Home/ 2014年 April 2014年 April 中小企業経営者の決死の決断「賃上げ」 2014.04.20 文/岐阜県本部政調会長 加納有輝彦 ◆大手企業 賃上げの春 4月12日開催された「桜を見る会」で安倍首相は、~ 給料の 上がりし春は 八重桜 ~と自作の俳句を披露し,今年の春闘で大手企業の賃金のベースアップが相次いだことをアベノミクスの成果と喜び、自身の政策に自信を深めたと報道されました。 事実、今春は大手企業の賃上げのニュースが多く報道されました。トヨタ自動車は、6年ぶりのベア、定期昇給と合計で1万円にのる賃上げで、1万円のせは1993年以来21年ぶりとなると大きなニュースとなりました。大企業で働く人々は、アベノミクスの恩恵を感じたかもしれません。 しかし、国内企業の約9割を占める中小企業を取り巻く環境は、引続き厳しく従業員の賃上げは困難な状態が続いています。 また消費増税前の駆け込み需要で多くの企業が潤ったといわれていますが、中小企業にとってはそうとばかりは言えないケースもあります。 筆者の知人の印刷会社社長は、「3月、ぎりぎりになって駆け込み仕事が増え、残業につぐ残業で乗り越えたが、残業手当が増えて、結局利益は出なかった」「消費増税後の事を考えると非常に不安だ」と厳しい現状を訴えていました。 ◆経営を圧迫する社会保険料値上げ 中小企業の賃上げについても、筆者の知人の経営者は、なんとか社員に還元したいと思い、賃上げを実施したところ、社会保険料の負担増により昇給分が減殺され社員の手取り額が逆に減ってしまったケースがあった事を溜息交じりに話しました。 社会保険料は、会社と従業員が折半して負担します。特に厚生年金の保険料率は2017年10月まで毎年、段階的に引き上げられることが決まっています。 2004年9月段階では、保険料率は13.58%でしたが、毎年10月に引き上げられ最終的には2017年10月に18.3%まで引き上げられます。これは企業にとっては、消費増税以上の非常に大きな負担増となります。 中小企業の賃上げ問題について、NHK名古屋放送局ナビゲーション「賃上げの春 社長たちの選択~アベノミクスと中小企業~」(4/11放送、4/29 0時40分~全国放送で再放送)で、以下のような事例が紹介されていました。 東海地方のある印刷会社(従業員50人以下)の社長の「賃上げへの苦渋の決断」が紹介されていました。 安倍首相による度重なる「賃上げ要請」と大手企業の賃上げの報道に、社長は想像以上のプレッシャーを感じていました。「苦しい時期、苦楽を共にした社員に報いたい、中小企業だからといって賃上げなしでは、士気の低下、人材の流出の恐れもある」と、社長は賃上げの決断をします。 時給にして10円程度の賃上げですが、その会社では人件費負担増を賄うために新たに月600万円の売上をあげる必要が出てきます。 そこで社長は、6000万円の最新型印刷機の導入を決断します。政府の補助で3000万円の融資、残りの3000万円は銀行から融資を受けることになりました。 新規印刷機の稼働率が80%を超えると、賃上げコストを賄えるということで、背水の陣で設備投資を決断したわけです。賃上げを実現するための悲壮な決意とも感じられました。 大企業が過去最高益を記録し、その内部留保を社員に賃上げとして還元するという事例と、中小企業のそれは全く意味合いが違うことが分かります。 ◆中小企業の消費増税倒産を防げ 消費増税、社会保険料値上げ、光熱費の高騰等々、これらの負担増は特に中小企業にとって死活問題となります。 同番組の解説を担当した山口義行氏(立教大学経済学部教授)は、中小企業に重くのしかかる社会保険料負担軽減を政府が支援する必要があると訴えました。 今回の消費増税の大義名分は、全額社会保障に使うということであるならば、まさに中小企業の社会保険料の負担軽減は、合目的的であります。 幸福実現党は、デフレ時の消費増税は愚策中の愚策と考え、減税の必要性を訴えてまいりました。消費増税が実施された今、中小企業の消費増税倒産を防ぐために社会保険料の負担軽減という減税の実施を政府に強く求めます。 なぜ日本は負けたのか?~戦史に学ぶ、未来への舵取りと幸福実現党の政策~《第7回》 2014.04.19 文/岐阜県本部副代表 河田成治 前回は、国家未来ビジョンの大切さをお伝えしました。 ◆どのようなビジョンを描くかが、未来を決める 現政権の国家戦略(ビジョン)は不明瞭です。民主党政権時代はもっと酷く、何もなかったように思います。 しかし、国家ビジョンは極めて大切です。幸福実現党は、熱く未来ビジョンを訴えています。どのような国家を目指すのか?これがなければ、漂流国家にも等しいのではないでしょうか。 ◆「新・日本国憲法 試案」に見る幸福実現党の気概 国家の未来ビジョンを、国家の目指すべき“あるべき姿”とすれば、その理想を表すものは、「憲法」と言えるでしょう。 古くは、聖徳太子によって「十七条の憲法」が制定されましたが、その中身は、仏教を中心とした国家建設が理想でした。 第一条の「一に曰(い)わく、和を以(も)って貴(とうと)しとなし、忤(さから)うこと無きを宗(むね)とせよ。」から始まる条文は、まさしく世界に誇る日本のアイデンティティ、国家のあるべき姿を指し示していたと思います。 また鎌倉時代には、我が国初の武家法である「御成敗式目(貞永式目)」が制定され、「武士の国」としての道徳が示されました。 このように、我が国は、その時々の国家理念によって、国の屋台骨を造ってきました。 2009年に立党し、まもなく立党5周年を迎える幸福実現党は、立党時に早くも、「新・日本国憲法 試案」を世の中に発表しています。 この「新・日本国憲法 試案」は、幸福実現党が考える国家のあるべき姿を、世間に向けて明らかにすると共に、国家ビジョンを掲げることの重要性を率先垂範で示したものです。 したがって、大川総裁の手による「新・日本国憲法 試案」の発表は、幸福実現党発足の目的を明らかにするという点で、まことに責任ある行為であったと思います。本来、国政選挙とは、このように政党の理念と志を明らかにした上で、有権者に選んでもらうべきでしょう。 「新日本国憲法(試案)」の前文には、「われら日本国国民は、神仏の心を心とし、日本と地球すべての平和と発展・繁栄を目指し、神の子、仏の子としての本質を人間の尊厳の根拠と定め、ここに新・日本国憲法を制定する。」とあります。 幸福実現党は、日本国の精神的主柱を神仏に求め、さらに人間が仏の子であることが、基本的人権の根拠だと宣言しています。 第五条では、「国民の生命・安全・財産を護るため、陸軍・海軍・空軍よりなる防衛軍を組織する。」とし、国防軍の必要と存在根拠を明確にしています。 また、第十一条で「国家は常に、小さな政府、安い税金を目指し、国民の政治参加の自由を保障しなくてはならない。」とし、自由という価値観の尊重とともに、国家社会主義、全体主義を否定しています。 包み隠さず、ここまで明確に国家の未来ビジョンを提示した上で、政党を立ち上げていることは、日本的風土や日本の政党政治の歴史からすれば、前代未聞なことではないでしょうか。(つづく) ≪連載≫中国の「超限戦」に勝つために!(第1回) 2014.04.18 幸福実現党総務会長兼出版局長 矢内筆勝 「敵は韓国にあらず!――従軍慰安婦問題の本質」 歴史認識を巡る様々な問題が、毎日のように中韓から日本に襲い掛かってきています。曰く、「日本は第二次大戦で20万人もの婦女子を性奴隷にしていた」、「日本は南京で30万人の罪のない婦女子を大虐殺した」、「日本は軍国主義化し、世界秩序を破壊しようとしている」--等々。 特に、韓国による従軍慰安婦像のアメリカやオーストラリアの諸都市への設置運動は、多くの日本人の韓国への反発と嫌悪感を強めています。 こうした歴史認識を巡って、今何が起きているのでしょうか?その背後で何が動いているのでしょうか?私たちはこうした危機に対して何を、どう行動しなければならないのでしょうか? その答えを提示するために、「中国の『超限戦』に勝つために」と題して、連載したいと思います。 ◆超限戦とは何か さて、「超限戦」(ちょうげんせん)という言葉をご存じでしょうか。これは、1999年に中国人民解放軍の大佐である喬良と王湘穂が発表した、中国の新しい軍事戦略です。 簡単に言えば、「限界(限定)を超えた戦争」というもので、「中国はこれから、従来のミサイルや軍艦、戦車や戦闘機等を使う『通常戦』だけでなく、『情報』や『経済』など、あらゆるものを駆使して、敵に攻撃を加えて屈服させる」というものです。 「(社会の)あらゆるものが戦争の手段となり、あらゆる領域が戦場になり得る。すべての兵器と技術が組み合わされ、戦争と非戦争、軍事と非軍事、軍人と非軍人という境界がなくなる」という、新しい戦争の概念ーー要するに「何でもあり」の戦争です。 その中核をなすものが、マスコミやインターネット、教育、対人工作を駆使した「情報戦」です。情報といっても、単なるスパイや暗号だけではありません。その中には、特定の思想や世論、意識を敵国や世界に広げる「宣伝工作」が含まれます。 その一つが「歴史観」の捏造です。中国は1970年頃から「南京大虐殺」という歴史を捏造し、日本を攻撃し、貶め、それによって生じた日本人の贖罪意識を利用してODAを引き出したり、国際社会で自国に有利なポジションを作り上げてきました。 そして近年、その武器の一つに加わったのが「従軍慰安婦問題」です。 ◆韓国を操作する北朝鮮、そして中国 「従軍慰安婦問題」といえば、韓国政府による日本国への攻撃と受け止め、韓国を嫌い、敵対意識を持つ人が増えています。マスコミ報道だけを見ていると、確かにそうも見えます。しかし、本当にこの問題を単純に「韓国vs日本」と見て良いのでしょうか? 日韓は、自由と民主主義の大国・アメリカを軸に、アジアにおいて右手と左手のように相互に「同盟関係」にある関係です。その日韓が反目し、敵対関係に陥ることで、最も利益を得る国はどこでしょか? 答えは簡単です。北朝鮮と中国という二つの独裁国家です。北朝鮮は韓国、中国は日本を最大の敵国と位置づけ、それぞれ相手国への侵略の意思を明確にしています。この2つの国家が水面下で画策し、日韓分断のために「従軍慰安婦問題」を利用し、けしかけているとしたらどうでしょうか? 評論家の櫻井よしこ氏は、韓国の国会議員に北朝鮮の凄まじい工作が及んでいることを、次のように指摘しています。 「韓国の野党・民主党は元大統領である金大中、盧武鉉両氏の路線を受け継ぐ政党で、 韓国の国会議員 300 人中 127 議席を占めています。驚くべきは、 うち 21 人は反共法及び国家保安法違反で逮捕された前科を持つという点です。 つまり彼らは北朝鮮による韓国併合を目指す勢力と事実上、同じだということです。 」(週刊ポスト2014年1月1・10日号) 過去に逮捕された議員だけで21人ですから、そうでない与野党の議員の中に、どれどほどの工作された議員が存在しているのでしょうか。事態は極めて深刻です。 また、韓国内で従軍慰安婦問題を広げてきた中心的な団体に「韓国挺身隊問題対策協議会」があります。2011年12月にソウルの在韓大使館の前に、従軍慰安婦の少女の像を設置したのは、この団体です。 元日本軍慰安婦の調査、日韓両政府への意見表明、世界各国で日本政府に謝罪や賠償を求める運動を行っているこの「協議会」が、実は「親北朝鮮」の反日団体であることを、産経新聞や読売新聞は指摘しています。つまり「韓国挺身隊問題対策協議会」は、日本で言えば、「朝鮮総連」のような団体と言って良いでしょう。 私は以前、韓国に行ったことがありますが、日本のマスコミが報道するように、韓国の国民がこぞって反日かと言うとそうではありません。もちろん、長年の反日教育で反日の人はいるでしょうが、日本に憧れや好意を抱いている韓国人は決して少なくはありません。 ちょうど、「沖縄で過激に反米反基地闘争をしている人たちの多くが、実は沖縄県民ではなく、本土から入った過激派などの左翼活動家であり、一般の県民は単に左翼的なマスコミに誘導されているだけ」であるのと、似た構図と言えるでしょう。 そして、韓国内でそうした工作活動を行う北朝鮮を、実質的な保護領として背後でコントロールし、利用しているのが、他でもない中国です。(張成沢事件があったとしても、その本質は何ら変わりません)。 ◆敵を見誤ってはならない そうです。一連の歴史認識問題の本質は、単に「韓国が日本を攻撃している」のではありません。「北朝鮮が韓国内で工作活動を行って韓国を動かし、中国が火に油を注いで「日韓対立」を煽り、日本の国際社会での孤立化と、日米韓の分断、そして最終的には日米の離間を狙っている」と見るべきでしょう。 だからと言って、従軍慰安婦問題に関して、日本が何もしなければ良いわけではありません。韓国や世界に対して、しっかりと日本の「正しい歴史観」を伝え、不当な言論に対して「正々堂々の主張」を展開しなければなりません。 しかし、韓国や韓国民を過度に嫌悪して敵視し、感情的に相手を攻撃することは、中国と北朝鮮の「術中に嵌(はま)る」ことになります。 「敵は韓国にあらず、中南海(北京にある中国の政治の中心部)にあり」ーー。 従軍慰安婦問題に対処するに当たって、私たちはまず、この事を知らなくてはなりません。 TPP交渉「戦術」と関税撤廃に向けた輸出「戦略」 2014.04.17 文/HS政経塾1期生 伊藤のぞみ ◆TPP日米協議、コメ、麦、砂糖で関税撤廃回避へ 環太平洋経済協定(TPP)について、日米の実務者協議が15日から再開しています。 甘利明経済財政・再生相が「相当な距離が残っている」と発言したように、日米の交渉は膠着状態が続いていました。 自動車に関しては、日本が関税の早期撤廃を求めているのに対しアメリカが反対し、農産物に関してはアメリカが関税撤廃を求めているのに対し、日本が反対しているためです。 特に日本は、「重要5項目」としてコメ、麦、砂糖、牛・豚肉の関税撤廃に強く反対してきました。 しかし、今回、アメリカ側は「主要5項目」のうちコメ、麦、砂糖について、関税をかけてもいいと認めたのです。 日本は、現在、アメリカから輸入しているコメに778%、小麦に252%、砂糖に328%の関税を課しています。 コメと小麦に関しては、大幅な関税引下げを棚上げする代わりに、輸入量を増やす方針です。 砂糖に関しては、アメリカも日本と同様に国内の産業を維持するため、関税撤廃の例外にしたい考えです。 ◆アメリカ側は11月の中間選挙を見据えてのTPP交渉 アメリカでは11月に中間選挙が控えており、オバマ政権は業界団体の顔色をうかがいながら、TPP交渉を進めています。 今回、アメリカは「重要5項目」のうち、牛・豚肉にかぎっては関税撤廃を認めませんでした。牛・豚肉業界は政府に対し、大きな影響力をもっているといわれています。 また、自動車の関税撤廃をなるべく先延ばしするように求めている全米自動車労働組合は民主党の支持基盤であります。 豚・牛肉と自動車は、日米の間で厳しい交渉が予想されます。 ◆日豪EPAはTPP交渉に影響 アメリカとの交渉にあたって、日本はオーストラリアと経済連携協定(日豪EPA)で、大筋合意したことが交渉材料となりました。オーストラリアは日本への牛肉の輸出で、アメリカと競争関係にあります。 今回、日豪のEPAを結んだことによって、オーストラリアはアメリカよりも有利な条件で日本に牛肉を輸出することができるようになっています。 現在、日本は牛肉の輸入に38.5%の関税をかけていますが、オーストラリアの牛肉に関しては、冷凍牛肉は18年かけて19.5%に、冷蔵牛肉は15年かけて23.5%に引下げることになったからです。 TPP交渉が停滞し、妥結が先延ばしされれば、アメリカはオーストラリアよりも不利な条件で日本に牛肉を輸出することになります。 また、アメリカが自動車の関税撤廃を先延ばししようとしているのに対し、オーストラリアは乗用車の関税を即時撤廃する予定です。 ◆有利な条件を引き出しながら、関税撤廃に向けた準備を 今回、日豪EPAの合意により、日米交渉を少しでも前進させることができました。多国間の交渉を通じて、自国に有利な条件を引き出してゆくことは大切です。 しかし、同時に関税撤廃に向けた準備をしていくことは、それ以上に重要です。 アメリカは世界第三位の牛肉「輸出」大国であると同時に、世界第一位の牛肉「輸入」大国でもあります。アメリカは、品質の高い牛肉を輸出しながら、同時に価格の安いオーストラリア産の牛肉を輸入しています。 日本の牛肉においても、同じ戦略をとることは十分にできます。コメに関しても同様です。日本の農産物は高品質でありながら、マーケティング力やブランディング戦略が不足しているといわれてきました。 また、語学力の低さが原因で現地のバイヤーと交渉ができないといった問題もあるそうです。 これからの農林水産省に求められることは、農業の保護ではなく、海外市場に農産品を売り込む戦略を考え、実際に売り込んでいくことです。 食品に関しては国ごとに様々な規制が存在するため、その対応だけでも大変です。 それに対して、TPP加盟国のなかでは、食品に対する規制もある程度統一されるので、「輸出をする」側の立場になった場合、とても有利です。 残念ながら、「攻めの農業」というスローガンに対して、安倍政権の政策を見ますと、「守りの農業」という印象を強く受けます。 商社やJICAなど、政府以外の組織と連携しながら各国の市場を調査し、日本の農作物を売り込んでいく体制を構築するべきです。 輸出力をつけることで、関税撤廃は恐ろしいものでなくなります。むしろ、関税撤廃を契機に輸出をさらに増やすことができます。 TPP交渉を進めると同時に、関税が撤廃されたときに向けて、輸出力を強化することが重要なのです。 米国を舞台に繰り広げられる広報外交 2014.04.16 文/HS政経塾2期生 服部まさみ ◆中韓首相、歴史認識で連携確認 今月10日、中韓の首相が中国で会談した際に、「日本は侵略の歴史を反省しなければならない。両国の共通認識の下で、これまでのように以心伝心で対応していこう」と歴史認識で連携を確認したようです。(4/11産経) このように中韓が連携して、日本のネガティブキャンペーンを行っています。こうした情報戦に対して、真実を発信するための外交戦略として広報外交(パブリック・ディプロマシー)が必要です。 これは伝統的な「政府対政府」の外交とは異なり、広報や文化交流を通じて民間とも連携しながら、外国の国民や世論に直接働きかける「対市民外交」のことで近年、世界中で注目されています。 ◆中韓が米国を舞台に情報戦を仕掛けている理由 外交政策において、ある国が重要だから、その国に対してだけ広報外交を行えばよいというわけではありません。 例えば、イギリスの世論を動かすには、米国のように世界に影響力を持つ国や国際世論全般に働きかけることが有力な面があります。 中国や韓国が米国を舞台に情報戦を仕掛けている理由は、米国のメディアは、全世界に情報を発信する力を持ち、「世界標準」として認識されるほどに影響力をもつからです。だから、各国が国家戦略として、巨額の予算を米国に対する広報外交に充てているのです。 ワシントンD.C.では「世界の権力の要」として、各国の利益や各団体の要望を満たすために日夜、激しい競争が行われています。 ◆ワシントンD.C.で行われている広報外交 米国のライシャワー東アジア研究所所長のケント・カルダー氏によると、各国がワシントンD.C.で行っている広報外交は大きく分けて5つあるといいます。 (1)政策研究 アジェンダセッティング(課題設定)・フォーラム この分野で注目されているのが、韓国のKEI(Korea Economic Institute)という機関です。間接的に韓国政府やNGOの支援も受けながら、講演会を開催し、その内容をインターネットを使って世界に生中継しています。 以前、「ジャパン・エコノミック・インスティチュート(Japan Economic Institute)」という機関があり、日米貿易摩擦の解決に尽力を尽くし、大きな成果をあげていましたが、01年に閉鎖されてしまいました。 (2)アイディアクリエーション(アイディア形成)・フォーラム これは、研究者や世界各国の大学間などのアカデミックな交流を通じて、グローバルな問題解決に向けてアイディアを交換し合うことが目的です。 米国にドイツをはじめとするヨーロッパ諸国から学者を招聘して、米国の研究者たちと、移民問題など双方にとって関心の高い課題について対話の場を設けています。また、米国の大学も、こうしたプログラムを通じて活発な活動を行っています。 (3)メディア・イノベータ― 中国の国際放送を行っているCCBがワシントンD.C.で積極的な活動を展開しています。特に注目されているのが、中国は社員の8割を現地の米国人を雇用して、ワシントンD.C.から世界に向けて情報を発信していることです。 こうした革新的な試みを、日本はもっと取り入れるべきです。 (4)文化交流 特にフランスやドイツが積極的に活動を行っています。また、最近ではエスニックサポートSGO(民族的少数派支援のための機関)という非政府機関が注目されています。 例えば、中国はワシントンの大使館の中に、主に中国系アメリカ人のための業務を行う局を設置して、中国系アメリカ人との関係を積極的に築いています。 (5)政党に関わる機関 各国の政党や政治団体がNPOなどの民間団体をワシントンD.C.に設置し、その民間団体を通じて情報収集や人材育成を行っています。この分野ではドイツが先駆者として注目されています。 例えば、フリードリヒ・エーベルト財団はドイツ社会民主党と関係があり、党の政策に基づいたシンポジウムを行ったり、米国やドイツの指導者になるような若い世代の育成に力を入れています。 政党や政治団体の支援を受けてドイツと世界の対話を促進する役割を果たしています。 ◆今こそ官民を超えた「オール・ジャパン」の取り組みを 以上、ワシントンD.C.を舞台に各国が米国の世論を味方につけるための具体的な活動を紹介しました。残念ながら日本は、このような競争に全く参加できていません。 ヒト、モノ、カネが国境を超え、情報がインターネットによって世界中を駆け巡るグローバル化した時代において、政府だけが国際世論に働きかけることには限界があります。 そのため、各国の民間のシンクタンクやNPO、大学が積極的に国際世論に働きかけ、政府は間接的に支援するというスタイルに変わりつつあります。 今こそ、政府も民間も「オール・ジャパン」で一体となって活動していくことが必要なのではないでしょうか。幸福実現党は日本の誇りを取り戻すべく、積極的な情報発信を行って参ります。 参考:ケント・カルダー氏基調講演:国際シンポジウム『好かれる国の条件~パブリック・ディプロマシーの時代』2013年11月5日 日本プレスセンタービル 科学技術立国こそ世界No.1国家日本への道 2014.04.15 文/HS政経塾第2期卒塾生 川辺賢一 ◆小保方氏のSTAP細胞に集まる国民の期待と疑惑 「STAP細胞はあります!」――。 今月9日、STAP細胞の論文が不正と認定された問題で、記者会見した理化学研究所の小保方晴子氏は記者たちを前にはっきりと述べました。この記者会見を視聴した国民の多くが彼女の言葉に聞き入り、インターネット調査によれば半数以上の視聴者が彼女の言葉を信じるという結果となりました。 一方、多くの幹細胞研究の専門家らにとっては、今回の記者会見でも新しく科学的根拠を示すデータが得られなかったため、捏造騒動以降、STAP細胞の存在は仮説の一つに戻ったままです。 もちろん捏造を疑う人たちも「小保方氏はSTAP細胞を作っていなかった」と100%証明することはできません。しかしだからこそ、「STAP細胞はある」という論文執筆者側に論文の確からしさを証明する説明責任があります。 ゆえに今、この問題を収束させるために必要なことは、もう一度、小保方氏ら研究メンバーがSTAP細胞の実験研究をする場を整え、真実をはっきりと突き止めることです。 大手新聞社も「STAP細胞は科学史上の大輪の花なのか、幻の花なのか、(中略)本人を理研の再現実験に加えればいいと思うが、どうだろう」(4/10朝日)、「最大の関心事である『STAP細胞が本当に存在するのか』については、研究不正の有無とは別問題として検証が不可欠だ」(4/9読売)としており、小保方氏の研究への国民的期待は決して揺るいでいません。 STAP細胞の研究に成功すれば、新たな再生医療の道が開かれ、巨大な市場創造につながります。 すでに香港中文大学の李教授はハーバード大学のヴァカンティ氏の手法の応用に取りかかり、STAP細胞の正しい作成手法を特定できた可能性があると発表しています。 ゆえに理研が責任を負えないならば、政府が小保方氏を守り、早急に実験研究の環境を整えなければなりません。 ◆理研に本来の資本主義精神を さて小保方氏の論文に不正があったとする問題で、早期に理研は小保方氏一人の問題であるとして、トカゲの尻尾切りと批判されてもおかしくない判断をしました。 しかし理研研究者への聞き取り調査によれば、理研のトカゲの尻尾切り体質は小保方氏の問題に限ったことではありません。 例えば理研は総計3000人程の研究者を抱えておりますが、そのうちほとんどは単年度契約での雇用であり、1年間で研究成果を出すことを求められます。 さらに研究予算の枠が決まってから実際に使えるのは12月からであり、実質2~3ヶ月で研究成果を出さなければなりません。「これでは思うような研究ができない」というのが研究者の実感であり、資本主義精神に満ちたリスクを取った研究がやりにくい環境にあるといえます。 昭和の初め理研は「理研コンツェルン」といわれる産業団を形成し、理研発のベンチャー企業群の数は実に63社に上ります。理研は研究者自らベンチャーを設立し、事業展開の仕組みを確立した実践的パイオニア集団でした。 安倍政権は理研を新しく特定国立研究開発法人とし、日本の技術立国構想の中軸に据えようとしていましたが、いずれにせよ、研究者が自由にリスクをとって研究をし、理研発ベンチャー企業群が続出していくような環境を整えていくべきです。 ◆国は正しく研究開発に助成し、世界No.1を目指せ! さて日本が今後、さらに成長し、発展していくためには、科学技術立国を果たし、産学連携により新産業・新企業群を生み出し続けていくことが不可欠です。そのためには政府が正しく研究開発に助成していくことが必要です。 しかしながら筆者の聞き取り調査によれば、毎回同じ研究グループ、しかもそれ程成果の上がっていない研究グループに予算が配分されているという声を聞きます。政府はこうした声を知っているのでしょうか。 このような悪循環に終止符を打ち、智慧と情報と技術、そして富が自由に交わることができる日本を創造することこそ、世界No.1への道であると確信します。 なぜ日本は負けたのか?~戦史に学ぶ、未来への舵取りと幸福実現党の政策~《第6回》 2014.04.14 文/岐阜県本部副代表 河田成治 前回では、強く見せることで戦争を防ぐことができることをお伝えしました。 3.政略、軍略の欠如→未来ビジョンの欠如 ◆中長期戦略を策定してこなかった日本 アベノミクスの柱として、日銀は異次元緩和を行いましたが、第三の矢「成長戦略」はいまだ効果を上げておらず、中途半端の感を拭えません。 なぜ、「成長戦略」が上手くいかないのでしょうか? その理由は「未来ビジョン」の欠如だと思います。残念ながら、日本政府や政治家は、「未来ビジョン」や「国家戦略」をあまり打ち出してきませんでした。 「成長戦略」が不発なのは、日本は「どのような未来国家を目指すのか」という、明確なビジョンが示されていないからだと思います。経済特区政策も打ち出されましたが、全体として何を目指しているのかを、もっとハッキリ国民に訴えるべきでしょう。 つまり、根本的な問題は、「国家戦略」なきところに、「経済成長戦略」は策定できないということです。 ◆明治期にあった明確な国家戦略 明治時代には「富国強兵」「殖産興業」という、明確な国家戦略がありました。日本人は、「坂の上の雲」を目指して頑張ったのです。 そして、日本はその理想どおり、世界の五大大国にまで急速に発展しました。 しかし大正になって、日本が五大大国入りすると、急速に国家のグランドデザインを亡くしたように感じます。 その時期に、日本は度重なる試練を受けます。関東大震災1923(大正12)年、排日移民法1924(大正13)年、昭和恐慌1930(昭和5)年などです。 さらに国家ビジョンなきところに襲って来たのは、悲惨な戦争でした。 ◆大東亜戦争に見る軍略の欠如 この国家ビジョンを持たないという傾向性は、大東亜戦争の青写真(戦略)をも描けないという日本の弱さを露呈しました。 これは致命的で、戦争の終わり方も決められなかったため、国土を焦土と化すまで戦争を止めることができませんでした。 当時の日本海軍が“唯一”持っていた「戦略」は、「真珠湾でアメリカ艦隊を撃滅し、主力部隊を失ったアメリカは、意気消沈するだろう。 そして戦意をなくしたところを、早期講和に持ち込む」というものでした。そのため、日本は真珠湾攻撃で勝った後は、場当たり的な作戦ばかりで、一貫した戦略らしきものがほとんど出てきません。 この理由は、事実上のトップであった山本五十六司令長官の考えにあります。 山本長官自身が、戦争に勝てるとは思っておらず、「半年一年は存分に暴れてみせますが、しかしながら、2年3年となれば全く確信は持てません」との言葉は有名です。 ◆山本長官の心のビジョンと伊藤博文の気迫 山本長官は在米勤務の経験から、国力の圧倒的差を身にしみて知っていたために、「日本の敗北」という心のビジョンを見ていたのでしょう。この点は理解できますが、海軍の最高責任者の心の中の「敗北する日本」というイメージは、現実を引き寄せました。 こういった人材が活躍せざるを得ないところに、日本の教育や風土の問題は大きいと言えます。 これは、エリート人材の登用が、試験の点数のみならず、勇気、積極的思考、粘り抜く心といった、ある意味、宗教的精神性を養うことの重要性を教えていると思います。 一方、日露戦争で、連合艦隊司令長官に東郷平八郎大佐(当時)が抜擢された理由は、「運のいい男」でした。 さらに当時、総理大臣であった伊藤博文は、「陸海軍ともに成功の望みはまったくないが、ロシア軍が大挙して九州沿岸に襲来するならば、わしは俊輔の昔に戻って、自ら武器を取って奮闘する所存だ。兵は皆死に、艦はみな沈んでも、博文は一歩も敵を国内に入れぬ決意だ」と気迫に満ちた言葉を述べています。 この決意が未来を拓いたのではないでしょうか。 日露戦争も大東亜戦争も、勝つ見込みが薄かったことは同じです。しかし、同じく国家存亡の危機をかけた戦争でも、「なんとしても勝つ」という決意、ビジョンを掲げたかどうかは、大きな違いでした。 ◆現代政治に理想と国家ビジョンを 現代も高度経済成長を経て、アメリカに追いつく事を達成した以降の、バブル崩壊、大震災、中国等の外交圧力、長期不況など、状況が酷似しています。 今、日本は、新たな「坂の上の雲」を目指して、ワクワクするような、「国家戦略」「未来ビジョン」をぜひとも持つべきではないでしょうか。 次回は、幸福実現党が掲げる「国家ビジョン」を考えてみたいと思います。 (次回につづく) 国家戦略特区、日本経済浮上の鍵になり得るか!? 2014.04.13 文/幸福実現党神奈川県本部副代表 HS政経塾4期生 壹岐愛子 ◆国家戦略特区の選定区域が設定、本格的にスタート 政府は3月28日、地域に限定して規制緩和を進める国家戦略特区を正式に決定しました。 具体的な地域としては、 1.国際ビジネス、イノベーションの拠点として東京都・神奈川県・千葉県成田市を区域とする東京圏 2.医療イノベーション拠点、チャレンジ人材支援として大阪府・京都府・兵庫県を区域とする関西圏 3.農業改革拠点として新潟県新潟市 4.中山間地農業改革拠点として兵庫県養父市 5.ベンチャー企業雇用改革拠点として福岡県福岡市 6.国際観光拠点として沖縄県の合計6か所を選定しました。 安倍首相は、国家戦略特区を「成長戦略」の目玉戦略と掲げています。 今年の1月、世界経済フォーラム(ダボス会議)での演説において「いかなる既得権益といえども、私のドリルから無傷ではいられない」と述べており、規制改革に取り組む決意を表明しています。 ◆神奈川県の取組み「ヘルスケア・ニューフロンティア」 特区の一つである神奈川県では、「ヘルスケア・ニューフロンティア」を掲げ、「最先端医療・最新技術の追求」と「病気の手前の状態である『未病』を治す」という2つのコンセプトのもと産業を創出しイノベーションをはかっていくことで日本経済の再生を計っていきます。 日本の高い技術力と、未病という高齢化社会に向けての具体策に世界も注目しており、県知事主導のもとシンガポールとは政府機関及び大学と覚書を締結しており、アジア市場での創薬や医療機器開発などに関する協力を進めていく合意に至っております。 この事業はアメリカやヨーロッパでも注目されており、特区を最大限活かした国際戦略が進められております。 ◆国民の期待が高まっていない成長戦略 このような特区での取り組みは殆ど報道されておりません。 毎日新聞は4月6日の社説では「看板倒れの懸念拭えぬ」と題し、「経済再生に向けての期待感はしぼみつつある」と消極的に捉えています。 確かに過去にも似たような趣旨の地域再生計画は行われており、政府としてはもっと積極的に日本経済への効果と実績をしっかりと国民に提示していき、ビジョンを発進していかなければならないでしょう。 規制緩和を活かした改革を進めなければ経済活性化には繋がりません。今後も経済特区にあわせた規制緩和として更なる改革を推し進め、国際競争力を高める一層の努力が必要です。 ◆次の世代へと夢を繋げる未来産業こそ成長戦略の鍵 また、今回の国家戦略特区では、雇用や医療、農業といった従来の産業である岩盤規制を中心とした改革です。政府はこのような従来の産業の規制緩和を推し進めていくと同時に、国民が次の世代に託したいと思えるような未来産業への投資を率先していくべきでしょう。 国民がこの国に対して明るい未来を描ける成長戦略こそ真なる日本経済の再生をもたらす鍵であり、景気回復への突破口としていかねばなりません。 幸福実現党は、200兆円かけて宇宙産業や新エネルギー開発など未来に夢が拡がる新しい産業を創出していくことを掲げております。 宇宙産業に関わる部品など日本でしか作れないものが数多くあり、日本のものづくりを再生する起爆剤こそが未来産業にあり、そこにアベノミクスの経済成長戦略のカギがあるのです。 脱原発でエネルギー危機、太陽光・風力は代替エネルギーになりうるか 2014.04.12 文/幸福実現党 宮崎県本部副代表 河野一郎 ◆急な「脱原発」でエネルギー危機の日本 エネルギー自給率4%の日本、「オイルショック」を経験して原子力発電に切り替え、電力総量の30%近くを原発でまかなっていましたが、平成23年の福島原発事故で、一気に脱原発に入り、エネルギー危機の日本となりました。 真夏などの電力ピーク時はギリギリの電力総量で綱渡りのエネルギー事情の日本です。しかもオイルショック以前に逆戻りして火力発電で補っています。そのため旧型の火力発電所もフル活動になっています。 ◆急に脚光を浴びた再生エネルギー 代替エネルギーとして再生エネルギーが脚光を浴びています。様々な再生エネルギーの中で、大規模な電力が可能とされているのが太陽光発電と風力発電です。 再生エネルギーが一気に広がった背景には、再生可能エネルギー(太陽光、風力、水力、地熱、バイオマスなど)によって発電された電気が買い取り対象となった「固定価格買い取り制度」です。電力会社への高めの買い取りを政府が義務付けたことと申請を受けたときの買い取り価格を20年間保証することです。 「固定価格買い取り制度」は電力会社が再生エネルギーを買い取りますが、最終的には賦課金(広く国民が負担すること)として電気料金アップの形で私たち国民が払うことになります。 ◆太陽光発電の長所と短所 太陽光発電は固定価格買い取り制度により、運営が始まった平成24年7月以降、25年末時点で700万キロワット以上になり、原発7基分に相当しています。2011年末では491万キロワットです。 太陽光発電の長所としては、可動部分がなく機械的故障が少ないこと、規模を問わず発電量が一定のため小規模、分散運用に向くこと、発電時に廃棄物や排水・排気・騒音・振動が発生しないこと、出力ピークが昼間電力需要ピークと重なることがあります。 また、需要地に近接でき、送電コストが節約できること、蓄電池利用ができるため非常用電源ともなること、小型製品もあり運搬・異動が楽、設置制限が少なく、屋根や壁面に設置できることなどがあります。 短所としては、発電電力量当たりのコストが他の発電方法より割高であること、夜間発電ができないこと、昼でも太陽が陰ると発電力が大きく変動すること、規模を拡大してもその発電量はそのパネル面積に対して一定(コストメリットは発生します)のためスケールメリットがありません。(風力発電なら規模が拡大すると発電量も増加できます)。影、汚れ、火山灰、降雪等で太陽光が遮断されると出力が落ちます。 原発1基分を太陽光で補うには、東京の山手線の内側と同じ面積をすべて太陽パネルに変えなければなりません。メガソーラーは広い土地が必要ですが、日本は国土も狭く、平野も少ないため、限られた場所でしかできません。 現在では農地の耕作放棄地に太陽光パネルを設置したり、観光地などにメガソーラーを作る流れもできています。ただ、農地を減らしていいのかという問題、また観光地の景観が変わるため地元の反対なども出ています。 ◆風力発電の長所と短所 再生エネルギーの固定価格買い取り制度では、風力発電の買い取り値段がアップして、風力発電が増えるのでないかといわれていました。平成15年度の風力発電は741基で総電力68万キロワットでしたが、平成25年度には1922基で、266万キロワットで原発約3基分弱の発電をしています。 五島列島では、世界初の洋上浮体式風力発電事業が開始されています。巨大な「浮き」でどんな嵐が来ても「起き上がり子法師」と同じ原理で倒れることがないとのことです。海中では下部から3本の鎖が海底に保留されています。発電量は2000キロワットで、地元住民1800世帯分の電気を発電する計画です。 風力発電の長所としては、発電してもごみや二酸化酸素が出ないこと、比較的発電コストが低く、事業化が容易であること、小規模分散型であるため、離島、山奥などで独立電源として活用できること、事故も分散型になるため、被害影響を最小限に止めることができるなどがあります。 短所としては、設置場所の風況により発電の採算性に大きく影響すること、台風、サイクロンなどの強風には弱いこと、騒音被害があること、現時点ではコスト面で法的助成措置が必要、落雷などで故障、メンテナンスにコストがかかることなどがあります。陸上の風力発電より洋上風力発電はコストが1.5~2.6倍、維持・管理費は3.5~3.8倍かかります。 通産省の平成25年度調査では、約300箇所ある風力発電所のうち、6割近くの175風力発電所で事故や落雷などで何らかのトラブルが生じたと報告がありました。 また、風力発電は、洋上が土地取得や騒音問題がない反面、日本の太平洋側は海が深いため設備投資が掛かることや予想される南海トラフ大地震において耐え切れるかどうかの問題もあります。地元の漁場・漁業権とのかかわりも発生し、簡単にはいかないようです。 風力発電で初期投資を回収するためには、設備利用率20%以上必要とされていますが、経産省資源エネルギー庁の調査では、平均施設利用率20.7%です。半分近くは採算ベースギリギリか採算ベース割れになっているということです。自治体のほとんどが初期投資を回収できずにいます。 ◆現段階では原発の代替エネルギーと成りえない再生エネルギー 現在水力発電を除く再生エネルギーは総電力量の2%弱です。 2020年までの脱原発を掲げて取り組んでいるドイツは、再生エネルギーが国内総エネルギーの2割に達しています。しかし、電気料金は原発を止める前の2倍に跳ね上がっています。国民も不満が高まっています。 政府は法改正をして、固定価格買取制度を修正し、太陽光発電が6200万キロワットに達した時点で買い取り対象から外すそうです。 4月1日から消費税が5%から8%に上がりました。原発を止めたため、その消費税アップ分の1.5%に当たる、3.8兆円が燃料費として海外に消えています。化石燃料を購入するために消費税アップの半分が毎年なくなっていくのです。原発を止めなければ発生しなかった燃料費です。 太陽光発電も風力発電も、自然環境に左右される面とコストが高いため安定的電力になれません。現段階では原発の代替エネルギーには程遠く、電力会社の化石燃料購入費増加と再生エネルギーを広げるほど固定価格買い取り制度により賦課金が増え、更なる電気料金のアップは避けられません。 再生エネルギーでは安定的な電力供給ができないため、もし化石燃料が日本に入らなくなった時は、電力不足により日本経済に大打撃を与える可能性があります。 結論は、ただ一つです。一刻も早く原発再開をすることです。現段階においては再生エネルギーでは原発の替わりになることは不可能です。 人類に希望を与える「日本人女性リーダー」に期待する――小保方氏に研究者としての未来を! 2014.04.10 文責/HS政経塾第2期卒塾生 曽我周作 ◆STAP細胞――若い女性リーダーの誕生に対する賞賛と誹謗中傷 4月9日、独立行政法人理化学研究所の小保方晴子氏が、STAP細胞に関する論文について調査委員会が1日に発表した「論文に不正があった」とする報告について、8日に不服申し立てを行った上で記者会見をし、その中で「STAP細胞はある」と強調しました。 「体のさまざまな細胞になる新たな万能細胞「STAP細胞」開発の成果が英科学誌ネイチャーに発表され、海外の研究者からは「革命的だ」「また日本人科学者が成果」と称賛する声が上がった」(1/30産経)と報道されてから以降、小保方氏について賞賛する報道があいつぎ、若い女性リーダーの誕生に日本が湧きたちました。 ところが、2月の上旬に論文について疑義が発せられるようになって以降、マスコミの報道姿勢も一転し、中には研究とは直接関係ないことに関してまでも小保方氏を誹謗中傷するような報道がなされてきました。 ◆STAP細胞の研究の結果は間違いのないもの そして4月1日に小保方氏の論文に関しての不正疑惑について、理研の調査委員会は「STAP細胞の多能性(さまざまな組織や細胞になる能力)を示す極めて重要なデータで、信頼性を根本から覆す行為だとして捏造と認め、画像を切り張りした行為は改竄に当たると判断」(4/8産経)し、事実上小保方氏一人にのみ責任があるとしました。 それに対し小保方氏側が不服を申し立てたわけです。 その不服申立てについてのコメントの中で関係者に対しての謝罪、論文に不備が存在したことを繰り返し述べた上で次のように説明しました。 「この間違いによって論文の研究結果の結論に影響しない事と、なにより実験は確実に行われておりデータも存在していることから、私は決して悪意をもってこの論文を仕上げた訳ではないことをご理解いただきたく存じます。(中略)どうかSTAP現象が論文の体裁上の間違いで否定されるのではなく、科学的な実証・反証を経て、研究が進むことを何よりも望んでおります。」 このように論文の不備について悪意を否定するとともに、研究の結果そのものについては間違いのないものであり、論文の体裁上の問題でSTAP細胞の研究そのものが間違いであるとされることについて懸念を示しました。 ◆STAP細胞が人類にもたらす貢献 そもそも9日の会見で、『月刊The Liberty』(幸福の科学出版)の記者が質問の中で述べたように「このSTAP細胞(の技術)が確立されれば、人類に対する貢献が非常に大きい」ものと考えます。 ※The Liberty Web 4月9日 http://the-liberty.com/article.php?item_id=7660 つまり問題の本質について「今騒がれているのは、実験の記録などの論文についての『マナーの問題』。いろいろと誹謗中傷はあるが、これはやり方や方法であって、本来は、STAP細胞というものが存在するか否かという『マターの問題』についての議論を深めるべきだ」と指摘しています。 小保方氏をリーダーとして行われたSTAP細胞の研究は人類にとって非常に大きな貢献が期待される研究であり、この日本人リーダーの研究について、我々日本人はもっと期待の目を向け、この研究が本物であると願い、応援する思いを向けてよいのではないでしょうか。 ◆人類に希望を与える「日本人女性リーダー」に期待する そして、本来この「STAP細胞の存在が本物かどうか」ということが重要であり、マスコミは「実験の記録などの論文についての『マナーの問題』」を取り上げたうえで、再現性がこれから確認されるという現時点において、あたかも「STAP細胞が存在しない」とするような印象を与えたり、ましてやこの件と直接に関係のないことについてまで小保方氏を個人攻撃すべきではないのではないでしょうか。 ただ小保方氏側も「そもそも私が正しく図表を提示していたならば、調査委員会自体も必要なく」というように、小保方氏が正しい図表を改めて提示することでこの論文についての疑義が晴れるのであればそれをすべきでしょう。 小保方氏は、「私に、もし研究者としての今後があるのでしたら、やはりこのSTAP細胞が、誰かの役に立つ技術にまで発展させていくんだという思いを貫いて、研究を続けていきたい」と会見で語っています。 この若い日本人女性リーダーの未来を閉ざすことなく、我々日本人と、人類に対して大きな希望を与える存在になっていただきたいと思いますし、そのことを祝福し、暖かく見守ることのできる私達でありたいと思います! すべてを表示する « Previous 1 2 3 Next »