Home/ 生涯現役 生涯現役 「超・高齢化社会」に備えよ(2)――エイジレス社会への突破口 2012.10.26 日本においても、世界においても、「超高齢化問題」は非常に大きな問題となっています。 民主党や自民党など多くの政党が「高齢化問題」について、「国家が老人の面倒を見る」という発想の下、増税して社会保障費を増やし、国家が税金をバラまくという政策しか持ち合わせていません。しかし、これではやがて破綻することは明白です。 幸福実現党は「自立(支援)」をキーワードに、社会福祉や高齢者雇用の枠組みから都市計画、住宅、交通システム、ICT技術に至るまで、高齢者の方々が日常生活や経済生活において、自立して健康で生きがいを持って幸福に暮らすことができる「生涯現役社会」「エイジレス社会」の実現を目指しております。 今後、急速な高齢化によって生じる問題は、大きくは2つあります。 第一の問題は、生産年齢人口(労働力人口)の急速な減少です。 生産年齢人口(15~64歳)は最新の2010年国勢調査では8,173万人ですが、2013年には8,000万人、2027年には7,000万人、2051年には5,000万人を割り、2060年には4,418万人となると推計されています。(国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口」) 海外からの移民や労働生産性の飛躍的な上昇がない限り、生産年齢人口の減少は国内総生産(GDP)の減少をもたらし、国家の活力を奪います。 第二の課題は、社会保障費の急激な膨張です。 高齢者数の増大により、現在の年金・医療・介護のサービス水準を維持するだけでも、毎年1兆円以上以上もの社会保障費が増大しています。 更に今後、老年人口割合は2013年には4人に1人を上回り、2035年には3人に1人を上回り、2060年には2.5人に1人が老年人口となります。(同上) その結果、2060年には若者1人が高齢者1人を支えることになりますが、どれだけ増税しても、高齢者の生活を支えるだけの社会保障費を捻出することは不可能です。 この二つの問題を解決するには、「生涯現役社会」を築き、高齢者の方々が生涯にわたって就労し、経済的収入を得つつ(国家経済にも貢献しつつ)、社会を「支える側」に回り、年金・医療・介護を必要とする時期をできる限り先に延ばす戦略が必要です。 しかし、日本の高齢者の就労意識は極めて高いにもかかわらず、現状では雇用機会は十分にはありません。高齢者の就労機会の拡大は低所得高齢者の救済にも大きな意味を持ちます。 そのためには企業のみならず、政府、地方自治法、地域が一体となって高齢者の雇用機会を創出していくことが不可欠です。 例えば、高齢者雇用の事例として世界的にも有名な徳島県の上勝町(かみかつちょう)は、徳島駅から車で1時間のところにある人口約2千人の小さな町で、高齢化率が49.5%に達する高齢化地域です。 上勝町は総面積の85%を山林が占め、耕地面積はわずか2%で棚田や段々畑が多く、機械化が困難で、高齢者にとって農作業は重労働です。 そこで、上勝町は野山の木の葉や草花が、高級料亭の盛りつけなどに使用される「ツマモノ」として多く利用されていることに着目し、全国の料亭に出荷する事業を始めるべく、第三セクターを立ち上げ、年商2億6000万円のビジネスに育て上げました。(日経デジタルコア「山間の町を元気にした葉っぱビジネス」) この事業を支えているのは高齢者の方々です。「葉っぱ」という身近にたくさんあり、軽く、高齢者でも扱いやすい商材であることが成功の一因です。 また、高齢者の方々が扱いやすいようパソコンのソフトやハードを設定し、高齢者の方々が情報を入力したり、日々の売上順位を見たり、販売動向予測から出荷調整するなど、高齢者向けICT(情報通信技術)の活用が進んでいることも成功要因です。(高齢者の就労機会の増大にはICT技術の活用は欠かせません。) 上勝町には月に100万以上を稼いだり、ツマモノの儲けで新居(通称「葉っぱ御殿」)を建てるお年寄りもいて、80歳を過ぎても元気で若々しく働いています。 葉っぱビジネスにより、高齢者の自立や町の経済的活性化がもたらされたのみならず、上勝町は徳島県で最も平均年齢が高いにもかかわらず、一人当たりの老人医療費は62万6922円と県内最低で、県内1位との格差は31万円もあります。 ※[HRPニュースファイル410]「長寿の秘訣は仕事にあり!」で指摘しました通り、高齢者が仕事を続けることは、健康の増進、病気・障害の抑制、長寿をもたらすことが様々な実証研究で明らかになっています。 上勝町の成功事例のように、国連は高齢者を単に「福祉の受益者」としてだけではなく、社会への「積極的な参加者」として見るよう各国に求めています。(10/1 国連人口基金『21世紀の高齢化:祝福すべき成果と直面する課題』) 既に欧米では、従来の社会保障(「消費型・保護型社会保障」「受け身型社会保障」)に対し、「Positive Welfare」(「参加型社会保障」)、「WelfareからWorkfare(自立支援型社会保障)へ」といった社会保障理念の再構築が起き、自立支援によって経済活動を行う人々を増大させる「経済成長に寄与しうる社会保障」への転換が始まっています。 幸福実現党は、高齢者の特性を活かし、ICT技術の活用や柔軟な就労体制(フレックス就労等)等も積極的に取り入れ、高齢者が無理なく楽しく働ける、新たな経済・社会保障モデルの構築を進めて参ります。(文責・黒川白雲) 「超・高齢化社会」に備えよ(1)――積極的に都市・交通インフラに投資せよ! 2012.10.19 高齢化するこれからの社会にどのように取り組むべきか―― この問いについて世界各国の政府は答えを見つけ出さなければならないとする国連人口基金の報告書『21世紀の高齢化:祝福すべき成果と直面する課題』が10月1日、東京で発表されました。 国連報告書は、60歳以上の世界人口は現在8億1千万人で、全人口の約12%であるのが、今後10年以内に10億人に達し、2050年には20億人を超えて世界人口の22%を占めると予測しています。 現在、世界では60歳以上の人口は9人に1人の割合ですが、2050年には、5人に1人の割合に増加することになります。 また、現状では人口の30%以上が高齢者(60歳以上)なのは日本だけですが、2050年には、日本に続いて高齢者が人口の30%を超える国は64カ国に達します。 報告書は、60歳以上の人々の3人に2人が途上国に暮らしており、2050年までに、その比率は約5人に4人になると予測。途上国も含めた「高齢化社会」の到来を告げています。 しかし、社会保障のあらゆる分野を含む包括的社会保護制度を有する国の数は世界全体で3分の1だけであり、その恩恵を受けるのは世界人口の28%にすぎず、地球規模で進む高齢化に対して、国際社会全体で対応を急ぐよう訴えています。 国連は、高齢者を単に「福祉の受益者」としてだけでなく、社会への「積極的な参加者」として見るよう求めており、60歳以上の人口が介護者、投票人、ボランティア、起業家などとして、驚くほどの生産性を発揮し、社会に貢献していることを見出したとしています。 高齢になっても社会の一員として活動することを可能とするためには「革新的な技術の開発と活用を促進する、高齢者に配慮した物理的環境が特に重要である。年をとると、移動が困難になり、視力や聴力も衰えてくるからである」と指摘しています。 例えば、加齢に伴う身体機能の低下などにより、運転に困難や危険が伴うケースが増大します。 そうなった場合、高齢者が自動車に代わる移動手段を確保できるか否かが、生活の自立や経済活動、社会参加等を決定づけます。 実際、65~74歳と75歳以上の年齢層の移動手段ごとの利用率の変化をみると、自動車が35→26%、鉄道が18→14%、自転車が17→15%に減り、バスが3→9%、徒歩が24→34%と増えています。(三菱総合研究所「高齢者の健康増進につながるモビリティ環境に向けて」) 高齢者にとっては、移動手段の有無が活動や生活に大きく影響します。利用しやすい移動手段が存在する高齢者は外出頻度が高く、逆に、移動手段が無いと「外出の自由」を失い、「買い物難民」等、自立を妨げる問題が発生します。 高齢者の移動の自由と自立を確保するためには、都市計画レベルにおいては、住宅、職場、文化、教育、医療、福祉等が接近・集積した「コンパクト・シティ」、すなわち、「誰もが歩いて生活できる街づくり」が必要になります。 また、高齢者の移動手段の確保を踏まえた交通インフラ投資も重要です。 富山市は近年、都市部を中心に次世代型路面電車(LRT)を敷設した結果、高齢者の外出機会が増えました。調査によれば、LRTが敷設された結果、約四分の一の富山市民が外出する頻度が増え、特に高齢者の三割が外出が増えています。 実際、LRTは平日で約30%、休日で約43%が60代以上の高齢者による利用となっています。(富山市「富山港線LRT化の整備効果調査結果」) また、高齢者向けの交通手段として、PM(Personal Mobility・パーソナルな移動交通手段)、例えば、小型電気自動車(ミニカー)、電動アシスト自転車、高齢者向け電動車いす(シニアカー)等の技術開発投資やPM専用走行レーンの整備等の交通インフラ投資も必要です。 これまで高齢化問題は地方の過疎化と表裏一体でしたが、今後、10~20年かけて、「大都市の高齢化問題」が大都市圏で大きく顕在化してまいります。 東京・埼玉・千葉・神奈川の1都3県では、今後10年間に65歳以上の高齢者が200万人以上増加し、そのスピードと勢いは地方を上回ります。(ニッセイ基礎研REPORT 2012年5月号「大介護時代の都市~もうひとつの『高齢化問題』」) 2005年から2035年にかけての65歳以上の人口増加率は東京圏が75.7%増、近畿圏が46.6%増、中京圏が52.8%増となり、急速な高齢人口の増加に社会資本がついていけないことが危惧されています。(松谷明彦著『人口減少時代の大都市経済』東洋経済,2010) 日本が高齢化社会をどう迎え、いかに課題を克服していくか――今、全世界が注目しています。日本は「課題先進国」として、全力を挙げて「高齢化社会」の到来を見据えた都市・交通インフラ投資を積極的に進めていくべきです。(文責・黒川白雲) 長寿の秘訣は仕事にあり!―「生涯現役社会」をいかに築くか 2012.09.28 8月29日、希望者全員を65歳まで再雇用するよう企業に義務付ける「改正高年齢者雇用安定法」が参院本会議で可決、成立しました。(8/29 毎日「改正高齢者雇用法成立:『65歳まで雇用』義務化」) これは、男性の厚生年金受給開始年齢(60歳、報酬比例部分)が来年4月から3年ごとに1歳ずつ引き上げられ、25年4月以降65歳(女性は5年遅れ)となるため、給料も年金もない「空白」期間を回避することが狙いです。 高齢者の収入確保と年金制度の維持のためには、今後とも定年の引き上げや再雇用の促進は不可欠であり、幸福実現党は「75歳定年制」を提唱しております。 実際、60歳の定年を過ぎても会社で働き続けたいという方は少なくありません。 60代、70代の男女を対象とした勤労意識調査によれば、「何歳まで働きたいと思いますか」という質問に対し、「65~69歳」が最も高く33.5%、続いて「70~74歳」22.0%、「75~79歳」14.3%、80歳以上4.4%となっており、実に75%近くが65歳以上、40%以上が70歳を過ぎても働きたいと考えています。(2011/5 株式会社GF「シニア・高齢者の働く意識の働く意識」) 高齢者が仕事を続けることは「生活費の確保」「生きがいの確保」に資するのみならず、「健康の維持増進」効果も大きいと言われています。 米国専門誌によれば、ギリシア人の男女約1万7千人を追跡調査した結果、退職していたグループは、仕事を続けていたグループに比べて、同年齢での死亡率が1.51倍高く、退職年齢が早い人の方が死亡率も高くなることが判明しています。(2008/8/30 日経「長寿と仕事の関係は?~早期退職悪影響も」) また、米石油大手シェルの社員を調査した2005年の別論文でも、55歳で早期退職した集団は、65歳で定年退職した集団より、死亡率が1.37倍高いことが判明しています。(同上) 日本でも同様の傾向が見られ、東京都健康長寿医療センター研究所の調査によれば、社会活動に参加している高齢者は、していない人よりも障害発生率が低く、生存している人が多かったことが判明しています。(「全国高齢者の生活と健康に関する長期縦断調査」プロジェクトの概要) その意味でも「健康で長く働き続ける社会」を目指していくことは重要ですが、現状の就業率は55~59歳では75.2%であるのに対して、60~64 歳は57.3%、65~69歳は36.3%、70~74歳は22.8%と大きく低下しています。(内閣府 平成24年版『高齢社会白書』) 高齢者の雇用を増やしていくために、幸福実現党は高齢者が働き続けることができる業種、ビジネスへの支援施策や高齢者によるベンチャービジネスの立ち上げ支援等を行なう予定です。 また、 高齢者が仕事で使いやすいパソコン、高齢者の労働支援となるネット環境やユビキタス機器の開発、情報バリアフリーの解消等に投資して参ります。 『もしドラッカーが日本の総理ならどうするか?』(大川隆法著、幸福の科学出版)でドラッカー霊は「年金制度を立て直すためには、『亡くなる五年前ぐらいまで働ける社会を、どうやって構築するか』ということを考える必要があります」と述べています。 今こそ、日本は世界に先駆けて「生涯現役社会」の実現していくことが迫られています。 幸福実現党は年金・医療などの社会保障不安が高まる中、国に頼らず、生涯を通じて元気に働き続けることができる「生涯現役社会」を築いて参ります。(文責・黒川白雲) 子どもの数 31年連続で減少――「生涯現役社会」への移行が急務 2012.05.06 5月4日、総務省は「子供の日」に合わせて「15歳未満の子どもの推計人口(4月1日現在)」を発表しました。それによれば、日本の子供の人口は前年より12万人少ない1665万人で、31年連続で減少しています。⇒http://goo.gl/YyJTO 国立社会保障・人口問題研究所は、5年毎に「日本の将来推計人口」を発表していますが、今年1月に公表された平成24年1月推計によると、日本は長期にわたって人口減少、高齢化が進むと予測しています。(国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口」⇒http://goo.gl/GYwy9) また、統計では日本の総人口が、2010年の1億2805万人が50年後の2060年には4132万人減の8673万人に減少します。 65歳以上の人口の比率は23%から40%へと上昇、「生産年齢人口」である15~64歳は、一人で子供・高齢者一人を扶養しなければならない厳しい社会が到来することを予測しています。 戦後日本は、ピラミット型の人口構造と、右肩上がりの経済成長を前提にして年金や社会保障制度の仕組みを構築しました。 しかし、少子高齢化が急速に進み、経済も停滞している現在の状況が続けば、これまでの社会保障制度では高齢者を支えきれないことは誰でもが理解できます。 こうした背景があり、野田首相は「消費税増税」による「税と社会保障の一体改革」を断行しようとしているわけです。 しかし、ここに大きな「ペテン」があります。野田首相は今年1月24日の内閣総理大臣施政方針演説で「持続可能な社会保障制度を再構築する」と断言しています。 しかし、たとえ消費税増税を行っても、少子高齢化が進む限り、現行の社会保障制度は「持続不可能」であり、「持続可能な社会保障制度」を謳う「税と社会保障の一体改革」は、財務省の作文による悪意に満ちた「詐欺」政策です。 実際、岡田副総理は2月5日のTV番組で「今のまま高齢化が進めば、5%の消費税率引き上げでは足りなくなる」「消費税率の5%引き上げを目指す2015年前後には高齢化の進展を踏まえてさらなる引き上げの議論を行う必要がある」と本音を述べています。 すなわち、「税と社会保障の一体改革」を実行しても、3年後に消費税を10%に引き上げた途端、更なる増税議論が必要になるぐらい、数年後には「持続不可能」な制度だということです。 日本における急速な少子高齢化は2070年代前半まで続くことが予想されており、その間、高齢化の速度は衰えることはありません。 すなわち、少子高齢化が進む限り、今後60年以上にわたって「大増税に次ぐ大増税」を繰り返していかなければ「持続不可能」な制度であり、「持続可能な社会保障制度」という夢のような謳い文句で国民を騙し、大増税を進めることは大きな罪であり、国家的詐欺です。 東京財団上席研究員の原田泰氏は、社会保障給付費の増加分を全て消費税で賄うならば、2055年には58.8%もの税率アップが必要と予測しています。60%超の消費税率は、どう考えても非現実的です。 現行の社会保障制度を維持しようとするならば、際限なき増税と共に、給付水準も限りなく低下し、人々はやがて制度自体に意味を感じなくなるはずです。既に若者の年金未納現象にその端緒が表れています。 現行の年金制度は人口増加と高度経済成長を前提とした仕組みであり、現在の延長線上では、対症療法を重ねていっても、やがて破綻は避けられません。 何が何でも、現行の社会保障制度を維持しようとする野田首相の考えは、未来世代に「破綻」という大きなツケを回すだけです。 現行の社会保障制度の「持続」はそれほどに困難であることを知り、私たち国民は「老後を国家に頼る」という発想を大きく転換し、自助努力型の「生涯現役社会」を築いていく必要があります。 そのためには、「15~64歳」と定義されている「生産年齢人口」を出来るだけ伸ばす必要があります。 東京では、65歳以上のうち8割を超える方が介護保険の介護認定を受けていない元気な高齢者です。(「団塊世代・元気高齢者地域活性化推進協議会」報告⇒http://goo.gl/MXThK) 元気な高齢者層がまだまだ働ける社会を実現し、国から年金をもらう側ではなく、社会を支える側になって頂くことで、生産年齢層に対する負担も減らしていくことが可能です。 福岡県では「70歳現役社会」の実現を目指し、4月に開設した「高齢者向けの就職支援窓口」へ「社会とつながりを持ち続けたい」という高齢者の相談が殺到しています。(5/5 読売「70歳現役社会目指す就職支援窓口、高齢者殺到」⇒http://goo.gl/j5xBU) 福岡県は今年4月に策定した総合計画で、70歳まで働ける企業の割合を、現状の16%から、16年度までに30%に上げる目標を設定し、企業に協力を求めると共に、高齢者が行うまちおこしにも補助金を出すなど、社会参加も促しています。(福岡県総合計画「70 歳現役社会づくりの推進」⇒http://goo.gl/VI7Ly) 政府は増税ではなく、高齢者の方々が「生きがい」をもって働く環境を整え、活気ある「生涯現役社会」を築いていくことをこそ目指すべきです。(文責・佐々木勝浩) 社会保障問題を先送りし、「まず増税ありき」の「税と社会保障の一体改革」 2012.01.28 野田首相は、所信方針演説において「社会保障・税一体改革の意義」について、「半世紀前には65歳以上のお年寄り1人をおよそ9人の現役世代で支える『胴上げ』型の社会だった日本は、近年3人で1人の『騎馬戦』型の社会になり、このままでは、2050年には国民の4割が高齢者となって、高齢者1人を1.2人の現役世代が支える『肩車』型の社会が到来することが見込まれている」と述べ、国民の危機感を煽っています。 しかし、政府が示している「税と社会保障の一体改革」案を見ても、増税については詳細に示されていますが、年金破綻の抜本改革は見えて来ません。 国立社会保障・人口問題研究所が、65歳以上の老年人口1人を15歳から64歳までの生産年齢人口何人で扶養するかの推計(「将来推計人口」平成18年推計)では、1960年においては11.2人で老人1人を支えていたのが、1980年には7.4人、2005年3.0人、2030年1.7人、2055年1.2人で1人を支えることが示されています。(「将来推計人口(平成18年推計)の概要」) しかし、原点に立ち返って見れば「2人で1人を支える」「1人で1人を支える」ということは、「自分の親の面倒を見る」という家族の基本に立ち返ることを意味しているとも言えます。 平成22年度の「高齢者の生活と意識に関する国際比較調査結果(内閣府)」によると、「高齢者の生活費のうち主な収入源」は仕事による収入24.3%、子供などからの援助1.9%、公的な年金66.3%、私的な年金1.2%、その他6.2%となっています。(「高齢者の生活と意識に関する国際比較調査結果」) 一方、韓国は「高齢者の生活費のうち主な収入源」の30.1%は「子供などからの援助」となっており、「家族の絆」の強さを示しています。(同上) 「子どもに主として経済的に依存する老人の割合の変化」(厚生省「社会保障基礎調査」「高年者実態調査」、総理府「老親扶養に関する調査」)を見ると、子どもに支えられている老人は1957年は77%で、社会保障制度が整備されていない時代は、日本も韓国以上に家族で支え合っていました。 しかし、年金制度を開始した1961年以降、「子どもに主として経済的に依存する老人の割合の変化」は1968年56%、1974年25%、1985年9%、2010年1.9%と激減しており、社会保障制度が家族の絆を希薄にして来たことは否めません。(「子どもに主として経済的に依存する老人の割合の変化」) また、フランスでは「高齢者の生活費のうち主な収入源」は「私的な年金」が34.2%となっており、国家に依存するのではなく、個人が自立して、人生を自由に謳歌する気風が見られます。 日本でも民間の個人年金保険等が拡充して来ており、公的年金以外に加入している割合が3割となり、60歳から65歳までの空白期間への備えも着実に広がっているようです。しかし、「高齢者の生活費のうち主な収入源」において「個人年金」1.2%は世界的に見て、余りにも低すぎることも認識する必要があります。 民主党は2009年衆院選マニフェストで「抜本的な年金改革」として掲げた「月7万円の最低保障年金の導入」について態度を保留しており、増税議論のみが先行しています。 実際、民主党がマニフェストで掲げた「月額7万円の最低保障年金」を導入した場合、財源を消費税で賄うと、税率10%への引き上げに加え、7%分の増税が必要になります。(1/26 時事通信「消費税、最大17%=『最低保障年金』導入で―民主試算」(2012/1/26 時事「消費税、最大17%=「最低保障年金」導入で―民主試算」) 消費増税の推進役である岡田副総理も「(年金制度の抜本改革のために)必要な財源は、今回の10%に入っていない。さらなる増税は当然必要になる」と認めるなど、社会保障の抜本改革はさておき、「まず増税ありき」が本音であることは明確です。 「税と社会保障の一体改革」は「社会保障」を大義名分とした「増税議論」に過ぎません。 社会保障の危機に際して、私たち国民は、国家に依存せず、自分の人生に責任を持つ人生計画を設計していくべきです。また、家族や地域、NPO、宗教団体による「共助」を充実していく必要があります。 「育児の社会化」や「介護の社会化」は、「家族解体」(=家族のいらない社会)を目論む共産主義思想です。民主党の「子ども手当」や「税と社会保障の一体改革」も、「国家が子どもを養い、老人を養う」(=国民を支配する)という国家社会主義思想の流れを汲んでいます。 自由主義国家における社会保障は、本人の備えと家族の助け合いを基本とすべきであり、私たち国民が今、そうした意識転換を行わなければ、政府と税金は無限に拡大していくことになるでしょう。(文責・幸福実現党 三重県本部参議院選挙区代表 小川俊介) 「税と社会保障の一体改革」の正体 2012.01.11 政府は1月6日に社会保障改革本部(本部長・野田佳彦首相)を開催し、「税と社会保障の一体改革」素案を決定しました。 特徴的に挙げられるのは、消費税増税の具体的な時期が明記されたことです。リーマン・ショックなどの世界的な経済危機が起きない限りは、2014年4月に8%、2015年10月には10%へと引き上げることが素案に明記されています。 自民党と公明党が解散総選挙をちらつかせているので、そう簡単に消費税増税法案が可決する可能性は低いと考えることができますが、大事なのは政局ではなく、中身を吟味することです。 もし、自公両政党が、解散を実施しても、素案自体に賛成であれば法案は可決されることになります。野党にとっては、政権交代をする最大の機会ということもあり、野田首相を揺さぶる機会としているのは明らかです。 元々、2009年の麻生政権時代には、自公政権が消費税増税を主張していることからみて、基本路線は賛成と考えるのが自然です。 さて、特筆するべきは、「税と社会保障の一体改革」の増税案は消費税だけではないということです。 例えば、所得税の最高税率を40%から45%へ引き上げ(課税所得5000万円超に適用)、年少扶養控除廃止、相続税最高税率55%への引き上げ、地球温暖化対策税の創設まで触れられています。 これでは「増税ラッシュ」であり、日本が重税国家への道を歩んでいるのは明らかです。 一方、低所得者への年金加算や医療・介護保険料の軽減、年金受給資格を25年から10年へ短縮など、国民にとっては甘い「アメ」の部分も用意されています。 国民には、「アメ」でひきつけて、実は「ムチ」としての増税を仕掛ける狡猾さを見抜く必要があります。 確かに、国民は政府からお金をもらえれば嬉しいでしょう。「子ども手当」にせよ、公立高校の授業料無償化にせよ、年金・医療・介護にせよ、国民負担が見かけ上減るならば強く反対しません。 福祉には人命を守るマストの役目もあるので、全てが間違っているわけではありません。 ただし、注意しなければ、必要以上に国民の要求がエスカレートする可能性が高いのです。例えば、子ども手当を毎月あたり1万3000円もらえれば、次は1万5000円欲しいのが人情です。 政治家も、甘い約束をすれば票になるので、バラマキ合戦に乗ります。実は、メディアで報道される「毎年1.3兆円ペース増え続ける社会保障関係費」とは、政府の無駄遣いと国民の要求がエスカレートしていることと関連があります。 さらに、特筆するべきは莫大な公費投入です。拙著『日本経済再建宣言』第3章でも触れましたが、医療保険給付費全体の約4割に公費が投入されています。 特に、後期高齢者医療制度や国民健康保険の給付費の半分は税金です。国民年金でも、2004年以降は国庫負担が3分の1から2分の1となっています。 要するに、保険料収入では足りないために、莫大な税金によって補填されているわけです。 さらに、政府は赤字国債を発行して不足財源を確保しているわけですが、さすがにこのまま維持することは困難です。そのため、「選択と集中」と呼ばれる支出の見直しが急務となるわけです。 やはり、社会保障の改革には、幸福実現党が主張する経済成長による税収増もセットで考えるべきです。 また、家族や宗教による福祉分野への貢献、生涯現役構想に基づく定年75歳社会への移行、積立方式による現役世代の負担軽減など考慮するべきでしょう。 さらには、単なる財源論に終始せず、「生涯現役社会」の建設や「ピンピンコロリ」を迎えるよう人生観や死生観などの普及も視野に入れ、あらゆる角度から検討をしていくべきだと考えます。 様々な視点から社会保障改革を論じてきましたが、最後に結論を端的に述べます。 国民のバラマキへの「タカリ」の精神と政府による私有財産の「ボッタクリ」を助長するのが「税と社会保障の一体改革」の正体です。 そこには、何も「未来ビジョン」もなければ、成長に寄与する政策もありません。単なる所得の再分配だけならば財源は無限に増え、日本は「重税国家」「国家社会主義」へと向かうだけです。 だからこそ今、政府による「増税ラッシュ」に反対をしなければいけないのです。(文責・中野雄太) 「定年65歳義務化」論争について 2011.12.17 厚生労働省は働くことを希望する従業員全員について、65歳までの継続雇用を企業に義務付ける方針を示しました。無年金・無収入化を防ぐことが目的です。 政府は来年1月から始まる通常国会に「高年齢者雇用安定法」改正案を提出し、平成25年度からの実施に向けて、早期成立を目指す構えです。 再雇用の一律義務化について、企業側は一斉に反発を示しており、経済界では「個人の能力や企業の事情を勘案すべきだ」との意見が支配的です。 反発の理由はコスト負担増です。関西経済連合会の試算では、再雇用義務化により、企業の人件費の負担増は平成29年に計3兆6千億円まで膨らみ、企業全体の利益を21%押し下げるとしています。(12/16産経) 経団連の米倉会長は「人間は高齢になればなるほど健康に個人差が出てくる。一律に義務化するのではなく、会社側と話をしながら働く場をつくっていくことが大事だ」と指摘ています。 一方、労組側の連合の古賀会長は「年金の支給年齢が引き上がれば生活できなくなる」とした上で「希望すれば誰もが65歳まで働く環境が必要だ」と主張し、賛成する意向を明らかにしています。 この問題をめぐって、「労使対立」の構図が鮮明になっています。 この問題の解決のためには、政府は制度変更の前提として、「景気回復策」や「経済成長戦略」の実現に取り組むべきです。 かつて、団塊の世代が大量に退職を迎える「2007年問題」を前にして、企業側から法律による雇用義務化に対して反対意見が出ましたが、景気回復によって人手が不足したため「60歳を過ぎた人の雇用を確保したい」という声が企業側から上がって来たことにより、65歳までの継続雇用が広がりました。 慶応義塾大学の樋口美雄教授は、「定年引上げ」を実現するために必要なことは「法律の力というよりも、景気の力といった方がいいかもしれません」と指摘しています。(日経ビジネス「2012年問題に備えよ」) このことは、経団連米倉会長が「経済成長こそが社会保障制度の安定や雇用の維持、創出につながる」(12/14産経)と訴えていることとも重なります。必要なことは景気対策に尽きています。 また、「現実問題として、65歳定年制は可能なのか」という疑問については、OECDの国際比較調査によると、60歳~64歳の男性の労働力率は日本が70%で、仏20%程度、独37%~38%、英米50%半ば程度と比較すると、かなり高い水準になっており、65歳定年制に向けて日本企業の努力は着々と進んでいます。 さらに、実引退年齢69.3歳(厚生労働省「世界の厚生労働」2007年みずほ総合研究所)という分析結果も出ており、日本の現状はすでに「70歳定年社会」となっているとも言える状態なのです。 平均年齢も伸びており、今のままでは、年金の受給期間が更に長くなることも想定されており、長寿社会が進むことや年金破綻なども踏まえると、将来的には「75歳定年制」も視野に入れていくべきです。 厚生労働省が実施した中高年(50歳~59歳)の仕事に関する調査で、60歳以降の仕事の希望の有無については、「60歳以降も仕事をしたい」と回答した人が7割をしており、このうち、「可能な限り仕事をしたい」と回答した人が64.4%と最も多く、日本人の高齢期の就業意欲は非常に高いと言えます。 欧米では、アーリーリタイアメントが流行る一方、日本人の高齢者は勤労意欲が高いことこそ、大きな国家財産であります。 こうした高齢者の方々に更に活躍頂く「生涯現役社会」構築のためにも、政府は経済成長戦略による雇用拡大に全力で取り組むべきです。(文責・小川俊介) 検討すべき社会保障改革とは 2011.12.14 政府の一般会計予算の歳出に占める社会保障関係費は2010年で27.3兆円に上りました。歳出総額が92.3兆円ですので、実に約3割を占める計算になります。 少子高齢化の影響もあり、今後は社会保障関係費が毎年1.3兆円規模で拡大するとの見込みがあり、財源としては消費税を充てるという議論が定着しつつあります。 「税と社会保障の一体改革」の議論では、2010年代半ばまでに消費税を15%に、2020年をめどに20%へ引き上げる提案も出されております。 また、野田首相は、来年の通常国会で消費税増税法案を可決する意気込みを「不退転の決意」で取り組む旨を発表しました。 復興増税の財源確保法案の可決に次いで、社会保障を充実させるための消費税増税が現実化しようとしているわけです。 社会保障と言えば、まるで「聖域」かのように扱われています。確かに、人命にかかわる医療や介護を無視できるものではありません。 現在の日本では公的医療制度が充実しており、私達は少ない負担で医療や介護を受けることができます。 そのため、日本の社会保障制度は「安心・安全」だという評判もありますので、評価できる面も多数あることも事実です。 ただし、日本の社会保障制度が今後も維持可能かどうかは別問題です。 前述の社会保障関係費ですが、国民の皆様が支払った保険料収入は約7兆円弱です。言い換えれば、20兆円以上の公費=税金が投入されていることを意味します。内訳は、基礎年金の5割、医療保険の約4割、介護保険の約6割となります。 本来ならば7兆円で運営するべきものを、3倍の税金で補填していたわけです。その結果、私たちの医療や介護の自己負担は、確かに低く抑えられていました。 ただ、当制度を維持するために「税金の大判振る舞い」が行われていたということを知らなければいけません。 社会保障が専門の学習院大学の鈴木亘教授によれば、経済学的に、これほどの公金が投入される理由は薄いと指摘します。よって、増税の前に社会保障にこれだけの税金が必要かどうかの見直しは不可欠です。 社会保障支出の見直しを、専門的には「選択と集中」と呼んでいます。 中心的な議論は「保険料負担の引き上げ」と「支出の抑制」が論点となります。「負担の引き上げ」とは、保険料負担の引き上げを意味します。「支出の抑制」とは、支給額の引き下げです。 いずれにしても、政治的には困難を極める問題であり、国民に不人気な政策です。 例えば、小泉政権時代に決定された後期高齢者医療制度(実施は福田政権から)においても、高齢者の方からの猛烈な反発があることを見れば、いかに社会保障分野にメスを入れるかが政治的に難しいかを物語っています。 では、消費税増税ならばよいのでしょうか? 実は、消費税を増税しても、本当に福祉のために使われる保証はありません(実際、増税派の財政学者である井堀利宏教授のグループは、福祉目的としての消費税増税に懐疑的。かえって関連業界の非効率性を高めると指摘している)。 むしろ、医療や介護のために支払った保険料は制度上、確実に使用されるわけですので、保険料引き上げの方が増税よりも正当性はあると言えます。 社会保障制度は、主に低所得者を救済するセーフティーネットして機能しています。中所得者や高所得者は、民間保険や自由診療を選択する余裕もあります。 各階層を一律に扱うからこそ、自己負担率が低く、保険料が安くなり、医療や介護の過剰需要をもたらします。その結果、社会保障分野に待機問題を引き起こすわけです。 同時に、公的部門では民間部門に比べてサービスや効率性が低下するという法則があります。いわゆる「X非効率」と呼ばれる問題です。 サービスの提供という観点からは、公的部門の比重が大きくなることは好ましくありません。ただ、社会保障分野に市場原理を全て適用し、「アメリカ型」にせよと言いません。 現在の社会保障制度のままでは参入規制や価格規制が強いため、非効率なサービスの温床を避ける方が望ましいというだけです。 その観点から言えば、TPPへの参加は、国家社会主義的な社会保障分野に競争をもたらすという意味でメリットがあります。 今こそ、社会保障の選択と集中で、支出抑制とサービス向上を目指すべきではないでしょうか。 最後に、社会保障関連で決定的に欠けている論点について述べます。それは、「パイを増やす」という発想です。 社会保障は、基本的に所得再分配政策であるので、国家による統制色が強くなる傾向があります。 しかしながら、適切なマクロ経済政策を実施すれば成長率が高まり、税収も増えます。同時に保険料収入も増えます。 単純に「パイを分け合う」のではなく、「新しいパイを焼く」ことで、少子高齢化による社会保障の財源を確保することもできるわけです。 「税と社会保障」を議論する際は、もっと「経済成長」を考慮するべきです。 幸福実現党が掲げる、最大の社会保障は「豊かな社会」です。自由主義と自助努力に基づいた「生涯現役」社会を推進することで、いたずらに国家に頼らない個人や社会を目指しています。 安易な税金投入や増税ではなく、国家全体が豊かになる方向で社会保障改革を検討するべきだと考えます。(文責・中野雄太) 「長寿大国」日本―年長者の方々が長く安心して働ける社会に! 2011.09.19 本日19日は「敬老の日」です。9月15日時点での65歳以上の推計人口は2980万人で前年から24万人の増加。総人口に占める割合は23.3%で、いずれも過去最高を更新しました。 また、100歳以上の高齢者は4万7756人で41年連続で過去最多を更新しました。「長寿大国」として、日本は世界から注目されるでしょう。 「長寿大国」日本は、同時に地震や津波、台風などの脅威に頻繁にさらされる「災害大国」でもあります。特に今年は災害時に高齢者の方々が「弱者」とならないよう、きめ細かな施策を取り入れていく必要性を痛感しました。 まずは、個人レベルでできる対策を強化し、家族の助け合いが基本です。 しかし、日本にはまだまだ元気な65歳以上の方々がたくさんいらっしゃいます。 9月17日、ヨットの単独世界一周に挑戦していた斉藤実さん(77)が約3年ぶりに横浜港に帰港し、自らが持つ世界最高齢記録を更新しました。8度目の成功で、こちらも世界最多です。 斉藤さんは、敬老の日を前にした快挙に「77歳でもこんなことができる。みなさんも頑張ってください!」と話されていました。 高齢化が進む日本ですが、幸福実現党はかねてより「75歳定年制社会」を主張しています。年長者の方々が75歳くらいまで生きがいを持って働き続けられる社会の実現を目指すべきです。 幸福実現党の大川隆法党名誉総裁は『夢のある国へ――幸福維新』の中で、「今から見て、あと15年以内に、日本は『75歳ぐらいまで働くのが普通』という社会に必ず移行します。75歳までは現役で働かなければ、この国はもたなくなります」と述べています。 高齢者の方々が働き続けることができる業種やビジネスを増やしたり、在宅勤務用に高齢者の方々が使いやすいパソコン環境を用意したり、高齢者によるベンチャービジネスの立ち上げを支援する等により、高齢者の方々の雇用は何倍にも拡大することができます。 まずは「老後の生活不安のない社会」をつくり、高齢者の方々の収入を確保することが大切です。そして、年金を受給する人よりも働く人を増やしていくことにより、現役世代の保険料負担を抑えることもでき、年金破綻も回避できます。 その意味で、野田首相の頑なな「まず、増税ありき」という社会保障政策は、高齢者の方々から生きがいを奪うと共に、社会保障費を増やす愚策であると言えます。 今回の総務省の調査では、都道府県別の人口移動数は65歳以上に限ると、転出数は東京都が最も多く、4,348人でした。つまり、定年退職後に東京を卒業し、地方に引っ越す方が多いという結果です。 もし、75歳定年制への移行が進めば、高齢になっても利便性の高い都会に住み、様々な刺激を受けながら、元気に暮らす年長者の方々が増える、新しい“長寿先進国”が誕生するかもしれません。 (文責・竜の口法子) すべてを表示する « Previous 1 2 3