Home/ 記事配信 記事配信 中国が南シナ海でミサイル実験 日本は自主防衛の気概を 2019.07.06 中国が南シナ海でミサイル実験 日本は自主防衛の気概を HS政経塾スタッフ 遠藤明成 ◆中国が南シナ海で対艦弾道ミサイルを発射 米国防総省は、7月2日に、中国が6月30日に南シナ海の南沙諸島で対艦弾道ミサイルの発射実験を行ったことを批判しました。 CNBCから、この件について問われた国防総省のイーストバーン報道官は、以下のように答えています。 「国防総省は、南沙諸島(スプラトリー諸島)近辺の人工島からのミサイル発射を知っていた」 「この行為は、2015年に習主席が米国やアジア太平洋諸国、世界に約束した『人工島を軍事基地化しない』という声明に反している」 G20で、米国が中国に追加関税をかけるのを延期し、貿易交渉が再開されることになった矢先にミサイル発射が行われたので、今後の展開が注目を集めています。 ◆「航行の自由作戦」への対抗措置 今回のミサイル発射は、中国が領有権を主張する南シナ海で米軍が駆逐艦等を航行させていること(「航行の自由作戦」)への対抗措置と見られます。 5月6日には駆逐艦2隻が南沙諸島のジョンソン南礁とガベン礁の12カイリ内を通り、19日にも駆逐艦1隻がスカボロー礁の12カイリ内を通過しました。 5月8日には米海軍のイージス駆逐艦と海上自衛隊、インド海軍、フィリピン海軍が国際海域で合同訓練を行っています。 また、19年に、米軍は毎月、台湾海峡で艦艇を通過させており、そこに英国やフランス、カナダなども参加するようになったので、中国は、この問題で妥協できないと判断したと思われます。 日本人的な感覚では「貿易交渉中に、なぜ?」と思いがちですが、中国の国家戦略では、南シナ海を中国の海とすることは死活的な国益に相当する重要課題とされています。 米国が交渉で一歩後ろに引き、大統領が訪朝時に対話路線を出したのを見て、中国は「どこまで自国の主張を米国に呑ませられるか」を読むために、際どい手を打つことを躊躇しませんでした。 これは、「貿易交渉がどうなろうが、南シナ海の覇権は譲ることができない」というメッセージだとも言えます。 ◆毎月のように続く、南シナ海での米中の応酬 6月1日にシャナハン米国防長官代行(当時)が「アジア安全保障会議」で「中国は他国の主権を侵害し、不信を抱かせる行動をやめるべきだ」と批判した後も、中国はミサイル発射実験を行っています。 米国側が容認できない活動として「紛争地域を軍事化し、先進兵器を配備すること」をあげた後に、「環球時報」が新型の潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)の発射実験を報道していました(6/5英語版)。 つまり、毎月のように、米中の応酬が続いており、今回のミサイルは中国側の「7月の行事」だったのかもしれません。 ◆南シナ海が「中国の海」になったら、日本も台湾も危うい 既成政党の党首たちは、討論会でも第一声でも「米中の覇権競争が続く中で、日本はどう動くべきか」という重大な問題をまったく議論しませんでした。 「そんなことは票にならない」というのが本音なのでしょう。 しかし、この問題に対して、日本は「他人事」のような態度を取ることはできません。 なぜならば、南シナ海は日本に資源を運ぶシーレーンだからです。 中国の潜水艦が遠浅の東シナ海を航行する際には、浮き上がった時に発見されやすいのですが、台湾の東側には世界で最も深い海域があるので、ここを潜水艦が押さえれば、日本に物資を運ぶタンカーや輸送船などをいくらでも脅せるようになります。 また、中国が南シナ海を制すれば、台湾を中国軍が海から包囲できるようになります。そうなれば、台湾が中国の支配下に落ちるのは、時間の問題になるのです。 もう、南シナ海は、我が国の「専守防衛」の範囲を越えているとは言っていられません。 ◆潜水艦発射の核ミサイルで中国が米国を威嚇したら・・・ さらに、米国本土に届く核ミサイルを積んだ原子力潜水艦を、南シナ海に展開すれば、米国を核兵器で威嚇する時の「威力」が増します。 現在、中国がもつ4隻の原子力潜水艦(「普」級)は、中国近海からアラスカにまで届く核ミサイルを12発(射程7200km)ほど搭載しています。 これを南シナ海から太平洋へと展開すれば、計48発の核ミサイルで米国全土を狙えるようになるからです。 このミサイルは3個の核弾頭を積めるので、144発の核弾頭で米国全土を威嚇できます。 発見が困難な潜水艦に載せた長距離の核ミサイルは、先制攻撃にも反撃にも有利な最強兵器です。 中国は、これで米国全土を脅せる体制をつくり、アジアから米軍を追い出そうとしているのです。 (※この潜水艦搭載の長距離弾道ミサイルは「巨浪2」〔JL-2〕と呼ばれる) ◆中国は20世紀から覇権確立を構想していた 中国は、アジア支配の野望を抱き、20世紀から計画を実行してきました。 南シナ海の西沙諸島を軍事支配したのは1974年。 1980年には南太平洋のフィジー諸島沖合に向けて大陸間弾道ミサイルの発射実験に成功しました。 この時、弾頭を回収するために駆逐艦を含む18隻の船団が航行し、80年代以降に中国海軍が外洋に進出していきました。 この核実験から39年を経て、南シナ海を我が物にする構想を具体化してきています。 ◆中国の野心に対抗できるだけの「国家戦略」が必要 しかし、今の日本は、米国に依存する以外に、中国に対抗する策がありません。 中国の核には、米軍の核抑止力で対応することになっています。 しかし、中国が潜水艦からの核で米国全土を狙えるようになれば、米国にとって「日本を守るリスク」は大幅に上がります。 弱気な大統領であれば、「日米同盟を放棄して、中国と話し合ったほうがよい」という発想が出てきかねないわけです。 中国が核抑止力を完成させた時、もはや、米国の核に頼るだけでは不十分になります。 冷戦期の欧州は、ソ連の巨大な核に対して「英仏の核」(+NATO軍の核)と米国の核という二段構えで自衛する戦略を固め、安全を保障してきました。 英国とフランスに核ミサイルがあれば、ソ連が欧州に核攻撃した場合、英仏の反撃でソ連の戦力も破壊されます。この場合、同盟で参戦する米国と次の核戦争はできないので、ソ連は攻撃を思いとどまり、「核による抑止」が成り立つのです。 (NATO軍の核は実質的に米軍の統制下にある。これは独自核ではなく、核シェアリング) 幸福実現党が、日米同盟だけに頼る体制が不十分だと主張しているのは、今後の東アジアは、同じようなプランが必要になるぐらい厳しくなると見ているからです。 7月2日の産経(6面)の公約比較では、他政党が福祉や消費税についての訴えを並べる中で、幸福実現党だけが「自衛目的の核装備推進」を訴えていました。 これをみて驚かれた方もいらっしゃるかもしれませんが、「核装備」は、どうしても必要な「国家戦略」なのです。 幸福実現党は、世に媚びず、責任政党として正論を貫き、日本を守るために力を尽くしてまいります。… 【党首第一声】筋が通らない野党 VS 使い古された自民党 2019.07.05 【党首第一声】筋が通らない野党 VS 使い古された自民党 HS政経塾スタッフ 遠藤明成 4日に発された各党の党首第一声では、憲法や消費税、年金についての主張が目立っていました。 ただ、内容は、3日の討論会ともかなり重なるので、この新たな発言を取り上げつつ、前回とは違う切り口を考えてみます。 結論を先に述べれば、野党の主張は筋が通らず、与党はもはや「使い古されてしまった」という印象でした。 (以下、各党首の発言はみな第一声より引用) ◆護憲の旗を掲げる共産党:日本国憲法成立には反対だったのに 第一声で、安倍首相は「憲法審査会では1年間で衆院で2時間あまり、参院ではなんと3分しか議論されていない」と指摘し、憲法についての議論を拒否する野党を批判しています。 いっぽう、野党で憲法を特に強調した共産党の志位委員長は、自民党の憲法9条の改定案を批判。 (一項・二項の後に)「前条の規定は自衛の措置をとることを妨げない」と書かれていることを取り上げ、これでは「9条2項の制約が自衛隊に及ばなくなってしまうじゃありませんか」と主張しました。 そして、米国の戦争に巻き込まれると煽りましたが、正当防衛にあたる「自衛の措置」を制約するのは、まともな発想ではありません。 自衛権は国連憲章でも認められています。 また、共産党が昭和21年に自民党主導の日本国憲法制定に反対した時は、自衛権が失われることを理由にあげていました。 当時、共産党の野坂参三氏は国会で(憲法案は)「我が国の自衛権を放棄して民族の独立を危くする危険がある、それゆえに我が党は民族独立のためにこの憲法に反対しなければならない」と主張したのです。 その頃、共産党が公表した「日本人民共和国憲法」(案)は「すべての平和愛好諸国と緊密に協力し、民主主義的国際平和機構に参加し、どんな侵略戦争をも支持せず、またこれに参加しない」と掲げていました。 この憲法案からみると、今の共産党の路線は真逆です。 ◆立民党の消費税増税反対:理屈が幸福実現党のパクリ 立憲民主党の枝野代表は「日本の経済にとって、一番大事な6割を占めている消費が冷え込み続けていて、結局は社会の活力がどんどん失われている」として、10%の増税に反対しました。 その認識が間違っているわけではありません。 しかし、消費の冷え込みの原因をつくったのは、民主党でした。 民主党は、与党だった頃、自民党と公明党とともに3党で増税法案を成立させています。 本来ならば、「私達が日本の消費不況の元凶です」と頭を下げて国民に謝らなければいけません。 党首討論で「あの判断は間違っていた」と認めたわけですから、同じことを第一声で謝らないのは不誠実です。 そして、前掲の主張は、幸福実現党が2009年から言っていたことです。 立憲民主党は、ろくに反省もせずに、他党の主張をタダ取りしています。 なお、国民民主党の玉木代表にいたっては、自分たちが増税法案を成立させたことの反省の弁は一言もありません。 ◆年金:共産党はあとさき考えず/維新はマイナンバーによる徴収強化 安倍首相は、雇用が増え、年金運用で成果が出ていることをあげ、年金はこれからも維持できることを強調しました。 これに対して、共産党は「マクロ経済スライド」の廃止を主張。 「減らない年金」を訴え、「年金積立金」を運用ではなく、給付にばらまくことを呼びかけています。 「年金積立金を株価のつり上げに使うんじゃなくて年金の給付に計画的に使わせようじゃありませんか」 今の世代と将来世代との給付のバランスを取るためのマクロ経済スライドを廃止するだけでなく、将来のために必要な積立金を今の世代にバラまくという、恐ろしい提言をしました。 現役世代の年金保険料は今の高齢者への給付金に使われているのに(賦課方式)、積立金まで配ってしまったら、将来の世代には何も残りません。 「高額所得者優遇の保険料の仕組みを正すことで、1兆円の保険料収入を増やしてまいります」と述べましたが、厚生年金と国民年金を足した毎年の歳出は50兆円程度なので、これで大盤振る舞いの穴を埋めるのは困難です。 なお、維新の会の松井代表は年金制度の大盤振る舞いを見直すことを提唱。 その主張には当たっているところもありますが、「マイナンバーカードというカードも普及させて、本当に必要な人に年金が届く、こういうシステムを皆さんと一緒に作り上げていきたい」と主張しました。 これは国民の財産を政府が監視する社会をつくる結果になりかねません。 ◆幸福実現党の「九条改正」と「5%への消費税減税」が日本を救う 既成政党の第一声の訴えは、「おかしい」ものと「物足りない」ものばかりです。 憲法論においては、幸福実現党のように九条の一項・二項を含めた根本改正を訴えている政党はありませんでした。 「自分の国は自分で守る、この方向に向けて、私たち幸福実現党は憲法9条の根本改正いたします」(釈党首) また、既成政党で消費税5%への減税を訴えている政党もありません。 「消費税を5%に下げたい。これが私たち幸福実現党のいの一番、日本経済復活のファーストポイントでございます」(同上) 山本太郎のれいわ新選組は、幸福実現党の立党時の「消費税廃止」を真似ていますが、「れいわ」はバラマキ政策とセットなので、そのプランを実施した場合は、昔の民主党のように、財政の計算がつかなくなり、「減税は無理でした。やはり増税します」と、有権者を裏切らなければいけなくなります。 「小さな政府・安い税金」とセットでなければ、消費税減税は裏付けのない主張になってしまいます。 また、年金に関しては、少子高齢化の中では先細りが見えているので、共産党のような「虫の良い話」は成り立ちません。 与党の年金維持論も、本当に必要な「給付と負担の適正化」に関しては口をつぐんでいます。 年金に関しては、まずは「小さな政府」の発想で、今の大盤振る舞いを正さなければいけません。 経済成長策や人口増政策(少子化対策と移民)も必要ですが、そうした難題をわかりやすく語るのは困難なので、選挙戦では耳障りがよい言葉だけが飛び交っています。 消費税減税による景気振興や、未来産業への投資、リニア新幹線による交通革命といった経済成長策や移民政策は、幸福実現党が立党以来、訴え続けてきた政策です。 これらの経済戦略なしに、年金論だけを単体で論じても「パイの取り合い」で終わってしまいます。 幸福実現党は、今後も、国防強化と、経済成長による日本の復活を成し遂げるべく、戦い続けてまいります。 【参照】… 【党首討論】主な発言とその問題点 2019.07.04 【党首討論】主な発言とその問題点 HS政経塾スタッフ 遠藤明成 7月3日には、日本記者クラブで党首討論が行われました。 与野党7党の党首が議論したのですが、今までと同じく、減税や自主防衛の強化など、日本に本当に必要な政策は語られませんでした。 しかし、それでも、各党の主張と問題点がよくわかる機会ではあるので、主な発言を紹介してみます。 ◆自民党:増税路線の固定化 安倍首相は、消費税の10%への増税後の財政を問われ、「今後10年くらいの間は必要ない」と答えました。 当面の間、10%の税率を維持し、その後、次の増税の可能性をほのめかしています。 つまり、過去の増税を間違いだとは認めず、現状の増税路線を維持することを決めたわけです。 ◆立憲民主党:ついに消費税増税の間違いを認めた いっぽう、枝野代表は、民主党政権の頃、三党合意で消費税増税を進めたことについて「結果的にあの判断は間違っていた」と発言。 意外にも「間違い」を認めました。 しかし、消費税に関する公約は増税凍結にとどまっているので、ほんとうの意味では反省できていません。 本当に間違いを認めたなら、8%の税率も撤回し、5%に戻すことを訴えなければいけないはずです。 ◆公明党:憲法論から逃げて票を盗みたい 山口なつお代表は、記者との質疑で「公明党の本心は安倍さんの憲法改正は迷惑だと思っているのではないか」と問われました。 この質問は的を射ています。 山口代表は、自民党の改憲議論を「政党の立場」として認め、「もっと与野党の枠を超えて議論をしっかりと深めて国民の認識を広めることは大事だ」答えたのですが、これでは、公明党の立場がよく分かりません。 党としての主張は「改憲」「護憲」などの「中身」が必要なのに、公明党は「議論しよう」としか言っていないからです。 結局、支持母体の創価学会は護憲なのに、公明党は改憲派の自民党と連立しているという、矛盾を隠すための答弁に終始しています。 憲法論で立場を明確にしないまま、バラマキ政策で票を集めて逃げ切ろうという意図が伺えます。 ◆野党連合の矛盾①:自衛隊の「合憲/違憲」、日米同盟の「維持/破棄」 安倍首相は、この討論で野党連合の政策の矛盾を強調しています。 「共産党は自衛隊は憲法違反だというのが明確な立場だ。枝野さんは合憲ということだろうが、もし枝野さんが福井県民だったら、この候補に一票入れるのか」 野党連合を見ると、現在、立民党と国民民主党は自衛隊を「合憲」、共産党は「違憲」としています。 (社民党は村山政権の頃、自衛隊を合憲としたが、現在、党HPにて「現状、明らかに違憲状態にある自衛隊は縮小を図り」と記載。態度は転々としている) また、日米同盟に関しても、立民党と国民民主党は「維持」、共産党は「破棄」なので、立場が一致しません。 (社民党公約は「日米安保条約は、将来的に経済や文化面での協力を中心にした平和友好条約への転換をめざします」という謎の主張を記載) 討論で、枝野代表は「立憲民主党は明確に日米同盟堅持」とも強調していたので、立憲民主党が共産党と共闘しているのはおかしいのです。 結局、野党連合は「反安保法制」だけで結託しており、まとまった安全保障政策がありません。 こうした政党が政権を取ったところで「国民の生命と安全と財産を守る」という政治の責任を果たせるはずがないといえます。 ◆野党連合の矛盾②:年金政策が不一致なのに年金不安をなくせる? 安倍首相と野党の論戦では、年金が大きな争点になりました。 「志位さんはマクロ経済スライドを廃止すると言っている。枝野さんは民主党政権時代も維持してきたから、維持するという考えなのだろう。もし基本政策が統一されていないのであれば、非常に不誠実だ」 その際に、年金における野党政策の不一致もやり玉にあがりました。 将来世代のために物価・給料水準に応じて今の高齢者への給付を減らす「マクロ経済スライド」に関しては、国民民主党も否定的な発言をしています。 「マクロ経済スライドを適用して世代間の公平を図ろうとすると、どうしても削らざるを得ない」(玉木代表) 国民民主党は、年金で所得の最低保障を行いたがっているので、この制度がその妨げになると見ているようです。 元民主党議員がつくった政党なので、昔に自分たちが維持した制度について「廃止」とは言えないのですが、国民民主党の年金政策は、かなり共産党寄りになってきています。 ◆共産党:「減らない年金」? 共産党の志位委員長は「マクロ経済スライドは廃止し、減らない年金にすべきだ」と主張。 これに対して、安倍首相は「(その場合)今40歳の方が、もらう段階になって年金の積立金は枯渇する」と反論しました。 これは、安倍首相のほうに理があります。 年金は、今の高齢者に多めに給付されており、年を減るに従って給付額が次第に減るように設計されていますが、マクロ経済スライドは、物価や賃金の変動に応じて、直近の世代に払いすぎにならないよう、給付額を削減する仕組みだからです。 これを廃止した場合、今の世代は後の世代に比べると「もらいすぎ」になってしまい、「世代間不平等」が拡大します。 高齢者がどんどん増え、高齢者1人あたりの現役世代の数が減っていくわけですから、給付金が減っていくこと自体は避けがたいものがあります。 志位委員長の主張には無理があり、結局、今の高齢者のために年金の積立金をばらまくだけで終わってしまうでしょう。 ◆日本維新の会:「身を切る改革」は何のため? 維新の会の松井代表は「身を切る改革」を提唱。 「大阪府と大阪市で行革をすることで教育無償化の財源を生み出した」 その結果、「教育無償化」の財源ができたと自慢し、これを全国に広げるべきだと主張しました。 維新に関しては「お金の使いみち」が妥当かどうかという問題があります。 今の教育無償化は、(消費税などで)全世帯から集めたお金を子供のある世帯に配る行為なので、必ずしも公平な政策ではありません。 子供のいない世帯からお金を集め、そのお金を子供のある世帯に移転させているからです。 国の予算を浮かせることができたならば、その分だけ減税するか、全国民に恩恵がある政策(例えば防衛費など)に回すのが筋です。… 【トランプ訪朝】米国任せではノドンミサイルから日本を守れない 2019.07.03 ttp://hrp-newsfile.jp/2019/3632/ HS政経塾スタッフ 遠藤明成 ◆米大統領が初めて北朝鮮に足を踏み入れた トランプ大統領は、6月30日に南北朝鮮の軍事境界線上にある非武装地域を訪問し、板門店で金正恩委員長と会談しました。 朝鮮戦争の休戦協定が結ばれた板門店で握手し、共に北朝鮮側に入った後に韓国に戻る映像がニュースに流れ、トランプ大統領が金委員長をホワイトハウスに招待したことなどが報道されました。 物別れに終わった2月の会談後の関係修復がはかられたのですが、この時に、トランプ大統領が、日本にとって注目を要する発言をしています。 ◆「我々は長距離弾道ミサイルについて議論をしている」 記者会見の終わり際に、最近、北朝鮮が行ったミサイル発射をついての見解を問われ、トランプ大統領は、(それは)「とても小さい。それらのミサイル実験はどの国もやっている」と答えていました。 「我々は、それらをミサイル実験とは見なしていない」 「我々は長距離弾道ミサイルについて議論をしている。彼らは今、それを発射していない」 「最も重要なのは、核実験が行われていないことだ」 そして、北朝鮮への「制裁を外せる日を楽しみにしている」とも述べていたのです。 ◆米朝交渉の中心は「米国にとっての脅威の除去」とみられる 今回の訪朝で、トランプ氏は「長距離弾道ミサイル」と「核」に焦点を絞ってきています。 つまり、核開発を止めさせ、米国の脅威となる長距離弾道ミサイルを廃棄させることを優先しているのです。 韓国にとっては「短距離」のミサイルが大きな問題を占めるのですが、それは問題には挙げられませんでした。 日本の脅威となるのは、九州や中国地方に届くスカッドR(短距離弾道ミサイル)や全国に届くノドン(準中距離弾道ミサイル)ですが、これらの扱いも不明なままです。 ◆日本を守るのは、やはり、日本自身の力 もし、北朝鮮の核兵器の全てが除去されるのなら、それをノドンやスカッドに積めなくなるので、日本の安全につながります。 しかし、北朝鮮の全域を捜索し、核兵器の全てを破棄させるのは、簡単なことではありません。 米国が1年交渉しても、いまだ核兵器を一つも廃棄できず、大統領が「核実験が止まった」ことを成果とせざるをえないのが現状です。 米朝交渉で、短距離や中距離のミサイルも廃棄対象になることを期待する方もいますが、今回、それは、主な議題ではないことが明らかになりました。 結局、日本は防衛力を強化し、「ミサイルを撃たせない体制」をつくらなければならないわけです。 ◆「ミサイルを撃たせない」ための二つの道 日本には「ミサイル防衛システム」がありますが、北朝鮮は100発以上の弾道ミサイルで日本を狙えるため、これで落とせるのは一部に限られます。 北朝鮮のミサイルに対抗するには、核兵器を持った米軍の部隊を日本に展開させるか、攻撃を踏みとどまらせる「抑止力」を持つかしかありません 前者は、非核三原則の「持ち込ませず」をなくし、米軍の核部隊や核搭載の艦艇などが公然と日本に滞在できる体制をつくることです。 しかし、オスプレイだけで大騒ぎになる日本で、これを実現するのは、困難をきわめます。 また、もともと沖縄返還時に、そこにいた核部隊を引き揚げた米国に、いまさらこのプランを求めることにも、政策的な矛盾があります。 「『核抜き・本土並み』の返還を求めたのは、日本ではないか」と言われることは避けられないでしょう。 (冷戦期には核抑止力が必要だったが、非核三原則があるので、日本は、結局、ながらく核持ち込みを容認する「密約」を結んでいた) ◆ミサイルを撃たせないための「ミサイル導入」 こうした事情を踏まえ、日本でも実現可能な策として、米国からの「巡航ミサイル」の導入を提言する人もいます。 米シンクタンクで海軍アドバイザー等を務める北村淳氏は、約1000億円で自衛隊艦艇には800発程度のトマホークミサイルを搭載可能だとも指摘しています。 (今のミサイル防衛システムを拡大し、北朝鮮のミサイル群への迎撃体制を完備させる場合は、新装備も含めて約2兆円が必要になると試算。なお、トマホークは、トランプ大統領が習主席を初めて米国に招いた時に、シリアに撃って見せた巡航ミサイル) 安倍首相も、2018年にやっと北朝鮮が数百基のノドンミサイルを配備していることを公の場で語りましたが(18/2/14衆院予算委)、結局、これを「撃たせない」ためには、日本も反撃できる体制をつくり、攻撃を思いとどまらせるしかありません。 前防衛大臣の小野田氏はこの政策に前向きだったので、政府も「巡航ミサイル導入」の議論を進めようとしていました。 しかし、現在は、もはや忘れ去られています。 今のままでは、安倍首相の「脅威の認識」と日本に必要な抑止力のレベルがつりあわないのですが、自民党の議員は、その矛盾に口をつぐんでいるようです。 (※18年防衛白書も北朝鮮が「スカッド用のTEL(移動式発射台)を最大100両、ノドン用のTELを最大50両、IRBM(ムスダン)用のTELを最大50両」もっているとの米軍の分析を紹介しているが、その対策は不明) ◆日本を攻撃させないためにも「自衛隊の強化」が必要 生前、渡部昇一氏は、武の語源は、矛をもって矛を止めることだと言っていました。 つまり、ミサイルを持つことで、北朝鮮にミサイルを撃たせなくすることが大事です。 幸福実現党が、立党以来、北朝鮮への「抑止力」強化を訴えてきたのは、戦争がしたいからではなく、戦争が起きるのを防ぐためです。 巡航ミサイルの導入に関しては、自民党よりも前から必要だと主張しています。 (※「巡航ミサイルを備えた潜水艦隊を充実(2010主要政策)」「巡航ミサイルなどの敵基地攻撃能力を保有(2013主要政策)」など) 2017年に北朝鮮危機が本格化してから「巡航ミサイルの保有」を検討した国会議員は、18年に米朝交渉が始まったのをいいことに、全てを米国任せにし、この問題に口をつぐんでしまいました。 しかし、このたびのトランプ訪朝で、短距離・中距離弾道ミサイルに対しては、日本自らが「撃たせない」だけの抑止力を持つべきことがはっきりしたのです。 幸福実現党は、今後も、日本を攻撃させないためにも、平和を守る「抑止力」の必要性を、訴え続けてまいります。 【参照】 ・ARIRANG NEWS(アリランテレビ):LIVE: [S.Korea-U.S. Summit] MOON,… トランプの「同盟不平等」論に安倍政権は答えられるのか 2019.07.02 HS政経塾スタッフ 遠藤明成 ◆日本政府を揺さぶった、トランプの「同盟不平等」発言 G20に出かける前に、トランプ大統領は、日米同盟が不平等だと指摘し、日本政府にゆさぶりをかけました。 (※以下の発言は6月26日のFOX BUSINESSのインタビューでのコメント) 「我々は日本と同盟を結んでいる」 「もし、日本が攻撃されたら、我々は第三次世界大戦を戦うことになる」 「我々はそこに行き、彼らを守る。我々の生命と予算を費やして戦う。我々はどんな犠牲を払ってでも戦うのだ」 「しかし、我々が攻撃された時、日本は我々のために戦う必要はない」 (その時)「彼らは、その攻撃をソニーのテレビで見ているだけだ」 政府関係者やマスコミは、トランプ氏がG20を前にして、急に大統領選の頃のような同盟否定論を語ったことに驚きました。 大統領になった後は、持論と現実との落差を知り、トランプ氏も「丸く」なったのではなかったのか――。 この発言は、そうした想定に「揺らぎ」を与える一撃だったからです。 ◆トランプの本音は変わらない こうした発言は、大統領選の頃から、トランプ氏が繰り返し語ってきた持論ではあります。 しかし、トランプ氏は、大統領になった後は、日米首脳会談などで同盟堅持を表明し、歴代政権に近い立場を取ってきました。 2018年までは、マティス国防長官(当時)のように、同盟を重視する軍人閣僚が外交・安保政策を支えていたので、トランプ氏はこの種の発言を減らしていましたが、最近は、安全保障に不熱心な日本への不満がたまり、また本音を語り始めています。 その不満の典型は「中国や日本は、ホルムズ海峡を通る自国のタンカーを自国で守るべきだ」という主張です。 24日のツイッターでは「中国が輸入する石油の91%はホルムズ海峡を通る。日本の石油の62%もそうだ。どうして米国は、こうした国々のために代償ゼロでシーレーンを守る必要があるのか」と書き、「米国は世界最大のエネルギー生産国なのだから、(この海峡に)とどまる必要さえない」とまで述べています。 日本は、米国に安全保障を依存しすぎていると考えているわけです。 ◆日米同盟は「かつてないほど強固」ではなかったのか? ただ、こうした本音トークがなされても、トランプ大統領が、すぐに日米同盟破棄に動く可能性は低いでしょう。 現在、対決姿勢を打ち出している中国が最も嫌がっているのは「日米同盟の抑止力」です。 北朝鮮にとっても、同盟を根拠に日本に展開する在日米軍は、大きな脅威になっています。 ここで同盟を解消すれば、中国と北朝鮮が手を叩いて大喜びするだけだからです。 5月の訪日時に、トランプ大統領は、米国の強襲揚陸艦「ワスプ」の上で「同盟はかつてないほど強固だ」と述べています。 訪問した横須賀基地は「鉄壁の日米協力関係のあかしだ」とも語りました。 結局、トランプ大統領は「同盟は必要」という現実を認めながらも、本音を語ることで、同盟国に、安全保障への「本気の取組み」を求めています。 また、こうした威嚇をちらつかせることで、日米通商交渉を有利に進めようとしています。 ◆「日米同盟は不公平」と主張するのはトランプ氏だけではない ただ、こうした「日米同盟は不公平だ」という主張は、トランプ氏だけが言っているわけではありません。 古森義久氏(産経新聞ワシントン駐在客員特派員)は、議会からもそうした声が出ていることに注意を喚起しています。 JBプレスの記事では、「日米同盟は不公正であり、日本は憲法を改正して集団自衛権の完全行使を可能にし、米国を支援すべきだ」と主張してきたブラッド・シャーマン議員(民主党)が米下院の外交委員会で要職についたことを紹介しています。 この人がアジア太平洋を扱う「アジア太平洋・核不拡散小委員会」の委員長に就いたので、日本にもう一段の防衛努力が要求される可能性が出てきたと指摘しているのです。 ◆「集団的自衛権の限定容認」の限界 しかし、安倍政権は「集団的自衛権」の限定容認がなされたので、有事に米国を支援できると考えているのかもしれません。 ただ、その要件をみると、実際は、米国が攻撃されただけでは、集団的自衛権を使えないようになっています。 現状では、日本にとって「国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険」がない限り、米国が攻撃を受けても、集団的自衛権を使う条件は整わないのです。 世界最強の米国が被害を受けても、日本に前掲の「明白な危険」が生じないことは十分に起こりえます。 この場合は、米国大統領が参戦を求めても、集団的自衛権を使えない事態が発生しうるわけです。 (例えば、2001年にワールド・トレード・センターが崩落しましたが、この出来事で「日本の存立が脅かされた」と言えるかどうかは疑問です。どこかの反米国が工作員を用いて米国の重要施設にテロ攻撃をした程度では、前掲の「集団的自衛権を行使する要件」が満たされない可能性があります) こうした仕組みができているのは、日本の政治家が「米国の戦争に巻き込まれる」ことを避けようとしたからです。 たしかに「無駄な戦争に巻き込まれたくない」というのは、もっともな話ではありますが、その反面として、日本は、米国にとって「当てにならない同盟国」になっているのも事実なのです。 ◆安倍政権でも、日本の防衛費はたいして伸びていない 米国から見た時のもう一つの不満は、日本の防衛費の負担が少ないと言うことです。 トランプ政権は、NATO(北大西洋条約機構)加盟国に「GDP比で2%の防衛費負担」を求めているので、GDP比1%程度の防衛費は、とても小さく見えているはずです。 安倍政権は、防衛費を増やしましたが、規模が小さく、物価も上がっているので、実際は、たいして変わっていません。 2014年から2018年までの防衛関係費の増額は3063億円。 伸び率は約6.3%です。 しかし、同時期の物価は約2.1%上がっているので、実質で見た防衛費の伸び率は4年間で4.2%。 年間伸び率は1%程度にすぎません。 自民党の「ゆるぎない防衛力を整備する」という公約は、看板倒れで終わっています。 ※上記計算 ・5兆1911億円 -4兆8848億円=3063億円。3063億÷4兆8848億で6.27%)… 【野党公約比較】「消費税増税反対」の本気度は疑わしい 2019.07.01 【野党公約比較】「消費税増税反対」の本気度は疑わしい HS政経塾スタッフ 遠藤明成 ◆最後の国会論争 なぜ「消費税」を取り上げなかったのか 最近の野党は、「年金だけでは2000万円不足」と書かれた報告書を取り上げ、「自公政権では年金が危うい」ということを印象づけたがっています。 特に、党首討論では、年金をめぐる失言を引き出そうと躍起になっていました。 立民党や国民民主党、共産党などの年金政策にも「給付増のために現役世代の負担が重くなる」という問題があるのですが、国民は、そのプランの中身はわからないとタカをくくり、年金不安を煽ろうとしているようです。 これに関して、経済学者の田中秀臣氏(上武大学ビジネス情報学部教授)は苦言を呈しています。 「本当に10月の消費税率10%引き上げにストップをかける気があるのだったら、19日の国会での党首討論はその絶好の場だった」 「消費増税を論点にして、実施の是非を問うには最大の見せ場であったはずだ」 大事なテーマをわきに追いやってしまったので、田中氏は「政治的に消費増税を止める絶好の機会を、野党は自ら失った」と批判しています。 そして、(増税反対の)「本気度はあいかわらず極めて低い」と酷評しているのです。 ◆立民党と国民民主党の問題点①:自分たちが増税を推進したのに、何の釈明もない 今の野党には、増税反対の熱意に乏しいという問題点があります。 それは、主な政治家の言動や公約からも見てとれます。 そもそも、「民主党」という名がつく二つの野党には、与党だった頃に増税に加担した議員がたくさんいますが、現在、増税反対を訴える折に、はっきりと釈明していません。 立憲民主党の枝野代表がその典型ですが、公約集(「立憲ビジョン2019」)をみると、不思議なことに、そこには、過去、増税を推進したことの釈明もなければ、「増税凍結」に転じた理由の説明もないのです。 ◆立民党と国民民主党の問題点②:バラマキで増税に転じた過去に学ばず そして、年金・医療・介護などの個人負担に上限を設ける「総合合算制度」、年金の最低保障機能の強化、国公立校の授業料の半額削減、奨学金の拡充、農家への戸別所得保障など、お金のかかる政策を並べています。 こうした立民党のプランと「増税凍結」は矛盾します。 また、国民民主党の公約も、「児童手当増額(18歳まで対象、月15000円)」「低所得の年金生活者に月5000円の給付金」「家賃補助(年収500万円以下に月1万円)」といったバラマキ政策を訴えています。 要するに、立憲民主党と国民民主党は、国民に福祉の大盤振る舞いを公約し、「消費税増税はしません」と言っています。 こうしたスタンスは、2009年の民主党公約とあまり大差がありません。 この二党は、福祉の大盤振る舞いを約束し、最後に増税政党に転じた、昔の経験から何も学んでいないのです。 ◆共産党:民主党を超える迫力満点のバラマキ政策 国民の歓心を買うためにバラマキ政策を並べるのは、共産党も同じです。 その代表的な政策を並べてみます。 ・「減らない年金」にする、低年金を底上げ(※底上げ=増額を公約) ・「マクロ経済スライド」を廃止 ・公費1兆円の投入で医療の自己負担分を減らす ・教育無償化と奨学金の拡充 ・中小企業の賃上げ支援を1000倍に かつての民主党以上のバラマキ政策なので、これで消費税の増税に反対といわれても、いま一つ現実味がもてません。 結局、どの政党も「お金をもっと配ります。皆さんのために使います」と言いながら、「消費税は上げなくても大丈夫」と言っているのが現状です。 ◆野党公約を見る限り、「消費増税反対」の本気度は疑わしい こうした政策をみていくと、野党には「本当に消費税の増税をやめさせる気があるのだろうか」という疑問が湧いてきます。 バラマキ政策をどんどん増やしていけば、昔の民主党のように「お金が足りないので、増税が必要になりました」と言わざるを得なくなるからです。 共産党は「金持ちから取ればいい」といいますが、徴税を強化すれば、お金持ちは日本から海外に逃げていくだけです。 「大企業から取れ」といっても、グローバル企業は、日本よりも税金の安い国に拠点を移すなど、様々な対策を取れます。 政府の思い通りに「取れる」とは限らないので、こうした算段は「取らぬ狸の皮算用」で終わっても不思議ではないのです。 (※程度が違えども、こうした発想は、立民党や国民民主党とも共通している) ◆「小さな政府」「安い税金」でなければ増税反対の筋は通らない しかし、幸福実現党は、立党以来、「小さな政府」と「安い税金」を目指し、消費税増税に反対してきました。 そして、消費税5%への減税、法人税1割台への減税を訴えてきました。 税率を下げる以上、無駄な予算を廃し、勤労意欲を損なうような給付金のバラマキはやめなければいけません。 そうしなければ、筋が通らないからです。 バラマキ政策が恐ろしいのは、「一度始めたら、やめられなくなる」という点にあります。 一度、お金をもらった人は、それをあてにするので、後で廃止するのは難しく、選挙のたびに、今まで以上のバラマキが求められるようになります。 そして、今の野党の公約のように、選挙のたびに、バラマキの規模がどんどん大きくなるのです。 こんなことを繰り返していては、消費税増税の凍結や、5%への減税などは不可能です。 幸福実現党は、本気で消費税増税に反対し、5%への減税を目指しているからこそ、バラマキ政策による人気取りに反対してきました。 今後も「小さな政府、安い税金」の旗を下ろさず、消費税5%への減税を訴え続けてまいります。 【参照】 ・田中秀臣「枝野幸男の『自慢』が文在寅とダブって仕方がない」(産経iRONNA 2019/6/25) ・立憲民主党HP「立憲ビジョン2019」 ・国民民主党「新しい答え 2019」… 共産党と立民党が目指す「文在寅」的な賃上げは、経済を崩壊させる 2019.06.30 共産党と立民党が目指す「文在寅」的な賃上げは、経済を崩壊させる HS政経塾スタッフ 遠藤明成 ◆立憲民主党が「5年で最低賃金1300円」を公約 6月24日に、立憲民主党は公約を発表し、「5年以内に最低賃金を1300円に引き上げる」ことをうたいました。 そのため、6/25時点の「賃上げ」をめぐる主要政党の政策比較は、以下の内容になります。 ——- ・自民党:1000円を目指す(年率3%程度。全国加重平均) ・公明党:1000円超を目指す(2020年代前半を目途〔全国加重平均〕/2020年代半ばに半分以上の都道府県で達成) ・立憲民主党:5年以内に最低賃金を1300円に引き上げる ・国民民主党:全国どこでも時給1000円以上を早期に実現(中小企業の正規雇用分の社会保障負担を助成) ・共産党:時給1500円を目指す(いますぐ、全国どこでも1000円。中小企業への賃上げ支援を1000倍に) ※維新の会は「最低賃金」という制度に否定的で、生活難には給付金で対応すべきという発想。 ——– 自公政権は5年程度での目標達成を目指していますが、共産党と立民党は「即時引き上げ」というカラーが濃厚です。 共産党だけでなく、立民党も17年発表の「基本政策」で「全国どこでも誰でも時給1000円以上に」と述べていたからです。 ◆立民党、共産党のいう「すぐに1000円」が意味するもの 厚生労働省によれば、2018年の我が国の最低賃金は全国平均で「874円」です(加重平均額)。 そのため、共産党や立民党のように、これを法律で強制的に「全国どこでも」1000円にした場合は、平均値で14.4%増となります。 これだけでも猛烈な増加率ですが、最低賃金に関しては、都道府県によって大きなばらつきがあることに注意しなければなりません。 その賃金を金額別にみると、全国の都道府県は、以下のグループに分かれます。 ・900円以上:3県 ・850~899円:6県 ・800~850円:19県 ・761~799円:19県 東京は985円、神奈川は983円、大阪は936円でベスト3ですが、760円台の県は16県もあります。 ・766円:徳島 ・764円:島根、愛媛 ・763円:山形 ・762円:青森、岩手、秋田、鳥取、高知、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、沖縄 ・761円:鹿児島 これらの県を時給1000円にした場合は、31%増という途方もない数字になります。 しかし、問題になるのは、そんなに急に引き上げた時、何が起きるのかということです。 ◆文政権は2年で3割の賃上げ 韓国経済は崩壊 急激な賃上げが経済を低迷させることは、すでに韓国の文在寅政権が実証済です。 韓国は、2018年に16.4%、19年に10.9%の引上げを決めましたが、その結果は悲惨なものでした。 中央日報日本語版(2019/6/13)によれば、5月の失業者は114万人を超え、例年の5月の中で最多記録を更新しています。 そのうち、40代の雇用は17万7000人減り、43カ月連続で減少。 製造業就業者数は7万3000人減り、18年4月から14カ月連続でマイナスが続きました。 さらには、18年2月以降は、従業員のいる自営業者が減り、従業員のいない自営業者の増加が続いています。 「最低賃金引き上げなどで人件費が増えたことで従業員を手放して『従業員のいる自営業者』から『従業員のいない自営業者』に変わった」(タングク大学経済学科のキム・テギ教授) 一人あたりの賃金を無理やり増やせば、企業が雇える人の総数が減るのは当たり前です。 同紙は、6月18日に韓国の中小企業15団体が緊急会見をひらき、「最低賃金、来年は据え置きを」と要望したことを報じています。 (深刻な経営難で)「窮地に追い込まれた人たちはやむを得ず職員数を減らし、勤労時間を短縮している」 「現場の副作用と諸条件を考慮し、来年の最低賃金は少なくとも据え置くべき」 中小企業中央会の調査(全国の中小企業357社を対象)によれば、60.8%が「経営状況が厳しい」と答えています。 来年も最低賃金が上がる場合、半分以上が雇用を減らすと返答しています。 「新規採用を縮小」(28.9%)、「従来の人員を削減」(23.2%)などと、厳しい見通しを明かしているのです。 ◆立民党、共産党の「賃上げ」プランは文政権とそっくり こうした韓国の不景気は、2年間で3割という急激な賃上げによってもたらされました。 我々は、立民党と共産党の政策が、この文政権の政策とよく似ていることに注意すべきです。 まず、最低賃金を「いますぐ、全国どこでも1000円」に引き上げた場合、平均値で14.4%、地域によっては3割前後の増加率になります。 立民党のプランが発動されたと仮定すると、その翌年には最低賃金は1075円にまで上がります。 (※5年間で1300円なので、初年に1000円に上げ、残り4年で300円を上げると想定) 2年目の賃上げ率は、7.5%です。 そうなれば、2年間の平均値で賃上げ率は23%、地域によっては3割から4割の賃上げ率となります。… 【日露交渉】右手に「対露制裁」、左手に「平和条約」で進むわけがない 2019.06.29 【日露交渉】右手に「対露制裁」、左手に「平和条約」で進むわけがない HS政経塾スタッフ 遠藤明成 ◆日露首脳会談 何が成果? 6月29日の日露首脳会談では、大きな進展がありませんでした。 今回、合意に至ったのは、以下の項目だと報じられています。 ・日ソ共同宣言を基礎にした交渉加速を継続 ・2023年までに相互訪問者を少なくとも20万人、計40万人に ・北極圏での液化天然ガス(LNG)生産事業や医療分野での協力拡大 ・北方四島での共同経済活動を秋に試行(観光やごみ処理等) ・航空機での北方領土元島民の墓参りの実施 (※北極圏でのLNG生産事業では、三井物産とロシアガス大手ノバテクが協力する) 内容をみると、特に、これといった大きな成果が見当たりません。 ◆新しい一手がなかった安倍政権 そもそも、今回は、6月22日の時点でプーチン大統領が、国営テレビのインタビューで領土返還の「計画はない」とあらかじめ述べていました。 南クリル諸島(北方領土)のインフラ建設を進めるとも発言しており、島の施設から「ロシア国旗を下ろすことはあるか」と訊かれた際には、「そうした計画はない」と答えていたのです。 今回は、今までと同じ議論を続けても、らちがあかないことは明らかでしたが、安倍首相に新しい一手はなかったのです。 日ロ首脳会談は26回目となりましたが、結局、平和条約と領土交渉は一向に進展していません。 ◆「外交の成果」を政策パンフに書けない自民党 今回の会談も含めて、安倍首相の「外交」は、PRが目立つわりには、十分な成果があがっていません。 それは、自民党の政策パンフレットを見れば分かります。 経済政策では、若者の就職内定率が過去最高であるとか、企業の倒産が減ったとか、具体的に並べる内容があるのですが、外交・安保政策には、それがないのです。 そのかわりに、安倍首相の「写真」で紙面が埋められています。 トランプ大統領とゴルフしたり、モディ首相やマクロン大統領、プーチン大統領などと一緒に映っている写真が「成果」のかわりに並べられているのです。 ◆たいして進展がない「外交・安保政策」 自民党の外交・安保政策には、「ゆるぎない防衛力を整備する」(米豪印等と)「自由で開かれたインド洋を実現」「北朝鮮の核・ミサイル放棄」「拉致被害者全員の帰国」などといった項目が並んでいます。 どれも大事ですが、これらの政策は政権ができた頃から主張してきたものです。 そのため、もはや「成果があったのかどうか」が問われるべき時が来ています。 対露外交については「領土問題を解決し、日露平和条約の締結を目指します」と書かれていました。 しかし、26回も首脳会談をし、プーチン大統領が2回訪日したのに、議論はたいして進んでいません。 そして、進んでいないのは、他の項目も同じなのです。 「防衛費が増えた」といいますが、微増にすぎません。 また、北朝鮮の核ミサイル放棄や拉致被害者の帰国は一向にめどがたちません。 「自由で開かれたインド洋の実現」は、中国に対抗する米国の「インド・太平洋戦略」との連携を意味しますが、今の日本は、中国のご機嫌取りに終始しています。 ◆日本は、右手で制裁しながら、左手で「平和条約と領土返還」を求めている。 日露交渉に関して言えば、そもそも、「ロシア制裁を続けながら領土返還を求める」という日本のスタンスに矛盾があります。 これは、2016年12月に、プーチン大統領が初めて訪日した時と全然、変わっていません。 当時は、オバマ大統領の任期が残り1ヶ月しかなく、トランプ政権のロシア政策も固まっていなかったので、制裁解除のチャンスだったのですが、安倍首相は決断できませんでした。 プーチン大統領にとっては、日本がひたすら米国に追随しているようにしか見えず、その後、領土返還について態度を硬化させています。 実際に、返還後の北方領土に米軍基地がつくられる可能性を危険視し、「日本がこの問題でどの程度主権を持っているのか分からない」と指摘しています。 制裁解除もできない国が、米軍の意に反して基地の建設を止められるとは信じがたいからです。 プーチン大統領には、右手で制裁しながら、左手で平和条約と領土返還を求める奇妙な外交に見えたに違いありません。 ◆日露交渉を進展させるために やはり、日露交渉を進展させたいのなら、日本は、態度を明確にしなければいけません。 まずは「ロシアは敵ではない」ということを示す必要があります。 対露制裁を解除し、ロシアのG8復帰を促すなど、日本は独立国として主体的に動くべきです。 ロシアを敵国扱いすることを終わらせなければ、平和条約の締結や領土返還交渉が進まないのは当然です。 我が国は、日露関係を強化することでロシアが中国寄りになることを防がなければなりません。 日米同盟があるので、米国の理解を得るのは大変ではありますが、これは、それだけの労力を費やすに値する政治課題です。 自民党の「対米追随」外交だけで、日本の未来を拓くことはできません。 幸福実現党は、対露外交に新たな一手を打ち、日露平和条約を早期に締結すべきことを訴えてまいります。 【参照】 ・自民党「令和元年政策パンフレット」 ・朝日デジタル「プーチン氏『日本の決定権に疑問』 北方領土と米軍基地」(2018/12/21) 香港デモは、中国の”国内問題”ではなく、国際問題だ 2019.06.28 香港デモは、中国の”国内問題”ではなく、国際問題だ HS政経塾スタッフ 遠藤明成 ◆G20を前にして、香港のデモ隊が各国領事館に陳情書を提出 G20首脳会談の前日に、香港のデモ隊は各国の領事館まで行進し、「逃亡犯条例」改正の完全撤回への支援を訴えました。 デモ隊は陳情書を領事館に提出し、この条例をG20の議題とすることを求めています。 「香港に自由を、いまこそ民主主義を」 「トランプ大統領、香港を解放してください」 そう訴えているのは、条例案の審議が止まっただけでは、まだ不十分だからです。 香港政府は、条例案が来年7月に廃案になることを受け入れると表明しましたが、議会は親中派が多数なので、実際は、あとで審議を再開できます。 そのため、デモ隊は香港政府が自ら案を完全撤回するまで妥協せず、各国政府に支援を呼びかけました。 香港政府は北京の言いなりなので、中国に主要国が抗議し、圧力をかけなければ、また改正案が蒸し返される恐れがあるからです。 ◆香港をめぐる米中高官のそれぞれの主張 29日には、米中首脳会談が開催されますので、両国の事前の動きを整理しておきます。 まず、6月17日に、ポンペオ国務長官は、香港デモについての見解を問われ、「トランプ大統領は常に熱心な人権の擁護者だ」「(香港問題が)会談の議題に含まれると確信している」と述べています(FOXニュースのインタビュー)。 これに対して、中国の張軍・外務次官補は24日に「香港の問題は純粋に中国の内政問題であり、いかなる諸外国にも干渉する権利はない」と反発。 G20が、世界の経済協議の場であることを理由に、香港について議論することは認められないと主張しました。 しかし、それは、適切な主張ではありません。 確かに、G20は、もとは国際経済会議でしたが、G7を拡大し、新興国にまで参加枠を広げたのは、急成長する国に応分の責任を求める意図があったからです。 そのため、香港の民主主義を維持するという、返還時の約束を守ることを各国が要求するのは当然です。 また、「逃亡犯条例」改正で、市民や外国人が当局の意のままに中国本土に引き渡されるようになれば、香港の信用が失墜し、「国際金融都市」としての機能が失われます。 香港が中国本土と同じになれば、香港から他のアジア諸国(シンガポールなど)に事務所を移転する企業が増えますし、香港への投資が減るので、結局、国際経済にも影響が出るのです。 つまり、ポンペオ国務長官が述べたように、これがG20の議題に入るのは、当然のことです。 「議論を認めない」と主張する中国は、G20が自国内の会議ではなく、「国際会議」であることを忘れてしまったのでしょう。 諸外国の首脳の言論の自由を奪う権利が、中国にあるはずがありません。 ◆香港デモの影響で、台湾の蔡英文総統と国民党候補者との支持率が逆転 香港デモに関しては、同じく中国の脅威を前にした台湾人が注目しています。 世論調査では、台湾人の7割(70.8%)が「香港人のデモを支持する」と答えており、中国への反感が高まっています。 中国は、香港と同時に、台湾の民主主義を脅かしているからです。 その結果、「中国との関係を改善し、景気回復を図る」という国民党の主張は、前よりも台湾人の心に響かなくなりました。 むしろ、中国への対決路線に切り替えた蔡英文総統の支持率が上がっています。 「蔡氏の支持率は47・7%(前月43・1%)、不支持率は43・6(前月46・8%)」 「17年11月から続いていた支持が不支持を下回る状態を抜け出した」(朝日6/25) 野党候補者のトップ3を見ると、香港デモについて「よく知らない」と答えた国民党の韓国瑜(高雄市長)は、首位から二位に下がりました。 現在は、郭台銘(テリー・ゴウ鳴海会長、7月1日に退任)が首位です。 第三位は、朱立倫元主席で、3人の支持率は拮抗しています。 (5/19⇒6/24、台湾民意基金会が野党候補者の支持率を調査) ・郭台銘:21.8%⇒29% ・韓国瑜:23.8%⇒26.4% ・朱立倫:18.3%⇒26.7% 郭氏が首位ですが、経済よりも「民主主義の危機」が懸念され、現在では、どの野党候補よりも蔡氏のほうが支持率が高くなっています。 「大手テレビ局TVBSが今月24日に公表した調査では、蔡氏に初めて逆転され、それぞれ8~15ポイント差を付けられている」(産経6/26) 香港市民が立ち上がったことで、アジアの政治の風向きが変わり始めています。| ◆G20議長国の日本が、率先して香港デモへの支援を打ち出すべき しかし、G20の議長国である日本の政治家は、中国のご機嫌伺いのため、香港デモへの明確な支持を打ち出せないでいます。 菅長官が6月13日に行った記者会見でも、まるで他人事のような発言がなされています。 ・「邦人保護の観点を含め、日本政府としても引き続き大きな関心を持って注視している」 ・「民主的なプロセスの下、十分議論が行われ、『一国二制度』の下で香港の自由や安定などが維持されることを強く期待している」 ・「今後とも香港当局とは必要に応じ意思疎通を続けていきたい」 ・「平和的な話し合いを通じて事態が早期に収拾されることを期待する」 そして、今の日本では、台湾の韓候補のように、香港デモに冷淡でも、支持率が急落することもありません。 日本では、水や空気があるのと同じように「平和」や「普通選挙」があるのは当然だと思われているので、香港デモが、中国の脅威に直面する自分たちにとっても大事な問題だとは、十分に受け止められていないのです。 幸福実現党は、こうした風潮を打破すべく、「沖縄・台湾・香港の自由を守ろう!」デモを開催し、香港デモの支持などを訴えました。 6月16日には、沖縄県本部が開催。410人が参加しています。 26日には、東京都新宿区でもデモを実施し、炎天下のなか、約950人が参加しました。 トランプ大統領が、香港デモを支持するのかもしれませんが、米国だけが言っても、他の主要国が賛同しなければ、中国への圧力は半減してしまいます。… 年金「百年安心」シナリオ あなたは信じられますか? 2019.06.27 年金「百年安心」シナリオ あなたは信じられますか? HS政経塾スタッフ 遠藤明成 ◆党首討論は「2000万円報告書」をめぐる政治闘争に終止 6月19日の党首討論では、消費税減税や国防強化といった、本当に大事な政策が議論されませんでした。 年金だけでは「2000万円足りない」と書かれた報告書についてのやりとりが続きましたが、「社会保障費が増え続ける中で、本当に100年安心を保てるのか」という、現実に即した議論も盛り上がりませんでした。 まともな質問だったのは、5年に1度の財政検証の発表が遅れていることと、実質賃金の伸び率が前回の財政検証で最低値と想定した0.7%を下回っていることを問うた、国民民主党の玉木代表の発言ぐらいで、あとは残念な内容です。 立憲民主党の枝野代表が訴えた、(社会保障の)「自己負担額に所得に応じた上限を設ける総合合算制度」と「介護・医療従事者の賃上げ」は、結局、さらに社会保障費が必要になります。 また、共産党の志位委員長が述べた「減らない年金」というのは、保険料を払う現役世代が減る中で高い年金給付を維持する構想なので、結局、一人あたりの年金保険料が増えるだけです。 どちらも、社会保障費が膨張するなかで、大盤振る舞いをめざす人気取りでしかありません。 今の党首討論は、各党がスタンドプレーを狙うつまらない会合に堕しています。 ◆年金をめぐる財政検証の発表は「選挙の後」? 麻生金融相の「報告書」受取拒否は論外ですが、財政検証の発表が遅れているのも、大きな問題です。 これは「100年安心」の年金を保障するために、5年に1度、財源と給付金が適正かどうかを厚労省がチェックする作業です。 具体的には、年金給付が会社員世帯の平均賃金の半分以下にならないように調整します(所得代替率の5割以上にする)。 過去の検証結果は、2004年、09年、14年に公表されました。 本年も、過去の日程から見ると、もう公表すべき時期が来ています。 ・前々回:08年11月に検証のための経済前提を厚労省の専門委が年金部会に報告。検証結果は09年2月に公表。 ・前回は:14年3月に経済前提を年金部会に報告。検証結果は6月に公表。 本年は3月13日に「経済前提」が報告されており、過去は約3ヶ月で公表されたことから考えれば、選挙への影響を「忖度」して、発表を遅らせているようにしか見えません。 これを党首討論で問われた安倍首相は、「財政検証をしている最中であり、(最新の結果の)報告を受けていない」とはぐらかしていました。 ◆財政検証の「経済前提」は妙に楽観的 過去の財政検証に関しては、試算の前提となる経済指標が楽観的すぎるという声もありました。 (2009年の検証は)「100年近くにわたって運用利回りを年率4.1%もの高利回りに設定したり、賃金も年率2.5%で100年近く上昇することが前提となっています」(学習院大学教授・鈴木亘氏 ※1) 「実質賃金上昇率 1.2~1.4%という結果は、およそ100年後までの超長期の経済前提であるとはいえ、最近の実績と比較するとやはり高い」「2000年代に入ってからの実質賃金上昇率を計算すると-0.23%でしかない(2000~12年度の単純平均)」(日本総研調査部 上席主任研究員・西沢和彦氏 ※2) この検証には、経済成長率や物価上昇率、生産性や給料の伸び率といった指標が、「百年安心」という標語に都合のよい形に歪められる危険性があることに注意が必要です。 ◆成長率がマイナスでも年金の運用利回りはプラスになる? 確かに、2014年の「経済前提」をみると、不審な数値も目に付きます。 「2024年以降の20~30年」に適用される未来シナリオは、ケースA~Hまでの8通りですが、そこでは、平均値の経済成長率(実質)がマイナスになろうとも運用利回りは必ずプラスになることが想定されています。 それは、以下の想定です(どちらも名目値-物価で計算した数字)。 A:成長率 1.4% 利回り3.4% B:成長率 1.1% 利回り3.3% C:成長率 0.9% 利回り3.2% D:成長率 0.6% 利回り3.1% E:成長率 0.4% 利回り3% F:成長率 0.1% 利回り2.8% G:成長率 -0.2% 利回り2.2% H:成長率 -0.4% 利回り1.7% シナリオAとEには成長率で1%の差がありますが、利回りは0.4%しか差がありません。 また、シナリオAとHには成長率で2%差がありますが、利回り差は1.7%です。 つまり、成長率よりも利回りが下がりにくいという想定になっています。 ◆財政検証はGPIFを買いかぶり過ぎでは 2014年10月まで、年金資産を扱うGPIFは債権7割で運用していたので、日本の景気が運用損益に与える影響を抑えようとしていました。 しかし、アベノミクスでの株高を支えつつ、そのメリットを活かそうと考え、株式の割合が5割にまで上がった結果、昔よりも運用損益は景気の影響を受けやすくなっています。 今の「国内株式25%、海外株式25%、国内債券35%、海外債権15%」という運用比率で、日本の成長率がマイナスになっても利回りプラスを維持できるかどうかは、疑問が残ります。 米国で1600億ドルの資産を運用するレイ・ダリオ氏(ブリッジウォーター創業者)は「株式には債権の3倍のリスクがある」(※3)と指摘していますが、財政検証では、GPIFはそのリスクをものともせず、不景気下でも利回り1.7%を出し続けることが想定されているのです。… すべてを表示する « Previous 1 … 49 50 51 52 53 … 252 Next »