Home/ 2016年 May 2016年 May オバマ大統領“広島訪問”の功罪――忘れてはいけない抑止力の視点 2016.05.17 文/HS政経塾5期生 水野善丈 ◆揺らぐアメリカの「核の傘」 オバマ大統領は今月27日、伊勢志摩サミットに合わせて広島を訪問することを正式発表しました。 2009年のプラハ演説で「核兵器のない世界」を提唱し、ノーベル平和賞を受賞したオバマ大統領にとっては、任期を終える前に国際社会へのアピールの場としたいようです。 もちろん、世界中の大多数の人が「核兵器のない世界」を望んでいます。 しかし、アメリカ大統領が核兵器をなくすゆるぎない決意を述べたところで、世界で核兵器の脅威が現実になくなることはありません。 むしろ、日本にとっては、アメリカの「核の傘」で守られてきた国防が揺らぎ、逆に中国・北朝鮮の核兵器の脅威がより現実的になることも予想されます。 そうした意味でも、現職のアメリカ大統領が初めて広島を訪問することもあり歓迎ムードが広がっていますが、その功罪はしっかりと見極めないといけません。 ◆「話し合いで分からない国」も存在する そもそも、日本を取り巻く国々の中には、「話し合いで分かる国」と「話し合いでは分からない国」が存在します。 例えば、中国は「固有の領土」と主張する南シナ海・南沙諸島で大規模な埋め立てや戦闘機やレーダーなどの配備を続けています。 さらに、付近を飛ぶフィリピン軍機に強力な光を照射して退去を求めるなど、中国の行動は国際法が認める「航行の自由」も揺るがしています。 そのため、フィリピンが中国を国際法違反だとして国連海洋法条約に基づく仲裁手続きに訴えていますが、中国は「受け入れない。審議にも参加しない。」と無視を続けています。 完全に国際法より上として、中国は存在しているのです。 また、北朝鮮は、朝鮮労働党大会で「核兵器保有国」を高々と宣言したように、今後とも、水爆・潜水艦によるミサイルの発射実験や移動式のムスダンの発射実験を続けて世界へ挑発を続けていくでしょう。 ◆価値判断を下せない日本の政治家・マスコミ 日本の政治家・マスコミはこうした国々に対しても、価値判断を避け安易な外交に逃げてきました。 しかし、中国や北朝鮮が正しいか・間違っているかは、「とことん究極まで中国・北朝鮮のような国が世界に増えたら人類は幸福になるか、不幸になるか」という視点から判断すると分かります。 そして、間違っているならば「悪を犯させない」ためにも、現実的に対処していく方法を考えていかなければならないでしょう。 ◆中国・北朝鮮へ「核を使わせない」努力を 故に、アメリカ大統領がわざわざ広島にきて、安易に「核のない世界」をアピールするよりも、核をもつ独裁国家に対して「核を使わせない」ようにアピールする必要があるのではないでしょうか。 それは、共和党の大統領候補ドナルド・トランプ氏も日本へ核抑止力を促しているように、唯一の被爆国である日本だからこそ核抑止力を保持し、独裁国家の核の悪用に歯止めをかけることであります。 第二、第三の広島・長崎をつくらないためにも、中国・北朝鮮の核の脅威から日本・世界を守る抑止力の視点は忘れてはならないと思います。 【活動報告】川内原発の稼働継続を求める要望書を提出 2016.05.14 文/幸福実現党 鹿児島県本部 副代表 松澤 力 ◆川内原発の稼働継続を求める要望書を提出 この度の平成28年熊本地震で被災された皆様に、心よりお見舞い申し上げます。同じ九州の一員として、引き続き出来る限りの支援をさせていただきます。 先月4月21日、私は鹿児島県の伊藤知事、薩摩川内市の岩切市長、九州電力 株式会社の瓜生社長宛てに、「川内原子力発電所 1号機・2号機 安全な稼働継続について」の要望書を提出させていただきました。 今回の要望書では、原子力規制委員会の新規制基準に適合した川内原発1号機・2号機を、今後も安全に十分配慮した上で、継続した稼働を求めました。 4月14日以降、熊本を中心に震度7という非常に強い揺れを記録した一連の地震でしたが、鹿児島県薩摩川内市の川内原発で観測された地震の揺れの加速度は最大でも8.6ガル(ガルは揺れの勢いを示す加速度の単位)で、原子炉を自動停止する基準の一つとなっている加速度160ガルを十分下回り、異常がみられないことが原子力規制委員会の臨時会合で報告されました。 また、薩摩川内市役所・九州電力で担当者から聞かせていただいた話の中で、一連の地震の中で鹿児島県内でも震度5弱と強い地震が発生した地域もあったため、九州電力では、念のため4月16日・4月17日に自社の判断で川内原発の再点検を行ったそうです。 原発の安全な稼働のため、九州電力では慎重な姿勢で取り組んでいることを感じました。 鹿児島県の伊藤知事は、川内原発の安全性について「原子力規制委員会の科学的技術的見地からの判断がベースにある。規制委は『停止する必要はない』と明確に言っており、それで対応できるという理解でいい」と強調しました。 また、「何かあれば(原発は)自動停止するので、福島第1原発事故のようなことはほとんど発生しないと思う」と述べています。(5/13 毎日新聞) 中国は南シナ海で人工島造成など軍事拠点化を進めていますが、南シナ海周辺の海域の制海権を中国が押さえるような事態となれば、シーレーン(海上輸送路)を確保できず、日本として生殺与奪の権を握られることになりかねません。 また、太陽光や風力などの再生可能エネルギーは基幹エネルギーになり得ず、エネルギー自給率6%の日本にとって、原発は必要不可欠です。 日本のエネルギー安定供給やエネルギー安全保障の面からも、規制基準をクリアした原子力発電所は稼働継続や再稼働を行っていく必要があると考えております。 今後も、日本の原子力発電所の安全な稼働のためさらに努力して参ります。 外国人による家事サービスで女性の応援を! 2016.05.13 文/兵庫県本部 副代表 みなと侑子 ◆女性の応援が始まった!――特区での外国人家事サービスの解禁 現政権が目指す、一億総活躍社会の中では女性の活用が取り上げられ「2020年までに女性管理職比率を30%にまで引き上げる」「女性の就業率80%」など数値目標が設定されています。 数量的・配分的な目標には男性による押し付け感があり、疑問を感じます。 ただ、働きたいと思う女性が多く存在することは事実です。 経済的理由が最も大きいのですが、仕事そのものが社会とのつながりであり、楽しく生きがいだという声が多いのです。 東京都の舛添知事は国家戦略特区の区域会議で、外国人による家事代行サービスの解禁を検討していると表明しました。(日経新聞 2016.5.10 『外国人の家事代行、解禁検討を表明 都知事』) 解禁されれば、特区制度を活用している神奈川県と大阪市に続いての三例目となります。リタイアされた女性の活用促進など、日本人・外国人それぞれが働く女性を手助けできる流れになりつつあります。 現在、外国人の家事ヘルパーの直接雇用が認められているのは、年収1千万円以上の外国人高度人材および、大使館員の家庭のみ。家事代行会社にて合法的に働いている外国人家事ヘルパーは、夫が日本人の外国人妻などに限られています。 特区内では出入国管理法の例外として、認定事業者が直接雇用できる形で掃除や子育てなどの家事代行サービスに従事する外国人に在留資格を与える規制緩和策を行っています。 特区で認める外国人の家事代行サービスは、炊事・洗濯・掃除・買い物・子どもの世話など。 1年以上の家事支援の経験があり、基本的な日本語能力があることが条件となっています。 事業者はフルタイムで外国人を直接雇用し、日本人と同額以上の報酬を支払う。期間は最長3年です。 ◆まだまだ現実的ではない 外国人家事サービス フルタイム勤務のワーキングママを助ける家事シェアサービスが始まっています。 「タスカジ」は、フィリピン人を初めとする諸外国のハウスキーパーを登録し、日本人よりも安く働いてもらっています。日本人による家事サービスは3000円/hほどします。 最も安いところで単発利用が2500円/h 定期利用で2190円以上するのに対し、タスカジでは1500円から。損害保険加入、身分証明書確認、サポートセンターの充実と実際に使った人によるレビューが読めるなどのサービスを行っています。フィリピン人が来てくれることで、子どもの英語教育にもなるとの声もあります。 ただ、兵庫県の中心の三ノ宮駅に来てくれる人を検索すると、候補者が一人しか出てきません。またこのサービスについて実際に働く女性に意見を聞くと、「まだ高い」「物がなくならないか心配」「日本とフィリピンには言葉も文化も差があるので…」とハードルが高いです。 香港や台湾のようにフィリピン人やインドネシア人が家に住み込み、女性が月12~40万円稼ぐところ月5~6万円(住居・食事込)で働いてくれるならばまた違います。 規制緩和されたといっても、フルタイムでの直接雇用や日本人との同額以上の賃金というのは企業にとって大きな負担であり、利用者にとっては非現実的です。 ◆外国人による家事サービスの改善点 香港ではフィリピン人家政婦が悪徳仲介業者に大きな借金をして来港した結果、住み込み家での盗み、売春などの不法行為を行うことが問題となっています。 治安のためにも、悪徳仲介業者防止の規制は必要です。 また家事サービスに従事する外国人の条件を、現在の1年以上の家事支援の経験から、5年以上の経験かつ2か国以上での経験を求めるようにします。 日本での家事経験以前に台湾や香港などで問題なく働いた証明があれば、利用者もある程度安心してサービスを受けることができるようになります。また家事従事者も日本に来ることがステップアップの証明となるため、真面目に仕事に取り組みます。 今の条件であれば難しい日本語を覚えても最長3年間で返されてしまうのはお互いに損失です。何度かの関門は設けつつ、真面目に仕事を続ける外国人は長く日本に住めるような配慮が必要です。 ◆お互いに助け合える社会へ 一人の子どもが産まれ育つには、多くの人の協力が必要です。 女性一人ですべてをこなすことは難しく、夫や両親のサポートを得ることができる人はいいのですが、サポートが得られない場合は何かを諦めなければならない状況です。 待機児童の問題も、保育所の問題から働くこと自体を諦めている潜在的な人数を含めると100万人存在します。また介護離職も年間10万人以上となっており、今後ますます増えていくと言われています。 そんな中、この外国人による家事サービスが成功し成長すれば、経産省の試算する6千億円以上の産業になるとともに、お互いに助け合える社会の一助となるのではないでしょうか。 どの女性にも共通する想いは、自分らしい人生を生きたいという願い、それに加えて世の中と繋がり、できれば貢献したいという想いです。 そして女性が生まれてきた喜びを感じると、家庭にも幸せが広がります。家でお母さんがいらいらしているのと、ニコニコしているのでは、お父さんや子どもにとって、雲泥の差なのです。 現代女性は答えのない中で必死にもがきながら、これからも生きていきます。一人ひとりの幸せのために、私たちも一緒に考えていきたいと思います。 エンジェル投資で日本を元気に!――「既存企業によるベンチャー投資」編 2016.05.11 文/HS政経塾4期卒塾生 西邑拓真(にしむら たくま) ◆日本におけるベンチャー投資 前回は、日本の起業立国化にとって重要なプレイヤーである「エンジェル投資家」に着目し、個人投資家によるベンチャー投資の拡大のために、エンジェル税制改革の一環として、その方式を「所得控除方式」から「税額控除方式」へ変更すべきことを提言致しました。 エンジェル投資で日本を元気に!−−−「個人投資家」編 http://hrp-newsfile.jp/2016/2649/ ただ、わが国でベンチャー投資を拡大していくためには、個人投資家だけに留まらず、現在、多額の内部留保を抱える一方で、成長面で「行き詰まり」に直面しつつある「大企業」に焦点を当て、ベンチャー投資の活性化策を打ち出す必要があります。 そこで当稿では、「企業版エンジェル税制」をテーマに、大企業によるベンチャー投資のスキームとしての「コーポレート・ベンチャー・キャピタル(Corporate Venture Capital; CVC)」の推進の可能性を探って参ります。 ◆コーポレート・ベンチャー・キャピタルとは CVCとは、端的に言えば、内部資金を抱えた既存企業が経営支援(ハンズ・オン)などといったベンチャー・キャピタルと同様の活動を伴いながら、ベンチャー企業へ投資を行う主体のことを指します。 大企業側は潤沢な資金力を生かして「新しい事業の種」を獲得し、「行き詰まり」を打開する必要に迫られています。 他方で、「新しい種」を持つ可能性を有するベンチャー企業側は、資金や、経営ノウハウ、販路網といった比較的大企業が強みを持つような経営資源を必要としています。 こうした双方のニーズを満たすのがCVCです。 すなわち、両者のニーズを満たし、双方にとってwin-win関係を構築させるスキームこそCVCであるわけです。 ◆企業のベンチャー投資促進税制 日本において、CVCの重要性が認識され、それを推進しようとする動きはあるものの、その動きは、大企業のごく一部に留まっているのが現状です。 この状況を踏まえ、日本商工会議所が「平成26年度税制に関する意見」の中で「法人版エンジェル税制」の必要性に言及したり、あるいは、ベンチャー業界からも、十分な資金量を確保する必要性などから、当税制の実現を望む声が以前から多く挙がっていました。 このように産業界からの「法人版エンジェル税制」実現に対する強い声が上がる中で、2014年1月に安倍内閣において「企業のベンチャー投資促進税制」が実現しました。 これは、国が認定したベンチャー・ファンドを通じて、企業がベンチャー企業へ投資を行うとき、出資金額の80%を「損金算入」とすることを認めることで、法人税の減税措置が受けられるという制度です。 しかし、当税制が施行されて2年あまり経過しましたが、現在、政府から認定を受けているファンドはたったの3つしかなく、当税制が十分に機能せず有効利用されていないのが現状です。 したがって、当税制の問題点を排除することで、税制の活用を推し進めなくてはなりません。 ◆税制改革に向けて 当税制の阻害要因の一つに、「出資金額の合計が20億円以上でなければならない」という、ファンド規模に関する対象要件の存在が指摘できます。 これに関し、企業経営者から「この税制を通じて減税措置を受けたいものの、この要件はハードルが高すぎる」という声が挙がっているのが現状です。 この要件を緩和、あるいは撤廃することによって、減税策を受けられる裾野を広げるべきです。 2013年に、安倍政権がアベノミクス「三本目の矢」である「成長戦略」の一環として「産業競争力強化法」を成立させ、その中で「ベンチャー企業への資金供給を増大させる必要性」が謳われています。 しかし、もし税収減等を恐れて対象要件の見直しに着手できないというのであれば、「競争力強化法」本来の意義に沿わないことは明らかです。 またその他にも、ファンドを通じた「間接出資」だけでなく「直接出資」も減税措置の対象に加えたり、2017年3月までの時限立法措置を改変してこれを恒久化させることで、「今後も持続的に、企業によるベンチャー投資を国として広く推進していく」というシグナルを浸透させていく必要があります。 日本は、起業立国の実現に向けて、CVCを推進させる可能性を持つ「法人版エンジェル税制」に当たる「企業のベンチャー投資促進税制」を実質的に機能させるよう、その大幅な見直しに今迫られています。 「核兵器使用」への共通認識を新たな安全保障の土台に 2016.05.10 文/HS政経塾5期生 表奈就子 ◆北朝鮮が「核保有国の立場」をPR 北朝鮮の金正恩第一書記が、第7回朝鮮労働大会において、「北朝鮮は責任ある核保有国だ」と発言したことが、8日のマスコミ各紙で報じられました。 金正恩氏は「米国による核戦争の危機を、強力な核抑止力に依拠して終わらせる」と強調。他方で、他の核保有国と対等な立場で、核の不拡散や非核化に取り組むことを表明しました。 また北朝鮮は、近く5回目の核実験を行う可能性があると、米ジョンズ・ホプキンズ大学が分析しています(5月7日日本経済新聞)。 北朝鮮が今後、核兵器という武力を背景にし、自らを「責任ある核強国」と正当化して国際社会に圧力をかけようとしていることは明白です。 ◆核兵器をめぐる国際的な矛盾 日本としては、核兵器で恫喝しようとする北朝鮮に黙っていることはできません。 しかし核兵器をめぐってはダブルスタンダードが存在し、国際的に矛盾があります。 核不拡散条約(NPT)という国際条約がありますが、これは「国連常任理事国の5か国以外は、核兵器の製造、保有をしてはならず、厳しい国際査察を受ける義務がある。しかし常任理事国は核保有国として、核兵器の自由な製造、保有を認められる」という内容です。 これでは核保有国の核兵器は永久になくならない可能性が高いのです。 ◆核兵器をめぐる日本の矛盾 また日本の立場にも矛盾があります。 一つは、唯一の核兵器被爆国として、核兵器の廃絶を訴えながら、アメリカの「核の傘」の下にいて安全を保っている矛盾。これは長年議論されてきました。 また、日本政府は核兵器について、「憲法9条は、自衛のための最小限度の核兵器の保有を禁止するものではない」としています。 ですが日本は先述のNPTに加盟していることや、原子力基本法で核の使用を平和利用に限っていることなどから、自衛のために核兵器を保有するには現状では矛盾があります。法改正と国際的な合意が必要です。 最大の矛盾は、日本は米国の核の傘の下にいることもあり、核兵器使用の善悪について一貫した主張をできないでいることです。 原爆投下は、1899年に採択されたハーグ陸戦法規で禁止されている民間人への攻撃であり、国際法違反だと言えます。 しかしオバマ大統領の広島訪問に際しても、日本政府は謝罪を要求していません。両国の友好関係を考えると難しい課題です。 ◆国際社会の危機を見据え、安全保障の本質を捉える 日本としては、国際情報を無視して核開発し続ける北朝鮮があることや、核兵器の保有を認められている中国が近隣の海洋に軍司基地を築いている周辺現状を見ると、戦争の勃発を防ぐには戦争を抑止する力が必要だと考えられます。 それは日本にとっては、米国との同盟関係の強化であり、核装備をも視野に入れた安全保障体制の構築です。 しかし、それには同盟国アメリカと、核兵器使用に対して共通の認識がなくてはなりません。 ◆核兵器に対する、「戦争をしない」ための考え方 昨今は核保有国も、他国より優位に立つために核兵器を積極的に誇示しようとする国と、そうでない国に分けられると考えられます。 そうすると優先順位は、核保有国の中でも、核兵器を笠に着て他国へ圧力をかける国を牽制するために、その他の国と共通の価値観を共有することが必要です。 それは、憎しみや恨み、差別に基づいて他国を打ち負かすために核兵器を使うことは正しくないという認識です。 これは核兵器を使用したアメリカが、戦後の日米の友好関係を鑑み、過去の経験を反省して発信してこそ説得力を持つものです。 難しい問題ではありますが、要は、核兵器を使う人間がどういう考えを持っているかという要素も勘案する必要があると認識することです。 日本は、憎しみや差別を越えて戦争を抑止することが新たな安全保障の基盤であり、それでこそより強く正義を実現できるという考え方を国際社会に広め、アメリカの反省と謝罪を国際的に讃えられるものにする必要があります。 幸福実現党は、実際に戦争を抑止し国民の皆様を守りながら、同時に世界の全ての国に住むあらゆる人の平和と幸福を実現する理想を掲げ、多くの国に理解を求めながら、平和主義国家日本の舵取りに責任を持ちたいと考えます。 日本国家を壊す「発送電分離」の危険性【第2回】 2016.05.07 文/幸福実現党・岐阜県本部副代表 加納有輝彦 ◆発送電分離で電力不足が起きる? 発送電分離と小売自由化を進める日本でも、今後は同じ問題が出てきます。今までは、総括原価方式といって、電力会社に長期の設備投資を求める一方で、家庭の小売電気料金を適正な価格で規制してきました。 しかし今後は、発送電分離を進め、発電会社が自社の短期的な利益を追求するようになると、ピーク対応や非常時のための発電所を建設する発電会社は出てきません。 ほんの一時期しか使用されない発電所では投資に見合う利益を上げることができないからです。 イギリスはその後、年々、発電設備の容量が減ってしまいました。イギリスでは最大電力需要は冬に発生します。実際に昨年秋には冬の期間の「節電のお願い」が産業界に対し行われました。 これが進むと、停電という事態もでてきます。 (実際、同じく発送電分離をしているドイツのシュトゥットガルトでは今年になってからも、頻繁に停電が起こっており、1月には、街の中心部が停電して、商業施設が大混乱しました。) そこで、イギリス政府は、誰も投資したくないピーク時の発電設備に投資できるような新たな新制度を導入しました。 専門的には「容量メカニズム」と言って、稼働率が低くても電力の安定供給に必要な電源の確保を、小売会社に義務付ける制度です。そのコストは、電気料金に上乗せされます。 「インフラの中のインフラ」である電気事業では、部分最適を狙って競争政策を導入するだけではだめです。全体にかかるコストと便益をよく考えて、国民負担をできるだけ減らしていく政策をとることが、とても大切です。 発送電分離の最大の問題は、稼働率が低い設備をどのように建設するかということです。通常の事業であれば、1年のうち短期間しか稼動しない設備はありません。 しかし、電気事業では、急な需要の変化があっても停電を極力起こさず、自然災害等の非常時に備えるためには、どうしても稼働率の低い設備が出てきます。自由化した当初は設備に余裕があり、供給が可能です。 しかし、設備が老朽化し廃止され始めたときに、どのようにピーク対応や非常時のための設備を確保するのか、イギリスに限らず、発送電分離を行った国では問題が発生し、制度設計を試行錯誤しています。 日本もイギリスのような問題にやがて直面することになると予想されます。そうなる前に電力自由化・発送電分離を見直すことが必要です。 ◆電力の鬼・松永安左エ門の先見性 エネルギーは3つのE(エネルギー安全保障、経済性、環境保全)が大切と言われますが、どの国においても、国民の死活に関わる「エネルギー安全保障」が国民にとっての最大の便益です。 特に日本の場合には、イギリスのように国内にエネルギー資源があるわけではなく、ほとんどの化石燃料を輸入しているので、エネルギー安全保障を、経済効率的に実現していくことが何よりも大切です。 そのためには、原子力発電は不可欠です。これからも原発の新増設を進めていかなければなりません。 ところが、民主党政権の時代に脱原発の議論の中で打ち出された、現在の政府の電力システム改革の方針では、小売全面自由化と発送電分離を進めることになっており、イギリスのような問題が出てきます。 つまり、発電会社と小売会社の契約はより短期になる傾向があること、発送電分離により送配電会社のキャッシュフロー(減価償却の自己金融機能)が活用できなくなることにより、原発のような数十年に及ぶ長期の設備投資が、ほとんど不可能になってしまうのです。 ここで忘れてはならないことは、日本はイギリスよりも39年も早く、完全民営による電気事業を始め、世界で最も停電の少ない電力システムを作り上げ、しかも電気料金は1980年代後半から2011年の震災後に民主党政権が原発を停止させる前まで一貫して低下傾向にあったという点です。 これには「電力の鬼」と呼ばれた松永安左エ門氏の大きな功績と先見性があるわけですが、やはりこれをベースとした改革をしていかなければなりません。 電力の小売を全面自由化し、さまざまな小売会社が切磋琢磨し、サービスを競い合うことはよいことです。 しかし、発送電分離はもっと慎重に考えなければなりません。 送配電事業は事実上、国の管理下に置かれ、松永安左エ門氏が、徹底的に反対し強く警鐘を鳴らした電気事業の国有化、戦時中の国営日本発送電会社の再出現と本質的にはよく似たものであることを見抜かなければなりません。 日本のようなエネルギー資源のない国では、発送電を一体的に民間が経営するスタイル「発送電一貫体制」の方が、民間の効率的な経営のもとでエネルギー安全保障を確立していく上では適しています。 幸福実現党は、日本のエネルギー安全保障を脅かし、電気料金の長期的な上昇によって経済成長を阻害する恐れがある、現在の政府の電力システム改革の見直しを訴えていきます。 日本国家を壊す「発送電分離」の危険性【第1回】 2016.05.06 文/幸福実現党・岐阜県本部副代表 加納有輝彦 ◆「発送電分離」 本年3月、電力システム改革の第3段階にあたる「発送電分離」を2020年4月に実施する法案が閣議決定されました。 しかしこの発送電分離は、日本国家を打ち壊す破壊力を持つものであると非常に危機感を持っています。ここに2回に分けて問題提起をし、発送電分離の見直し論を喚起したいと思います。 ◆電力自由化(発送電の分離)後、電気料金が2倍に(イギリスの事例) イギリスで始まった電力自由化とは、国営電力会社の分割民営化を機に、送配電事業を分離し、公共の道路、国道のような役割として公的な管理下に置き、ここに発電と小売りが自由に新規参入できるようにし、料金も自由に決められるようにしたものです。 送電線や配電線の使用料には、「託送料金」という規制料金が適用され、規制料金を払うことによって発電会社や小売り会社が送配電線(道路)を使うことができます。 入口と出口の発電、小売りの部分では自由な料金が認められ規制はありません。 一言でいえば、発送電を分離して送電線を開放すれば、自由に誰もが発電・小売り事業に参入するようになり、経済活動が活発になると目論んだものです。 このような自由化をイギリスでは、サッチャー政権の時に開始しました。 イギリスは第二次世界大戦後に電力が国営化されていたため、旧ソ連の国営企業のように非効率が目立っていました。 古い設備を使い続け、労働争議が多発し、停電が頻繁に発生するなど、それはひどいものでした。 労働組合などの反対により最も困難とされていた電力民営化を公約に掲げ、1987年に大勝したサッチャー保守党政権は、1990年に国営電力会社を分割民営化し、これにより競争環境を作り出しました。 同時に、大口需要家に対する小売も自由化します。 小売の自由化は99年に一般家庭を含む全需要家が対象となり、2002年に小売価格の規制が完全に撤廃されました。 イギリスの電気料金は自由化後下がりました。その理由は、旧式の国産設備を用いて、石炭産業保護のためコストが高い国内の石炭を利用していた発電所から、北海からの産出量が増加していた天然ガス火力に設備が切り替わったためと言われています。 自由化後、石炭火力発電所と炭鉱が閉鎖されていきました。天然ガスは90年代後半から輸出を行うほど生産量が増えます。この間、電気料金は下がりました。 ところが、2005年を境に、電気料金が急上昇します。北海からの石油・天然ガスの生産量が減少したことが一つの理由です。2004年と比較すると現在の電気料金は約2倍になっています。 ◆発送電分離による電気料金上昇は不可避 電気料金急上昇のもう一つの理由は、電力自由化における宿命といえるものです。 それはピーク時の時だけ使う電源の問題です。ピーク時のみ稼働するだけの発電設備は、非常に稼働率が低い設備です 自由化直後は、国営企業が持っていた古い発電設備が残っていたのですが、その後、維持費のかかる古い設備は次第に廃止されていきました。設備が廃止されたら、本来は新しい設備を新設しなければなりません。 ところが、発電と送電を分離したため、発電会社が単体での短期的な利益を追求するようになり、新しい設備に投資をしなくなりました。自由化された後は、設備投資が簡単には出来なくなったのです。 自由化した市場では、投資判断がどうしても短期的になります。ピーク時だけに稼働するような電源のコストは非常に高くなりますが、その電気を必ず買ってもらえる保証はなく、発電会社にとっては、ハイリスクの投資になってしまいます。 また、発電会社にとっては、努力して発電所を増やすよりも、発電所が少ない方が、卸電力価格が高くなって儲かるという、より本質的な制度上の欠陥もあります。 かといって国営なら十分な設備ができるかというと、そうではありません。 イギリスは国営の時代には政策的に国産の設備や国内の石炭を使うことを要求され、設備が老朽化してもなかなか交換せずトラブルが続出するなど、電力の安定供給を脅かすような問題が山積していました。 サッチャー元首相はこれを改革したかったのです。 大事なことは、国民の利益になる長期的な設備投資を、民間企業の力で経済効率的に進めることです。 (第2回に続く) 日本防衛戦略「核抑止編」【第3回】―核装備プラス日本版SDI(私案) 2016.05.05 文/茨城県本部副代表 中村幸樹 ◆北朝鮮の核の「脅威」に対する「抑止・対処戦略」 北朝鮮は、核兵器の小型化・弾頭化に至った可能性があり、将来的に核弾頭搭載可能な潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)の配備に成功すれば、地上移動式発射型ミサイルの能力向上と併せて、核戦力の残存性が一層高まる危険性があります。 金正恩氏の強気の性格と、米国の「核の傘」の信憑性を考えれば、日本独自の抑止力構築が必要となります。 日本が北朝鮮の「核の脅し」に屈せず、核を撃ち込まれて一千万単位の被害を出さないためには、核装備(「報復型抑止」)と迎撃(「拒否型抑止」)の両方が必要です。 核装備は、原子力潜水艦からの巡航ミサイルを中心にします。敵から先制攻撃で潰されるのを避け、残存性を保つためです。また、日本は、核の「先制不使用」原則を徹底します。 「報復型抑止」は、唯物論国家に対しては、「政治中枢の破壊(断頭攻撃)」も組み込む必要があります。人権軽視の指導者には、兵器・軍隊・都市の壊滅や人民の大量殺傷さえ、抑止にならない場合があるからです。 金正恩氏の場合、深慮なき先制核攻撃や、第二次・第三次核攻撃、自暴自棄の核使用さえあり得るので、日本国民の生命・安全・財産を護るために、「拒否型抑止」も必要です。 核ミサイル攻撃を感知した場合は、潜水艦、ミサイル艦、航空機からの巡航ミサイルや、爆撃機、無人機等で、敵ミサイル基地を破壊します。 発射されてしまった核ミサイルに対しては、従来のイージス艦SM-3やPAC-3の他、早期に、レーザー迎撃システム、日本版THAAD等を開発して対処します。 ◆中国の核の「脅威」に対する「抑止・対処戦略」 中国の「ロケット軍」は、核戦力と通常戦力の双方を兼ねて、第二撃核戦力の質的向上に取り組み、弾道ミサイルの個体燃料化、車両による移動方式への転換、MIRV化を推進しています。 中国の核戦略は、政治の優位、先行不使用宣言、核弾頭の漸増、平時は核弾頭を外して保管、とされていますが、次のような論があります。 〈1〉先制不使用は柔軟な抑止政策を妨げる 〈2〉通常精密打撃兵器に対して核の先制不使用を適用すべきではない 〈3〉台湾進行作戦への大規模介入にも先制不使用を守るべきではない 実際には、トップの意志で、如何様にも運用されます。 アメリカは、中国が米本土に対して核弾道ミサイルを撃たなければ、東アジアでの限定的な核兵器使用に対しては、精密誘導型通常兵器、極超音速滑空ミサイル等で対処する可能性があります。 日米同盟が順調な関係であれば、対中国でも同盟は発動されるでしょうが、「核の傘」は原則ないと考えて戦略を組む必要があります。 日本が核装備をしてない段階で、「日米同盟の破棄」、「沖縄からの米軍撤退」、「中国による台湾占領」のいずれかが起きた場合、シーレーンは中国に押さえられ、日本隷属化は確実になります。 仮に通常戦力でいかに優勢であったとしても、核使用のエスカレーションには、なすすべがなく、意志の強要に対して抵抗ができないからです。 日米同盟の持続・強化は、今後も決定的に重要ですが、リスクや将来展望を考慮して戦略を立案すれば、「核装備プラス日本版SDI」となります。 ◆「核装備プラス日本版SDI(私案)」 日本の核による「報復型抑止」は、原子力潜水艦からの巡航ミサイルと弾道ミサイルで対処します。 「政治中枢の破壊(断頭攻撃)」を組み込み、中国の核戦力破壊を重視して、運用計画を幾通りも作り、念のため、「最小限抑止力」200~400発は確保します。 「拒否型抑止」力としては、大量の核ミサイルにも対処可能な、レーザー、マイクロウェーブ、レールガンなどの兵器開発に速やかに着手します。 特にレーザー、マイクロウェーブの技術は、他の追随を許さない圧倒的な技術力を追究し、あらゆる核兵器や通常兵器を短時間で大量に無力化できるレベルまで、開発を進めます。 合わせて、宇宙技術、サイバー技術でも中国を圧倒し、さらに他の種類の、核兵器無力化技術も、最先端で研究し、やがては「核廃絶」の道を拓きます。 また、その技術開発成功までの「脆弱性の窓」にも手を打ちます。 最重要は、日米同盟強化で、米軍の沖縄駐留と巻き込みが鍵ですが、他の一つは、通常戦力の増強です。 特に、「巡航ミサイル」「抗堪性」「兵站力」は飛躍的に増大させる必要があります。 以下に一例を挙げます。 ◆「A2/AD(接近阻止/領域拒否)」と「エアシーバトル(ASB)」 「接近阻止」(A2)とは、米軍部隊の戦域への展開を遅延させる、あるいは紛争の現場からはるかに遠い距離から作戦させようとする行動です。 「領域拒否」(AD)とは、敵が領域内での米軍の作戦を妨害しようとする行動です。 中国の「A2/AD」戦略に対抗する米軍の戦略構想として、「エアシーバトル」があります。 「エアシーバトル」は、統合部隊による敵への縦深(宇宙・サイバー・航空・地上・海洋領域)攻撃を中心思想とする戦争構想です。 この構想は、米軍が本格的戦いに突入すれば、圧勝が予想されますが、弱点は、中国の先制大攻撃に対して、米軍が本格的反攻に入るまで、数週間はかかることです。 例えば、中国が、台湾や沖縄への侵攻前に、北朝鮮を使って、沖縄上空で核爆発を起こさせたとします。 米軍や家族は退避し、いわゆる人質効果さえなくなります。 米軍の反攻が始まるまでの間、自衛隊は、第一列島線の島嶼を中国人民解放軍に占領されないよう、自力で有効に戦い続けねばなりません。 そのためには、敵のミサイル基地等を潰せる「巡航ミサイル」の大量配備が必要ですし、先制攻撃やその後のミサイル攻撃による被害を防ぐシェルターも必要です。 装備や弾薬、燃料、食糧等の分散大量備蓄シェルターや、地下生産設備等も要りますし、当然、国民を護るシェルターが要ります。 「戦略は環境に対応」しますので、今後も戦略は進化するべきですが、まずは、日本も「核装備」をしなければ間に合わないことを肝に銘じたいと思います。 参照: 『世界を導く日本の正義』大川隆法著 『戦略の強化書』西村繁樹著 『現代アメリカの軍事戦略と日本』山田浩著 『核戦争計画』丸山浩行著 『米中軍事対決』河津幸英著 日本国憲法、施行69年――新しい時代には新しい憲法を 2016.05.04 文/HS政経塾第2期卒塾生 川辺賢一 ◆69回目の憲法記念日 先日、5月3日、69回目の憲法記念日を迎えるにあたり、幸福実現党も声明文を発表いたしました。 「憲法記念日にあたって」 http://info.hr-party.jp/press-release/2016/5496/ この日、幸福実現党は全国各地にて「憲法と日本、どっちが大事?」を訴え、筆者も品川駅、浦和駅、大宮駅にて、幸福実現党・釈量子党首や加藤文康幹事長、小島一郎幹事長代理、そして幸福実現党の後援会の皆様と共に、街頭宣伝活動を執り行いました。 幸福実現党ホームペジより 「憲法記念日にあたって、街頭演説を行いました」 http://info.hr-party.jp/2016/5501/ ◆時代に応じて変化する諸外国の憲法 日本の戦後憲法は施行から69年が経ちました。 世界には200カ国近く憲法を有する国があるなかで、実は日本の憲法は古い方から数えて14番目。すごく古いのです。 しかも日本よりも古い憲法を持つ国で、憲法改正を一度も経験していない国は一つもありません。 日本よりも古い憲法を持つ国のほとんどは20~30回程度、憲法を改正し、ドイツにいたっては60回近く、スイスになると140回以上も改正しております。日本人の感覚からすれば、改正しすぎかもしれません。 しかし「時代が変われば憲法を変える」が当たり前の世界のなかで、日本人だけが、この69年間、現行憲法を不磨の大典の如く守り続けているのです。 ◆そんなに憲法が大事なら・・・ さて、これだけ大事にされて来た日本国憲法ですが、皆様はその条文を読んだことがありますでしょうか。 筆者も今回、憲法記念日に読んでみましたが、ほとんど何が言いたいのかわからない。多くの方がそんな感想を持つのではないでしょうか。 それは私たちの頭が悪いからでしょうか。筆者はそうは思いません。 実は今の日本国憲法は、アメリカ人によって、英語で作られ、それを無理やり日本語に翻訳された文章です。だから大変、わかりにくいのです。 自分たちの国の憲法を自分たちの手で、自分たちの言葉で作っていない国家を皆様はご存知でしょうか。筆者は日本以外に知りません。 5月3日の憲法記念日には、テレビや新聞で「憲法がいかに大事か」、そして「憲法は民主主義の根幹だ」と語られます。 しかし、そんなに憲法が大事で、民主主義の根幹であるならば、私たち日本人は、自分たちの言葉で、自分たちの手により、自分たちの憲法を作り直すべきではないでしょうか。 ◆憲法前文の大事さ 現行憲法の問題点について、幸福実現党は立党以来、憲法9条始め、様々に指摘して参りましたが、その最大の問題の一つが憲法前文にあると筆者は考えます。 現行憲法の前文には「日本国民は、(中略)平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した」と書かれております。 国の政治のなかで一番大事なことは、国家、国民の安全と生存です。しかし、現行憲法はその前文で、一番大事な安全と生存、主権に関わる問題を、他の諸国民に委ねるかのような宣言をしてしまっています。 自分たちの国の運命は、自分たちの責任で決断する。これが一人前の主権国家のあり方です。 人間だって、子供のうちは親の言うことをしっかり聞くことが大事ですが、大人になれば、自分の人生の決断は自分の責任で行わなければなりません。 自分の国のことは自分たちで決断する。今の日本はそうした一人前の大人の国だと言えるでしょうか。 かつて日本には武士道があり、私たち現代の日本人にもその血が流れております。「武士道とは死ぬ事と見付けたり」(『葉隠』)と言われたように、自分の死に場所さえ自分で決してきたのが、世界に誇る武士道精神であったはずです。 「自分の死に場所さえ自分で決める」そうした武士道精神があったからこそ、日本は明治の近代化に成功し、日清戦争や日露戦争、二度の世界大戦と、大変な変革の時代に対応し、世界からも尊敬される国家になったはずです。 しかし今の日本は何をするにも、アメリカの顔色を見、中国の顔を伺い、国際機関の動向ばかり気にして、後出しジャンケンで勝つことが智慧であるかのように勘違いし、国際社会に対して、堂々と自分たちの国のスタンスを訴えることができない、そんな恥ずかしい国になっていないでしょうか。 その象徴が憲法前文を始め、今の日本国憲法のあり方にあわらされていると考えます。 私たち幸福実現党は69回目の憲法記念日を迎えた今、改めて自分たちの国の憲法を自分たちの手により、自分たちの大和言葉で作っていこうと皆様に呼びかけて参ります。 参考『新・日本国憲法試案』(2009、大川隆法) 日本国憲法はGHQによるコピペ?――日本人の手で憲法をつくり直そう! 2016.05.03 文/幸福実現党・宮城県本部副代表 HS政経塾5期生 油井哲史(ゆい てつし) ◆日本国憲法に盗用・転用の疑惑? 2020年東京五輪・パラリンピックの新エンブレムが決まりました。 当初のエンブレムは海外のデザイナーが手がけたロゴに酷似しているとの指摘が相次ぎ、盗用や転用が疑われて使用中止となっていました。 そして、再選考を経て、デザイナーの野老朝雄氏による「組市松紋」が選定されました。 話は変わりますが、もし日本の国家形態、統治組織、統治作用を規定している日本国憲法に盗用・転用があるとしたら、どうでしょうか? ◆日本国憲法の前文は歴史的な文書の壮大なコピペ(盗用) 駒沢大学名誉教授西修氏の指摘によれば、日本国憲法の前文は、「歴史的な文書の壮大なコピペ(盗用)である」といいます。 アメリカ合衆国憲法、テヘラン宣言(米英ソ首脳がテヘランで開いた会談で発表された宣言)、大西洋憲章(米英首脳により発せられた共同宣言)と日本国憲法を比較すると、その中で「自由のもたらす恵沢」「専制と隷従、圧迫と偏狭」「恐怖と欠乏から免かれ」などまったく同一の英文が見られます。 その理由は2つあります。 1つは、日本国憲法の原案の作成期間が1週間程度と、とても短期間であったからです。 国の最高法規である憲法を1週間ほどで作成することは非常に困難です。よって、手元にある文書の中から文章をつぎはぎすることとなりました。 2つ目として、前文については、折衝過程において、日本側とほとんど議論されなかったからです。 連合国軍総司令部から憲法案が出され、日本側で天皇の地位や権能、人権、国会の構成など激論を交わしましたが、前文は総司令部の案がそのままの文面で復活しました。 その後は表現が微調整されただけで、詰めた議論がなされたとは言いがたいのです。 憲法の前文は、憲法全体のエッセンスを凝縮し、理念を発信する意義と役割を担っています。 つまり、国家像や国家と国民の関係をわかりやすく説明し、そのメッセージを世界に対しても発信する役割を有しているものです。 だからこそ、日本はどのような歴史や文化によって成り立ってきたのか、そしてどのような国を築いていこうとするのか、日本国、日本人としてのオリジナリティーやアイデンティティーを打ち出していかねばなりません。 それが欠如しているのが、日本国憲法の最大かつ本質的な欠陥です。日本国民の手で、憲法をつくり直し、日本を真に平和と繁栄の国にしなければなりません。 ◆安倍首相の憲法改正は本心か? 産経新聞とFNNの合同調査で、憲法改正を夏の参院選の争点ととらえる人が多数を占めていることがわかりました。 憲法改正議論に関心 改憲勢力、非改憲勢力問わず(4/26 産経 電子版) http://www.sankei.com/politics/news/160425/plt1604250062-n1.html しかし、衆院憲法審査会は昨年9月以来、開かれておらず、与党は今国会中も開催しない方針です。これでは憲法改正論議が深まるとはいえません。 今年3月、安倍首相は憲法改正について「私の在任中に成し遂げたいと考えている」と述べました。これは本心から語ったことでしょうか・・・?議論を避ける与野党の姿勢と有権者との意識に溝ができています。 ◆今こそ、日本人の手で憲法をつくるとき! 核実験やミサイル発射を繰り返す北朝鮮や、南シナ海にミサイル基地をつくっている中国を見ても日本を取り巻く安全保障環境は悪化しています。 憲法は国の最高法規ですが、国民を犠牲にしてまで残さなければいけないものではありません。 今の憲法自体が憲法違反です。憲法9条を素直に読むと、紛争解決のための戦力を持てないことになり、主権者である国民が防衛をしようとしてもできないことになります。 憲法の根本原則である「国民主権」に反します。さらに、安全保障環境が脅かされているのに、対抗手段がない状態では、憲法13条にある、幸福を目指して生きる日本人の権利(幸福追求権)も守られません。 国民の主権を守るためにも、国際標準の防衛力を持つ必要があります。 今こそ日本人自らの手で、矛盾のない新たなる憲法をつくることを真剣に考えていかなければなりません。 すべてを表示する « Previous 1 2