Home/ 2013年 November 2013年 November 教育は国家百年の大計――新しき「大学の使命」 2013.11.10 ◆私学の歴史とその使命 明治維新後、身分制度の時代が終わると、学問を究めることで誰もが「立身出世」が出来る新しい時代になりました。 当時、福沢諭吉の「学問のすすめ」はベストセラーとなり、「立身出世」を目指して国民はイキイキと輝いていました。 「立身出世」という言葉には、「自らの学問を修め、世の中のために役に立つ人材になる」という意味があります。 そうした明治の学問に対する気概が、日本を猛烈なスピードで世界列強の一つに引き上げたのです。 私学には、明治の草創期から始まり、いま大河ドラマで放映されている新島襄の同志社をはじめ、福沢諭吉の慶応義塾、東京法学社(法政大)、専修学校(専修大)、イギリス法律大学(中央大)、日本法律学校(日大)、東京専門学校(早稲田大)などがあります。 私学の特徴は、自由の気風を持ち、英語・法律などの実学を重んじ日本の近代化や法治国家に向けて社会に貢献する人材を育成しました。 このように私学が先んじて明治草創期に誕生し、その後の明治19年、帝国大学(東京大学)が設立されたのです。 注目すべきは、次代を予見できる識者(福沢諭吉や新島襄)が、自由な気風の大学を創り、新しい時代を担う人材を育成した点です。 ◆戦後の大学の迷走 しかし先の大戦後、日本を弱体化しようとする占領政策の影響で、日本は「国家としての使命」を見失うと、日本の大学も「大学として進むべき方向性」を見失いました。 明治時代の他のために役に立ちたいという「立身出世」の精神は、戦後になると良い会社に就職し、たくさんの給料をもらうための「自己の出世」の精神に変わってしまったのです。 戦後の大学は、良いところに就職し自分の生活を安定させるための登竜門に変わり、親たちは子供に「良いところに就職するため勉強しなさい」と言うようになり、結果、激しい受験を突破した後に「燃え尽き症候群」となる学生がでてきました。 1980年代、大学は「レジャーランド」と呼ばれるようになり、当時の大学生の関心事は、学問は二の次で、「遊び」「アルバイト」「恋愛」「趣味」「ファッション」と報道されたものです。 その後、1992年の「バブルの崩壊」で、企業の倒産が相次ぐと、「良い大学に入って良い企業に就職する夢」が崩壊し、また2002年以降の「ゆとり教育」で、世界と比べても勉強をしない学生が増え学力も低下していきました。 一方、大学の方は2007年頃から少子化の影響で学生数が減り、閉鎖、統合を余儀なくされ、大学への入学希望者総数が入学定員総数を下回る状況、いわゆる「大学全入時代」が到来しています。 こうしてバブル崩壊から「学歴信仰」が崩壊し、この20年、子供たちにとっても、なぜ自分が勉強するのか、その意義を見出せない時期が続きました。 ◆子供たちに芽生えた「利他の心」 しかし2010年の「東日本大震災」が大きなきっかけとなり、子供たちの心に変化が起き始めました。 被災地で、献身的に救済復興に働く自衛隊員の姿や、ボランティアで被災者のために奉仕するお医者さんなどの姿を見て「自分も多くの人々のためになる人間になりたい」という「利他の心」が芽生えてきたのです。 東京の某進学塾の先生にお聞きしてみると、「利他の心」は被災地だけでなく東京の子供たちにも芽生えてきていると言います。「自分のための出世」ではなく「利他のための立身出世」の精神は、こうして甦ろうとしているのです。 大学も「利他の精神」を持った子供たちを受け入れる器を創り、世の中の発展繁栄を築く日本人を育成するために改革する必要があります。 現在、下村博文・文科大臣は、大学の受験のあり方を見直し、人物重視の方向性を打ち出していますが、(11/8朝日「大学入試『人物本位』への試練」)、今一歩、踏み込んで考えるなら、大学自体のあり方を見直し、「新たな大学の理念、使命」を再構築していく必要があります。 ◆新しい大学の理念 弊党・大川隆法総裁は、これから大学に必要なものは、「創造性」と「チャレンジ精神」であり「未来に貢献する心」であると提言しています。 (「新しき大学の理念」大川隆法著 https://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=1036) 現在、「幸福の科学大学」は、2015年開校を目指していますが、その理由は、「教育は国家百年の大計」であり、次代を担う人材を育成するため、「新しい大学の理念」を打ち立てる必要があるからです。 明治初期、福沢諭吉は、「脱亜入欧」から日本の近代化を担う人材の輩出を目指しましたが、これからの時代は「西欧文化にも目を配りながらも、日本のオリジナル文化を世界に発信」できる大学の創造が必要です。 その新しい人材の輩出は、明治時代もそうであったように自由の気風が溢れる私学から始まります。その私学の「新しい大学の理念」が日本の教育に新風を吹き込こみ、世界のリーダーとしての日本の復活を牽引していくことになるのです! 今後も大学の淘汰が進むでしょうが、一方で次代の潮流を見極めることのできる私学を見極め、支援することで国家を担う人材を育成し、世界をリードする価値の発信に寄与すべきです!(文責・政務調査会 佐々木勝浩) なぜ道徳を教科化する必要があるのか 2013.11.09 ◆「道徳教科化」に向けた動きが、再度始まった 文部科学省の有識者会議は、現在は正式教科でない小中学校の「道徳の時間」を「特別な教科」に格上げし、検定教科書の使用を求める素案を固めました。(11/7産経「『道徳』教科に格上げし検定教科書使用 文科省有識者会議案 27年度にも」) 道徳の教科化は、平成19年に第1次安倍晋三政権当時の教育再生会議でも提言されていましたが、見送られました。その大きな理由が、「国が価値観を押し付けるのか」というよく聞かれる批判を恐れたことにあります。 今回もこの動きに反応して、沖縄タイムスは大学教授の発言を取り上げ、子どもたちは「自由に物事を考えたり、発言もできなくなり、戦前の教育勅語体制に戻ってしまう」とし、日本の民主主義への危機を訴えています。(沖縄タイムス 11/7) ◆道徳の現状 まず現在の道徳の現状を見てみたいと思います。 教育学者であり日本教育史を専門とする貝塚茂樹氏のセミナーで、大学で講義を受ける大学生たちに、「小中学校で学んだ道徳教育で記憶に残っていること」を聞くと、約6割の生徒が白紙を提出すると聞いたことがあります。中には、「道徳教育はなかった」と言う生徒もいるそうです。 確かに周りに聞いても、「道徳の時間はNHKの番組を見る時間だった」という声を聞きます。道徳の時間を、他の教科や運動会の準備にあてる学校もあるようです。 道徳の時間が有効に使われていないことに対して、教員にだけ問題があるとも言い切れません。どれだけ熱意ある教員であったとしても、教員になるための必須単位の中で、道徳に関するものは2単位(半年間で15時間)です。 道徳とは何かという根源的なことも教わらず、その奥にある宗教についての理解も浅いという前提で、年間35時間の「道徳の時間」を有意義に組み立てることは、難しいでしょう。道徳の教科化に関しては、大学の教員免許の在り方から見直すべきです。 ◆道徳教科化のための、具体的案 「教科書」について、文科省は当面は「心のノート」を改訂して使うと考えているようですが、民間に任せることがよいと考えられます。 現在すでに、「13歳からの道徳教科書」(道徳教育をすすめる有識者の会著)などが発刊され、道徳の副読本としての採用を求めています。学習指導要領に沿った内容としつつ、戦後歴史から消されてしまった偉大な先人達が数多く掲載され、子供たちにお手本を示すことができる事例を学ぶことができます。 「評価」に関しては、点数制にせず、教師の記述式評価もしくは自己評価と逃げ腰ですが、点数制の導入または併用も考えるべきです。 テストのみならず、日頃の態度や宿題等の提出物の評価、同級生や教師からの評価なども参考にできるのではないでしょうか。少なくとも、評価をしなければならないため、教師は道徳に真剣に向き合わなければならなくなります。 「教員免許」に関しては、取得の段階から道徳に関して見直しを行わなければなりません。道徳に関する授業単位を増やすと共に、道徳の授業の方法論を確立させなければなりません。道徳が教科になることで、学問として大きく発展することになります。 ◆教育とは、先人たちから受け次ぐ正しき価値観 道徳の教科化に対して反対する根底には、戦前が全て間違いで戦後民主主義がすべて正しいとした“常識”の下で、“価値観の押し付け=悪”だという信仰が、教育界に浸透していることにあります。 そのため、判断をすること、教えることを非常に恐れ、「価値観の押し付けや優劣の判断をしてはいけない」という「価値観を押し付けている」のが今の日本の教育です。 しかし、教育とは、ある意味で「正しい価値観の押し付けである」のではないでしょうか。なぜならば、教育とは、永い歴史の中で、善い・正しいとされたものを後の世代に継承していくことであるからです。 数学においては、三角形の面積を求める公式や円周率は変わりません。これらを先人が発見したからこそ、私たちはこの公式を基として、更なる学問の探究を進めて行くことが可能なのです。 どうして算数や数学、化学・物理には真理があり、その下に日進月歩を目指しているのに、道徳や道徳を担保する宗教に真理がない、もしくはその真理を教えてはならないと言えるのでしょうか。 人類は、先人たちが発見した真理を学び、それらを基礎として、新しい原理や真理を発見してきました。道徳、その奥にある宗教の中にある真理を核とした教育の真髄を子孫に伝えていくことでしか、今後の新しい時代を切り開く力は生まれてこないのです。 まずはその一歩を踏み出すための、道徳教科化を推し進めたいと思います。(文責:HS政経塾1期生 湊 侑子) 【参考】「13歳からの道徳教科書」(育鵬社) http://www.ikuhosha.co.jp/public/introduction06552.html 東アジアの安定と国防の要である沖縄県と山口県 2013.11.08 ◆沖縄の米軍に行われているヘイトスピーチ 週刊新潮の10月24日号において、沖縄県宜野湾市の普天間基地のゲート付近で、基地反対派の活動家が米軍やその家族に行ない続けているヘイトスピーチの実態が報じられました。 この記事によると、早朝から拡声器を使った基地反対の街頭演説を行い、ゲートに入るYナンバー(軍関係者の車)を見つけては、「Marine out」、「Yankee go home」と罵ったり、汚いスラングまで浴びせたりと、人権を無視した蛮行が行われ続けています。 地元住民の中には基地に反対の方もおられますが、ゲート前での人権や他者の迷惑を顧みない反対派の活動に対して疑問を持つ方も多数おられます。 米軍の高官も、次のように怒りの意を表しています。 「基地反対派にも言論の自由もあり、地元の意見や要望も大切にしています。しかし、ゲート前で行われている暴言や暴力による妨害活動が違法であることは明らか。ヘイトスピーチを超えて、ヘイトクライムです。」 この活動は、昨年10月にオスプレイが配備された頃からほぼ毎日、夕方まで続けられています。 在日朝鮮人に対するヘイトスピーチが問題となり報道されましたが、普天間基地のゲート近くでも、このような「ヘイトスピーチ」や「ヘイトクライム」がその以前から長い期間行われ続けているにも関わらず、この事実はあまり報道されておりません。 ◆毎週行われているフェンスクリーニング活動 普天間基地のゲート付近では、「ヘイトスピーチ」のほか、基地の金網フェンスに「NO BASE」という文字とともに、赤や黄色のガムテープを貼りつけるなどの反対活動も行われています。 剥がした時に怪我するよう、テープの中にはわざと有刺鉄線やガラス片を仕込むなど、傷害罪になりかねない危険行為も行われています。 反対派による蛮行がエスカレートする背景には、「反戦平和は免罪符」という沖縄独特の空気があるとも言われています。 それに対して、地元の有志が「FCP(フェンス・クリーン・プロジェクト)」という団体を設立しました。FCPでは毎週1回、反対派が貼ったテープを剥がすだけでなく、基地周辺の清掃活動も行っています。 綺麗にしたフェンスをまた反対派が汚すというイタチごっこが繰り返される中、FCP活動に賛同するメンバーは増え続けています。 この活動は、基地や基地機能への賛否ではなく「ヘイトスピーチ」に苦しむアメリカ人を励まし、沖縄の人々が恥ずべきレイシストにならないことを示すために毅然と行われています。 沖縄県浦添市にあるFM21というラジオ局の看板番組である『わんぬうむい』の10月23日の放送(http://www.stickam.jp/video/182158921)にゲスト出演した空軍・海軍・陸軍・海兵隊の四軍の調整官を務める沖縄在日米軍の中将が、FCP活動に関して感謝の意を表しました。 生命をかけて任務にあたる米兵のなかには、心なき反対活動や「ヘイトスピーチ」のせいで傷つく方も少なくないと聞いています。ゆえに、四軍の調整官を務める上級将校に、FCPの皆様の正義と愛念が伝わったことは大きな意味があると言えるでしょう。 『わんぬうむい』では、ゲート付近の反対派の活動やFCP活動の詳細も紹介されております。(http://www.stickam.jp/video/182152806) ◆尖閣諸島や沖縄を守るためにも 日米同盟は不可欠 2010年9月の尖閣諸島中国漁船衝突事件を皮切りに、中国による我が国へ侵犯行為は日増しにエスカレートしています。 覇権主義を強める中国の狙いのひとつは、沖縄です。中国が太平洋に侵出するためには、どうしても沖縄が必要なのです。 尖閣問題も、その野望実現のひとつに過ぎません。万一でも、尖閣諸島に人民解放軍の基地が作られた場合、沖縄は目と鼻の先であり、我が国は極めて危険な状態になります。 原油などを運ぶ海上輸送路(シーレーン)に近いため、経済的にも大きな打撃となります。 中国が沖縄に手を出せないのは米軍基地があるからです。現行憲法の制約下、十分な防衛力が持てない日本にとっては、沖縄の米軍基地はますます不可欠です。 米軍基地を沖縄から追い出しても、代わりに人民解放軍に支配されるだけであり、沖縄に平和が訪れることはありません。 ◆国防の要である沖縄・山口。今こそ保守の連携を! 山口県にある岩国基地と沖縄県の普天間基地には、自衛隊の駐屯地と米軍基地を有するという共通点があります。特に岩国基地と普天間基地には、日本で2箇所しかない海兵隊の基地を有しています。 中国の軍事的驚異から沖縄・尖閣諸島を守るため、最新輸送機オスプレイは、安全保障上なくてはならない存在です。岩国基地を中心としたオスプレイの展開範囲である半径1,100kmの円を描くと朝鮮半島が入ります。 つまり岩国基地には、朝鮮半島の有事に対応するという地政学的な重要性があるのです。 2007年3月、岩国市議会は、『国防協力都市宣言を求める決議』を可決しております。オスプレイの駐機等、沖縄の負担軽減に対し充分協力しておりますし、今後も協力できる態勢にあります。 東シナ海諸国の安心を脅かす中国の脅威、朝鮮半島の緊張が増す中において、沖縄県と山口県は、日本の安全保障の鍵を握る国防の要です。 ゆえに国防の最前線を担う沖縄県の皆様と、それを後方から支える山口県、特に岩国市の保守の皆様の連携が、今後は非常に重要となります。 子供たちの未来を守るため、両県の気概のある政治家・保守が立ち上がり、日本人の国防意識を高め、牽引する使命をしっかりと果たしていくことが必要です!(文責:幸福実現党・山口県本部副代表 かわい美和子) 機密漏洩を防ぎ、外交・国防の情報収集能力を高めよ! 2013.11.07 ◆日本版NSC法案 7日午後、日本版NSC(国家安全保障会議)の関連法案が衆院本会議で可決されました。 日本版NSCは、首相、外相、防衛相、官房長官の4人が月に2回定期的に会合を開き、外交・国防政策の方針を決定します。 事務局として、国内外のすべての情報を一元的に集めて分析し、政府内部の調整や政策立案を手掛ける「国家安全保障局」が内閣に新設され、すでに人事異動なども進んでいます。 ◆もう一段の防衛協力を進めるための情報管理を 「日本版NSC(国家安全保障会議)」は、日本の国防に関わる緊急事態や、外国の邦人の生命と安全を守るためにも外交・国防の情報収集能力を高めるために必要であり、衆院本会議で可決されたことは大変評価できます。 しかしアルジェリアの人質事件で明らかになったように、日本政府単独での情報収集能力には限界があり、他国と情報提供で協力をするためには、情報管理を徹底する必要があります。 他国の協力を得られないようでは、日本版NSCを開設できたとしても、それでは情報収集の意味がありません。 緊急事態が発生した場合は、一分一秒の情報の遅れが、10万人、100万人という形で、犠牲者の数の違いとなって出てきてしまいます。同盟国と協力して世界の平和維持に貢献するため、情報管理を強化することが必要です。 ◆情報漏洩に対して意識が低すぎる日本 日本版NSCの関連法案が可決されたのに引き続き、国家機密を漏洩した公務員への罰則を強める特定秘密法案が審議入りしました。 秘密保護法案が成立すると、機密を漏らした公務員らに最高10年の懲役を科せるようになり、さらに情報を入手した人間に関しても罰則を科すことが可能になります。 特定機密法案の成立に関しては、政府にとって都合の悪い情報が隠されてしまうのではないかという懸念が一部に出ています。 しかし、日本は情報がすぐ漏洩する国として、各国からの信用されていないというのが現状です。 2007年には、中国人の妻を持つ海上自衛官の自宅からイージス艦の情報が大量に見つかり、2010年には警視庁公安外事から国際テロ組織に関する情報がインターネットに流出する事件が起きました。 2011年には羽田空港に勤務する航空管制官がアメリカの大統領専用機や無人偵察機の飛行計画をネットに流出させる事件が起こりました。 国民の生命と、国家の存続に関わる問題であるにも関わらず、情報漏洩に関しては、現行の自衛隊法では5年以下の懲役、国家公務員法では懲役1年以下、罰金50万円以下と、窃盗罪(最高刑は懲役10年)よりも軽い内容となっています。 ◆説明責任を果たす重要性 釈量子党首が本日のフジサンケイビジネスアイで指摘されている通り、恣意的な運用を避けるための仕組みは必要です。 2010年の尖閣衝突事故では、当時の民主党政権が、ビデオ映像を公開しないという判断をしましたが、海上保安庁の職員が、映像を流したことで、中国漁船の過激な行動が明らかになりました。 また、政権運営に不都合な情報や、政治家や官僚の判断ミスを隠ぺいするために、情報を機密扱いするということが起こらないように、国家公務員法を見直すことも必要です。 他国と比較すると、日本政府の情報公開はまだ徹底していない部分もあるため、情報公開を求めるマスコミの声にも一定の利があります。 それに対して、情報を公開することで、国民の生命を危険にさらし、同盟国からの信頼を失くすような情報は機密情報として管理するべきです。 「特定機密法案」に関しては、国民の知る権利を奪うものではなく、また政権運営に不都合な情報や、政治家や官僚の判断ミスを隠ぺいするためでもなく、同盟国と結んだ機密情報の漏洩を防ぎ、日本の安全保障に貢献するものとして成立させる必要があります。(文責・HS政経塾一期生 伊藤のぞみ) 北朝鮮の先軍政治と日本の国防戦略 2013.11.06 ◆北朝鮮、兵員30万人削減の意味 北朝鮮は、今年2月の核実験直前の党中央軍事委員会の拡大会議で「核実験に成功すれば、兵員30万人前後の削減に着手する」との方針を発表しました。(10/23東京新聞「北朝鮮軍、―改革試行?国防費抑制」) 記事では、下記のような内容が報道されています。 (1) 兵力を現在の110万人から80万人まで30万人を削減 (2) 除隊した兵員を農漁業に専従させる―国防費抑制・軍の食料自給がねらい (3) 核・ミサイル開発を強化し、兵員や旧式兵器を減らす(8月の党軍事委員会拡大会議で決定) (4) 時速100キロのホバークラフト型、揚陸艦艇を実戦配備 ◆北朝鮮がお手本にする中国の核開発 実は北朝鮮の核・ミサイル開発は、中国をお手本にしています。つまり中国の「核・ミサイル開発」をみれば、北朝鮮の核・ミサイル開発が、今後どのような経過をたどるか予想できます。 では、中国の核・ミサイル開発の経過を下記にまとめてみましょう。 (1)1950年代、餓死者が出ても限られた資源を核開発につぎ込む。 (2)1960年代、世界の反発も聞かず核実験を繰り返す。 (3)1970年代、長中距離ミサイル開発、核兵器の小型化・軽量化。 (4)1980年代、西太平洋上にミサイル発射などミサイル発射実験。 (5)1990年代、100万人兵員削減・軍の現代化、兵器輸出や経済の発展を通して外貨を稼ぎ兵器の近代化。 (6)2000年代以降、経済力を背景に他国の追随を許さない軍備拡大へ。 現在の北朝鮮は、(2)~(4)の段階に入っています。北朝鮮は実質的に核保有し、今後も何回かの核実験を繰り返しながら核の小型化・軽量化、核を搭載する中長距離・弾道ミサイル開発・発射実験を繰り返していくでしょう。 ◆北の「核・経済建設並進路線」 北朝鮮の軍事戦略のキーワードは、「先軍(軍事優先)政治路線」「核・経済建設並進路線」です。 金正恩は今年2月、3回目の核実験直後の「労働党全員会議」で「核武力建設と経済建設を同時に発展させる政策」を採択、その核心は「小型化された核兵器とその運搬手段」の開発です。(10/24中央日報「【時論】金正恩2年間の統治の3大キーワード」 ) それを裏付けるニュースが下記です。 8/27中央日報「金正恩、労働党中央軍事委員会拡大会議で『先軍革命を促す』」 9/18読売「北朝鮮・寧辺の黒鉛減速炉が再稼働(1年間に核爆弾1個分に相当する6キロのプルトニウム生産が可能)」 10/8日経「北朝鮮はウラン生産など核能力を強化するために原子炉を再稼働」 10/25産経「北の核施設「建設進む」坑道入り口2カ所判明」 10/30朝日「北朝鮮、ミサイル発射台 新たに建設確認」 更に実質的に北朝鮮は、今年から(5)の「核兵器を背景に兵員削減・経済成長を通して更なる兵器開発に資源を投入する」段階に入りました。 11/6朝日「軍事境界近くに経済特区 北朝鮮、外資誘致に懸命」 ◆6カ国協議再開か? そのような中で、中国は、米国に6カ国協議の再開に向けた説得を強めています。これに対して北朝鮮は、「核を先に放棄することはありえない」との声明を出しています(10/30朝日)。また、6日には、ワシントンで北との6カ国協議の再開に向けた日米韓協議を開催すると発表しました。(11/2読売) しかし、過去2回の6カ国協議が、北朝鮮へのエネルギー支援、食糧支援をしただけで、結局は約束である「核廃絶」を反故にしてきたことをみても、北朝鮮に対話は通じません。 「先軍政治」を政治の中枢に据えた北朝鮮は、「金王朝」が続く限りどんな経済支援をしても「核・ミサイル開発」を止めることは100%ないと断言します。 北の核開発を封じ込めるためには、経済特区に支援せず外貨を稼ぐ道を閉ざし、軍事拡大に注ぎ込む資金を絶つことです。つまり過去に日本がODAで経済支援すれば、中国はまともな国になると見誤った教訓を生かすべきです。 ◆日本の対北朝鮮戦略 対北対策として防衛省は、弾道ミサイル迎撃能力を持つイージス艦を10年以内に2隻増やして8隻態勢にする方針を固めました。10年後では遅すぎます。 また本当の安全保障は、撃ってきたミサイルを「どうやって撃ち落すか」ではなく、「どうやったら撃てないようにするか」を考えなければなりません。そのためには、「敵基地先制攻撃能力」を持つことが必要なのです。 つまり北朝鮮からみれば、「ミサイルを撃つぞ」と脅したら、日本から先に平壌を攻撃されるとわかれば、北朝鮮はミサイルを撃てなくなります。それが、「敵基地先制攻撃能力」の威力です。 今すぐにできる具体策としては、日本海の海底に、平壌を攻撃できる巡航ミサイルを搭載した潜水艦を航行させ、外交ルートを通じて「日本はいつでも平壌を攻撃できる準備がある」ことを伝えておくことです。これは、政治家の決断一つで明日からでも出来ます。(文責・政務調査会 佐々木勝浩) 安倍首相は「政治哲学」を持って、国防強化の必要性を国民に訴えよ! 2013.11.05 ◆内閣法制局長官は「憲法の番人」か? 11月3日、日本国憲法の公布から67年を経て、憲法改正、集団的自衛権について、各党党首が意見を表明したり、新聞の社説が賑わいました。 集団的自衛権の行使に向け、安倍首相が内閣法制局長官の人事交代を行ったことに対して、共産党や左翼マスコミは「内閣の都合に合わせて『憲法の番人』の首をすげ替える。これが法治国家といえるのか?」などと、批判を強めています。 しかし、あくまでも内閣法制局長官は、内閣の下にあって、法案の作成や法律面で内閣を補佐する役割に過ぎません。 制度上、内閣法制局長官の任命権者は総理大臣であり、総理大臣の指揮統制下にあります。内閣法制局長官が内閣総理大臣の意思に沿って職務を行うことは当然のことであり、何らの違法性もありません。 首相が自分の意向に合った人物を「憲法の番人」である内閣法制局長官として任命することを「安倍首相の暴走だ」と批判する声もありますが、一官僚に過ぎない内閣法制局長官を「憲法の番人」と考えること自体、官僚主導政治を推進する考え方です。 集団的自衛権の行使が違憲かどうかを最終判断するのは、あくまでも裁判所であり、違憲立法審査権を有する裁判所こそが「憲法の番人」なのです。 ◆「集団的自衛権」容認は、軍国主義の復活か? 中国マスコミは「集団的自衛権」容認は、日本の軍国主義勢力の台頭であって、武力行使の口実だと言っています。 これは、逆ではないでしょうか? 明らかな日本の領土である尖閣諸島を中国の「核心的利益」と公言し、連日のように監視船で押し寄せる中国の動きが、日本の防衛に対して危機感を募らせているわけであり、好きでやっているわけではありません。 また、韓国の与野党も強く反発し、与党院内報道官は「過去の歴史に対する徹底した謝罪と反省なく推進される日本の集団的自衛権行使はあり得ず、あってはならない」「朝鮮半島有事の際、韓国の同意なく日本が介入する事態は決して容認できない」と述べています。(10/29 聯合ニュース) 韓国は「集団的自衛権」行使容認の動きを見て、「日本は信用できない」「日本は軍事大国化に向かう」と不快感と警戒感を強めていますが、これは、韓国の被害妄想以外のなにものでもありません。 韓国が自国の安全保障を真剣に考えるのであれば、日本ではなく、核兵器の開発を続け、ミサイル発射実験を繰り返している北朝鮮から如何に守るかを考えるべきです。 現在、韓国は、北朝鮮から攻撃を受ける危機と向き合っており、停戦している朝鮮戦争がいつ再開してもおかしくない情勢です。 それを防ぐためには、日本が「集団的自衛権」を行使できるようにし、日米韓の強固な軍事的関係を構築できれば、北朝鮮から韓国を守ることができるのです。 歴史問題もそうですが、現在の韓国は、反日政策を進めることが国益にかなうと考えています。 しかし、その逆で日本をバッシングすることは、自国を滅ぼすことにつながることを是非、理解頂きたいと思います。 ◆安倍首相は「政治哲学」を持って、国防の危機を国民に訴えよ! 最後に言っておきたいことは、安倍首相は「集団的自衛権」の解釈変更に関し、コソコソと変更するのではなく、堂々と、国民や国際社会に対し、解釈を変更すべき理由、中国や北朝鮮の脅威、憲法9条改正の必要性について、説明し尽くすべきだということです。 現在、国民的議論を呼んでいる「国家秘密保護法」についても同様です。 安倍首相は支持率低下を気にして、正面から攻めずにコッソリ変更しようとしているように見えます。そうではなく堂々と国民に同法の必要性説明し、法案を通すべきです。 例えば、国家秘密保護法の本当の目的について、「同法案は、国民の知る権利を制限することが目的ではなく、同盟国である米国との国防に関わる秘密にしておくべき軍事的な重要情報が第三国に漏れることを防ぎ、日本国民の生命を守る重要な法案である」など、堂々と説明すべきです。 以上、これまで数回に渡って「集団的自衛権」容認の重要さについて考えてきました。これは、日本とアジアの平和を護るためにどうしても超えていかなくてはならないハードルだと考えます。 安倍首相は国防に対する「政治哲学」を持って、国民に説明を尽くし、強い信念で「集団的自衛権」行使容認を進めると共に、「国家秘密保護法」についても、国民に対し、その必要性をしっかりと説明していくべきです。(文責・岐阜県本部副代表 河田成治) 客船誘致で日本経済の発展を 2013.11.04 今、世界的に「クルーズ」と呼ばれる産業が発展してきています。 毎年毎年、新造船が多数建造されており、クルーズ人口も増加の一途を辿っているところです。国土交通省の発表によると、日本のクルーズ人口だけでも2012年度には20万人を突破しています。 さらには、日本国内の港に寄港したクルーズ船(日本船、外国船合わせ)は、2012年度に初めて1000回を超えました。 ◆海運大国としての日本 元来、日本はその四方を海に囲まれていることにより、海運業を発達させてきており、海運大国、造船大国として知られていました。しかし、戦後造船業なども、中国・韓国に抜かれ、世界3位に転落してしまっています。 しかし、今日本には大きなチャンスが到来しています。クルーズマーケットとして、アジア地域の人気が高まっており、日本もその寄港地の選択肢として外国船が入港回数を増やした結果、先ほどのように寄港回数が1000回を超える結果となっています。 ◆クルーズ船入港の経済効果 クルーズ船が1隻入港した際にもたらされる経済効果は、例えば横浜港を発着する外国のクルーズ船1隻あたり、約2億円、日本のクルーズ1隻当たり約3500万円と推計されています。 これは、入港する港によって燃料の補給の有無なども違うため、あくまで横浜港の場合ですが、しかしながらこれだけの経済効果があることで、入港する地域の経済の活性化にもつながるものと言えるのではないでしょうか。 実際こうした収入があることから、アジア各国はクルーズ船の誘致に積極的に動いており、港に寄港する際に発生するポートチャージ(港費)の減免措置などを行っている国が存在しています。 さらには、世界的に増加している超大型船と呼ばれるクルーズ船が入港可能なように、自国の港の拡張、および客船ターミナルの設置などをおこなっている国も存在しています。 ◆誘致においての問題点 日本の港では、ポートチャージの減免を行う港を増やすことが必要であるとともに、超大型船が入港できる環境整備を行っていく必要があると言えます。 残念ながら、現時点では世界最大級の客船(約22万総トン)が入港可能な国内港は数港であるとされ、客船用の岸壁を使用できる港は1つしかなく、その他は貨物船用の岸壁などを使用することで何とか入港できる、といった状況です。 これには、船には「喫水」と呼ばれる海の中に沈んでいる部分の深さを示す指標が存在しますが、大きな船ほど、この喫水の深さが深くなってきます。これに対し、日本の港の岸壁において安全に入港できるだけの深さがない場合が多く、入港が難しいとされています。 また、岸壁そのものの大きさ(長さ)が足りず、着岸することが出来ない、というのも入港が不可能とされる理由の一つです。 ◆今後の誘致と発展のために いつでもそうした大型船の受け入れが可能な体制を整えておくことにより、実際の誘致もしやすくなると言えますし、大型船になればなるほど乗船人数も増えることから、観光収入やその他の収入も合わせた経済効果もより大きいものになります。 また、港の整備をしておくことで、客船だけではなく、貨物船であっても大型船が入港可能となり、その港を大型の貿易港としても使用することもまた可能であると思います。 ただ、地方の港においては、各地方自治体の予算の問題などもあり、必ずしも整備をしようと思ってもその費用に限界がある場合があると言えます。 それに対し、国として予算を計上し、支援を行っていく必要もあるのではないでしょうか。 他のアジア各国が国家として客船の誘致に取り組んでいる中、今後日本としても、各地方自治体だけではなく、国家として客船の誘致を行うための環境整備を考える必要があると言えます。 日本が再び海運大国として復活し、海運業を活性化させることで、もう1段明るい未来ビジョンが描けるものと考える次第です。(HS政経塾3期生 瀬戸優一) 政府活動の成果を明確にする公会計の役割 2013.11.03 ◇自由主義と無政府主義は同じではない 市場で供給できないサービスを公共財と呼びます。公共財は民間では代替できにくいと考えられているもので、司法制度や国防が代表的です。 自由主義陣営の中には、無政府主義という考え方がありますが、現代社会においては政府の完全否定は極端すぎると言えるでしょう。自由主義とは本来、無政府主義と必ずしも同じではありません。ノーベル経済学者であり、自由主義哲学の構築にも貢献したF・ハイエクでさえ、『法と立法と自由』の中で課税権の行使を認めています。ただし、公共財の提供者として政府が常に関わり続ける必要性はないというのが重要な論点です。 例えばハイエクは、中央銀行の民営化を提唱しました。貨幣の発行権を中央銀行が独占せず、民間の銀行にも発行させて競争させるメリットを説きました。幸福実現党もメガバンクからの紙幣発行を提言していますが、理論的な背景にはハイエクの思想があります。 最近では、公民連携(Public-Private Partnershipの頭文字をとってPPPとも呼ばれる)と呼ばれる行政手法が注目されています。つまり、役所の仕事を民間が代替することで自治体の行政コスト削減ができることを意味します。ハイエクの考えが、具体的な手法となった姿だと言えるでしょう(参考文献:O・ポーター著『自治体を民間が運営する都市』米国サンディー・スプリングスの衝撃)。 筆者が2月に参加したアジア・リバティーフォーラムの中でも、自由主義者の共通の理念は、私有財産の保証、市場メカニズム、そして限定的な政府活動Limited Government Activitiesだと教わりました。「経済学の父」と呼ばれたアダム・スミスの提唱した経済哲学も、ほぼ同じ内容です(スミスは分業と呼んでいたが、市場メカニズムにおける交換の利益と生産性向上を指す。『諸国民の富』参照)。 ◇政府の仕事に経営の発想を取り入れる よく「お役所仕事」と呼ばれる言葉は、行政の非効率性を表します。役所では予算をいかに使い切るかが課題で、余った場合は翌年の予算は切られます。決算期になると予算の費消が行われるのは、予算カットを恐れる役所の自己保身にあるわけです。 一方、民間では予算が余れば翌年に繰り越すなどして効率的な資金運用が前提とされます。企業は利益を出すことが最優先なので、予算を費消するインセンティブはありません(節税対策として意図的に赤字を作る企業は別)。 ◇行政の成果を表す公会計 経営とは、最小のコストとリスクで最大の利益をあげることです。税金を使用して公共サービスを提供する国家経営や地方自治体にも経営が必要なのは言うまでもありません。著名な経営コンサルタントとしてアメリカで活躍したP・ドラッカーも同じことを主張しています。そして、成果の貨幣的評価が会計なのです。会計とは、単なる数字の羅列や財務諸表の作成ではなく、資源を預かる者の成果を測る指標なのです。その意味では、企業会計の損益計算書にあたるものが公会計の成果報告書です。 行政コスト計算書も大事です。しかしながら、行政コストだけでは、行政の成果まで測ることはできません。行政の貨幣的成果とは、発生費用から受益者の負担などを差し引くことで求められます。両者が均衡していればサービスと費用は釣り合っています。受益者の負担以上に費用が高い場合は、経営に問題がある証拠です。費用の財源は税金なので、この値が大きければ「将来の税金」として増税される可能性が高くなります。 ◇会計の情報開示と国民の関心 公会計は、納税者に政府活動の会計情報を提供します。会計情報に基づいて首長や内閣総理大臣が納税者の負担を減らすことができたかどうかの成果を測る上では有益です。費用が増大した場合は、国民や市民に説明をしなければいけません。最初から増税を主張する経営者は、赤字を価格引き上げによって賄おうとするようなものです。民間では、そのような会社は倒産することになるでしょう。 17世紀の思想家であるモンテスキューは、「彼らは常に政府の窮乏について語り、われわれの窮乏についてはけっして語らない」と著書『法の精神』に記しました。しかしながら、現代では、有権者が正しい情報を目にすることなく、選挙のない時に増税が進行します。その根拠が「国の借金が1000兆円」とか「一人あたり800万円の借金」といって財政の窮乏を語って増税を正当化していますが、国民負担が増えることについては触れません。モンテスキューの指摘は現在でも当てはまっています。別の見方をすれば、国民が政府活動の成果に関心がないので、財政の窮乏は生活の悪化と思い込んでしまいます。つまり、財務省や増税派の政治家は、国民の無関心を利用しているわけです。 もし会計情報の浸透と国民の関心の高まりがあれば、政治家や役人が税金の無駄使いをすることが難しくなります。ましてや、増税などは主張できなくなるのです。 現在の公会計は、地方レベルで初歩的な導入が始まっています。市議や県議、知事を目指す方は、公会計とPPPの導入を公約としてもよいでしょう。いずれ政府にも適用しますが、まずは地方から実績をつくることも必要です。明治維新が地方から始まったように、改革は地方レベルから始まるかもしれません。幸福実現党としても、公会計とPPPは今後も研究を重ねて政策提言をしていく所存です。(文責:中野雄太) 『放射能』ではなく『情報』の除染が必要だ ~世界一の原発技術力を日本と世界の繁栄に~ 2013.11.02 ◆海外における原発輸出に積極的な安倍政権 安倍首相は先月28日から3日間、臨時国会の会期中に異例のトルコへの外遊を決行しました。 大きな目的の一つが、以前より進められていたトルコ・シノップで計画されている原発建設の正式受注であり、トルコのエルドアン首相と最終合意を果たすことにありました。 福島第1原発事故以降に、日本の原発輸出が正式に決定したのは初めてです。 安倍首相は会談の共同記者会見において「原発事故の経験と教訓を共有することで世界の原子力安全の向上を図ることは日本の責務だ」と述べ、原発輸出を推進する考えを強調しました。(産経10/31) ◆未だ根強い日本の「世界一の原発技術力」 トルコ同様、日本の原発技術は福島原発事故の後もなお世界で非常に高く評価されています。 具体的には、世界で使われる原発の炉心の8割は製鉄の町・室蘭にある日本製鋼所で造られており、日本の技術が世界の原発の安全性を支えている事実があります。 また、原発技術の安全性を図る統一基準として、「運転時間当たりのスクラム(非常運転停止)の回数」が用いられますが、日本は運転時間7000時間あたり、0.07回しかスクラムはかからず、世界でも断トツで低いと言われています。(アメリカ0.28回、フランス0.59回、韓国0.42回) 原発を利用中、導入検討中の国々においても、福島第一原発事故の根源的な原因は「原発自体の不備」ではなく、「巨大津波への備え不足」であったとの客観的事実を踏まえ、自国における自然災害の可能性を調査し、対策を強化しています。 その結果、第2次安倍政権が発足してからも、少なくとも9カ国で原子力分野での協力を求められており、既に国外では「福島で起こったこと」への疑念は払拭されていると言えます。 ◆原発を通しての日本VS中国という伏線 原発を巡る世界的潮流として「中国産原発の世界進出」も無視することは出来ません。 中国では、約20年前から原発の商業運転を始め、電力事情の悪化に伴い、国内でも急ピッチに原発建設が行われており、実に世界の半分以上の原発新設計画が中国に集中している状況にあります(日経10/18) それに伴い、原発技術力が急速に向上しており、「国産化」を基本戦略に掲げて原子炉容器や蒸気発生器、冷却材ポンプといった主要機器の開発に力を入れており、「夢の原子炉」といわれる高速増殖炉の開発も独自に進められています。 近年では、最大の武器である「価格競争力」を活かし、バングラディッシュの原発プロジェクトの入札、イギリスの原発建設への参入など海外進出も積極的に行っており、原発輸出によって国際的に存在感を大きく広げ、原発事業でも日本を凌駕しようという野望を持っています。 ◆中国産の原発が拡散することによる様々なリスク しかし一方で、中国産原発の危険性を訴える声も少なくありません。 日中科学技術交流協会が入手した資料によると、中国の原発1基当たりのトラブル件数は、05年2.6件(日本0.3件)、07年2.1件(同0.4件)で、日本の5倍以上の割合となっている統計が出ております。(10/28産経) 「日本の原発技術が世界を変える」の著者である豊田有恒氏は「中国は異常なスピードで建設を強行しており、『粗製乱造』といえる。」と述べており、またそのスピードに人材の育成が間に合わず、請負企業の人員の90%は原発建設に関わったことがない素人が担っているという驚くべき事実があるのです。 更に、アメリカは日本の原発安全策に欧米型の数値基準を導入することで連携を深めていますが(日経10/31)、この背景には、安全保障上、中国の原発による世界進出、その裏にある中国の覇権戦略に歯止めをかけるために、スムーズに進まない日本国内の原発政策をテコ入れしていこうという意図が感じられます。 ◆国内の原発政策が進まない真犯人は「情報汚染」 海外からの高い評価とは裏腹に、国内での本格的な原発再稼働の目処がいっこうに立たず、迷走しているのは、科学的な根拠の全くない放射能汚染報道に煽られて、原発と放射能に関するウソが2年経った今もまかり通っているからです。 私自身も先月、福島に数日間入り、現地の声を聞いて参りましたが、人体に害のない避難区域の放射線量などより、はるかに大きな弊害があることを知りました。 例えば、必要のない除染に試算では5兆円の予算をかけて、全国から人員を募集した結果、喧嘩沙汰や犯罪が増え、治安がとても悪化しているそうです。 また、避難民には家族1人当たりに10万円が支給されていますが、以前よりもはるかに収入が増えたことで、やる気を喪失し、仕事に就かずパチンコ三昧で暮らす人が増えており、それが不公平感を煽り立てているという話も聞きました。 このように、間違った情報に基づいた政治がどれだけ人々の暮らしに害悪を垂れ流すかを痛感すると共に、人気取りを目的に「脱原発」を訴える政治家や芸能人、そしてその大元にあるマスコミによる「情報汚染」を払拭することこそ、今の日本に必要であると考 えます。 ◆国内の原発政策に正しい柱を通し、原発技術力で群を抜け! これ以上、国内の原発政策をあいまいにしたままでは、いずれ優秀な人材の減少、海外への技術者人材の流失などが相次ぎ、日本の原発事業は停滞を迎えることとなります。 是非とも安倍政権においては、しっかりと原発と放射能の正しい情報に基づいた発信をより力強く行い、福島の力強い復興と、国内での原発事業への自虐的な見方を払拭して頂きたいと思います。 危険性の高い原発の拡散は世界を不安定にします。安全性が高い日本の原発技術力はこれからも日本と世界を豊かに、平和に、幸福にする大きな使命があるのです。(HS政経塾第1期生 城取良太) 【参考文献】 「世界の原発技術が世界を変える」 豊田有恒 「放射能・原発、これだけ知れば怖くない」 高田純 「誰も書かなかった福島原発の真実」 澤田哲生 「『反原発』の不都合な真実」 藤沢数希 「WEDGE11月号」 未来産業に向けた大胆な法改正を!――「自動運転カー」は違法? 2013.11.01 ◆世界をリードする日本の「自動運転システム」 日本の未来産業の切り札の一つとして期待されているのが「自動運転システム」です。 日本の「自動運転システム」はトヨタ、日産、ホンダの3社が開発中で、世界をリードしています。(10/17 日経「『自動運転』こそ日本の切り札」) 日産は今年8月、2020年までに自動運転技術を搭載した車両を量産販売する準備が整ったと発表しており、一般消費者が入手可能な価格で、複数車種の自動運転車を用意する予定です。(8/28 ITMedia) また、トヨタは10月中旬、首都高で自動運転技術を利用した公道デモ走行を公開しました。 自動運転カーは渋滞や急カーブにあふれた都市の高速道路でも使えるのが特徴で、ドライバーがハンドルから手を離し、アクセルやブレーキのペダルからも足を離して自動運転する様子がテレビで全国に放映されました。(10/20 日経「トヨタの自動運転車に乗ってみた 初心者でも首都高安心 とっさの判断、人より速く」) ◆「手放し自動運転」に国交省や警察が激怒! しかし、トヨタが首都高で「手放し自動運転」を実演したことに対して、国土交通省や警察庁が「完全な道路交通法違反。業界のリーダーとしてあるまじき行為だ」と怒り、「待った!」をかけました。(10/16 Business Journal「警察庁と国交省が激怒!トヨタが首都高で違法自動運転を実演」) 道路交通法第70条には「車両等の運転者は、当該車両等のハンドル、ブレーキその他の装置を確実に操作し、かつ、道路、交通及び当該車両等の状況に応じ、他人に危害を及ぼさないような速度と方法で運転しなければならない 」とあります。 そのため、トヨタの首都高(公道)での「手放し自動運転」は違法と見なされたためです。 しかし、自動運転カーは決して危険ではなく、とっさの事への対応も人間の判断よりも速く、事故予防はもちろん、無駄な走行もなくなり、車がすいている道を自動で選択するので、渋滞を生じにくくする効果もあり、警察や国交省にもメリットがあるはずです。 これは、日本のお役所の「頭の硬さ」が、日本の未来産業の発展をストップさせている典型事例です。 ◆早急に、自動運転を認める法改正を! アメリカでは、グーグルが8月に、自動運転カーの実験車両が走行距離累計30万マイル(約48万キロ)を突破し、これまで無事故だったと発表しています。(8/8 ITmedia「Google自動運転カー、48万キロを無事故で走破」) グーグルが長距離の公道走行実験をして来た背景には、米国ではネバダ州など一部の州で、公道で自動運転カーを試運転できる免許を発行して来たからです。 さらに、カリフォルニア州では今年9月、公道での自動運転カーの走行を許可する法案が成立しています。 現在は日本の自動車メーカーが技術面においてリードしていますが、グーグルなど米IT企業も追随しており、日本政府が公道での自動運転カーの走行を一切認めない現状では、米企業に追い越される日も近いと言えます。 日産も「法律改正を前提条件として自動運転車を商品化する」としていますが、現在、日本では自動運転カーを公道で運転できるようにするための法改正の動きは全く見られません。 自動運転カーはもはや「夢の技術」ではなく、既に実用段階に入りつつあります。 自動運転カーが実用化されれば、自動車は行き先を入力するだけという「家電感覚」になり、自動車運転免許は不要になります。道路標識や信号さえ不要になります。 そのためには、大幅な道路交通法の改正を視野に入れていく必要があります。 少なくとも、まずは自動運転カーの試験走行を認めるよう、早急な法改正をなすべきです。 ◆未来産業に向けた大胆な規制緩和を急げ! 日本は再生医療の研究レベルでは世界のトップを走っているものの、再生医療製品の実用化では欧米に遅れを取っています。 その理由は、製品化に向けた厳しい法規制が山ほどあるためです。 日本が世界に誇る「自動運転システム」も、再生医療製品実用化の遅れの前轍を踏むことのないよう、早急に手を打つ必要があります。 日本には世界に誇る最先端の未来産業のタネが数多く存在していますが、厳しい規制で縛られ、芽を出しにくい環境にあります。 「未来産業」という大樹を育むためには、政府は大胆な規制緩和を断行すべきです。(文責・政務調査会 佐々木勝浩) すべてを表示する « Previous 1 2 3