Home/ 2014年 May 2014年 May 悲観論に負けない人口増加策を 2014.05.21 文/千葉県本部副代表 HS政経塾 2期生 古川裕三 ◆自治体の消滅~恐怖の予言~ 今月の8日、日本創生会議が発表した試算では、全国の自治体のうち、青森市や秋田市などの県庁所在地を含む、実に896もの自治体が将来的に消滅する可能性があるという“恐怖の予言”がなされました。 その背景として、20~30代の女性が地方から都市部に流入し、出産適齢期の女性の数が減っていくことが指摘されています。つまり、そもそもの女性の数が減少するため、たとえ、合計特殊出生率が改善したとしても、人口が減り続けて消滅する可能性があるというのです。 これに対し、政府の経済財政諮問会議の専門調査会が、人口減少に歯止めをかけるべく、「50年後に1億人」の維持を目指す方針を掲げ、その具体案を来月に策定する「骨太の方針」に盛り込むと表明しました。(産経新聞5/15主張) 政府は、現在1.41まで下がっている出生率を、2030年までに人口を維持するための水準(置換水準)である2.07まで回復させることを目標にしています。その実現に向け、第三子以降への経済的支援の傾斜配分や、女性が働くことを阻害している諸制度の見直しの必要性も提言されています。 目標値を定め、人口減少を食い止めようとする政府の試みはよいとしても、やはり今一つ「希望」が感じられません。 ◆悲観論に負けるな 前回のHRPニュースにも書いたように、男女雇用機会均等法が施行されて以降、女性が活躍してきた反面、経済的な要因や、保育所不足などの社会的な要因も相まって、子供の数が減り続けてきました。しかし、その流れを逆転させるのが幸福実現党です。 わが党は、5年前の立党時から「3億人国家構想」を掲げており、現在は、目標として「1億5千万人国家」の実現を打ち出しています。その根本には、「日本を世界一のリーダー国家に」という志と信念があり、巷の「下山の思想」とは一線を画します。 ◆田中角栄に学ぶ、平成版・列島改造論 かつて田中角栄首相は、『日本列島改造論』を著し、日本列島に高速道路網と新幹線網を整備することで、都市と地方の格差を是正し、「国土の均衡ある発展」を標ぼうしました。 もし田中角栄元首相なら現代の日本列島をどう改造するか、その答えが『景気回復法』(大川隆法著)の「第二章 日本を新たに改造せよ」のなかで明らかにされています。 特筆すべきは、未来産業について、「地方の人口を増やして、雇用を生む」ものが重要と指摘している点です。 具体的には、ものづくりの産業を中心に、地方に工場をつくれば法人減税をするなどの優遇税制により、企業誘致を積極的に行うことを提唱しています。 現在、政府も成長戦略の一環として、様々に特区構想を打ち出してはおりますが、思いきりに欠けます。例えば本当に特区にすべきは、福島第一原発の周辺地域で、まったく健康に害がない放射線量であるにもかかわらず、当時の菅元総理の被害妄想と責任回避のために避難区域に指定され、未だに復興が進まない各自治体などではないでしょうか。 それこそ大胆に、「この先10年は法人税をゼロにします」と宣言し、「ベンチャーを起業するなら東北へ」、「設備投資するなら東北へ」というメッセージを発信すれば新たな起業も増え、大企業も設備投資に積極的になり、雇用が生まれます。 そして、現在の極端な東京一極集中現象が緩和され、若者が地方に戻ってきます。詰まる所、若者が都市に行くのは、地方で仕事がないという点に尽きますから、地元に雇用先が増えれば、そこで結婚し、家庭を築き、生活を営む若者も増えるでしょう。 このように、地方人口が増えれば、「自治体の消滅」は回避でき、冒頭の“恐怖の予言”を乗り越え、希望の未来を到来させることができます。 「なりゆきまかせ」が嫌いで「大きく考える」ことが好きな幸福実現党は、「積極的なアイデアで、どうやったら日本をより豊かで幸福な国にできるか」を発信し続けます。 『ヒト・モノ・カネ』の流れを押さえてダイナミックな富の創造を! 2014.05.20 文/幸福実現党山形県本部副代表 城取良太 ※YoutubeでWebチャンネル「中東熱風録」を配信中!中東の最新情報を分かりやすくお届けします! 是非ブックマークにご登録ください! https://www.youtube.com/watch?v=vxhSjaM3Cu8 ◆ハブ機能の強化を目指す2つの動き 2020年のオリンピック日本開催を見据え、「ヒト・モノ・カネ」のハブ機能を強化していこうという動きが活発化しています。 一つ目の動きとして、羽田・成田両空港に発着できる航空便を大幅に増やすという「航空ハブ機能の強化」です。 国土交通省の検討案によると、2020年までに発着回数を約1割増の83万回、30年代までに最大110万回まで増やし、韓国・仁川空港などに対抗し、アジアのハブ空港を目指すという目標設定がなされています。(日経5/17) そのために必要なのが、東京上空の飛行制限の緩和です。 今まではタブー視されてきましたが、東京上空を飛行できると発着枠が飛躍的に増加する為、低騒音の旅客機の使用などの対策を講じ、規制緩和に踏み切ることになっています。 また二つ目の動きが、海外の銀行や投資家を東京に集積させるという「金融センター機能の強化」です。 16日、邦シンクタンク数社が合同で「東京金融シティ構想」を発表し、税制面での優遇措置やアジア通貨に強いなどの専門性や仕組みを整備していくべきだと指摘しています。(日経5/17) イギリスの民間機関が発表している「国際金融センター指数」によると、法人実効税率が格段に低い香港(3位、税率16.5%)、シンガポール(4位、17%)に大きく差を付けられ、日本は6位と経済規模の割に低評価に止まっています。 構想の中心となった日経センターの杉田会長は「アジアの金融センターにする構想は以前からあった。デフレ脱却やオリンピック開催で追い風が吹く、今が最後のチャンス」と強調していますが、まさに政府が具体化に向けてどれだけ本気で取り組めるかが、成否のカギを握っています。 ◆ただの砂漠を大都会に変貌させた3つのハブ機能:ドバイの発展に学べ ドバイといえば、今でこそ「世界の大富豪が集まる街」というイメージを彷彿とさせますが、ほんの30~40年前は砂漠で覆われたアラブの田舎の港町という雰囲気でした。 短期間でドバイをただの砂漠から大都会へと進化させたことこそ、3つのハブ構想です。 第一に、中東最大の港湾ハブを形成し、「モノの流れ」を押さえた点です。 1960年代末からジュベル・アリという地区に大規模な先行投資で人工港湾施設と経済特区の整備を行った結果、世界最大の人工港湾、そして中東最大のハブ港湾・コンテナターミナルにまで成長し、2011年に世界で9位(中東では1位)の貨物取扱量を誇っています。 第二に、ドバイを国際空港化させ、「ヒトの流れ」の拠点を作った点です。 ドバイ国際空港では、24時間体制で乗り継ぎが便利なこともあり、年間の空港利用客数は増え続け、本年第1四半期の国際旅客数が1800万人(ドバイ人口192万人)を超えて、英ヒースロー空港を抜いて世界一となっています。 第三に、ドバイに金融センターを設け、「カネの流れ」を集めたことが挙げられます。 元来、中東の金融センターはバーレーンが担ってきましたが、2004年に国際金融センター(DIFC)を金融フリーゾーンとして設立し、その後は巨額なオイルマネーの獲得を目指して、世界中の金融機関が殺到したと言えます。 このように、「ヒト・モノ・カネ」の流れを押さえた結果、19世紀後半には4000人しかいなかった港町が、2001年には103万人、2011年3月時点では192万人にまで膨れ上がっています。 こうした激増する人口が、ドバイの好況と雇用の創出を象徴していると言えるでしょう。 ◆ドバイが成功した理由は何か? その背景には、ドバイ首長国の親子2代の事業家的な才覚と強いリーダーシップが存在したことは確かです。 ドバイは産油国の中では原油埋蔵量が少なく、将来性が乏しかったため、早期から資源依存型経済からの脱却が図られたことが功を奏し、ハブ港湾、国際空港の整備と世界に通用する航空会社の創設を行い、最優先で海路と空路を押さえた先見力があったと言えます。 そして、何よりも税制と規制の少なさが世界中の企業を惹きつけるポイントと言えます。 ドバイでは所得税はなく、法人税は一部の業種を除いて、課税されておりません。 その一部の業種に含まれる外資銀行についても、国際金融センター(DIFC)では(1)100%外国資本で金融機関を設立できる、(2)利益・配当送金が自由、(3)法人・個人とも50年間は所得無課税、(4)外国人雇用が自由、などのメリットが享受でき、規制緩和は年々進んでいます。 また、UAEはアラビア語圏であるにもかかわらず、英語が幅広くビジネス言語となっており、英語圏の企業はもちろん、世界中の企業が言葉の壁を感じずに進出できる利点もあります。 ◆日本発!ダイナミックな富の創造を! もちろん日本とドバイの実体経済の規模は全く異なり、ドバイのようにハブ機能を強化するのみで、日本の未来の発展を後押しできるとは思いません。 むしろ、ドバイから学ぶべきことは成功をもたらした2つの中身です。 大きな構想を短期的に実現したリーダーシップ、そしてその構想を成功させるために大胆に自由の領域を創りだしたことでしょう。 特に、法人税減税が議題に上がっておりますが、所得税や日本に数多く存在する税制の簡素化を図ることが世界から「ヒト・モノ・カネ」そして「情報」という富を集積させる一里塚だと考えます。 また、日本に蔓延る数多くの規制も議論が進まない領域ではありますが、国際標準と言える規制緩和を行うことが富の集積を促進させるために必要です。 ハブ機能を充実させ、世界中からの富の集積が促進できれば、安全保障的にも、日本に対する軽々しい軍事行動などは難しくなり、自ずと日本が守られることにもなります。 既に日本には、世界的にもトップクラスの技術力、人材、産業インフラがあります。 世界中からあらゆる富が集まることで、ダイナミックなイノベーションが創発され、世界をリードする富の創造がなされるのは間違いありません。 ※YoutubeでWebチャンネル「中東熱風録」を配信中!中東の最新情報を分かりやすくお届けします! 是非ブックマークにご登録ください! https://www.youtube.com/watch?v=vxhSjaM3Cu8 中国の「アジア新安全保障観」からアジアを救え 2014.05.19 文/HS政経塾 第3期生 和田みな ◆中国が提唱する「新安全保障観」 今月20、21日の両日、アジア信頼醸成措置会議(CICA) が中国・上海で開催されます。 この会議には、ロシアのプーチン大統領をはじめ、15ヶ国の首脳や国連の潘基文事務総長も出席し、議長国である習近平国家主席との首脳会談も予定されています。このCICAで習近平が提唱しようとしているのが「アジア新安全保障観」です。 中国による「新安全保障観」は1997年に初めて提唱されたものです。それが、先月開かれた「中国・中央国家安全委員会」の第1回会議において、「中国の特色ある国家安全保障を提示し、それに向かって歩み出す」と習近平国家主席が述べたことで、再び注目を集めています。習氏のこの発言は、オバマ大統領の来日直前のことでした。 ◆「新安全保障観」の内容 中国が提唱する「新安全保障観」を簡単に要約すると以下のような要旨になります。 ・中国の安全の夢は、世界の安全の夢と同義である ・米国型の第三国を排斥し、仮想敵に的を合わせるような、二国間同盟体制を乗り越えるものである ・「アジアの安全保障・経済は米国頼み」というパラドックスを乗り越えるものである 中国はこの「新安全保障観」をアジア各国に広めることで、「アジアのことはアジアで十分解決できる。アメリカに代わって、アジアを支配するのは中国で、それがアジアの安全を守るものだ」ということを示すとともに、アメリカ・日本の日米同盟を軸としたこれまでのアジアの安全保障体制を牽制する意図があるのです。 ◆全世界に影響を与える中国の新安全保障観 中国共産党の機関紙「人民日報」の日本語版サイトは4月17日付けで「全世界に影響を与える中国の新安全保障観」と題する論説を掲載しました。この「新安全保障観」がどのように世界に影響を与えるというのでしょうか。 前述したCICAにおいて中国は2016年まで議長国を務めます。また、今年の秋にはAPEC(アジア太平洋経済協力会議)の首脳会議が北京で開催される予定です。中国は、この2つのアジア会議を最大限に活用し、中国主導の「新安全保障観」をアジアに広めるつもりなのです。 中国の外交部は、3月16日の記者会見でも「CICAの最大の大義は『アジアの問題はアジア主導で解決すべきであり、アジアの安全保障もまずアジア諸国自身の協力強化を通じて実現するべきだし、それは完全に可能だ』との声を共同で世界に発することを望んでいるということだ」と述べました。 中国は自身の「新安全保障観」をまず示すことで、各国にも「新安全保障観」の確立を推進し、「アジアの安全保障の協力と新しいメカニズムを積極的に検討することを望んでいる」と発信しています。 この「新安全保障観」は、アメリカのリバランス政策の一環である日米によるTPP推進、安全保障での協力強化などの、対中圧力に対抗するものです。 中国は、アメリカ型の安全保障観の欠点を指摘し、アジアの安全保障は中国主導で行うという強い意思表示を示しました。これからアジア各国は、地域の安全保障について中国主導か日米主導かを迫られることになるでしょう。 ◆中国主導の安全保障体制の危険 今月、南シナ海で起きた中国の公船とベトナム船の衝突は、この中国の「新安全保障観」の危険性を露わにしました。アジアにおいて、中国主導の安全保障体制が強まれば強まるほど、中国による強硬な領土・領海侵略が行われる可能性が高まることを世界に示すことになったのです。 このような中、東南アジア諸国連合(ASEAN)は11日、ミャンマーの首都ネピドーで首脳会議を開き、南シナ海情勢などについて協議し、関係国に自制と武力の不使用を求めることを盛り込んだ「ネピドー宣言」を採択しました。 しかし、ここでも中国を直接非難することは出来ず、議長国のミャンマーを含め、中国と緊密な関係を持つ多くの加盟国に配慮したものになってしまいました。 ◆日本に求められるリーダー国家としての「公の精神」と具体的な行動 このように、国際社会は中国の野望に対して有効な手を打てないでいます。これまで実質的にアジアの盟主であったアメリカも財政難から国防予算を減らさざるを得ない状況が続き、中国がこれに代わろうと具体的に行動を始めているのです。 昨年10月、ASEAN首脳と安倍首相との会談で安倍首相が、中国の強引な海洋進出を批判しつつ、日本として集団的自衛権の政府解釈見直しや国家安全保障会議(日本版NSC)の創設などの取り組みを紹介したところ、参加国から「日本が世界の平和のために貢献することを支持し、期待する」との声が上がりました。 アジア各国は中国に対抗するために、日本に対して具体的な行動を期待しているのです。 日本には、日米同盟を堅持しながらも、責任を持って地域の安全を守れるだけの早急な法整備や外交戦略が求められていますが、日本の政治家やマスコミの多くには、「世界の平和に貢献しよう」というリーダー国家としての「公の精神」が全くありません。 しかし、私たちは、国際社会の状況や要請を踏まえて、一国平和主義、利己的平和主義で満足するのではなく、集団的自衛権の行使、憲法9条の改正の問題に取り組むべきです。 また、中国の軍事力の脅威からアジアの平和を守ることなしに、日本一国の平和を守ることなどできないことを一人ひとりが自覚しなければなりません。 ◆日本の行動が世界を救う 更に日本には、中国の「新安全保障観」に対して、「より多くの国々の自由を守り、共に発展できるアジアをつくる安全保障観」のビジョンをアジア各国に提示していく必要もあるでしょう。 私たち幸福実現党は宗教政党です。「国民を護り、世界の平和に寄与する」という精神を大切にし、「悪を押しとどめ、善を推し進める」という宗教的正義において、国防強化の重要性を訴えています。 日本人がこの精神を理解し、世界の平和と発展のために具体的に行動を開始した時、戦後失ってしまった「日本の誇り」を取り戻すことができるでしょう。そのような日本人の行動が世界を救うことになるのです。 集団的自衛権行使の本質を問う 2014.05.18 岐阜県本部政調会長 加納有輝彦 ◆20年前の警告が今現実に 今を遡ること20年前、朝鮮民主主義人民共和国を建国した金日成の死去(1994.7.8)より4日後の7.12に東京ドームで開催された講演会「異次元旅行~仏法真理のもとに地球を一つに~」にて幸福の科学グループ・大川隆法総裁は、北朝鮮の核保有疑惑に関し、「これは疑惑ではなく、北朝鮮はすでに核兵器を保有しております。」と警鐘を鳴らされました。 また、中国の軍事的拡張主義、覇権主義の脅威にも言及され「このあとに来る軍事的拡張主義が恐ろしい。」「ベトナム沖の油田、その他、経済的利権になる所に対し、触手をのばすことが危険である。」と同じく警鐘を鳴らされました。 今、その警鐘が現実のものとなりました。 大川総裁より警鐘が鳴らされた20年前より我が国が対北朝鮮、中国の軍事的拡張主義に対し、しっかり対応していれば、「集団的自衛権」に関し議論が紛糾して喧々諤々たる現在の国内状況はなかったのではないかと悔やまれます。 事実は、当時の村山政権から時代が逆回転をし、阪神大震災、オウム事件、民主党政権の迷走、東日本大震災、自虐史観の蔓延等々、20年の停滞を経験し、未だ脱出していない状況が続いています。 ◆南シナ海の危機的状況 ここにきて南シナ海における中国とベトナム、フィリピンの衝突がにわかに頻発し、ベトナムでは反中デモが開かれ、中国人の死者が出るなど事態は緊迫しています。 中国のベトナム、フィリピンへの挑発行動は、先月4月のオバマ大統領の日本を含めたアジア4か国訪問の直後に起こっています。 オバマ大統領は、同盟・友好国にアジア重視の政策は不変であり、安心して欲しいと保障するためアジア4か国を訪れました。 しかし、行く先々で「我々の目標は中国に対抗することではない。中国を包囲することでもない。」と中国を気遣う姿は、尋常なものでなかったと田久保忠衛氏(杏林大学名誉教授)が産經新聞の正論(5/16)で述べておられます。 大川総裁は5月17日、静岡県浜松市にある中部正心館で行った法話「愛が時代を動かす」の中で、中国はアメリカが何もできないところを世界に見せて、この海域を実効支配できるところをPRしていると分析しました。 月刊ザ・リバティ 大川隆法総裁 法話レポート http://the-liberty.com/article.php?item_id=7844 そして中国とベトナム、中国とフィリピンの戦争が差し迫っている、いつ戦争が始まっても不思議でないと警告を発されました。 ◆戦争勃発の危機 これに関しては、同日夜のTBS「新・情報7daysニュースキャスター」に出演した藤原帰一東大教授も、中国とベトナム、フィリピンの間に戦争の危険が高まっているとコメントしていました。現役東大教授のコメントとしては踏み込んだもので、それだけ危機的状況にあることが分かります。 また、15日に官邸で行われた安倍首相の集団的自衛権行使に関する記者会見を受け、翌日の東京新聞が朝刊で『「戦地に国民」へ道 』と赤旗新聞顔負けの大見出しを一面に打ちました。 しかし行使反対を鮮明にした東京新聞の長谷川幸洋論説副主幹も、18日に関西の人気民放番組に出演し、集団的自衛権に関して、日米同盟それ自体が集団的自衛権の発動であると、その必要性を認識していると発言し、東京新聞の論説と一定の距離を示していました。 このように中国とベトナム、中国とフィリピンの戦争の危機が現実となった今、個別的自衛権では対処できない集団的自衛権の必要性が認識されてきます。15日の安倍首相の記者会見の説明は、邦人保護の説明が中心であり、必ずしも集団的自衛権の必要性を説明できていないと容認派、反対派双方から批判が出ています。 ◆集団的自衛権問題の本質 問題の本質は、例えば、中国とベトナムが戦争状態になった時、日系企業も多いベトナムの「助けて下さい」という要請を全く無視し、アメリカまかせで済むかという事です。 植民地を解放してくれたと未だにアジアの人々から尊敬されている日本が、果たして「無視」「見殺し」にできるのか。私たちの先輩が命をかけて勝ち得た「尊敬」を、私たち子孫が反故にしてしまってもよいのでしょうか。 17日の講演で大川総裁は「全体主義とは、人々を愛する神仏の心を無視した国家の暴走」と定義付けられました。 さすれば、集団的自衛権を戦争に巻き込まれると忌避し、己の安全のみを考え、第三国の紛争に知らぬ存ぜぬを貫くことは、これまた人々を愛する神仏の心を無視した利己主義という横暴に他ならないのではないでしょうか。 時の政権の解釈で憲法が変わってしまうとすれば、「立憲主義」を破壊するものであると手続き論でいろいろ批判されていますが、こうした批判について、大川総裁は「法律のために人間があるのではなく、人間のために法律がある」と指摘されました。 憲法の遵守や、その改正手続きにこだわって、日本人の生命、安全やアジアの平和を危機に陥れてしまえば、元も子もありません。現状は、憲法改正の手続きを踏んでいては間に合わないほど緊迫した状況にあります。 大川総裁は、結語として「『国民を護り、世界の平和に寄与する』という一点を貫くべき」であり、「愛の行為が、同時に神仏の願う正義とも一致していくよう、努力すべき」と主張しました。 厳格な法律論・手続き論に拘泥し、国民の生命を危機に陥れることのないよう幸福実現党は、引続き、安倍首相が公明党に遠慮して言えない正論を訴え続けてまいります。 国民の生命を守る政治家の気概とは 2014.05.17 文/幸福実現党政務調査会 佐々木勝浩 ◆戦争に巻き込もうとしているのは日本ではない 5月15日、安倍首相は、記者会見で「集団的自衛権」の行使を容認する憲法解釈変更の検討を表明しました。 朝日新聞は、「近づく戦争できる国」と、「安倍首相が示した方針が現実になれば自衛隊が他国の戦争に加わり相手を殺すこともある」(朝日5/16)と述べ、すぐにでも日本が外国人を殺す戦争が始まるような報道をしています。 しかし戦争に巻き込もうとしている国は、今年になっても複数回ミサイルを日本海などに打ち込んでいる北朝鮮や、南シナ海で勝手に資源を掘削しはじめベトナム船に自分から衝突させておきながら、ベトナムが先にぶつけたと主張している中国の方ではないでしょうか。 さらに中国は、2012年からフィリピンの排他的経済水域にある暗礁を勝手に埋め立て滑走路建設工事を始め、話し合いのテーブルの席に着くこともなく、力でフィリピンの権益を侵し暗礁を自国に組み入れようとしているのです。 ◆政治家としての責任 南シナ海は、日本のシーレーンでもあり、日本の経済にも影響を与えます。一国平和主義で、日本のことだけ考え他国がどうなろうと関係ないという態度ではベトナムやフィリピンからの信用も失ってしまうでしょう。 ベトナムやフィリピンには、たくさんの日本企業があり、邦人が住んでいます。もしベトナムやフィリピンが紛争や戦争に巻き込まれた場合、現在の日本は自衛隊も派遣できません。 朝日新聞では「偶発的に引きずられるのが戦争」(朝日5・16)と述べていますが、外国の紛争地に残された邦人をどうやって救出するのか、何の解決策も示していません。 「人を殺す暴力装置の自衛隊を海外に派遣するな」という意見もありますが、では在アルジェリア邦人に対するテロ事件と同じことが起こった場合はどうするのでしょうか。 「日本は戦争をしない」と言うことは簡単です。自衛隊は派遣できないというなら、誰が救出に向かうのでしょう?他国に救出をお願いすることもできない、だから在アルジェリア邦人の悲劇は起きたのではないでしょうか。 この問題について国民の生命を守るために真剣に考えているのが政治家の立場です。真の政治家であるなら、邦人が命の危険に晒されているのを黙ってみているわけにはいかないのです。 この国民の命を預かる政治家の責任の重さを考えたことがあるでしょうか。アルジェリアで仕事をしていた邦人を救えなかった安倍首相は、それを真剣に考えたからこそ、いま「集団的自衛権」の行使を容認する憲法解釈変更を検討しているのです。 邦人を救うために、自衛隊が暴力装置だからと言って丸腰の国民にお願いして救出に向かわせるわけには行きません。自衛隊にお願いする以外にないではありませんか。 政治家という立場は、自分の命令で自衛隊員を命の危険に晒すことになるかもしれません。それでも邦人を見殺しにすることは出来ないのです。あえて自衛隊員に救出の命令を出さねばならない時もあるのです。 ◆憲法を守って国民を守らず 外国で命の危険に晒されている方の家族に対して、「日本の憲法は、自衛隊の海外派遣を禁止しています。自衛隊は戦後一人も外国人を殺したことはありません。自衛隊がテロの犯人を殺すことになるかもしれませんから、あなたの家族が死んでも自衛隊は派遣できません」――とでも説明するのでしょうか。 心ある政治家であれば、法を守って国民の生命を危険に晒すわけには断じていきません。だから国民の生命を守るために法を改正、もしくは解釈して緊迫する情勢に間に合わせようとするわけです。 また国民の生命を守るためには、自国のみではなく米国などの協力も必要です。そのための集団的自衛権容認が必要なのです。一国のみならず、複数国の軍事力の結集は、中国への抑止にもなります。自分より強ければ中国も簡単に手を出すことはできません。 以上、政治家として国民の生命.を守る立場を真剣に考えているからこそ、幸福実現党は、「集団的自衛権」の行使を容認する憲法解釈変更に賛成します! ■集団的自衛権の行使容認に向けた安倍首相会見を受けて(党声明) http://info.hr-party.jp/press-release/2014/3055/ 【高齢者と農業】――高福祉国家を超えて「生涯現役社会」への一試案 2014.05.16 文/幸福実現党石川県本部副代表 宮元智 ◆高齢者は農作業がお好き? 「世界最速」で進んでいると言われる日本の少子高齢化。 このままであれば、社会保障制度が破綻することはもとより、国家そのものが消滅してしまうかも知れません。 子供は急に増やせません。また、働いて稼げるようになるまでには20年以上かかります。早晩移民を受け入れざるを得ないとしても、長年単一民族主義で来た日本人にはにわかには受け入れられないでしょう。 ならば、高齢者の方々を、戦力外にしておくのではなく、国富増大のための重要な戦力になっていただきましょう。 仕事をリタイアした高齢者の方々は、ボランティア活動も含めて意外と働いています。つまり、様々な形で付加価値を創造しています。 地方の場合ですが、高齢者の方々は、村が“限界集落”と化しても、都会へ出た息子たちの所へは行かず、身体が元気なうちは不便でも長年住み慣れた土地に暮らすことを選ぶ人が多いようです。 また、高齢者の方は、意外と農作業が好きな人が多いようす。農業を通して、創造の喜びを味わっておられるのかもしれません。 ◆高齢者を“戦力”に 一方、日本の農業に目を向ければ、少子高齢化とも絡んで、後継者不足、膨大な耕作放棄地、補助金漬け、食糧自給率の低さなどの諸問題を抱えています。 高齢者を日本の農業の“戦力”に変えることができるならば、農業の復興と、社会保障費の抑制に貢献できます。まじめで責任感の強い高齢者にとって、生き生きと、余生を完全燃焼できる道となるでしょう。 ◆パワードスーツと植物工場で生産性を高める ただ、農業は、基本的に、重労働です。 農作業好きの高齢者も、自分の体力や能力に応じた範囲でしかできないので、ほとんどの場合、趣味に毛が生えた程度で終わります。生産性や付加価値の面がボトルネックとなります。ゆえに、それをサポートする施策が必要です。 例えば、重労働から解放するために、農作業用“パワードスーツ”の開発なども必要でしょう。 筋力を機械的にサポートするパワードスーツは既に実用化のレベルになっています。医療・介護・軍事だけでなく農業でも応用できれば、よりマーケットは広がり、大量生産により安価になるでしょう。 また、植物工場、野菜工場などで農作物が栽培されるようになれば、農業は今より遥かに生産性の高い産業に変わっていくでしょうし、空調の効いたビルの中での作業ならば、熱中症などの心配もいりません。 さらに、農業が、通常の会社勤務のようなスマートな職場になれば、農業を継ごうと思う若者も村に帰ってくるかも知れません。こうして、高齢者による農業の復興は、過疎や限界集落、後継者不足、耕作放棄地の問題の解決にもつながります。 ◆食糧危機の解決と国富増大への貢献 地球の人口爆発の時代を迎え、人類は食糧危機の問題に直面しています。 安価な食糧を、大量に増産しなければいけません。そうした使命感をもって、日本の高い農業技術を、さらに進化させなければなりません。 さらには、「ルビーロマン」(一房数十万円もする石川県産の高級ブドウ)のような高付加価値の農作物を開発し、世界の富裕層に提供することができたならば、国富増大にも大きく寄与できます。高齢者は、その貴重な担い手になりえます。 ◆未来型国家の条件―愛と自由 世の中に何も貢献することなく、ただ年金を貰って、日々を送るだけの人生は虚しいものです。高齢者も自ら働いて富を得て、かつ税金を納められるような社会は、国家社会主義型の高福祉国家に対するアンチテーゼであり、新しい国家モデルの提示でもあります。 その底流を流れる考えは、「自分以外の他者に対して、何らかのお役に立つことを喜びとする心」であり、宗教的には、「与える愛」と呼ばれます。 「生涯現役社会」の背骨となる思想は、すなわち「愛の思想」なのです。「福祉国家」の美名の下に重税を課す国家の行き着くところは、国家社会主義型の「自由のない社会」です。 私たち幸福実現党の目指す社会は、抑圧や恐怖によって支配される社会ではなく、愛と自由に満ちた繁栄する社会です。 その未来型国家モデルを示すことがリーダー国家・日本の使命でもあります。ただ社会保障費を削るために高齢者にも働いてもらうという発想ではなく、「愛と自由」、「繁栄」という観点から、「生涯現役社会」も構築されていくべきと考えます。 「経常収支」に一喜一憂せず、世界規模での富の創造を! 2014.05.15 文/HS政経塾1期生 伊藤のぞみ ◆比較できるなかで最少の経常黒字 財務省は12日、2013年度の国際収支を発表しました。そのなかで、2013年度の経常収支が7899億円となり、比較できる1985年度以降で過去最少となりました。 経常収支とは、海外と国内の取引で海外にどれだけお金を払ったか、海外からどれだけお金が入ってきたかを表す指標です。 海外からお金が多く入ってくると経常収支は黒字になり、国内からお金が多く出て行くと経常収支は赤字になります。 海外に物を売ってお金が入ってきたり、買ってお金が出て行った場合は「貿易収支」、海外に投資したり、海外の子会社から配当金が入ってきた場合は「所得収支」、発展途上国に援助をした場合は「経常(資本)移転収支」、海外旅行でお金を使ったりする場合は「サービス収支」として集計されます。 経常収支は、東日本大震災後の2011年度から、7.6兆円(2011年度)、4.3兆円(2012年度)と連続して減少しており、昨年度はとうとう1兆円の大台を割り込みました。 最大の要因は貿易収支の赤字です。原発停止により液化天然ガス(LNG)など燃料の輸入が増大していることに加え、消費税増税前の駆け込み需要が発生したことにより、貿易赤字は10兆円に達しました。 ただ、海外の子会からの配当は増え、所得収支の黒字は16兆円と最大となったため、経常収支は黒字になったのです。 ◆海外旅行に行ったり、iPhoneを購入することは悪いこと? 2013年度は辛うじて経常収支は黒字になりましたが、経常収支が赤字になったらどうなるのか、不安に思う方もいるかもしれません。 ただ、経常収支がどういった原因で起こるのか、具体的に考えると「経常赤字は良くない」とはいえません。 私たちが海外旅行にいくと、そのお金は「サービス収支」で日本から出て行くお金と集計されます。また、iPhoneを購入した場合も、「貿易収支」のマイナスとしてカウントされます。 物やサービスを購入するときには、お金を支払わなければいけません。その対価が海外に出て行くか、国内にとどまるかは二次的な問題で、ほとんどの人は自分にとって必要だから、大切だから、好きだから、その商品を購入したり、サービスを受けるのではないでしょうか。 最近では、発展途上国の支援をするために、アフリカなどで生産されたコーヒー豆を購入する人もいます。逆に、日本企業を応援するために、国内で縫製されたジーンズを購入する人もいるでしょう。 どちらも尊重すべき判断であり、「経常収支が赤字になるから悪い」「黒字になるからいい」ということはできません。 ◆「あなたの所得」は「誰かの消費 」 経済取引は一面から議論できるわけでなく、一つの面があれば、もう一つの面が存在します。商品を購入する人がいれば、その商品を販売してお金を受け取った人がいます。 つまり、「あなたの所得」は「誰かの消費」であり、「あなたの負債」は「誰かの貯蓄」です。これを国際収支で考えると、日本の経常黒字は、他国の経常赤字になります。 少し話はずれますが、経済取引で大切なことは、お金を支払う側も受け取る側も双方が満足できるかどうかです。 「経済における正義とは等価交換である」。これは経済における示唆に富む言葉です。 物・サービスを売る側も買う側も、差し出したものと同等の、あるいはそれ以上のメリットを得ることができるから経済取引は成立するのです。この原理に反する企業は自然と淘汰されていきます。 ディズニーランドへ行って6000円取られたといって怒り出す人はいません。ディナーに行って5000円を払って損をしたと思った人が多ければ、そのお店が経営を続けるのは難しくなってくるでしょう。 経常収支の黒字が続いているとことは、日本企業が良いサービス、良い製品を提供し続けているということであり、経常赤字が発生しているということは、良いサービス、良い製品を海外から輸入しているということなのです。 ただ、日本は他国から購入するより、提供することのほうが多いというだけです。アメリカやイギリス、カナダ、オーストラリア、デンマークなどでは、経常収支はよく赤字になっていますが、それで何か問題が起こっているわけではありません。 ◆「経常収支」に一喜一憂せず、世界規模での富の創造を 前述したように、海外旅行へ行く人が増え、海外に対する投資が増えれば経常黒字は縮小します。しかし、それは企業や個人の判断を集計した結果であって、一喜一憂する問題ではありません。むしろ、経常収支が赤字になったとしても、発展途上国へ投資を増やし、製品の輸入を増やすことは、世界から貧困を駆逐していく大きな力です。 また、日本にとっても、海外子会社から配当がもたらされるだけでなく、発展途上国がアメリカやヨーロッパの国々と同じように経済成長することで、日本の製品を多く買ってくれるようになります。 そういった企業を後押しするには、海外子会社からの配当にかかる税金を低く抑えるということも有効でしょう。 これからも、一つの経済指標に振り回されるのではなく、日本と世界の繁栄を目指した経済政策を提案して参ります。 中韓の情報戦に対抗するために 2014.05.14 文/HS政経塾2期生 服部まさみ ◆米国首都圏で起こっている慰安婦像“設置ラッシュ” 米国で韓国系団体などが、新たにワシントンDC近郊(バージニア州北部が有力)に「慰安婦」碑を、ミシガン州(8月に除幕式)に「慰安婦」像を設置する計画が明らかになりました。(5月5日付産経新聞) 米国ではカリフォルニア州、ニュージャージー州、ニューヨーク州にすでに「慰安婦」像、「慰安婦」碑が設置されています。新たに、ワシントンDC近郊、ミシガン州に設置されれば、合計6基の慰安婦像や碑が米国に存在することになります。 韓国系団体のバックには中国の強力な支援があるといわれています。中韓が仕掛ける米国での“設置ラッシュ”をいかに阻止するか、日本の対応が改めて問われているのです。 ◆中韓の「情報戦」の強み 歴史認識や尖閣諸島、竹島の問題で中国と韓国が真実を捻じ曲げたプロパガンダを世界中に広めていますが、中韓の「情報戦」の強みとその特徴は、官民一体となったいくつもの層を持っていることにあります。また、国家戦略を達成するために、長期的な戦略で攻めてきます。 例えば、米国に対しても、政府の指令を受けた民間団体や(民間といっても中韓の場合、政府と非常に強いつながりがあるが)個人などが票やお金を武器にホワイトハウスや議会など政治の中枢、司法、シンクタンクや大学、大手メディアなどの各層ごとに徹底的なロビー活動を行ないます。 注目すべきところは、それぞれの層の有力な人物にターゲットを明確に絞ってくることにあります。 例えば、従軍慰安婦問題で、2007年に日本を非難する決議案を可決するように動いたマイク・ホンダという下院議員がいますが、この人物に対しても、まだ下積み時代から中国は目を付けて、「抗日連合会」という反日団体を使って動かしていました。 ◆中国のしたたかな手口 特に、中国は昨今、政治家だけでなく、海外メディアやシンクタンクを通じて情報戦を繰り広げています。有識者層の論調は各国の政策決定に直接影響力をもつとともに、世論を一定の方向に誘導する力を持っています。 そのため、中国は莫大な資金を使って欧米のシンクタンクや有識者に働きかけているのです。 海外の研究者やジャーナリストを中国に招待し、豪華な食事や贅沢な中国旅行、美しい女性でこれでもかというほどもてなします。そこで“おいしい”思いをしたジャーナリストや研究者は中国の悪口を書けなくなるという構図が出来上がってしまっているのです。 さらに、中国が徹底しているところは、現地の人をうまく使って、「中国色」を薄めることです。 例えば、中国の国際放送の内容は、北京政府から派遣された幹部が決めるので、プロパガンダと分かるのですが、それを放送するキャスターに元BBC、FOXニュース、CNNの売れっ子を引き抜いて使ったりするのです。 米国のトップ・ジャーナリストを引き抜いて雇い入れることは、米国世論に影響を与える層の中に中国の味方をつくりやすくしています。 また、一般の視聴者にとっても親しみがわきやすく、嘘のプロパガンダだとしても、あまりなじみのない国際問題であれば中国政府の主張をいつのまにか事実として受け入れてしまう可能性が高いのです。 中国政府が国際放送に充てている予算は、2700億円~6100億円以上ともいわれており、米国の580億円、イギリスの322億円、日本の130億円と比較しても圧倒的な違いがあります。 ◆日本は官民の連携強化を それでは、このような中韓のしかける情報戦に対して、日本はどのような対応をしていけばよいのでしょうか。 安倍政権は、中韓が仕掛ける情報戦に対抗するため、「広報の強化」に平成26年度予算を25年度の44億円から65億円に大幅に増額しました。また、官邸内の国際広報室、外務省内の広報文化外交戦略課には一級の人材が投入されました。 しかし、ほとんど中韓の情報戦に追いつかないのが現状です。中国は一党独裁なので、人もお金も政府の思い通りに動かすことができます。 日本のような民主主義が成熟した国家では、政府がどれだけ情報やイメージをコントロールしようとしてももはやできない状況にありますし、プロパガンダ的なものを使うことで相手国の国民の印象を悪くし、信頼を失うというリスクがあります。 政府自身の発信も強化されるべきですが、重要なのは、民間をベースとして、研究者や有識者、NPO、NGOなどが正論を国内外にはっきりと発信し、世論を盛り上げていくことで、政府が動きやすい環境をつくることです。 日本の大学やシンクタンクといった非政府機関からの客観的な発信が必要であり、政府としてその発信を最大限に活用することが重要です。 また、外国の有識者やジャーナリストを日本に招待し、自由に研究や取材ができる環境を増やすことが先決です。元々、親日的な人たちはもちろんのこと、特に、反日的な感情をもっている人たちに等身大の日本を知ってもらうことが重要です。 ◆日本は今、世界のリーダー国家として真実を語る時 しかし、問題なのが等身大の日本の中には、「自虐史観」というくせものがいます。日本に来た有識者やジャーナリストが自虐史観のもとになっている、間違った歴史観を吸収し、自分の国で広げられてしまったら意味がありません。 また、日本近現代史の分野では、自虐史観を批判する教授は、大学で職を得ることができず、学術誌に論文が載せられないのが現状です。そのため、間違った歴史認識をつくり出している「論拠」を見直し、正しいものに変えていかなければなりません。 さらに、英語での発信や、海外の有識者の研究や記事の情報源になるものがきちんと英語に翻訳されている必要があります。 政府として、歴史問題の有識者会議や委員会を立ち上げ慰安婦問題の調査や検証を率先して行なうことが先決であり、国の未来のために良い研究をしている機関への財政面での支援を積極的に行なうことが重要です。 ジョン・F・ケネディ大統領の下、米国広報・文化交流庁の長官を務めたエドワード・R・マローは、次のような言葉を残しています。「説得力をもつためには、信憑性がなければならない。信憑性を持つためには、信頼性がなければならない。信頼性を持つためには、真実を語らなければならない」。 日本は今、世界のリーダー国家としての信頼を得るために真実を語るべき時がきているのではないでしょうか。 変わりつつある香港の自由~アジアの平和を守れ~ 2014.05.13 文/HS政経塾1期生 兵庫県本部副代表 湊 侑子 ◆香港の自由は本物か 1997年にイギリスから中国に香港が返還されてから、今年で18年目。 「返還後、50年間は資本主義制度を変更しない」という一国二制度の下に、香港特別行政区の設置と高度な自治権による経済の自由を謳歌しているように見える香港。 香港の不動産王と呼ばれ、香港ボンド・グループ総帥のアンソン・チャン氏は2006年「The Liberty」の取材に対して、「香港と中国は一体化している」「自社の中国本土への投資は10年前の数億ドルの10倍に増えている」「北京政府に反対することは賢明ではない」と答えていました。(The Liberty 2006.6 「民主派は香港経済を脅かしている」) 規制の少なさとスピード感、安い税金を売り物にして、中国返還後も多くの投資を集めて来た香港と、中国大陸に大きな投資をしてきた香港企業ですが、ここにきて自由と発展に影が差し始めています。 アジアの大富豪で香港の有力企業家である李嘉誠氏は上海のオフィスビルを1163億円で売却するなどして、中国大陸の資産を次々と処分し、「中国から逃げ出す」動きをしています。 この理由に関して、時事評論家は「香港特別行政府および中国共産党政権への失望」、また李氏本人は「香港は『人治』になってはいけない」と政府への不満を示唆しています。(大紀元日本 12月16日) つまり、今まで存在していた経済における自由がここにきて制限され始めているのです。 更に、明らかなる自由の制限が始まっています。それが言論の自由への圧迫です。 ◆ジャーナリスト問題 今年2月、民主派のTV局の新規免許申請を拒否した香港行政政府を批判した「明報」の編集長劉進図氏は編集長の職を追われた上に、暴漢に肉切り包丁で襲われて重傷を負いました。 この後の編集長は、中国政府寄りの人物がついています。香港メディアによれば、劉氏を襲ったのはマフィア組織の構成員で、一人約1300万円の報酬で雇われていたことが明らかになりました。(2014.3.21 AFP通信) また、日刊紙「香港晨報」の幹部2人は覆面の男4人組に鉄パイプで襲われました。 同紙は、中国本土の干渉を受けないために、発行資金を地元で集めると声明を発表していました。また、「香港の人々を代弁するために力を尽くす」「今の香港には、バランスのとれた信頼性の高い新聞が必要」と宣言していたのです。 行政長官が中国寄りでなければ立候補できないことを見てもわかりますが、普通選挙が行われない香港において、実際に自由を守っているのは政治家ではなくジャーナリストであるとの意見があります。 香港におけるジャーナリストの発言は、日本のものとは比べられないほど重いのです。その彼らの言論が抹殺されたという事実は、社会に大きな衝撃を与えました。これが中国共産党から香港市民への明確なメッセージなのです。 ◆6月4日 天安門記念日に向けて 今年は天安門事件から25年目です。 民主派の有志が記念館建設を目指して募金を集め始めたところ、市民から約1億3千万円(976万香港ドル)が集まりました。これらの寄付により、4月26日に天安門事件記念館(64紀念館)がオープンしています。 場所は、香港市内の繁華街にあるビルの5階。香港にあるこの記念館が、中国統治下での唯一の記念館です。 しかし、このビルのオーナーが記念館の開設に反対して訴訟を起こす動きを見せたり、開館に反対する抗議活動がみられたりと、圧力が多いのです。もちろん中国共産党政府からの圧力です。結局、記念館は6月10日までの期間限定開催となりました。 自由の象徴ともいえる法輪功の活動も、最近香港ではあまり見られないと地元住民は証言しています。法輪功をなくすための組織が作られ、法輪功狩りが始まっているからです。 香港の自由は、中国共産党によって徐々に、しかし明らかに狭まっています。 いま、香港では6月4日の天安門記念日に向けて、自由を求める活動は活発になっています。 一説によれば、香港を自由にさせておくのは、台湾を一国二制度にもっていくためであるということですが、そうであるならば、香港―台湾―日本の安全保障は一体でなければなりません。 南シナ海においても、中国の横暴さは目に余るものがあります。国内問題だけに目を向けておけばよい時代は既に過ぎ去りました。 私たち日本人は、広い視野と未来を見通す目を持ち、世界の平和のため、まずはアジアの平和に責任を持つべき時代に入ったことを知らなければなりません。 MICE誘致で日本に更なる発展を! 2014.05.12 文/HS政経塾第4期生 窪田真人 ◆MICE(マイス)とはなにか? 皆様、MICEという言葉はご存知でしょうか。 MICEとは「Meeting(企業等の会議)」、「Incentive Travel(報奨・研修旅行)」、「Convention(国際会議)」、「Exhibition/Event(展示会・見本市)」の頭文字を集めたもので、多くの集客交流が見込まれるビジネスイベントの総称を指します。 一般の観光とは異なり、MICEはグローバル企業や学術系の団体の関係者が世界各地から訪れる為、大型団体による長期滞在に繋がり易く、コンベンション施設や展示ホール、ホテルなどの宿泊関連施設、周辺の観光施設や交通機関など広範囲において、多大な経済効果をもたらす点に特徴があります。 2009年の観光庁の調査によるとMICEの先進国である米国では、その経済効果はGDPの約3%に匹敵する規模(約46兆円)だと言われている程です。 さらにMICEはプロモーション効果が高く開催周辺地域が活性化、国際化するというメリットがあります。 実際に2008年に開催された北海道洞爺湖サミットでは、サミットの様子が全世界に配信され、国内外に開催地の認知度が高まりました。その結果ツアーの催行が相次ぐなど、サミット開催後の国際観光振興に大きな効果を生み出したのです。 まさに多大な経済波及効果を与えるMICEは、これからの地域経済、国家経済活性化の為に重要な役割を担うと言えるでしょう。 ◆日本におけるMICEの実態 2009年の観光庁の調査によると、MICE全体の訪日外客数は年間約100万人、市場規模は9200億円、そのうち訪日外国人の消費額は約1200億円と推計され、全訪日外国人の消費額約1兆600億円の約9分の1を占めるまでに成長しています。 国際会議協会(ICCA)の統計によると、2010年の国際会議の開催状況で日本は世界第7位に位置します。しかし都市別では、国内最多の東京が68件で世界第27位、アジアではシンガポール、台北、北京、ソウル、香港、上海、クアラルンプールに続く第8位という状況です。 さらにここ数年、中国、韓国が大幅に件数を増加しており、日本は遅れをとっています。(DIAMOND ONLINE 2011年12月5日 「MICEの底力」参照) そんな中、2013年6月14日に閣議決定された「日本再興戦略」において、「2030年にはアジアNO.1の国際会議開催国としての不動の地位を築く」という目標が掲げられました。具体的には、東京をはじめとする国内7都市を世界トップレベルのMICE都市とすべく、マーケティング戦略の高度化、MICE誘致能力・体制の強化などを通し、都市の育成を進めようとしています。 なお国としては国内外へのプロモーション、ステークホルダーの連携促進などの支援を行う予定です。 ◆日本が進めるべきMICE誘致の方法 シンガポールは90年代後半から国家戦略的にMICEを積極的に誘致しており、07年にパリを抜いてMICE開催件数都市別1位に躍り出ました。10年4月には国際会議展示場やホテル、ブティック、カジノなどエンターテインメント施設を含む巨大複合商業施設、マリーナ・ベイ・サンズを開業するなど、ビジネスイベント後の娯楽機能も含めたMICE施設の整備に力を入れています。 また24時間運用のハブ空港を有している点も大きな強みとして挙げられます。こうしたインフラにおける利便性の高さがMICE誘致における大きな強みとなっています。日本はシンガポールのインフラづくりから学ぶべき点が多くあると言えるでしょう。 また日本独自の強みを積極的に世界にアピールすることも重要です。日本には風光明媚な自然や、京都に代表される史跡、豊かな物産や食文化、温泉といったMICEを誘引する質の高い魅力的な要素が数多くあります。 ビジネスイベント後においてこうした観光資源は大変重視されます。実際に山形県、宮城県など地方都市が特色を活かし、MICE誘致を実現している例も見受けられます。 このように日本は積極的なインフラ整備と日本独自の強みによってMICE誘致に積極的に取り組み、地域経済、国家経済活性化に努めていくべきでしょう。今こそMICE誘致を新たなるチャンスと捉え、世界における日本のプレゼンスを高めていくべき時であると考えます。 すべてを表示する « Previous 1 2 3 4 Next »