Home/ 2017年 May 2017年 May 憲法改正に必要なのは高く貴い理想―今こそ、「新・日本国憲法試案」を世に問う【前編】 2017.05.06 憲法改正に必要なのは高く貴い理想―今こそ、「新・日本国憲法試案」を世に問う【前編】 幸福実現党兵庫県本部たつの市地区代表 和田みな ◆憲法施行から70年目のGW 今年のゴールデンウイークは、朝鮮半島情勢がかつてないほど緊迫化するなか、緊張感をもって過すことになりました。 そのような中で安倍首相が、70回目の憲法記念日である5月3日に読売新聞や改憲派の集会において発信したメッセージは非常に情けないものでした。 憲法9条の1項、2項を残したまま、自衛隊を憲法に明記する意向を表明したからです。 この首相の発言からは、「とりあえず自衛隊を合憲のものとしたい」との意向が読み取れます。 一見、現在の政府解釈を憲法に明文化するだけのようにも見えますが、これでは「自衛隊は軍隊ではないが存在は合憲」ということを憲法に明記することになりかねません。 ◆安倍首相の改憲発言の問題点(9条) 自衛隊は国際的にも立派な軍隊であり、自衛のための活動を行っています。交戦権もなく、戦力でもない自衛隊を憲法上の存在とするとは、逆に自衛隊の軍隊としての活動を縛ってしまうことにもつながります。 憲法の中に矛盾するものを書き込むことになれば、憲法の権威そのものを貶めることになるとともに、「自衛隊は戦力ではない」ことを憲法に明確に宣言することにもなりかねません。 安倍首相は、これまで憲法が簡単に改正できないため、状況変化に対応するために仕方なく行ってきた「解釈変更」を憲法に加えようとしていますが、解釈論と条文の改定を混同しており、このような「加憲」では、今より状況が良くなるはずがありません。 ◆安倍首相の改憲発言の問題点(教育無償化) また、安倍首相が憲法改正の大きな柱であると触れた「教育無償化」も大きな問題です。これは、同じ改憲勢力である日本維新の会との協調のために欠かせない項目でしょう。 維新の会の橋下徹法律政策顧問は、この財源を相続税の増税でと検討しているようです。 教育の無償化は「教育格差是正」「未来のための投資政策」という、一見、聞こえのいい理念であるため、現在では民進党や共産党、小池都知事に至るまで多くの政党や候補者が選挙前に公約に掲げているトレンド政策となっています。 しかし、教育内容に触れられることはほとんどありません。現在の教育政策に必要なのは質の向上です。残念ながら質の低い公教育を無償化したところで、子供たちの未来が拓けるはずがありません。 また、塾に通わなければよい学校に進学できない現在の教育内容では、教育格差が埋まるはずもありません。意欲ある、優秀な学生には奨学金制度の充実を図ることで教育格差の問題は解決できると考えます。 日本の教育政策に必要なのは、無償化ではなく自由化です。無償化することによって国家による学校教育への介入は大きくなり、質の低下、社会主義化が進む恐れがあります。 また、そもそも相続税の増税は憲法29条の財産権の侵害であり、政治家による票のための増税とバラマキ政策の禁止こそ憲法に盛り込むべきものです。 加憲ではなく、堂々と憲法9条を改正しよう。 2017.05.04 加憲ではなく、堂々と憲法9条を改正しよう。 HS政経塾 担当チーフ 古川裕三 ◆9条は守って、自衛隊は明記? 3日の憲法記念日には、読売新聞一面に「憲法改正 20年施行目標」と題し、憲法改正に向けて意欲を示した安倍総理のインタビュー記事が掲載されました。 首相は「東京五輪が開催される2020年を新しい憲法が施行される年とし、その柱は憲法9条に自衛隊を明確に位置づけることだ」と発言しました。 憲法の平和主義は守り、「戦争放棄」(1項)と「戦力の不保持」(2項)を規定した9条を残したまま、自衛隊の存在を明記する、「加憲」の議論を展開しています。 2012年に自民党が作成した憲法草案には「国防軍」の保持と明記されていますので、首相は態度をやや軟化させた格好です。 ◆野党の批判をかわす目的 9条は改正せずに、自衛隊の存在を明記だけするという主張は、野党・民進党の幹部もかつてしたことがありましたので、野党の反発を最小限に食い止め、現実(妥協)路線で、まずは憲法改正を実現させたいというのが首相の思いでしょう。 しかし、妥協でよいのでしょうか。 ◆「戦力」と「実力」 日本の自衛隊は、1950年の朝鮮戦争の勃発をきっかけとして、GHQからの要求により、7万5千人からなる警察予備隊が組織されたことから始まりました。 のちに自衛隊に改組されるわけですが、政府は「自衛隊は自衛のための必要最小限度の実力」であるとして、憲法9条で禁止されている「戦力」ではないという解釈を採ってきました。 ただ、「軍隊とは、組織体の名称は何であれ、その人員、編成方法、装備、訓練、予算等の諸点から判断して、外的の攻撃に対して国土を防衛するという目的にふさわしい内容をもった実力部隊を指します。 この解釈を一貫させていけば、現在の自衛隊は、その人員・装備・編成等の実態に即して判断すると、9条2項の「戦力」に該当すると言わざるをえないであろう。」(『憲法』第五版 芦部信喜著)という指摘どおり、どこからどう見ても自衛隊は「陸海空軍その他の戦力」です。 そもそも、憲法前文及び98条には憲法の趣旨に反する法律は無効であると規定されていますから、自衛隊法は形式的に違憲であることは間違いありません。 平和主義を基調としながらも「侵略戦争はこれを放棄し、防衛のみに専念する」(9条1項)、「そのための戦力は、固有の権利として、これを保持する」(9条2項)と条文を改正し、自衛隊法の根拠を明確にすべきです。 ※参考:『幸福実現党宣言』大川隆法著 https://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=113 ◆正直な議論を つまり問題の本質は、9条を正直に改正し、自衛隊を軍隊として明確に位置付けて、国防を強化し、「他国の軍事的脅威から国民の生命を守ること」です。 9条をいじらずに自衛隊の存在を明記する条文を加えるとなると、「前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。ただし、前項の目的を達するためではない自衛隊という実力は保持する」という趣旨になるでしょう。 北朝鮮から飛んでくるミサイルから国民の生命を守るためには、防衛軍が必要なのですから、正直に9条を改正しましょうというのが我が党のスタンスです。 ◆現在の自衛隊の限界 「自衛戦争を認め、防衛軍は必要」という変更を加えなければ、自衛隊の動きにくさは全く変わりません。 改憲ではなく加憲で自衛隊の存在を明記したとしても、実際に国民を守る行動はとれない、ということであれば意味がないのです。憲法は国民を守るためにあるのです。 国際標準では、軍隊の権限規定はネガティブ・リストが採用されており、あらかじめ禁止されたこと以外は原則自由に行動ができます。 一方で警察はポジティブ・リストが採用されており、法的根拠がないと動くことができません。 先に自衛隊の前身が警察予備隊であることを確認したとおり、自衛隊はポジ・リスが採用されており、法律に書かれていること以外、行動できないという制限のもとにおかれています。 憲法に軍隊と明記し、権限規定をポジからネガに変更することが必要なのです。 今こそ、国民が目覚め、嘘をつかない正直な政治家を選択し、戦後体制の呪縛を打ち破って「自分の国は自分で守る当たり前の国」をつくっていかねばなりません。 北朝鮮の危機への「温度差」――「玉虫色」の政権が日本を弱くする! 2017.05.03 北朝鮮の危機への「温度差」――「玉虫色」の政権が日本を弱くする! 広島第二選挙区支部長 水野よしひろ ◆不安定な情勢のままGWへ 4月29日午前5時半ごろ、北朝鮮からまたも弾道ミサイルが発射されました。 今にでも北朝鮮が暴発しそうな状況の中で、日本でも東京メトロや北陸新幹線も一部区間で運転を見合わせるなど、日に日に緊張感が高まっています。 しかし一方で、日本ではGWに入り、海外への旅行客は止まらず、韓国への旅行に行かれる方もいらっしゃるようです。 やはり、日本では危機は感じるものの、どこか他人事のようになっているのかもしれません。 ◆広島県の地方自治体の反応 これは、地方自治体のレベルでも散見されることでした。 現在、幸福実現党は、全国の地方自治体へ「北朝鮮のミサイルに備えた避難訓練等の実施を求める要望書」を提出しています。 先日は、広島県知事と市長に伺いました。 広島県庁の危機管理課の職員の方で、「できることはやっていくが、国がしっかりリーダーシップをとってくれなければ自治体では限界がある」と、現政権への本音を語られていました。 驚いたのは、広島市の危機管理課の方でした。 その方は、「広島市としては、北朝鮮の核ミサイルに対しては、核廃絶で対応します」といい、「個人的な見解ではありますが」と前置きをしながら、「今もし、ミサイルが飛んできたら、対応できることはほとんどない」ということを語られていました。 この時、率直に「広島市に核廃絶を高々と掲げられ、広島市民の生命の安全は全くもって保証もされていない状況であるのだ」と感じ唖然となりました。 ◆現政権の「玉虫色」の国防推進 このような状況になってしまったのは、現政権の責任でもあります。 自民党政権は、よく保守で国防を進めてきているとみられていますが、幸福実現党から見れば、全くもってそのようには見えません。 例えば、安倍首相は、トランプ大統領の動きを支持するといっていますが、側近の岸田外務大臣においては、オバマ大統領の方針の名残を受けた「広島宣言」(「核兵器なき世界」に向けた決意)を、いまだにG7(先進国7か国)へ求める(今年4月)など、矛盾した行動をとっています。 核廃絶を訴えるなら、北朝鮮へ一番に言わなければならないにも関わらず、核を保有する国の善悪の判断ができないために、「核廃絶」だけが一人歩きをして、北朝鮮の核兵器廃絶への何の効果も見いだせない結果となっています。 現在の政府は、国民からガッポリと税金を取ろうとしていますが、国民の生命・安全・財産も守る責任を果たさずして、「税金泥棒」としか言いようがないように感じます。 ◆安倍政権下での「憲法改正」の不安視 先日、憲法施行70年を迎えるにあたり、共同通信社によって、憲法についての世論調査を行われました。(「中国新聞」朝刊4/30より) 憲法9条改正については、必要49%、必要ない47%で、憲法9条を改正した方がよいという世論が多く、北朝鮮の状況も踏まえて、憲法9条改正への気運が少しずつ高まっているように感じます。 しかし一方で、安倍政権の下での改憲については、反対51%、賛成が45%となっており、現政権下での改憲は世間では慎重になっています。 ここに、今の政権の「玉虫色」の政権運営で、筋を通せない弱点があるように思えます。 ◆日本としてのスタンスを示せ! しかし、今は、自分たちの立場がどうなるかという事は関係なく、国民の皆様の一人一人の安全を保障する事こそ、国家としての責務であります。 もちろん、単に危機を煽るだけでは意味がありません。 しかし、国民の生命に関わる重大な事であるならば、北朝鮮情勢を踏まえて、避難経路の確保や避難訓練など、先ずできるところから政府がリーダーシップを示して取り組まなければなりません。 広島県庁の危機管理課の方も仰っていたように、国が責任を持ちリーダーシップを示していく事こそ、地方自治体を動かす一番の特効薬であると感じます。 また、これからは、今回の北朝鮮の動向も踏まえて、日本としての国防体制を見直し、主権国家として抜本的な改革を推し進めていく必要があります。 憲法9条改正の議論からも逃げることなく、なぜ必要なのかを野党と討論をして、国民の皆様に納得していただけるようにしなければなりません。 そうした、真っすぐで逃げない姿勢で取り組んでいく政治家、政党こそ、危機の時代に求められるのだと思います。 米、北朝鮮への攻撃、間近?!――日米連携でアジアに平和を 2017.05.02 米、北朝鮮への攻撃、間近?!――日米連携でアジアに平和を 幸福実現党政調会・外交部会 彦川太志 北朝鮮に核・ミサイル開発計画を放棄させるため、中露等の大国を巻き込みつつ経済・軍事両面から圧力をかけていたトランプ大統領でしたが、遂に軍事行動の実施が「秒読み段階」に入りつつあるようです。 今回のニュースファイルでは、4月25日の建軍節(北朝鮮の軍隊創立記念日)以降の米朝関係の緊張の高まりを踏まえつつ、軍事衝突が秒読み段階にある事を検証し、半島有事への対応を政府に求めていきたいと思います。 ◆核開発計画の放棄を求め、北に「本気」を見せた米国 まず4月25日、北朝鮮が建軍記念日に合わせて核実験を強行するのではないかと懸念されておりましたが、実際には大規模な砲撃訓練の実施に止まりました(※1)。 同日、米国はトマホークミサイルを発射可能な攻撃型原潜「ミシガン」を釜山港に入港させています。(※2) 翌26日には韓国でTHAADミサイルの配備が始まると共に、米国では日本時間27日より、韓米統合防衛対話が二日間にわたって開催されました。 防衛対話の共同声明によれば、米国は北朝鮮の脅威に対して、通常戦力やミサイル防衛はもとより、核装備をも含んだ抑止を提供し、万一、北朝鮮が核攻撃を実施した場合には、「効果的かつ圧倒的な」反撃を行う事が明言されています。(※3) このような声明に盛り込まれた米国の姿勢を裏付けるかのように、米空軍はミニットマン lll大陸間弾道ミサイルの発射テストを実施しています(日本時間27日)。(※4) 次いで日本時間29日、ニューヨークにおいて国連安保理の閣僚級会議が開催され、ティラーソン米国務長官から「ソウル、東京に対する北朝鮮の核攻撃の脅威は現実のもの」であり、軍事的手段を含むすべての選択肢が用意されているとの発言がなされています。(※5) そして米韓合同演習の最終日に当たる4月30日には、カール・ビンソンを中核とした空母打撃群が日本海に到着しておりますので、北朝鮮に核・ミサイル開発を放棄させるためには、「通常戦力による軍事行動から、核攻撃に対する報復まで」、全ての段階において米国は対応していくという意志表示をしたものと考えられます。 ◆「ミサイル発射」で、核開発放棄に応じない意志を強調した北朝鮮 このような軍事的圧力が加えられる最中、北朝鮮は29日に一発の弾道ミサイルを発射しました。 ミサイル自体は北朝鮮の上空で爆発したと報道されておりますが、これは北朝鮮の技術力の低さに起因する失敗と言うよりも、領空内で意図的に「空中爆発させる」ことにより、「軍事的行動」と断定されないギリギリの線を狙って、「核・ミサイル開発計画の放棄はありえない」と言う意志を強調したものと見るべきでしょう。 また、30日にはロシアの駐北朝鮮大使が北朝鮮副外相と会談を行っていますが、ロシア大使は北朝鮮側に対して自制を求めると共に、緊張を高める行為を行わない様、強く求めたと報道されています。(※6)北朝鮮側にも、暴発の兆候がある事を示唆しているようにも見えます。 ◆軍事行動は時間の問題。「自由の創設」を大義に掲げ、日米連携を確実にせよ 北朝鮮情勢を巡り、トランプ政権が中国やロシアとハードな交渉を行ってきた事実に鑑みれば、北朝鮮が核・ミサイル開発の放棄に応じないからと言って、そう簡単にプレッシャーを解いていくとは考えられません。 事態は、もはや外交や経済的圧力で解決するというレベルをとうに超えて、「北が核を捨てるか、それとも米国が軍事行動を開始するか」のチキン・レースに入っている可能性があります。 このような段階に至っては、北朝鮮側に残された手段は、米国と日本・韓国の結束を狂わせる「後方攪乱」程度しか残っておりません。 部隊運用における日米韓の連携を堅持する事はもちろん、トランプ大統領が主導する軍事行動が単なる「侵略行為」などではなく、「北朝鮮の核・ミサイル開発や自国民への圧政を終わらせ、政治的自由をアジアに広げる」という「自由の創設」を大義としているという事実を掲げていくべきだと考えます。 現在、幸福実現党は、半島有事を念頭に置いた避難訓練の実施を求める陳情を全国の地方議会に提出する他、政府に対しても実効ある国民保護体制の構築を求めています。 米軍による軍事行動はすでに「秒読み段階に入った」ものと見て、ミサイル防衛や邦人保護、難民対策等に関する、実効ある対策を策定するよう、政府に対して強く求めて参ります。 (参考・出典) ※1 NHK 4月26日 北朝鮮軍創設以来最大規模の攻撃訓練行ったと発表 ※2 朝鮮日報日本語版 4月25日 米原子力潜水艦「ミシガン」韓国・釜山に入港 ※3 Department of Defense 11th Korea-U.S. Integrated Defense Dialogue Joint Press Statement ※4 Air Force Global Strike Command 2017.4.26 F.E.Warren tests MinutemanⅢ missile with launch from Vandenberg ※5 Department of States 2017.4.28 Remarks at the United Nations Security Council Ministerial Session on D.P.R.K ※6 Tass 2017.4.30 North Korea’s senior diplomat holds talks with Russia’s ambassador すべてを表示する « Previous 1 2