イスラエルの側に立ったのではなく、考え方、フォーミュラを変えようとしているのです。 新しいフォーミュラとは、「国家主権を第一に考える」ということです。 ◆主権国家を第一に考える 「イスラエルは、他の国と同じように、主権国家だ。主権国家は首都を自分で決める権利がある」とトランプ大統領は述べています。 「アメリカ・ファースト」として、アメリカの主権を第一に考えるのと同じように、イスラエルの主権も認める。 パレスチナはまだ主権国家になっていませんが、そうなったときには、パレスチナの主権も認める。トランプ大統領は、この「主権」という考え方を基軸として、エルサレム問題に新しいアプローチをかけようとしているのです。 『トランプ流勝利の方程式』として、この「国家主権」というフォーミュラを含めて、5つの「方程式」を紹介しています。 トランプ大統領の「勝利の方程式」を、もしも多くの人が使うようになると、世の中は変わると私は思うのです。 なぜなら、トランプの考え方は、意外に思うでしょうが、自分の成功だけでなく国の繁栄を願っているからです。 ◆考え方には力がある サブタイトルにある、「考え方には力がある」とは、大川隆法・幸福の科学総裁の言葉です。 考え方によって、成功も失敗も決まる。過去に失敗したのであれば、あきらめずに、まずは自分の考え方を見直してみる。そこに失敗の原因があるはず。そして、勝利の方程式に入れ替える。 そうやって自分の考え方を変えれば、自分の人生も変わる。 それは、会社の経営も、国家の運営も同じはずです。 問題は、心の中のフォーミュラ。だから、トランプが会社経営に成功し、大統領にまで上り詰めたのは、勝利の方程式を持っていたからです。 その方程式をアメリカ国民に示して、国家を繁栄させようとしているのが、トランプの本当の戦略なのです。 その方程式は、あなたも使いこなせるはず。なぜなら、考え方には力があるから。 ■新刊『あなたも使いこなせるトランプ流勝利の方程式』 及川幸久著 https://www.amazon.co.jp/o/ASIN/4863959680/liberty0b-22 軍事だけではない、台湾の主権弱体化を狙う中国の外交戦略 2018.01.25 軍事だけではない、台湾の主権弱体化を狙う中国の外交戦略 幸福実現党・政調会外交部会 副部会長 彦川太志(情報分析担当) 前回、オリンピック開催に向けた南北対話の背後で進行する「台湾危機」について報告しましたが、今回は軍事面だけでなく外交面でも台湾に対する圧力が強まっていたことを紹介したいと思います。 ◆中国に圧迫される台湾の「空の境界」 空母「遼寧」が台湾海峡を通過した4日、中国民用航空局は台湾海峡の「中台境界線」付近に設定していた航空路線、「M503航路」の運行開始を一方的に通達しました。(※1 「M503航路」問題とは、日本にとっての「日中中間線・ガス田問題」の空路版とも言える問題で、中国政府による一方的な運行開始宣言は台湾社会に大きな衝撃を与えました。 ◆「M503航路」問題とは:中国の一方的な民用空路の設定 「M503航路」とは、台湾海峡上の「中台境界線」よりやや大陸側に設定されたエアラインのことで、2015年に中国政府が一方的に設定を通知しました。 当時、中国側は「M503航路」設定の理由として、既存の航空路線(A470)の混雑緩和のためと主張しましたが、台湾政府は新たに設定された「M503路線」が中台境界線からわずか7.8㎞(最接近部分)の位置に設定されたことから、強い反発を表明していました。 その後、「M503航路」は中台当局間の協議によって「南下路線」の運行のみ合意されましたが、中国政府は今年に入って突如、台湾政府との協議なしに一方的に「北上路線」の運行開始を決定した上、同航路から大陸への「3本の支線」開通をも通知してきたのです。(※2 ◆何が問題なのか:台湾の防空体制が脆弱になり、主権が損なわれる この「M503航路」の危険性は何かというと、路線の位置があまりにも「中台境界線」に接近しすぎているため、中国側の「民間旅客機」が「中台境界線」を超えて台湾側の空域に侵入してしまう可能性があることです。 当該区域には台湾空軍の防空識別圏が設定されていますので、台湾海峡を飛行する航空機が「民間機なのか中国軍機なのか」を短時間で判別しなければならず、台湾の安全保障にとって重大な影響を与えてしまうことが懸念されています。 具体的事例として、淡江大学(台湾)の蘇紫雲氏はソ連軍機による大韓航空機撃墜事件(1983年)、米艦によるイラン旅客機撃墜事件(1988年)のような形で、「台湾軍機が中国民間機を誤射してしまう」可能性が高まるだけでなく、イスラエルによるイラン原子炉への攻撃のような「民間航空路線を利用した奇襲攻撃」の可能性にさえ言及しています。(※3 放置すれば国家主権を浸食されかねない重大な問題であることを見抜いた台湾政府は、22日現在、中国側の一方的な「M503航路」運行通告に反発し、同航路を使用する中国の航空便に対して、春節の臨時便運行申請を当面認めないとの対抗措置を採っています。(※4 ◆米の外交的支援と中国の反発 このような台湾危機が進行する中、米国下院議会は1月10日、米台間の政府高官の交流や、台湾のWTOオブザーバー復帰に道を拓く内容が含まれている「台湾旅行法」を全会一致で通過させました。(※5 同法案が成立するには上院での審議と大統領による署名を待つ必要がありますが、同法案の下院通過に対して中国政府は強く反発し、3日後の13日にはチベットや台湾を「国」扱いする企業に謝罪を求めると言った行動に出ていることから、外交面での静かな応酬が続いていたことが伺えるのではないでしょうか。(※6 ◆中国政府は「M503航路」の運用を停止し、台湾との協議に応じるべき 中国による「M503航路」の一方的な運行開始は、台湾海峡と両岸政府の現状を力によって変更しようとする試み以外の何物でもありません。中国政府は、地域の安定を損なう「M503航路」の運行を直ちに停止し、台湾政府との協議に応じるべきです。 また、中国は統計上世界第2位の大国であると自称していますが、今回の様な経済的手段によって他国の主権を骨抜きにしようとする行為には国家としての品格のかけらも感じられません。 日本は、中国の経済覇権から台湾やアジア太平洋の国々を守るためにも、大胆な減税をいち早く実現し、「自由からの繁栄」をもたらす経済大国としての使命を果たすべきであると考えます。 <参考> ※1)2018年1月4日 中国民用航空局「M503航線北上運行及相関啣接航線于1月4日啓用」 ※2)2018年1月5日 自由亜州電台「台湾抗議中国航机使用M503航線 批評大陸有不当企図」 ※3)2018年1月09日 大紀元「M503航線沖撃台湾国安 学者:2 招換談判籌碼」 ※4)2018年1月22日 フォーカス台湾「大陸2社の春節臨時便認めず」 ※5)2018年1月11日 Taipei Times 「US House passes Taiwan Travel Act」 ※6)2018年1月13日 解放軍報「美国打『台湾牌』注定失敗」 朝鮮半島「南北対話」の陰で緊張高まる第一列島線 2018.01.17 朝鮮半島「南北対話」の陰で緊張高まる第一列島線 幸福実現党・政調会外交部会 副部会長 彦川太志(情報分析担当) 朝鮮半島でのオリンピック開催を目前に控え、南北会談の進展に注目が集まっていますが、その背後では密かに「台湾危機」が進行しています。 今回のHRPニュースでは、年明けから15日頃までの米中の動きを中心に報告したいと思います。 ◆1月4日、空母「遼寧」が台湾海峡を通過 まず南北会談の開催が現実味を帯びた1月4日、空母「遼寧」を含む中国艦隊が台湾海峡を通過したことが報じられました。 中国の環球時報によれば、「遼寧」は台湾海峡への進入に先立つ1月2日、東海艦隊の蘭州級フリゲート二隻と青島南方で「重大軍事活動」を実施したばかりとのことであり、直後の台湾海峡通過によって台湾政府に圧力を加える意図があったことは明らかでしょう。(※1) ◆1月11日、「台湾包囲」能力を誇示した中国原潜 次いで1月11日、今度は日本の尖閣諸島接続水域に中国海軍の潜水艦が潜航したまま侵入したほか、同じく中国海軍のフリゲート艦2隻が同接続水域に侵入するという事案が発生しました。 この潜水艦は翌12日、中国国旗を掲げて浮上航行している姿が発見されています。(※2) 潜水艦を含む中国艦艇の行動については、尖閣諸島の実効支配を既成事実化する意図があることは明らかですが、後に中国メディアが流布した報道を見ると、「台湾問題と連動して尖閣危機が発生している」関係性が見えてきます。 中国大手メディアの新浪の報道では、尖閣諸島接続水域に侵入した潜水艦は各種巡航ミサイルの運用が可能な「商」級攻撃型原潜(093B型)であり、バシー海峡から西太平洋に進出したのち、数十日間の任務に就いた帰路に宮古海峡を通過。その後「あえて」同接続水域で発見されたという観点を強調しています。(※3) つまり、尖閣沖に現われた中国原潜は台湾を包囲するルートを航行した帰路、尖閣諸島に出現したのです。 また、記事では潜水艦の行動について「巡航ミサイルによる対艦・対地打撃力を持った攻撃型原潜を第一列島線沿いに展開させていることを示す意図があった」との趣旨を指摘しており、日本側の関心も高い尖閣諸島を選んで「出現」したことが見えてきます。 これらのことから、現代の「尖閣危機」は「台湾危機」と連動した問題であることが浮き彫りになります。 日本は尖閣諸島を守るためにも台湾問題にコミットし、アジアの自由と民主主義を守る覚悟を示さなければならないと言えるでしょう。 ◆米朝開戦で中国は台湾を「人質」にする可能性がある 最後に、中国はなぜこのタイミングで台湾を包囲するようなプレッシャーを加えたのか、分析してみたいと思います。 結論から言えば、私見ではありますが、中国は海空軍による「台湾包囲」能力を誇示することで、朝鮮半島有事が発生した場合、台湾を「人質」にする用意があるという警告を米国に発したものと思われます。 トランプ政権誕生以来、米中は台湾を巡る外交戦を展開していますが、特に軍事協力や政府間交流を再開する動き(※4,5)が進展する一方、軍事的にもB-2戦略爆撃機のグアム島配備やF-35の搭載機能等を付加した強襲揚陸艦「ワスプ」佐世保に配備するなど、プレゼンスの強化にも取り組んでいます。 そして13日付の解放軍報では、「アメリカの『台湾カード』は必ず失敗する」という批判記事が掲載され、「台湾問題は中国の主権と領土問題に関わり、中国の核心的利益に及び、中米関係の中で最も重要で最も敏感な核心問題だ」として、米国に「内政干渉はやめろ」と強い主張を展開しているのです。(※6) ◆国防強化で「アジアの自由と平和」を守れ! 以上のことから、北朝鮮の核開発・ミサイル問題は決して朝鮮半島に止まるものではなく、台湾や尖閣諸島をも巻き込んだ中国の軍事的覇権拡張の問題とも関連していることが見えてくるのではないでしょうか。 トランプ政権が台湾防衛にコミットする覚悟を示す以上、日本もこれを強力に支援すべきです。 平昌オリンピック開催が目前に迫る中ではありますが、日本政府は気を緩めることなく有事の自国民保護に万全の措置を尽くすと共に、アジアの自由と平和の防波堤となるべく、粛々と防衛力の強化に取り組んでいくべきであると考えます。 <参考記事> ※1)2018年1月5日 環球時報「台媒:辽宁舰4日深夜穿越台湾海峡并未“绕台”」 ※2)2018年1月12日 産経新聞「尖閣接続水域の潜没潜水艦は中国籍」 ※3)2018年1月15日 新浪「解放军核潜艇也开始绕台:093B突现身发出两大信号」 ※4)2017年12月14日Taipei Times「Taiwan thanks US over defense act」 ※5)2018年1月11日 Taipei Times「US House passes Taiwan Travel Act」 ※6)2018年1月13日 解放軍報「美国打『台湾牌』注定失败」 ◎携帯・スマホの機種により、<参考記事>の中で「簡体字」が文字化けしている場合があります。 その際は、下記よりご覧ください。 http://hrp-newsfile.jp/2018/3323/ 「分断」と「反日連合の形成」を狙う北朝鮮・2018年朝鮮半島情勢 2018.01.10 「分断」と「反日連合の形成」を狙う北朝鮮・2018年朝鮮半島情勢 幸福実現党・政調会外交部会 副部会長 彦川太志(情報分析担当) ◆「北」から始まった2018年 2018年は北朝鮮の核ICBM保有宣言から始まり、平昌オリンピックに向けた南北会談の実施と米韓軍事演習の停止、さらには韓国政府による事実上の「日韓合意」見直しの発出が続く、騒々しい年明けとなりました。 今回は、朝鮮半島を巡る情勢ついて整理しつつ、今後の展開を予想してみたいと思います。 ◆金正恩の新年演説に見る、「日米韓分断」の意図 まず1月1日、北朝鮮は金正恩の新年演説の中で、核ICBMによる対米核抑止の完成を宣言すると共に、2018年平昌オリンピックへの代表団派遣を含む「南北対話の再開」に言及し、朝鮮半島情勢の緊張緩和を呼びかけました。 韓国の文大統領はこのような北の呼びかけに対してすかさず「歓迎」の意を表明し、トランプ米大統領から「オリンピック期間中の軍事演習停止」の同意を取り付けたことで、停戦ライン上の「板門店」での南北会談開催が実現しました。 このような一連の動きの発端となった金正恩の新年演説を改めて振り返ると、昨年と一転して対話姿勢に転じた北朝鮮の意図が見えてきます。 金正恩の新年演説は、「核ICBMの完成」による対米核抑止力の保有を宣言したうえで、韓国に対して緊張の緩和を呼びかける形となっており、そこには「朝鮮半島の統一に諸外国を介入させない」と言う強い意思、言い換えれば「日米韓軍事協力の分断」に焦点を合わせた心理戦の開始を予告する意図が読み取れます。 元々、年末年始に弾道ミサイル発射の兆候が報じられる状況下での「対話」の提示であった事から、北朝鮮は文政権に対して「対話に応じるか、それとも平昌オリンピックを危機に晒すか」と言う選択を迫っていたものと考えられます。 ◆17年中から兆候が見られた、「反日」路線への韓国の転身 一方で、南北会談が行われた同日、韓国外相がいわゆる「従軍慰安婦問題」に関する「日韓合意」について、日本側からの「自主的な見直し」の要求とも取れる声明を発出した事で、「反日」を南北関係の改善の足掛かりにしようと考える文政権の意図が浮き彫りとなりました。 「日韓合意」を巡る問題について、文大統領は12月28日、「『日韓合意』に重大な誤りがあった」と発言する一方、竹島周辺で韓国軍による「『独島』防衛演習」を2日間実施させるという怪しげな動きをしています。 さらに遡れば、12月13日、わざわざ中国政府が主催する「南京大虐殺記念日」の式典に合わせて訪中し、翌14日に習近平国家主席との中韓首脳会談に臨んでいます。 中韓首脳会談において、文大統領は「南京大虐殺の犠牲者への哀悼」を表明する一方、習主席から「朝鮮半島で戦争を発生させる事は容認できず、半島問題は対話と協議を通して解決されるべき」であること、そして「南北対話の開催による関係改善を継続して支持する」という中国の立場を念押しされているのです。 12月上旬に米軍との大規模軍事演習に参加したかと思えば、あっという間に「反日」に身を転じていた文大統領の変わり身の早さには呆れるばかりですが、平昌オリンピックに向けた南北対話路線が、「反日」を足掛かりとして発展する事の無いよう、警戒するべきだと言えるでしょう。 ◆南北「電撃」首脳会談の可能性も?北の対話戦略を分析する これは私見ですが、北朝鮮が対話姿勢に転じた目的の一つとして、「南北関係の雪解け」を韓国国民や世界の人々に印象付ける事で、「南北関係が改善するなら、北への軍事的圧力など不要ではないか。在韓米軍も撤退して良いのではないか」と言う世論を巻き起こす事を狙っているのではないでしょうか。 実際、金正恩は新年演説の冒頭、「私の新年演説は、国家の再統合のために戦う韓国や国外の同胞に対しても向けられている」と発言しています。 南北の「雪解け」を世界にアピールし、トランプ政権による軍事的圧力の強化を困難にさせる有効打になるのであれば、平昌オリンピックに金正恩自ら参し、文大統領と「南北電撃会談」さえ挙行する用意があるかもしれません。 ◆中朝韓「反日連合」の形成を警戒しつつ、日本をリーダー国家へと飛躍させよう! その時、「反日」を軸に中・朝・韓が結託する事にでもなれば、それは悪夢のシナリオです。折しも、2019年には天皇陛下の退位、そして2020年からは日本の歴史が矮小化された新・学習指導要領の実施が控えています。 そのような時代の端境期にあって、改めて「日本の国体とは何か」を巡る論争が起こるであろうことは想像に難くありません。 2018年、日本は米国と共に北朝鮮の核に対する抑止力をしっかりと強化しつつ、「神仏の加護を受け、偉大な霊性の文化が花開いた大和の国」としての誇りを取り戻し、アジアを経済的にも文化的にも照らしていくリーダー国家として、飛躍を遂げる事が重要と考えます。 <参考資料> 2018年1月1日 KCNA:Kim Jong Un Makes New Year Address 2018年1月1日 聯合通信:N.K. may demand S. Korea lift sanctions in return for Olympics participation: report. 2018年1月4日 Whtitehouse:Readout of President Donald J. Trump’s Call with President Moon Jae-In of the Republic of Korea 2018年1月4日 青瓦台:The President and U.S. President Donald Trump Agree to Postpone Planned Joint Military Exercises 2017年12月28日 聯合通信:S. Korea starts 2-day Dokdo defense exercise 2017年12月14日 中国外交部:习近平同韩国总统文在寅举行会谈 2018年1月5日 環球時報:社评:半岛双暂停初现,会是昙花一现吗 2018年1月9日 時事ドットコム:韓国外相発表要旨 2018年1月9日 聯合通信:(3rd LD) N. Korea offers to send high-level delegation to PyeongChang 国家ビジョンの策定に向けて――(1)「将来不安」を根本的に払しょくするための成長戦略を 2018.01.07 幸福実現党政務調査会・成長戦略部会部会長・HS政経塾4期卒塾生 西邑拓真 ◆はじめに 1月8日は、成人の日です。 新たに成人の日を迎える皆様に、心よりお祝い申し上げます。 大切に育てていただいたご両親へのご恩を胸に、新成人の皆さんが、これから社会人として大きく飛躍されることを、心からお祈りしております。 ◆「アベノミクス景気」に実感はあるか 昨年12月、第二次安倍政権の発足から5年が経過しました。 政権発足時に始まった景気の回復基調の長さは、昨年9月に58カ月となり、戦後2位の「いざなぎ景気(65年11月~70年7月)」越えを果たしています。 しかし、「アベノミクス景気」に生活実感が伴っていると言えるのでしょうか。 平成28年の「国民生活基礎調査(厚生労働省)」によると、生活意識について全世帯のうちの57.2%と半数以上が「大変苦しい」または「やや苦しい」と答えており、昨年10月の実質賃金(「毎月勤労統計調査(厚生労働省)」)は前年同月比-マイナス0.1%を記録しています。 一部では「結婚はぜいたく品だ」とも言われるようになりましたが、こうした傾向は、少子高齢化をさらに加速させる可能性を有します。 したがって、「いかにして実感のある景気回復を果たしていくか」ということが重要となります。 ◆ゼロ成長からのテイク・オフに必要な「将来不安の払しょく」 実感ある景気回復に向けて大きなカギを握るのは、「個人消費」の拡大です。 昨今の円安基調による影響で、輸出関連企業を中心に企業収益は好調を持続していますが、日本経済の6割を占める個人消費がここ数年伸び悩んでいます。 では、何が消費を停滞させているのでしょうか。その要因としてまず挙げなければならないのが、消費増税です。 幸福実現党は、経済への悪影響を懸念して消費増税の中止を声高に訴えていましたが、2014年4月に消費税率が引き上げられ、その結果として日本経済に大きなブレーキがかけられることになりました。 他の要因として、先ほど述べた「実質賃金」の水準に改善傾向が十分に見られないこともあります。さらに、もう一つ「将来に対する不安」も挙げることができるでしょう。 「あなたは、自分の将来について明るい希望を持っていますか」という問いに対し、「希望がある」と答えた各国の若者は、アメリカが91.1%、ドイツは82.4%、韓国では86.4%にそれぞれ達していますが、日本の値は61.6%にすぎず諸外国と比較しても低い水準となっています。 最近、「バブルを経験していない若者は、消費に関して堅実な傾向がある」とも言われていますが、確かにバブル期の30-34歳の1989年の可処分所得に占める消費の割合(すなわち「消費性向))は80%台後半にあったとされていますが、2014年時点で、同年代の消費性向は73.8%となっています。 これは各時代における将来に対する認識が、消費行動に影響を与えている一例と言えます。 では、どうすれば「将来に対する不安」を払しょくすることができるのでしょうか。 これに関し、吉川洋氏は、17年12月1日付日本経済新聞の「経済教室」欄にて、「政府が責任ある税・社会保障プランを明示する必要がある」とする旨を述べています。 確かに、年金制度などを含めて先行きが見通せない今の社会保障制度が、一定程度、国民の不安を呼び込んでいる面は否定できないでしょう。 しかし、HSU経営成功学部の西一弘アソシエイト・プロフェッサーは、「低成長が続いたまま『充実』した社会保障を確立させた場合、将来的に大増税が実行されることが予測され、結局は国民の間で将来不安が消えることはないのではないか」と述べています。 吉川氏の主張には、こうした観点が欠けているのではないでしょうか。 ◆日本の「未来」を築く成長戦略を アメリカでは、法人税や個人所得税の減税といった「トランプ減税」法案が成立し、現在、アメリカの株価も軒並み上昇しています。トランプ大統領は、先月13日、「米経済に新たな奇跡が起きようとしている」と述べており、経済成長率が年4%を超える可能性について言及しています。 一方、日本では給与所得の縮小やたばこ税の増税、「出国税」といった新税の導入など、「増税ラッシュ」が見られます。 2018年の日本経済は、好調な米国経済の恩恵を受ける面が大きくなると予想される向きもありますが、場合によっては日本の増税路線がゼロ成長からのテイク・オフの機会を損失させることにもつながりかねません。 やはり、「超高齢社会の到来の下、確かな社会保障制度の構築のためには、増税は行って然るべき」とする論調に待ったをかけるべきです。 幸福実現党はリニア新幹線を含めた「新幹線網改定案(注)」を発表していますが、将来の先行き見通しを明るくするためには、こうしたインフラ整備のほか、大胆な減税や徹底的な規制緩和、新しい基幹産業の創出、多数の有力な起業家輩出などに向けた、明確な未来ビジョンの策定が必要です。 日本は今、「低成長やむなし」といった前提を排し、マインド・セットを変えた上で、日本の未来を明るくする国家ビジョンについて、根本議論する必要があるのではないでしょうか。 (注)幸福実現党「2017年10月主要政策集」(p.21)参照 (http://publications.hr-party.jp/files/policy/2017/012/origin/all.pdf) (参考) 吉川洋, 日本経済新聞2017年12月1日付「アベノミクス5年(中)消費回復へ将来不安払拭を 税・社会保障の将来像を示せ」 吉川洋他, 日興リサーチセンター2017年10月30日「低迷する消費」 すべてを表示する