Home/ その他の時事問題 その他の時事問題 土俵際の習近平国家主席 大中華帝国崩壊への序曲【後編】 2020.08.15 https://youtu.be/OlUenL4TeeE 幸福実現党党首 釈量子 ◆深刻化が予想される中国の食糧難 また、中国にとって心配なのが深刻な食糧危機です。 特に、湖北省・湖南省といった長江の中下流地域は、明の時代から「湖広熟(ここうじゅく)すれば、天下足る」と言われる中国の重要な穀物産地であり、穀物生産量は全体の約24%を占めます。今回はこの地域が「水浸し」となり農業被害は甚大です。 そして、前述したバッタの大量発生地域はすべからく、中国の主要な穀倉地帯と重なっています。 更に、年初の新型コロナウイルスの影響で、中国全土で春先の農作業はかなり出遅れたとも言われています。 食糧事情において、以上の通り「新型コロナ」「洪水」そして「バッタ」と、いわば三重苦を抱えてしまった中国政府は、「畑を田んぼにしたら、協力者には補助金を出す」という奇策まで打ち出して、食料確保の対応に苦心しています。 また、本来火事が起こりえない構造の穀物倉庫が、なぜか各地(上海、河南、貴州)で全焼するといった事態が起こりました。 これも食糧不足を隠蔽したい地方政府の「放火」だと中国のネットで紛糾しているようです。 また、ある穀物商人は国有の穀物倉庫に備蓄されているのは、穀物ではなく、食用にはならない「ゴミ」だったと暴露し、これもまた国民の間で大きな話題になっています。 ◆追い込まれる習近平国家主席 中国国内が未曾有の大災害に見舞われる中、習近平国家主席は22日、天変地異とは無関係の吉林省を精力的に視察しています。 こうした大災害の時にこそ、民衆の苦しみを少しでも和らげ、労わろうとするのが、本来の徳ある為政者の姿のように思いますが、習主席は「災害対策本部」のような組織もろくに立ち上げず、最前線へ出向いた中央政府の責任者は一人もいないとも言われています。 習主席には、そうした徳ある為政者としての心構えが完全に欠如しているとしか思えません。 「5月から雨が止まない。呪いでもかけられているようだ」「警告無しのダム放水によって、町は壊滅的な状態になった」「(この大災害にも関わらず)北京は何もしない」といった怨嗟の声が絶えません。 しかも中国当局は完全な情報統制を敷いているためSNSにアップされた声も瞬時に消えてしまうということで、実態を報道する機関もなく、ほとんどはネットの動画等で流れてくるような状況です。 一部、共産党内部でも「クーデターが発生した」というようなことを指摘する識者の方もいます。いよいよ習主席と現体制は追い込まれている状況だと言えるでしょう。 ◆娘娘の天罰?大中華帝国崩壊への序曲 歴史的に見ても、中国の歴代王朝の末期には、今回の水害や蝗害(こうがい)などの相次ぐ天変地異が付きもので、民衆の反乱を誘発し、革命が起こるというのが常でした。 中国での相次ぐ天変地異について、幸福実現党の大川総裁は『大中華帝国崩壊への序曲』のまえがきで次のように明言されています。 「今、天意による革命が起きつつある。中華帝国という現代のナチス第三帝国が、最後の繁栄のイルージョンを見せつつ、悲鳴を上げつつある。」「大中華帝国は、間もなく崩壊の過程に入る。香港の人々よ、チベット、ウイグル、南モンゴル、北朝鮮の民衆よ。神はあなた方を決して見捨てない」と述べ、今回の天変地異は明らかに天意・天罰であり、中国共産党支配の『終わりの始まり』である。」 同書籍において今回の天変地異を起こしている人物を霊査したところ、道教の霊山である泰山や洞庭湖などの女神「娘娘(ニャンニャン)」であることが判明しました。 娘娘は「無神論」「唯物論」に染まった中国共産党政権への嫌悪感を示し、また「革命」を起こすべく長江や黄河で2匹の龍が暴れ、バッタが食糧を食い荒らしているという霊的実態を明らかにしました。 今回の天変地異は「天地創造の神」に抵抗する中国への明らかなる「天罰」であると確信し、幸福実現党は「自由・民主・信仰」を心から希求する14億人の中国国民を解放すべく、大中華帝国の崩壊を日本から推進して参ります。 土俵際の習近平国家主席、大中華帝国崩壊への序曲【前編】 2020.08.14 https://youtu.be/OlUenL4TeeE 幸福実現党党首 釈量子 ◆中国で続く水害と三峡ダム崩壊の危機 中国で異常な気象現象などいわゆる天変地異が相次いでいます。 まず、揚子江(長江)流域の河川氾濫で大洪水が発生しています。 揚子江は中国大陸を西から東へ横断し、荊州から武漢、そして上海へとそそぐ、全長6300㎞、世界第三位の大きな河川です。 その中流域には世界最大規模と言われる三峡ダムがあり、5月から続く豪雨によって決壊寸前という衝撃的な状況になっております。 もし、三峡ダムが決壊した場合、約30億トンの土砂崩れが発生すると言われています。 その破壊力は長江中流域から東シナ海河口にまで至り、中国最大の経済都市・上海は完全に崩壊するとも予想されます。 そうしたダム決壊による壊滅的な被害を防ぐために、警告なしでダムからの放水を行ったようです。 しかし、決壊せずとも甚大な被害を免れることは出来ず、すでに中下流域には甚大な洪水被害が広がってしまいました。 もう一つ、中国には「黄河」という有名な河川がありますが、こちらでも今年第2号の洪水が発生しています。 今後も増水は続くとみられ、黄河沿いのダムではいずれもすでに氾濫警戒水位に近づいていると言われています。 中国当局によれば、今回の洪水によって22日までに27の省で被災者が4500万人以上、直接的な経済損失だけで1兆7,000億円に達すると発表されています。 しかし、中国政府の隠ぺい体質からすれば、実際の被害は約10倍以上ではないかと指摘する識者の意見もあります。 ◆「黄色角竹バッタ」と「クルマバッタモドキ」による蝗害(こうがい) また、天変地異の二つ目が蝗害(こうがい)、バッタ被害についてです。国連食糧農業機関(FAO)の最新情報によれば、アフリカからインドにかけてのサバクトビバッタの動きは一時的に鎮静化しつつあるようですが、別種のバッタによる中国での被害が本格化しています。 まず、ラオス最北部のポンサーリー州で発生したバッタで、「黄色角竹(きいろつのたけ)バッタ(Yellow Spined Bamboo Locust:YSBL)」という名称のバッタが、中国国境を越え、雲南省で大暴れしています。 7月末の段階で、既に雲南省の約9000haに被害が広がっており、現時点では森林地域の被害がほとんどです。イネ科の植物等を食い尽くす性質があり、稲作やコメの品種改良が盛んな雲南省にとっては大変危険な存在だと言えるでしょう。 雲南省では、万単位の人員と無人ドローンを駆使し、バッタを食い止めるのに躍起になっております。 それもそのはず、2年前にもこの「黄色角竹バッタ」がラオス、ベトナム等で大量発生、農作物に甚大な被害が出た経緯があります。一つの群れが数千万匹の大群で構成され、一日に人間300万人分の食料を食べ尽くすとも言われております。 また中国随一の穀倉地帯である東北部でも「クルマバッタモドキ」という別種のバッタが活発に農作物を食い荒らしており、アフリカ~インド・パキスタンを席巻してきた「サバクトビバッタ」侵入の可能性もいまだ否定はできません。 一般的には、暴風雨等の頻発によって、バッタの大量発生も促されるため、中国全土で起こっている水害は蝗害(こうがい)に影響を与えながら、中国に襲い掛かっているかのようです。 その他にも季節外れの雪、巨大な雹やあられ等、異常な事象は中国全土で起こっており、何らかの天意を感じざるを得ません。 (つづく) 香港国家安全法――ナチス化する中国から香港の自由を守れ【後編】 2020.07.09 https://youtu.be/LrWt8Mr8FjU 幸福実現党党首 釈量子 ◆ナチズムの特徴を持つ中国 前編では、香港国家安全維持法によって香港がどうなるかを見て参りました。後編では、同法を別の角度から追及して参ります。 中国の「香港国家安全維持法」の恐ろしさは、第二次大戦のナチスドイツが持っていた「全体主義国家」の特徴が表れている点です。 全体主義国家とは、「国家のために人民・国民がある」と考える政治体制のことで、国家のため、全体のために「個人の自由」をすりつぶしていくような国のことです。 この「全体主義の起源」を解き明かしたのが、ハンナ・アレントという女性政治哲学者です。 実はこのアレントこそ、幸福実現党の創立者の大川隆法総裁の「政治思想の源流」です。 『大川隆法思想の源流 ハンナ・アレントと自由の創設』に、総裁の東大法学部当時の論文もそのまま収められています。 一般的に、宗教というと全体主義のように見えるのですが、その真逆で、全体主義に対抗する「自由の創設」を政治の理想と考えています。 アレントは、全体主義の特徴として、3点挙げています。 ◆全体主義の3つの特徴 まず一点目は、「秘密警察」です。 全体主義は、秘密警察あるいは特別警察のようなものがあり、国民を常に監視していることです。 中国ではインターネット上の監視、AIや監視カメラを利用した監視社会が出来ています。 今回の法律でも、「国家安全維持公署」を設置し、香港の監視を強めようとしています。 二点目は「強制収容所」の存在です。 政権を批判したら、逮捕・監禁して、物言わせない仕組みです。 ウイグルの収容所では100万人、あるいは300万人以上とも言われるイスラム教徒が信仰を理由に収容されています。 三点目は、「粛清」あるいは「虐殺」です。 時の政権に都合の悪い人たちは、十分な裁判手続きもないままに、抹殺していく。これも、チベットや内モンゴル、ウイグルで起きているものです。 香港でも、行方不明者が多数出ています。このように全体主義を見抜くことが可能だということです。 昨年の香港デモの際には、「China(中国)」と「Nazi(ナチ)」を組み合わせた造語「Chinazi(チャイナチ)」というフレーズが使われていました。 実際に、中国はナチズムと同じ特徴を持っています。香港は今、中国の全体主義に飲み込まれようとしているのです。 ◆チャイナチから香港の自由を守る 今後、中国は香港の繁栄を失い、経済的ダメージを受けるととともに、今後ますます国際的に孤立していくことは確実です。 アメリカは「香港人権民主主義法案」などを制定し、当局者への制裁、優遇措置の廃止などで、香港の人々の自由を守ろうとしています。 また、日本やドイツ、フランスなどの27か国は声明で、中国を香港の「一国二制度」が保障する高度な自治と権利、自由を害するものだと非難しました。 日本はさらに、延期になっている習近平国家主席の国賓待遇での来日も中止すべきだし、日本の産業界に対しても、政府は国内回帰の路線を促すべきだと思います。 最後に、今年4月に逮捕された香港民主主義の父と呼ばれる李住銘マーティン・リー氏とお会いした時、次のように語っておられました。 「どんなに自分の無力さを感じても、神は全能です。神は未来がどうなるかをご存知で、私たちを導いている。何も心配することはないと思っている。」 欧米では「経済よりも、また政治体制よりも、神や信仰心はその上にあるものだ」という価値観があります。 神になり代わろうとする中国の指導者が「野心の塊」だと見抜き、世界は人間の尊厳をかけて、力の支配に立ち向かうべきだと思います。 「自由・民主・信仰」という価値観を基盤とした政治を目指すこと、神は自由化、民主化を願っておられる、それこそが神の意思であるということを信じることが未来を拓くことにつながるのではないでしょうか。 香港国家安全法――ナチス化する中国から香港の自由を守れ【前編】 2020.07.08 https://youtu.be/LrWt8Mr8FjU 幸福実現党党首 釈量子 ◆香港国家安全法で、「香港の自由」は死んだ 6月30日、中国の全人代常務委員会で「香港国家安全維持法」が全会一致で可決・施行されました。 翌7月1日には早くも「国家安全法」違反で、10人が逮捕、違法集会などの容疑でも約360人が逮捕されています。 香港の代表的な活動家である黄之鋒(ジョシュア・ウォン)氏や周庭(アグネス・チョウ)氏は所属する民主派団体「デモシスト」からの離脱を表明し、すでに香港から脱出した活動家もいます。 「香港の自由」は死んだに等しい状況です。 香港国家安全法の主な内容は、(1)国家分裂、(2)政権転覆、(3)テロ活動、(4)外国勢力との結託を処罰し、最高刑は終身刑です。 4つを犯罪行為としているのですが、いずれも定義があいまいで、「香港独立」旗の所持程度の非暴力的な手段でも逮捕されています。 香港の企業や外国人、香港外の犯罪にも適用され、香港在住の日本人や企業も対象に含まれます。 中国が国家安全維持公署を設置し、中国政府の出先機関として、「秘密警察」のような役割を担うと報道されています。 捜査では、通信傍受や盗聴が可能となり、捜査を名目に、監視・尾行・盗聴などやりたい放題です。 学校、メディア、インターネットなどの監督・管理も強化され、中国に批判的な書き込みや報道がなくなる恐れがあります。 また、国家安全の罪で有罪判決を受けた者は、選挙に立候補できません。これは9月に行われる「香港立法会選挙」に向けた布石と言われています。 香港国家安全維持法は香港の他の法律よりも優先され、個人の自由や人権よりも、中国共産党が理想とする社会の安全を優先することになります。 ◆香港の今後 この法律施行によって、香港は、どのようになるのでしょうか。 人や企業が、他の国へ移転する流れが強くなるのは確実で、すでに台湾や、旧宗主国のイギリスも、移民受け入れを表明しています。 香港に拠点を置く外国企業なども、香港脱出を検討しています。 1992年にアメリカ議会で成立した「米国―香港政策法」で、「中国製品に課している関税を香港には適用しない」といった、優遇措置がとられてきました。 中国は、香港を経由すれば関税がかからないので、製品をまず香港に持ち込み、そして香港から世界各地に再輸出することで、アメリカなどの中国に対する関税を回避することができたのです。 しかし、今回、アメリカが「香港人権民主主義法」などを制定し、当局者への制裁、香港の優遇措置が見直されることになり、「特別な地位」が失われます。 中国が利用してきた抜け道がなくなるということです。 また金融面では、中国は香港の金融市場を利用して外国資金を呼び込んでいました。 例えば、2004年に中国最大のインターネット企業であるテンセント、2018年にはスマホメーカーのシャオミ、2019年にはアリババが香港市場に上場しました。 現在、香港市場に上場している中国関連企業は約420社あり、その時価総額は、1兆5千億米ドルを超え、香港市場全体の3分の1以上を占めています。 今後、香港の金融機関がシンガポールなどに本社機能を移転する動きが加速し、香港の金融センターの機能が弱まれば、中国企業の資金調達は難しくなるでしょう。 さらに、アメリカは今後の制裁案として、香港ドルと米ドルの交換を停止することも検討しています。 このように、中国は「国家安全維持法」によって、香港の貿易・物流センター、金融センターとしての機能を失おうとしています。 コロナショックと相まって、中国経済に与える影響は甚大です。 後編では、中国の「香港国家安全維持法」について、また別の角度から見て参ります。 (つづく) サバクトビバッタの大襲来!――「世界の胃袋・中国」に食糧危機はくるのか?【前編】 2020.07.04 https://youtu.be/5mq_rM6ei98 (6月19日収録) 幸福実現党党首 釈量子 ◆サバクトビバッタによる食糧危機は? 本年に入ってから東アフリカ・アラビア半島周辺で発生したサバクトビバッタは、6月にインドのパキスタンに国境を接したラジャスタン州やインド北部の街アラハバードまで襲来しています。 (ラジャスタン州に襲来するサバクトビバッタの様子は、上記収録映像の0:20〜0:44で見ることができます) アラハバードからネパールまではわずか200kmで、今まで移動してきた距離を考えれば、中国に到達するのも時間の問題です。 サバクトビバッタの大量発生について、国連食糧農業機関(FAO)は、「東アフリカで2,500万人以上、イエメンでは1,700万人が食糧不足に陥ると予測(6/19産経ネット版)」しています。 (※7月3日現在、南米でもサバクトビバッタが大量発生し、世界各地で猛威を振るっています。) 「世界的な食糧危機が起こるのか?」という点については否定的な見方があるのは確かです。 というのも世界の穀物生産は8年連続の豊作となっており、穀物の主要生産地である南北アメリカ、ロシア・ウクライナ等でバッタの被害は全く出ていないからです。 ◆極めて不安定な「穀物」の特性 しかしながら「食糧(穀物)」を国際市場における「商品」として捉えると、いかに不安定な資源であるかがわかります。 大豆・小麦・トウモロコシ等の穀物は「基礎食料」であり、国内での消費・備蓄が最優先されるという特性があります。 その上で余った穀物が輸出されるため、どうしても数量は限られてしまうのです。 こうした穀物国際市場の特徴は「薄いマーケット(thin market)」と表現され、国際市場に出る穀物は、生産量のたった「約7分の1」にしか過ぎません。 また、投機マネーの対象となり、穀物の主要輸出国と輸入国が共にかなり限定されるので、今回のコロナ禍での禁輸措置などの要因が大きく作用し、価格が急に「乱高下する」という特性があります。 ◆穀物の不作から起こった「アラブの春」 近年でも「穀物」の不安定性が、世界的な大変動の要因の一つとなりました。 それが2011年に北アフリカから起こった民主化運動「アラブの春」です。 2010年に発生したエルニーニョの影響で干ばつが発生し、小麦輸出国世界1位のロシア、世界5位のウクライナが「輸出しない」と急遽禁輸を発表したのです。 この2か国のみで世界に出回る約3割の小麦を輸出していた上に、世界4位のカナダも豪雨で輸出が減少したため、世界2位の小麦輸出国であるアメリカに買いが殺到しました。 小麦を十分に確保できなかった北アフリカ・中東諸国で主食となるパンの価格が急騰し、食べられない庶民の不満が爆発したのが「アラブの春」の直接の引き金となったのではないかという説があります。 その結果、革命によってチュニジアやエジプト、リビア、イエメンといった国々の政権が転覆したのです。 ◆食糧危機で革命が起きてきた中国 中国史を見ても、多くの王朝が食糧不足による飢饉がおこり、民衆の反乱によって滅亡に至りました。 チンギス・ハーンが興した元帝国も、その後に続いた明も食糧危機が革命の直接的な原因の一つとなりました。 現代の中国は世界最大の人口14億人を食べさせなければなりません。 その「世界の胃袋」と言える中国では、2019年時点で6億トン強の食糧生産を誇り、ここ21世紀に入って20年間で約2億トンもの増産に成功しています。 トウモロコシ、小麦といった2品目においてはアメリカに次ぐ世界第2位の生産量を誇ります。 ◆中国の穀物消費量と増え続ける国民食「豚肉」 しかしながら、ここ10年、中国は輸入に頼らざるを得ない状況になっています。その要因は中国の国民食「豚肉」の存在です。 トウモロコシ、小麦、大豆といった穀物は、豚の餌として必要不可欠です。 特に、自給体制が整わない大豆については、米国、ブラジル、アルゼンチンといった輸出国からおよそ1億トン弱も輸入している状況です。 実に中国は世界の穀物在庫の過半を占めており、世界の小麦の51.6%、トウモロコシの67%、コメの64.7%を中国が「備蓄」しています。 国連食糧農業機関(FAO)が適正と考える在庫率が約2か月分の消費量にあたる17~18%と考えるとその3倍以上で、驚くべき備蓄率を誇っています。 以上、中国の穀物事情を見てきましたが、後編では、中国で起こるかもしれない食糧危機と日本への影響とその対策を述べて参ります。 (つづく) マイナンバーと口座紐付けは、コロナ自粛に伴う増税準備!【後編】 2020.07.01 https://youtu.be/B8iTRnNncKQ 幸福実現党党首 釈量子 ◆「財政出動から大増税」はいつか来た道 前編では、マイナンバーと口座の紐付けの危険性を述べました。後編では、話を増税に戻します。 「コロナ後の増税」をさらに予感させるのが、政府の専門家会議に入った「経済専門家」です。その顔触れは、「増税による財政均衡」を主張する人たちです。 このうち、小林慶一郎・東京財団政策研究所研究主幹と、大竹文雄大阪大学大学院教授は、東日本大震災のあと、「復興増税」を提案した人物でした。 小林慶一郎氏は、「災害を受けて国民の結束が高まり、復興支援への合意が得られやすい現在は、政治的には増税の好機である」と訴えています。 また、大竹文雄教授は、さらに「基礎年金を消費税で全額賄う」ことを提唱しています。基礎年金を全額消費税で賄うとすると、それだけで消費税は18%に跳ね上がるそうです。 「復興増税」は、今もなお私たちの収入から引かれ続けていますが、「コロナからの復興」にも増税ということになれば、ダブルで「復興税」が取られる可能性もあるわけです。 ◆増税の「負のスパイラル」 他にも、「減税措置や優遇税制をやめ、事実上の税金である社会保険料を上げる」という形での増税も考えられます。 5月29日に成立した「年金改革法」も、従業員500人以下の中小企業への事実上の「増税」と言えるわけで、「コロナで免除してもらいたい」という声は多数あります。 さらに驚くのは、「コロナ防止」を名目とした増税案がもう出てきていることです。 それが「交通税」です。東京大学准教授の植田健一氏は日経新聞電子版で、「高速道路や鉄道、航空機といった交通手段に関し、例えば2020年度中だけでも、一定程度の税を課すのはどうだろう」と提言しています。 「首都圏などの地方自治体は期間限定で、飲食店などでの消費へ新税を導入する余地もあろう」と、塗炭の苦しみから必死に立ち上がろうとしている民間に対して、あまりの仕打ちです。 今回のコロナ感染者の多くは「医療施設」で確認され、市中感染とは関係がありません。 人々の恐怖心をあおり、人為的に、人々の行動を抑制しれば、経済的に苦しむ人が増え、給付金などの政府のサポートを求める人が増え、将来の増税につながる。こうした「負のスパイラル」に陥りつつあります。 ◆減税で経済を活性化 政府は「取れるところから取る」と言う発想で血眼ですが、むしろ、今行うべきは減税です。 ドイツは、期間限定で日本の消費税にあたる「付加価値税」を3%減税しました。食品にかかる軽減税率も2%減税です。 アメリカのトランプ大統領も、コロナからの復興を目指して、給与税の年内免除と、7.6%の減税を主張しています。 日本も、消費税を5%に恒久的に減税すると共に、年内だけでも法人税、固定資産税を減免すれば、景気刺激策としても、雇用維持の意味でも、効果が高いと言えます。 ◆コロナから復活する本道とは すでに、三次補正を求める声も上がっています。事業を継続させ、雇用を守ろうと努力する人たちに対して、スピーディな支援は不可欠ですが、永遠にこれは続きません。 そもそも現金給付は、一生懸命額に汗して国民が働いた血税です。営業の自由を奪い、仕事を奪い、人為的に経済を停滞させ、「給付金を大盤振る舞いして増税する悪循環」をやめようではありませんか。 「給付がもらえるなら働かなくていいじゃないか」という声もありますが、言葉を換えれば、政府の「補助金」に頼ることは、政府の奴隷になるということです。 補助金行政の癒着の温床にもなっています。「補助金をもらう代わりに、業界ごとに票を取りまとめる」という政治が続いてきたわけです。 そういう「補助金」を出すよりも「減税」です。減税は年齢や業界に関わらず、隅々まで行き渡る公平で平等な経済政策です。 日本の方向性としては、「自由の大国として繁栄する国づくり」を目指すべきです。 コロナ危機で、どさくさまぎれに人間の生き甲斐でもある仕事を奪って、「国がお金を払えばいいじゃないか」とか、変な方向に政治が流れないように注意すべきだと思います。 危機の時代だからこそ、自由主義市場を維持して、政府の介入に目を光らせる必要があることを今強く感じています。 マイナンバーと口座紐付けは、コロナ自粛に伴う増税準備!【前編】 2020.06.30 https://youtu.be/B8iTRnNncKQ 幸福実現党党首 釈量子 ◆コロナ給付金の裏で進む増税準備 今回のテーマは「コロナ自粛に伴う大盤振る舞いの裏で、ひそかに進む増税の準備」についてです。 4月に「緊急事態宣言」が出され、外出や営業の自粛を余儀なくされたことで、多くの企業や個人が、経済的苦境に追い込まれています。 政府の1人10万円の現金給付をはじめとする経済政策は、一次、二次補正あわせて財政出動の規模は56兆円を超えています。 しかし、その裏で静かに「増税」が検討されています。その動きの一つが、「マイナンバーと銀行口座の紐付けの義務化」です。 2018年以降、新規で銀行口座を開設する際は、マイナンバーの提出が求められるようになり、現時点では「任意」で、2021年から義務化される予定で進んでいました。 しかし、国民の抵抗感も強くあって、義務化の議論は進んでいませんでしたが、「1人10万円の現金給付」を背景に、政府は、銀行口座とのマイナンバーの紐付けなどを一気に進めようとしています。 政府も「このような時、現金給付がスムーズに行えます」とPRしていますが、これは本当に国民のためなのでしょうか? ◆マイナンバーと口座の紐付け義務化のねらい 政府は、来年の通常国会で「マイナンバー」と「全口座」の紐付け義務化の法整備を目指しているのですが、これは、要注意です。 なぜ、政府が私たちの銀行口座番号や財産を知る必要があるのでしょうか。 私有財産は自由の根源です。もしそんなことが堂々とできるなら、それは中国のような全体主義国家と同じようになってしまいます。 毎日新聞は6月1日の朝刊で「困窮者に30万円給付する案から、1人一律10万円の給付になったのは、背景に収入の減少状態を把握するのが困難だったからだ」と、マイナンバーの利点を力説しています。 そのうえで、「ある経済官庁」の幹部が「口座情報がマイナンバーと紐づいていれば、本当に困っている人にだけ支給できたのに…」という声を紹介していました。 実際のところ、政府の本音は、国民の資産を正確に把握したいのでしょう。 「困っているかどうか」を判断するには、間違いなく資産額や銀行口座のお金の出し入れをチェックすることになります。 こうしてみると、「マイナンバー」と「銀行口座」の紐付けの本当の目的は、国民の保有資産を把握し、資産課税(財産税)に道を拓くことにあると言わざるを得ません。 ◆政府が考える新たな税金アイデア 「資産課税」の一つとして、例えば、すでに「死亡消費税」という新たな税金のアイデアが出されています。これは東京大学の伊藤元重氏名誉教授が、2016年の「社会保障制度改革国民会議」で提唱したものです。 定年後の60歳から亡くなるまでの85歳までの間、使わずに貯蓄していた遺産から、そのお金を消費していれば払っていたと考えられる消費税分のお金を、「死亡消費税」として払ってもうというものです。 要するに、マイナンバーが口座に紐付けすると、「増税のインフラ」が整うわけです。 ◆マイナンバーの情報漏洩リスク ちなみに、日本で普及を急いでいるマイナンバーですが、海外では共通番号制があり、様々な個人情報が一気に流出した事例があり見直しが進んでいます。 アメリカでは、社会保障番号(ソーシャル・セキュリティ・ナンバー)が住民に割り当てられ、年金、医療、税務、その他の行政サービス全般、銀行口座の開設やクレジットカードの取得など民間でも使われています。 2017年には、人口の44%、約半分の1億4,500万人のナンバーが個人情報とともに漏洩してしまい、なりすましによる詐欺が増え、利用制限が行われました。 さらには、「電子マネー」の次に「デジタル通貨」など、ハッキング等で資産が消滅する危険があり、こうした対応を後回しにした推進はいかがなものかと思います。 (つづく) 第2波が来たらどうする――学校はコロナ感染源となりえるのか【後編】 2020.06.03 https://youtu.be/bxLfavj2o_o (5月22日収録) 幸福実現党党首 釈量子 ◆一斉休校の検証 前編では、休校措置の影響やウイルスの特性のからみた休校措置の是非、海外の学校再開の事例を紹介しました。 では、一斉休校の措置は必要だったのかというところを検証してみたいと思います。 2月25日に、安倍首相は全国すべての小中学校、高校、そして特別支援学校を対象に3月2日から春休みまで臨時休校を要請し、2月29日の会見では何よりも子供たちの健康安全を第一に感染リスクに備えなければならないと語っています。 しかし、専門家会議はまだ一斉休校が感染防止にどれだけ効果があるかを検討しておらず、首相のトップダウンだったとされています。 政治の判断として忘れてはならないのは、中国からの渡航制限よりも1週間早く学校への休校措置を行ったことです。 習近平氏の来日延期の検討が報じられたのが3月1日でした。そして中国からの渡航制限が発表されたのが3月5日です。 これは、日本の子供達の教育よりも中国共産党政府との近しい付き合いを優先したことがうかがえます。 仮に中国人が日本に大量に渡航した春節期間に渡航制限をしていれば、そもそも休校措置は必要なかった可能性もあるわけです。 優先順位を間違え、ツケを子供に回したのではないかという疑念が生じます。 さらに言えば、今回の休校措置では既存の指標を無視して安倍首相が政治判断で休校要請を行ったものでした。 もともと今回の緊急事態宣言のもとになったのは、「新型インフルエンザ特措法」を改正したものです。 新型インフルエンザで示された休校の基準は「10%程度の欠席率」です。「学級閉鎖は1週間程度」でした。 ところが安倍首相はそうした基準を無視して一斉休校を要請したので、現場は大混乱になってしまったわけです。 もちろん、当時は今よりも武漢ウイルスがわかっていなかったので、あえてリスクを取られて決断をなされたのだとは思います。 しかし現在、万単位の死者にはなっておりません。数百人です。そして10代未満と10代の死者はゼロです。 新型インフルエンザが64万人の死者を想定して、休校措置の基準を10%としていたことを考えれば、全国の一斉休校はやりすぎだったのではないでしょうか。 ウイルスは、すでに世界中に広がっております。そして第二波第三波が襲ってくる可能性も当然あるわけです。ただ巣ごもりを続けてもウイルスはなくなりません。 感染リスクをゼロにすると学校に通うことができなくなります。インフルエンザに準じた対応で知恵と工夫を凝らして勉強できる環境を整えてあげるべきだと思います。 そして、最後に日本では感染症に対してさまざまな歴史が残っております。神社においては手水舎(てみずや)で手を洗う習慣があります。 東大寺の大仏や伊勢神宮は感染症、疫病に対してできたということも教えてあげることが大事ではないかと思います。 子供たちにとって不安な時ではありますが、日本人はかつて様々な工夫をし、そして信仰心を持ってこのウイルスに打ち勝ってきたということを知ることが大事なことではないでしょうか。 第2波が来たらどうする――学校はコロナ感染源となりえるのか【前編】 2020.06.02 https://youtu.be/bxLfavj2o_o (5月22日収録) 幸福実現党党首 釈量子 ◆休校措置の深刻な影響 コロナに伴う学校の休校措置は、非常に深刻な影響をもたらしました。 「いきなり休校したため、ただ『問題集をすすめて』というアバウトな指示だけで3カ月がたった」(首都圏の学生) 「休校中は、ゲーム漬で子供の生活が昼夜逆転してしまった」(保護者) 「数学や英語のような積み重ね授業は3ヶ月もやらないとほとんど忘れてしまう」(教員) 他にも「学校が休校になり、夕方から通うはずの塾が朝から開いており本末転倒ではないか」という声もありました。 なによりも「友達の頑張りや教員の情熱から受ける刺激がない」という声もあり、学校という環境がどれほど貴重なものであるかが分かりました。 6月1日から学校が再開し、もし第2波の感染が来たらどうするのか。そのあたりをもう一度検証したいと思います。 ◆ウイルスの特性のからみる休校措置の是非 まず確認したいのが「コロナウイルスの特性」です。 新型コロナウイルス感染症の国内発生動向をみると、10代未満、それから10代の感染者が非常に少ないことがわかります。(URLの動画のグラフを参照) この傾向は、感染の多い国でも変わりません。 米国疾病対策予防センター(CDC)が、新型コロナウイルス感染症の18歳未満の約2,500件を調べたところ、多くは軽度・無症状だったことが分かっています。 安倍首相の休校要請は、それを判断する直前に北海道で感染が広がり、子供同士の感染や子供が媒介者として大人にうつすということが心配されたからです。 厚生労働省クラスター対策班の押谷教授は次のように言っています。 「当初、特に北海道で流行が見えた時に『若年層クラスター』という言葉を使ってしまい、あたかも若い人たちだけがこのウイルスを広げていくような印象を与えてしまったのは、実は間違い。」 また、海外の事例ではフランスの9歳男児がコロナに感染して死亡したケースが1件ありました。ただ男児が感染した後に接触した170人にウイルスはうつっていなかったことが判明しています。 この時の調査員であるフランス保健局のコスタス・ダニス氏は次のように発言しています。 「子供たちには感染することが少ない。あるいは症状が軽いので病気を周りにうつす可能性は低くなる。学校が再開しても症例数が増えるとは考えていない。」 そして、フランスは5月11日から学校を再開しています。 新型コロナウイルスの特性としても子供の間はほとんど感染が見られないということがわかってきており、休校が社会的距離といった他の措置に比べて効果が低いのではないかという話もあります。 ◆海外の学校再開の事例 海外の事例ですが、スイスでは5月11日から学校が再開しました。陽性反応があった患者のうち20代未満の割合は約3%で死亡者はいません。 スイス連邦保険庁のダニエル・コッホ氏は、「子供たちはほぼ確実に、この流行の媒介者ではない。ウイルスによる影響を受けていない」と、休校解除に反対する親や教師が署名活動をされていた方々に、繰り返し事実を伝えていたということです。 デンマークは、ヨーロッパで小学校を再開した最初の国で高校や大学は5月中旬に再開しました。 まず登校時に体温をチェックし、学校では約2メートルの距離を保つようにしているということです。クラスも2つか3つに分け、それぞれ先生をつけています。 生徒は屋外で遊ぶことを推奨し、体育館も開放されているようです。そして頻繁な手洗いを推奨するポスターやビデオが政府から支給されています。 次にノルウェーでは、まず保育園と幼稚園から再開して続いて小学校を再開しました。こちらでも到着時に体温をチェックして衛生管理についての指導があります。 そして台湾は、なんと2月25日に学校を再開しています。 校舎に入る前に検温と消毒をしてマスクの着用をし、また各授業前に手洗い、靴の消毒もしているということです。 アメリカではモンタナ州では5月7日に、小さな学校が再開しております。 モンタナ州は自然が非常に豊かな州で10万人当たりの感染者の数は5月18日時点で、全州で最も少なく、地元の調査では学校再開を待ち望む親の声が多くありました。 (つづく) 世界恐慌をサバイバルするセルフ・ヘルプの精神【前編】 2020.05.30 https://youtu.be/T0CHRHSZNKk 幸福実現党外務局長及川幸久 ◆イギリスを繁栄させたセルフ・ヘルプの精神 コロナウイルスの被害というよりも経済的な問題が、日本、そして世界で深刻な問題になってきました。 イギリスの著述家サミュエル・スマイルズは、「天は自らを助くる者を助く」(セルフ・ヘルプの精神)という有名な言葉を残しました。 幕末、徳川幕府は、当時の覇権国であったイギリスに海外の技術や知識を日本に導入するため若手を留学させました。その留学団のリーダーが中村正直です。 中村の問題意識は、「同じ島国なのに、どうしてイギリスが覇権国として、これほどまで繁栄したのか」ということでした。 まず、イギリスの工業生産力に驚くのですが、夜は街灯が光を放って明るい。家は江戸城の塀よりも高く、しかも住んでいるのは庶民が住んでいる。これに中村は驚いたわけです。 そのうち日本では江戸幕府が倒れ、留学団は帰国することになりました。 船で帰る直前に中村の知り合いのイギリス人が、「今流行っている本はこれだ」と渡したのが、サミュエル・スマイルズ著『セルフ・ヘルプ』という本だったわけです。 この本は、150年前、聖書の次に読まれていた本で、大ベストセラーだったのです。イギリスをイギリスたらしめた秘伝書と言われています。 300人近くのイギリスの庶民が「自助努力の精神」を発揮して、コツコツ努力して成功してきたサクセス・ストーリーを集めた本でした。 中村は帰りの船の中でこれ読み、「イギリスに繁栄をもたらした答え」はこれだとすぐに理解しました。それが「セルフ・ヘルプの精神」だったわけです ◆「立志」で世界列強に仲間入りした日本 中村は、この本を帰りの船の中で繰り返し読んで暗記するくらいになったと言われています。彼自身は、この本の本質を次のようにつかみます。 セルフ・ヘルプの「自助」とは何か。それは、努力したら道が開けます。それだけではないのです。 そうではなくて、まず志を立てる。志を立て努力によって志を成し遂げる。これがセルフ・ヘルプなのだと。この中心概念をつかみました。 これを中村は、「立志」と呼びます。 日本に帰ると彼自身はこの本を日本語に翻訳して『西国立志編』というタイトルで出しました。 『西国立志編』の西国とは、イギリスのことです。「立志」とは彼がつかんだ「セルフ・ヘルプの精神」だったのでこういうタイトルにしたわけです。 徳川幕府には、「立志」という概念がなく、武士はみんな「幕府にぶら下がっていた」と言うわけです。この本は、明治時代に100万部を超えるベストセラーになりました。 日本は鎖国を続けていた遅れたアジアの国だったのですが、しかし江戸時代から識字率は高く、この本を読んでいなかった者はいなかったと言われるぐらいでした。 その結果、日本は世界列強に仲間入りを果たしたのです。 ◆サバイバル精神が日本を繁栄させる この話を現代に当てはめると、今は不況・恐慌の心理状態にあります。そういう時に人々はどんなことを思ってしまうのか。 「幕府にぶら下がる精神」を、今に置き換えると「政府にぶら下がる精神」になっています。 人々が生活で困っているなら、すべての人の家賃は全部政府が持て。給料も全部持て。電気代も全部持て。何から何まで政府が全部持てばいいじゃないかというような政党もあります。 そうなると、国民も政府が何とかしてくれると思うようになります。 これは、「セルフ・ヘルプの精神」と対極にある考えです。政府に頼る気持ちを捨てて、自分のことは自分で守る。サバイバルする「自助の精神」を持つ人が多い国は繁栄します。 サミュエル・スマイルズの『セルフ・ヘルプ』はこれを説いていました。 ◆どんな時でもポジティブに考える アメリカでは、ノーマン・ビンセント・ピール牧師が世界的なベストセラー『ポジティブシンキング積極的思考の力』で重要なことを言っています。 「目の前の事実がどんなに困難で、絶望的だとしても、それは重要ではない。重要なのは、その事実に対する私たちの姿勢だ。なぜならポジティブな思いを持っていれば、その事実を変えられるから。」 これが「ポジティブシンキング」の中核部分です。 今、「目の前に起きている事実」は重要じゃない。それが10年に1回の不況であったとしても、100年に1回の恐慌であったとしても、それは重要ではない。 重要なのは、「事実に対する私たちの姿勢」なのだと。その姿勢がポジティブであるかどうかだと。ポジティブであったらそれを変えられると。 ここに「セルフ・ヘルプの精神」の大事な側面があります。どんな時も「ポジティブ」に考えることです。 今、自分の人生に何が起きているか。会社が倒産しそうになっているかもしれない。失業しそうになっているかもしれない。給料がもう出ないかもしれない。ボーナスなんかあり得ないかもしれない。 そんな時であったとしても「ポジティブ」に考えるという姿勢が目の前の事実を変えるのだと。 (つづく) すべてを表示する « Previous 1 … 6 7 8 9 10 … 64 Next »